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海外テレビドラマ「ロー・アンド・オーダーLow & Order」

2018-12-11 16:11:47 | 海外テレビ・ドラマ

          
 1990年から2010年まで20年の長寿番組。エミー賞では11年連続ノミネートし、1995年には作品賞を受賞した。アマゾン・プライムではシーズン10からシーズン20までが観られる。

 で、いまシーズン20を観終わって23話が充実しているのがよかった。このドラマは、警察の捜査と検察の起訴という両側面を描いてあって、アメリカ社会の実態が窺い知ることが出来る。警察の捜査も派手な銃撃戦などはない。地味な聞き込みの積み重ねだ。ただ、本人が「殺しました」と言うだけで手錠をかけて逮捕となる。任意同行なんて考えてもいないようだ。

 話題のカルロス・ゴーン逮捕・尋問に世界の国から弁護士の立ち合いがないと非難されているが、このドラマでも刑事が容疑者を尋問中に弁護士が乗り込んできて容疑者を開放する場面がしばしば見られる。これは「ミランダ警告」の中に「あなたは弁護士の立ち合いを求める権利がある」というくだりがあるためだろう。

 確かに人権は重要だが、犯罪捜査も国民のためにあると考えれば、せめて48時間ぐらい警察に与えてもいいんじゃないかとも思える。

 検察の仕事も苦労が多そうだ。優秀な弁護士にかかると「合理的な疑い」をほのめかすだけで陪審員の無罪を勝ち取ることが出来る。地方検事は選挙で選ばれることもあって、案件によっては起訴をあきらめようと言うこともある。しかし、熱血漢の若手検事の猛反対も面白い。このドラマから見えるそれぞれの人間模様も物語の厚みを与えているようだ。

 刑事も人間だから、時には罠にはまることもある。第2話「甘い誘惑」と第3話「愛する国に忠誠を」がそれだ。

 「甘い誘惑」は、女性からタクシー運転手に襲われたという通報で赴いたルーポ刑事(ジェレミー・シスト)とバーナード刑事(アンソニー・アンダーソン)。被害者はアジア系のエマ・キムという美女。顔立ちは韓国系と思われるが、色白でふっくらとした唇が魅力的。

 ここで私ごとだが、現役の頃会社にこの女性に似た人がいたのを思い出した。当時は無関心だったが、今思い出してみるとなかなか美人だったんだという、頭のネジが外れたようなことを思ったりした。
 それはともかくキムの証言に「アジアの女性は肌がキレイで男を大切にする」と運転手に言われて警戒心が起きたという。こういうのを信じ込んでアジア女性好みが生まれた男尊女卑の男たちなのだろう。それがニューヨークなどの一般的な傾向かもしれない。

 その女性の甘言の渦に巻き込まれたのがループ刑事だった。彼女の部屋に行って一夜を過ごすと言うまさにあってはならないこと。しかし、ループ刑事を非難しても始まらない。

 男の私から言わせれば、女が周到に練って男を誘惑すれば100%成功することは確実。男は性的誘惑には本当に弱い生き物だ。だから子孫も残せるわけだが。

 女に弱い刑事たちだが、もう一つ弱いものがある。それはテロリストだ。捜査対象がテロがらみだとがぜん張り切るさきの二人の刑事。テロリストを逮捕したとなれば大手柄で昇進間違いなし。ボーナスも出るかもしれない。それが「愛する国に忠誠を」だ。

 「仮装誘拐」というのがある。手口は、映画館などで身なりのいい娘を見つけて、携帯電話を盗みその親に電話をして誘拐したと思わせ身代金を払わせるというもの。

 二人の刑事は、聞き込みからマークした男の部屋が見えるアパートで監視した。盗聴の結果、仮装誘拐の身代金が街角の屑かごにホットドッグの包み紙に入れて捨てられる。待ち構えているとサミール・ハシードという男が現れその袋を拾い上げた。当然二人の刑事に拘束される。

 ところが「待て、相棒がテロを企てている。協力するよ。彼らの動きを探る。おれが30分で戻らないと不審に思われる」口の達者なサミール。刑事たちはテロに俄然興味を示しサミールを泳がすことに……。

 ニセのC4爆弾まで用意させられた刑事たち。FBIを巻き込んで逮捕したテロリスト。しかし、逮捕現場から数百メートルも離れていないシナゴークから爆発音。燃え上がる炎を見ながら唇をかむ二人の刑事。

 本物の爆発には関与していないサミールだが、帰化するときの忠誠の誓いに違反しているため刑務所に入るか、国外追放を受け入れるか二者択一しかない。サミールは国外追放を選んで証言。テロリストを刑務所送りにした。

 検事補のコニー・ルピローサ(アラナ・デ・ラ・カーザ)は、次長検事マイケル・カッター(ライナス・ローチ)に「ゴーバック判決というのがある。市民権剥奪の権限を制限するものよ。通例じゃないけど」と言ってファイルを渡す。マイケルは、自室でファイルを開いて読み始める。ドラマはここで終わるが、多分サミールは大好きなアメリカで暮らすことが出来るだろう。

 エマ・キムを演じた俳優の名前を探したが、この一連のドラマに出演したゲスト俳優はおびただしい人数になる。とてもじゃないが探せない。映画やドラマの背景には何万という俳優が機会をうかがっているのだろう。

 普通はオーディションを受けるが、日本の場合はプロダクションに所属してその機会を得る。プロダクションに所属していないとその機会はない。

 アメリカの場合は、オーディション・サービスというのがあって個人でオーディション募集に応募できるシステムのようだ。自由の国アメリカらしいやり方だ。こちらの方がはるかにいいような気がする。このドラマのように1話だけの出演に全身全霊を打ち込んでいると思えば応援したくもなる。
  
  
  
  

企画
ディック・ウルフ1946年12月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。

キャスト
サム・ウォーターストン1940年11月マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。
S・エバサ・マーカーソン1952年11月ミシガン州生まれ。
ジェレミー・シスト1974年10月カリフォルニア州生まれ。
ライナス・ローチ1964年2月イギリス、マンチェスター生まれ。
アラナ・デ・ラ・カーザ1976年6月オハイオ州コロンバス生まれ。
アンソニー・アンダーソン1970年8月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
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