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ドキュメンタリー映画「ロレーナ事件~世界が注目した裁判の行方」

2019-03-17 16:20:43 | 映画

          
 1993年6月23日、ワシントンDCに近いバージニア州マナサス、早朝に病院へ警官の派遣要請の無線が届く。病院には若い男が局部を無くして瀕死の重傷で横たわっていた。その局部の捜索に全力が注がれる。

 男の名前はジョン・ボビット。探し当てた妻のロレーナ・ボビットの「夫の暴力がひどいし、セックスも自分本位で怒りが溜まっていてペニスを切ったのははっきり覚えていない。捨てたのはセブン・イレブンの前あたり」

 探し当てたその一物で手術が成功して元通りに治まる。(実際にペニスをくっつけることが出来るのを知ったのは収穫だった)

 ジョン・ボビットは、妻に対する虐待とレイプで起訴される。ロレーナも傷害罪で起訴。事件の特異性と男の暴力的セックスが話題となり全米の関心の的となる。新聞やテレビのニュース番組に加えバラエティ番組の狂騒は目を覆いたくなるくらいバカバカしい。しかし、それが現代の現実なのだ。

 この種の特異な事件は、日本にもあった。1936年(昭和11年)5月18日に起こった阿部定(あべさだ)事件である。仲居であった阿部定が、愛人の石田吉蔵の首を絞め殺し、ペニスと睾丸を切り取った事件だ。

 逮捕されて語ったのは、「私は彼を非常に愛していたので、彼の全てが欲しかった。私たちは正式な夫婦ではなかったので、石田はほかの女性から抱きしめられることも出来た。彼を殺せばほかのどんな女性も二度と決して彼に触ることが出来ないと思い、彼を殺した。性器の切断は、私は彼の頭か体と一緒にいたかった。いつも彼の傍にいるためにそれを持って行きたかった。私を性的に喜ばせたいというテクニックと奉仕的な石田が好きだった」とウィキペディアにある。

 特徴的なのは、アメリカ版では男の暴力が背景にあり、日本版では幼稚ではあるが純粋な愛の形がある。アメリカ版の「ロレーナ」には事件当時の「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」と言われるDVについて、日常で多く見られるにも拘らずあまり問題にされていなかった点にも焦点を当てていた。

 共通するのは加害者が女性であること。その女性から見えるいわゆるメスの本質ついて分かることだ。セックスは男女の共同作業で、一方だけが満足するのは許されないと肝に銘じた方がいい。

 DV男のジョンだが、仕事は出来ないし、平気でウソをつくクソ野郎だ。そのクソ野郎が無罪、ロレーナも陪審員評決の心神喪失による無罪。ただし、精神病院に45日の入院で経過観察の義務を負わされた。阿部定は、懲役6年の判決だった。

 4話に分かれ4時間になんなんとするドキュメンタリーは、アメリカ男性のDVを告発するという側面もあって、ベネズエラ生まれのロレーナに好意的だった。2019年制作アマゾン・プライム・オリジナル
  
  
  

監督
ジョシュア・ロフェ
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