ギリシャ問題やPIIGS諸国問題に関連してユーロが下げ止まらない。1ユーロ=160円もしたユーロが現在は108円である。といっても2000年には1ユーロ=100円であったからその頃に比べて未だ高いのである。1ユーロ=125円で計算するとギリシャと日本の所得が同じになるからユーロは相当高く評価されているといえるであろう。1ユーロ=100円を相当割ることも考えられる。
1ユーロ=160円まで上がったのはユーロが単一通貨圏で単一の国家であると錯覚したことであろう。経済的な問題があっても最適な形で意思決定ができ、救済ができる米国のような単一国家であると錯覚したのである。実際はそうではなくて貧乏国(ギリシャ)と裕福な国(ドイツ)の利害が対立して意思決定が出来なければギリシャに債務不履行が発生することがわかったのである。債務不履行が発生しないようにすると裕福な国の富が際限なく貧乏国の借金の穴埋めに使われると言う不条理なことが起こるのである。欧州の加盟国はそれぞれ独自に意思決定したいであろうから経済的な問題が発生したときにはそれぞれの問題発生国が、自己責任で対処することを学ばなければならないであろう。或いは欧州共同体が歴史を経過すると加盟各国の間で同朋意識が高まり主権を放棄して単一の意思決定機関の決定に従うことが出来るほど成熟することもあり得るかもしれない。それには相当な年数が必要であろう。
こういう状況になってくると英国が欧州共同体に未加盟であったことが賢明に見えてくるから不思議である。英国はイデオロギーや理論に流されない、足が地に着いているということが出来る。どこかの鳩ぽっぽのように全面的に東アジア共同体にのめり込む様な軽率なことは言わない。
民主党の新内閣が発足したがメンバーは殆ど同じである。東アジア共同体を積極的に推進すると言う鳩ぽっぽに全員賛成をしていたのである。心もとなさは同じである。
欧州共同体ではギリシャにユーロ離脱を勧告する声も出ている。それぞれ主権を失いたくないし、自分の富が奪われるのもいやなのである。こういう現実を日本人は知らなければならない。