普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本の経済環境に変化?

2008-07-21 15:58:17 | 企業経営

[経済面での米国依存脱却]
 昨日のフジテレビの「報道2001」で、自民党の高市早苗さん、民主党の河村たかしさん、社民党の福島瑞穂さん、元大蔵省財務官の榊原英資さん、評論家の荻原博子さんなどが出席して日本の抱える経済問題の討論をしていた。
 その中で印象に残ったのは、萩原さんの米国型市場中心主義の導入→企業の競争力強化→派遣労働者の増加によるコスト削減→労働者の平均給与が低下、一方米国型の経営の考え方まで取り入れた結果、経営者の収入増加と株の配当金の増加で社会格差が拡充しているの指摘。  
 榊原さんの原油高騰の対策として、日銀の貸し出し金利の引上げ→外国からの円に対する投資増加→円高にになり相対的に原油購入価格が減ることになるの発言。
 社民党の福島さんがそれに乗って、外貨準備をドルだけに頼らずユーロ債も買って、危険分散すべきと主張していた。
 サブプライムローンの破綻で苦しい運営を迫られている米国に対して、元大蔵省の高官の榊原さんの、なお一層のドル安に繋がり米国の足を引っ張るような発言は一昔では考えられなかったことだ。

 私も素人ながらも前にもかいたように(*注1)、日銀の貸出金利を上げたら良いと思うし、日本はもっとユーロ債を買うべきだと思うが、今まで異常なほど米国に気をつかってきた日本が、果たしてそんなことを今になって米国に言えるかどうか、言えないにしても秘かに方針転換できるかどうかは政府の決断に関わっている。
 然し、いずれにしてもこの様な発言の出る事は、米国の威信が落ちている事、そして日本の経済の行き詰まっていることを示しているのかも知れない。

[従業員への処遇の見直し]
 このような変化は各企業の中でも現れているそうだ。
 先日のNHKの「クローズアップ現代」によると、企業の中でも今までの、経費削減、成果主義による従業員の締めつけを見直し、従来型の家族主義的運営、企業への忠誠心の育成、改善活動の復活などを考えている企業が次第に増えて来ているそうだ。
 そしてその例として今までカットしてきた福利厚生費を増額して、従業員間のリクリエーションに使っている実例を報道していた。
 そんな企画も従業員の発想に任せているそうだが、彼らの自己啓発やコミュニケーションの強化のための企画など、日本の社員は流石に違うなと思わせた。
 日本では日本型の市場主義経営がベストと考えている私としては企業の運営方針のの変更は良い傾向だと思う。

[今までの日本と日本の経営者の歩み]
 それにしても何時も思う事だが、そんな優秀な社員が経営にタッチするようになると、途端に多くの人達が何故、普通の経営者になるのだろうか。
 以前にも書いたが、日本の復興期には企業の経営者は、当時の通産省の指示により経済拡大路線を走るだけで日本は急成長することができた。
 バブルの絶頂期に新聞紙上で、企業は正業に戻るべきだと、苦言を呈したのは、私の知る限りでは(正確には他に言った人もいたかも知れないがごく少数だったと思う)当時の日経連の鈴木永二さんだけだった。
 バブルの破裂と前後して一国二制度の方針を転換した中国の台頭に出くわした。
 丁度その当時は小泉さんと竹中さんによる構造改革が始まった。
 数々の規制緩和を行い後は各企業の自己責任に任せた。
 そして企業の経営者が直面したの超低賃金と膨大な人口を持つ協力なライバルの出現だ。
 自己責任として放り出された今まで政府の指導に馴れてきた経営者は米国の手法を用いた。
 大幅なリストラと、派遣労働者の増強によるコストの削減する一方、欧米式に企業の利益を経営者と株主に配分した。
 中には、経営危機に当たってもリストラを避けたトヨタとか、家族的経営の出光グループなど、経営者の理念にそって従業員を大切にする会社もあったがその数は限られていたようだ。
 そして日本としても、苦しい中でも米国に頼りきった経済と、日米同盟と言う名で保護して貰っている米国への遠慮と両方で、超低金利→円安ドル高、800兆にも及ぶ赤字の中でも、ドルで保有する外貨準備を運用もせずに放置したままだった。
 そして現実は世界における日本の経済上の地位は低下する一方、日本経済の伸びは先進国では最低レベルを維持したまま、日本企業の再建に資する筈の超低金利の資金ははサブプライムロンーンのバブル、その崩壊後は原油への投機資金に廻され、それが石油の価格の高騰や、食糧を中心とする物価の値上がりに続いている。

[日本と日本企業のこれから]
 現在でも、小さな政府か大きな政府かの議論が別れているようだが、少なくとも従業員と企業の設備と同じ位置に置く欧米型の経営理念が日本の実情に合わないこと、日本には貴重かつ唯一の資源である人を活用するしか生きる道はないこと、もうこれからは従来のような米国一辺倒では日本経済が立って行かない事が判って来き始めたのだろうか。
 企業経営者はこれからは如何にして日本独自の方法で生き抜いて行くかを考え、日本政府は米国のすくなくとも相対的な地位低下した今、日米関係はどうあるべきか、日本の進路を誤らないように舵を取って貰いたいものだ。

*注1:参照
        投機資金の横行と日本
       
原油価格暴騰で日本が出来ること
        カテゴリー → 企業経営


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