音楽中心日記blog

Andy@音楽観察者が綴る音楽日記

Gotta Serve Somebody

2008年06月28日 | 歌詞・訳詞
あんたはイギリスかフランスへ向かう大使かもしれない
ギャンブル好きかもしれないし ダンス好きかもしれない
ヘビー級世界チャンピオンかもしれないし 
真珠のネックレスをつけた社交界の花形かもしれない

でも あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

あんたはロックンロール中毒で ステージの上で飛び跳ねているかもしれない
ドラッグや檻の中の女を 自由にできるかもしれない
ビジネスマンかもしれないし なんでも盗める泥棒かもしれない
みんなにドクターと呼ばれたり 部長と呼ばれたりしているかもしれない

でも あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

あんたは州警察官かもしれないし 乱暴な若者かもしれない
どっかの大きなTVネットワークのトップかもしれない
金持ちかもしれないし 貧乏かもしれない
目が見えないかもしれないし 足が不自由かもしれない
俺とは別の国に住んでるかもしれない

でも あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

あんたは建設作業員で 家を建てているのかもしれない
大邸宅に住んでいるかもしれないし 宮殿住まいかもしれない
銃を持っているかもしれないし 戦車を持っているかもしれない
地主かもしれない 銀行を所有しているかもしれない

でも あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

あんたは宗教的誇りを持った伝道師かもしれない
ワイロをもらってる市会議員かもしれない
床屋で働いていて 髪の切り方を知っているかもしれない
誰かの愛人か 誰かの相続人かもしれない

でも あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

綿の服が好きかもしれない 絹の服が好きかもしれない
ウィスキーが好きかもしれない ミルクが好きかもしれない
キャビアが好きかもしれない パンが好きかもしれない
床で眠るのかもしれない 特大のベッドで眠るのかもしれない

でも あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

俺のことをテリーと呼ぶかもしれない ティミーと呼ぶかもしれない
ボビーと呼ぶかもしれない ジミーと呼ぶかもしれない
R.Jと呼ぶかもしれないし レイと呼ぶかもしれない
どう呼んだって そんなことは関係ないんだ

あんたは誰かに仕えなきゃならないんだ ほんとだよ
誰かに仕えなきゃならないんだ
それは悪魔かもしれないし 神様かもしれない
でも 誰かに仕えなきゃならないってのは ほんとのことなんだ

- Bob Dylan「Gotta Serve Somebody」(1979)
    (Translated by Andy@音楽観察者)

 ひさびさに訳詞を。(気がついたら2か月もごぶさたしてました。)

 アルバム「Slow Train Coming」収録曲。
 ユダヤ教徒であったディランがキリスト教に改宗したタイミングでリリースされたものなので、「神」に仕えることを歌った曲だと当時は誰もが思った。

 しかし、単純にひとつの意味でくくれるような歌を、ディランが書くわけがないと僕は思う。そもそも「(仕える相手は)悪魔かもしれないし 神様かもしれない」と言っているわけだし。

 ちなみに、この曲に反発したジョン・レノンは「Serve Yourself」というアンサーソングを書いている。仕える相手は神じゃなく、自分自身だというわけだ。

 原詞はここを参照。

 こんな曲。



 


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