音楽中心日記blog

Andy@音楽観察者が綴る音楽日記

ビートルズ・リマスター感想

2009年09月26日 | CDの感想
 ビートルズリマスター、ぼちぼちと聴いてはいるのですが、まだ道半ばです。

 最初9/9にモノボックスが届いたので、まずそちらをと1,2枚聴いてみたものの、翌日ステレオボックスが届いた時点で「やっぱステレオから聴くべきかな。今後はこれがデフォルトになるわけだし」と思い直して、ステレオ盤のほうを順番に聴き始めたら、時間がかかるかかる。だって楽しすぎるから。それでつい何度も繰り返し聴いてしまったり。
 その結果、入手してから二週間とちょっとでやっとステレオ盤は聴きおわったけど、モノボックスの方はまだ少ししか聴けていないという状況。

 これだけ集中してビートルズのアルバムを聴いたのはほんと久しぶりです。だいたいここ10年くらいは、CDかけてても、スピーカーから出てる音より心の中で鳴らしてる音を聴いているようなものでしたから。

 で、感想ですが。
 「部屋が広くなったような感じ」とでもいえばいいのでしょうか。
 今まで四畳半の部屋ぎりぎりいっぱいに鳴っていた音が、今度は八畳くらいの部屋でゆったり余裕を持って鳴っているように聞こえます。そして部屋の窓からは、気持ちのいい風がおだやかに吹いている、と。(ものすごく印象批評的な表現で申し訳ない)

 ビートルズのアルバムって、初期・中期・後期それぞれに音の表情が違うので、ひとまとめにしてしまうのは少々無理もあるのですが、総体的感想としてはそんな感じです。

 しかし、ネットで今回のリマスターの感想をあれこれ読んでみると、実に賛否両論さまざまですね。手放しで絶賛している人、絶賛まではいかないものの好意的にとらえている人、それとは逆に従来音源とほとんど違いは感じられないという人、従来音源の方がすぐれているという人、やっぱアナログ聴かなきゃいかんだろという人…エトセトラエトセトラ。
 
 前述したように、僕は今回のリマスターを好意的に評価しているわけですが、それとはまったく逆の感想を読むと、あっという間に自分の評価に自信がなくなります。うちのオーディオ環境がプアなのもさることながら、そもそも自分の「耳」が十全に機能しているのかどうか自信がもてないので。

 僕は今四十代半ばなのですが、器官としての「耳」の能力を自分が十代だった頃の能力と比べたら、間違いなく衰えてると思うんですよね。高音域を聴くにしろ中音域を聴くにしろ低音域を聴くにしろ。音楽を意識的に聴き始めて以来三十数年、さんざんデカい音でドカドカうるさい音楽を聴き続けてきたわけだし。
 そんな「耳」を通じて「高音の伸びが素晴らしい」とか「音像がクリアに」とか「ベースやバスドラの音がくっきり」などと感じたとしても、ただの勘違いに過ぎない可能性だってあるのです。

 同じ夕陽を見ていても、僕の見ている「赤色」は、あなたの見ている「赤色」とはたぶん違うのです。あなたの「赤色」の方が、くっきりすっきり鮮やかに美しいのでしょう。

 まあでも、自分にはこの「耳」しかないわけですしね。いまさら失った能力を取り戻すことも、他人の「耳」をもらうこともできないですし。認識不足だろうと能力不足だろうと勘違いだろうと、自分の「耳」で今回のリマスターを楽しめただけ幸福だったと思うことにします。

 ああなんかジジイの繰り言めいてしまったぞ。ここまで読んでくださった方に申し訳ないので、罪滅ぼしに以下の情報をご紹介して終わります。んなのもうとっくに知ってるよ、という方はごめんなさい。

◆ザ・ビートルズ全213曲 聴き比べ&徹底解剖! ****【衝撃度】付き****(CDJournal.com)
 藤本国彦氏(CDジャーナル編集長)による、従来盤と新リマスター盤(ステレオ)との全曲比較。自分の感想と比べてみるとおもしろいです。あなたの見ている夕陽は、藤本さんと同じ色ですか?

◆The Beatles:『The Beatles In Mono』& 『The Beatles Box』(WebVANDA)
 ソフトロック研究で有名な音楽誌「VANDA」の佐野邦彦氏による記事。ステレオ盤とモノ盤のヴァージョン違いがアルバム毎にコンパクトにまとめられていて便利です。これを見ながら、モノボックスを楽しむことにします。