むかし ちょっとひっかけた女の子がいた
いや 僕のほうがひっかけられたというべきかな
彼女は自分の部屋を見せてくれた 「素敵でしょ ノルウェイ材を使ってあるの」
「ゆっくりしていって どこに座ってもいいわよ」と彼女が言うので
あたりを見まわしてみたけれど 椅子なんて置いてなかった
だから僕は敷物の上に座り チャンスをうかがいながら ワインを飲んだ
午前2時までおしゃべりをしたところで 彼女が言った 「さあベッドに行く時間よ」
「わたし 朝、仕事があるの」と 彼女は言うなり笑いだした
僕は「朝は特に用はないんだ」と言って バスルームまで這ってゆき 寝た
目覚めると彼女はいなかった 鳥は飛び去っていってしまったんだ
僕は煙草に火をつけた 素敵じゃないか ノルウェイ材の部屋ってやつは
- The Beatles「Norwegian Wood(This Bird Has Flown)」(1965)
(Translated by Andy@音楽観察者)
「ノルウェーの森」誤訳問題については、ずいぶん前にこのテキストで書いた。
「Norwegian Wood」が「Knowing she would」(彼女がやらせてくれることを知ってるよ)からきているフレーズなのかどうかはいまだによくわからないけれど、とりあえず自分なりに訳してみることにした。
最後のライン(「I lit a fire」)については、前述のテキストでも書いたとおり「煙草に火をつけた」と訳してみた。
女の子が去ってがらんとした部屋で、ひとり煙草に火をつけてぼんやりと部屋を眺めている、という情景が、この淡々とした曲の終りにふさわしいと思うので。
でも英語版Wikipediaの曲解説を見ると、「女の子と寝ることができなかった復讐のために、彼女の部屋に火をつけた」意味だということが当たり前のように書いてある。ポールの発言が根拠らしい。うーん。
ちなみに同記事によると、「ノルウェイ材」というのは安物の松のことで、これがインテリアに使ってあるということは、相手の女の子がワーキングクラスに属していることを示唆するらしい。へーそうなのか。けっこうイメージ変わるなあ。
なお、去年出た「ザ・ビートルズ'65 BOX」のブックレットに掲載された歌詞対訳(奥田祐士氏によるもの)では、「だからぼくは火をつけた すてきじゃないか、ノルウェー産の木」となっている。これも「部屋に火をつけた」説だ。これまでの公式訳(「俺は暖炉に火をくべた。まるでノルウェーの森にいるみたいだ」)とは大きく変わってきてますね。
原詞はここ参照。
いや 僕のほうがひっかけられたというべきかな
彼女は自分の部屋を見せてくれた 「素敵でしょ ノルウェイ材を使ってあるの」
「ゆっくりしていって どこに座ってもいいわよ」と彼女が言うので
あたりを見まわしてみたけれど 椅子なんて置いてなかった
だから僕は敷物の上に座り チャンスをうかがいながら ワインを飲んだ
午前2時までおしゃべりをしたところで 彼女が言った 「さあベッドに行く時間よ」
「わたし 朝、仕事があるの」と 彼女は言うなり笑いだした
僕は「朝は特に用はないんだ」と言って バスルームまで這ってゆき 寝た
目覚めると彼女はいなかった 鳥は飛び去っていってしまったんだ
僕は煙草に火をつけた 素敵じゃないか ノルウェイ材の部屋ってやつは
- The Beatles「Norwegian Wood(This Bird Has Flown)」(1965)
(Translated by Andy@音楽観察者)
「ノルウェーの森」誤訳問題については、ずいぶん前にこのテキストで書いた。
「Norwegian Wood」が「Knowing she would」(彼女がやらせてくれることを知ってるよ)からきているフレーズなのかどうかはいまだによくわからないけれど、とりあえず自分なりに訳してみることにした。
最後のライン(「I lit a fire」)については、前述のテキストでも書いたとおり「煙草に火をつけた」と訳してみた。
女の子が去ってがらんとした部屋で、ひとり煙草に火をつけてぼんやりと部屋を眺めている、という情景が、この淡々とした曲の終りにふさわしいと思うので。
でも英語版Wikipediaの曲解説を見ると、「女の子と寝ることができなかった復讐のために、彼女の部屋に火をつけた」意味だということが当たり前のように書いてある。ポールの発言が根拠らしい。うーん。
ちなみに同記事によると、「ノルウェイ材」というのは安物の松のことで、これがインテリアに使ってあるということは、相手の女の子がワーキングクラスに属していることを示唆するらしい。へーそうなのか。けっこうイメージ変わるなあ。
なお、去年出た「ザ・ビートルズ'65 BOX」のブックレットに掲載された歌詞対訳(奥田祐士氏によるもの)では、「だからぼくは火をつけた すてきじゃないか、ノルウェー産の木」となっている。これも「部屋に火をつけた」説だ。これまでの公式訳(「俺は暖炉に火をくべた。まるでノルウェーの森にいるみたいだ」)とは大きく変わってきてますね。
原詞はここ参照。
それからダブルミーニングっていう可能性もありますよね。メジャーシーンでは過激な表現が許されない時代だったでしょうし。
だから、ぱっと見だと「タバコに火をつけた」で、実は裏に「ご禁制のブツに火をつけた」「部屋に火をつけた」という意味をもたせたというのが正解に近いかなあとも思います。
ただ時代背景を踏まえずにいきなり表の意味が「部屋に火をつけた」というのは抵抗あるんですよね…。この曲の余韻を壊されるような気がするのです。
北欧風の木材(家具)については、むかし林望が、「ノルウェイの森」が誤訳であることを、ちょっと嫌味な(?)エッセイで懇切丁寧に書いていましたが、そのあと村上春樹が、それでも「ノルウェイの森」で良いのだ、というような文学的な(?)反論をしていたのも読んだ記憶があります。
個人的には、やはり「煙草に火をつけた」というのが、寂寞とした余韻があっていいと思います。
個人的には、
(Paul McCartney: Many Years From Now、日本版363ページ)
その自伝、僕も持っているのですが、あまりに大部すぎて拾い読みしかしていませんでした。
「Girl」のtitsも有名ですよね。あと、「Paperback Writer」でフレールジャックを引用してたりとか。
その種の「隠れたジョーク」のひとつだったというのにはうなずけます。
まだジョンと蜜月関係であったころについてのポール発言ですからそれなりに信憑性があるのでしょうが、やっぱりほんとは、この曲のメインソングライターであるジョンの解説を聴きたいところですよね…もう永遠にかなわないことですけど。