イコンのもとに


在宅介護16年が終了後、やっと自分のために生きられる。イコンも描いてます。ブログは書いたり書かなかったり、気分で。

後悔するのは

2015年05月19日 | イコン
先日、病室にて、
大小合計19枚のイコンを描き
それぞれを差し上げたのですが、
ほとんど私より年下の方々だったので
「皆様のそれぞれの人生をお守りくださいますように」
なんて手紙をつけて、お渡ししたのでした。

昔なら、若すぎて
そんなことは書けなかったけれど
最近、立て続けに
しかも同じ年代の男性から
「俺の人生は失敗だったよ」という話を聞いてしまって
私は、かわいそうにと最初は思ってみたのですが
妻も子もあり、しかも孫まで生まれそうな歳の男が
「俺の人生は失敗だったよ」と自分だけを哀れんでつぶやくので
妻や子の方が
コイツの失敗人生の犠牲になってしまったワケか⁈と、
かわいそうになってしまいました。

こういうのに、すごく若い女の子は
騙されたりするのだろうな、
と思ってみたりもして、
そういえば、
人生を後悔しているのは
みな男ばかりなので
男の更年期だろうか?とか
後悔ブームがやってきたんだろうか?とか
考えてみましたが、
やはり、「俺の人生は失敗だったよ」なんて
私のようなたいしてあんたの人生とは関係のない女につぶやくのは
「身勝手な男だなぁ」としか
思えませんでしたね。
自分で歩んできた人生、
失敗したのは自分のせいじゃないの、
としか思えず
妻や子のせいでもない。
ジジイの腑抜け野郎だな、と思いながら
話を聞いていました。

傍でなんとなく話を聞いていた
80歳の女のベテランが
「まともに話を聞いたらいけないよ。
あれ、たぶん、いろんな女に
俺の人生は失敗だったよ、と話しているだろうからね。
そういう、やり口なんだよ」と言われ
さすが人生のベテラン、
わかってらっしゃるなと思いました。

さらに
「男は、やっちゃってから後悔するからね。
女は後悔なんかしないよ」とも言われ、
確かに、身体的にもそうだろうと思いました。

私は「これだけ私はすごいんだから
私を敬いなさい」と言うイコン画家から
イコンをもらいましたが、
洋金シールの光背は変色し、
アクリル絵具はパリパリと剥がれている現在ですから
「私の人生はこれだけ成功したのよ」と
思い込んでいる女の画家に会っているわけで
前の後悔男性にしても
わざわざ、自分の人生を
他人様に披露しなければならないのかな?
自分誌なんて作るのも流行りだし、
他人から見たらどうでもいいようなものを
残したくなるほど
すばらしい人生を他人様に知らせなくてはいけないのかしら?
あぁ、めんどうくさい!
自分誌なんてもらっても、すぐに棄てるわ!
と思っているのでした。

そんなに、自分の人生を人に知ってもらいたいのか?
私は理解できないブームもあるんだな、
人生見せびらかししたい精神疾患も
おそらくあるぞ、と思っているのでした。
特に団塊の世代の派手な生き方や死に方は
理解できないものがあります。
じいさん、ばあさんになってまで
そんなに自己主張したいのか?
世代の問題もあるのだろうと思いました。

イコン画家の白石孝子さんは
「私たち夫婦は立派な仕事をしてきたんだから
岡山に美術館ができて当たり前なんだ」と言っていましたが、
美術館作るより、
イコンを被災地に贈ってあげたらいいんじゃないの?
と私は思いましたが
プロのイコン画家はタダでは贈れないのだそうです。
岡山の人が彼らの美術館を作るとはとうてい思えないのだけど。
そんな話は全くでないと思います。

バブル時代にチヤホヤされたイコン画家は
まだ「自分崇拝」が抜け切れていないようでした。
東京自慢、夫自慢、子ども自慢、自分自慢をイコン教室で聞かされながら
絵を習うのは初めての経験でした。
そんな下衆な宗教画家に習う必要はなく、
自由に絵を描ける方が、楽しいですから。

私がイコンを差し上げた方々は
人のために仕事をされている方々でした。
あの方々がいないとみんなが困る。
あの方々の健康を守って欲しい、と思って描きました。

慈愛 というものが
少しだけわかりかけた年齢になりました。
人生の後悔はない。
あとは描くだけ。
瀬戸内寂聴さんもおっしゃってましたし
「愛した、書いた、祈った」って。
私は書いたは、描いた になるけれど
それでいこうと思いました。










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花時計