今日のニュースで日銀の国債保有額が201兆円と報じていた。日銀には返さないでいいので日本政府の公的債務は800兆円になったことを意味する。日銀が国債を500兆円保有してくれれば政府の債務は500兆円に半減することになる。この間国民の負担は特に増えない。国民に負担させることなく借金を大幅に減らせるということはこの借金は実は借金ではないということを意味する。日本は世界最大の債権国であり、世界最大の借金国というのは嘘である。市場にある国債証書1000兆円は政府に対する請求書である。安倍経済学により日銀が市場の国債を購入し続け、200兆円に達したという。このことは200兆円の請求書を日銀が代わって回収してくれたことを意味する。つまり市場に残っている政府に対する請求書は800兆円に減ったことになる。日本は世界最大の債権国というのを「私は男である」ということにすると世界最大の借金国というのは「私は女である」というのに等しい。日本は世界最大の債権国であり、同時に世界最大の借金国であるということに疑問を持たない人が多いがこれは「私は男であると同時に女である」といっているに等しい。こんなことはありえないのである。日本が世界に対して持っている債権額は350兆円ぐらいに膨らんでいる。文字通り23年続けて世界最大の債権国である。これは事実であるから世界最大の借金国というのは嘘である。これが嘘である証拠に借金1000兆円は現在既に800兆円に減っているし、これを500兆円に減らすのも国民に負担をかけずに簡単に実施できることをあげよう。
こういうことを誰も言わないのは前例がないからに過ぎない。「日銀の国債保有額が200兆円を超えた」と発表したが「日銀が政府に代わって200兆円返済した」とは誰も言わない。そういう風に言った前例がないからである。実際は日銀保有の国債が満期になると政府は国債を償還しているのだ。従って日銀が回収してくれた請求書に対して返済しているので借金は以前のままで減らない。「日銀保有の国債は返さないことにする」とまだ担当者間で決まっていないからだ。
官僚たちは「日銀保有の国債は返さないでいい」とは聞いたことがあるかもしれないが「返さないといけない」という規則に従うだけだ。こういう問題を考えている経済学者もいない。そして公的債務は1000兆円のままどうするのか出口のない議論を続けている。
一歩踏み出せば簡単に解決できる問題を従来の枠組みの中にとらわれ続けて解決不能の状態に呻吟する。愚の骨頂である。これが失われた20年の本質である。