日銀券を増刷して日本国を救う村島定行のBlog

①日本は世界最大の債権国、お金がなければ刷りなさい②英語を多用すると次第に馬鹿になる③靖国参拝は日本人の義務だ。

「坂の上の雲」とイザベラ・バードの「朝鮮紀行」

2010年12月20日 | 歴史

 今NHKで司馬遼太郎の坂の上の雲の第2部の放映が行われている。これでは日清戦争と日露戦争が扱われている。特徴は朝鮮をめぐって戦われた戦争であるが朝鮮が殆ど出てこないことであろう。実際朝鮮は殆ど描かれていない。日清戦争の際に日本人が朝鮮王宮に侵入し朝鮮王妃を殺害したとドラマに突然挿入された。これは司馬遼太郎の原作には全く載っていないことをNHKが勝手に挿入したものである。この他では殆ど朝鮮は描かれていない。
 NHKは事実とは違う朝鮮王妃殺害等を勝手に挿入して左翼に奉仕しているのだがこのドラマに対して九条の会などの左翼団体からの反論が多い。いわく朝鮮侵略の事実が描かれていないとか反日義兵の行動が描かれていない、とか日本が国際法を忠実に守ったというのは事実に反するなどである。
 司馬遼太郎の歴史観は歪んでいるかについて考えるのに格好の本がある。イザベラ・バードの朝鮮紀行である。イザベラ・バードは英人女性旅行家で日本の東北地方や朝鮮や満州などを旅行して回って、其の体験記を本にした人物である。目的はモンゴロイドの特性調査で4回にわたって朝鮮各地を旅行しているから、いわば大英帝国の有能な女性諜報員というところであろう。この朝鮮紀行では日清戦争当時の朝鮮の姿が描かれていて面白い。司馬遼太郎は朝鮮紀行を当然読んで坂の上の雲を書く時の参考にしたと思われる。
 東学党の乱が勃発したとき朝鮮が清に出兵を要請し、清と日本が朝鮮に出兵すると日頃悠然と構えている清国人が慌てふためいて本国へ逃げ帰る様子が描かれている。清国人の間では清国が負けるのは確実に予想されていたと思われる。さらに日本軍は決して朝鮮人を殺さないことや徴発した物資には適切な金額を支払うことが何度もでてくる。日清戦争中に日本が支払った膨大な労賃で朝鮮人が急に豊かになり、朝鮮人の間で博打が流行していることも描いている。日本が国際法を忠実に守ったことは事実であることがよくわかる。特に清やロシアとは比較にならないほど綱紀が守られていたことをイザベラ・バードは書いている。これは坂の上の雲で描かれていることと矛盾しない。
 イザベラ・バードは最初に釜山上陸したときの印象を「釜山は何処から見ても日本人の町だ」と表現している。5508人の在留日本人の他に日本人漁師8000人がいる。銀行業務は東京の第一銀行が引き受け、郵便と電信業務も日本人の手で行われている。日本人の仕事ぶりは確実で信用がおけると書いている。朝鮮人のことを書きたいが日本人しか目に入らないのでご容赦願いたいという意味のことを書いている。イザベラ・バードはよく観察していて300年前の秀吉の朝鮮出兵時に日本が植林したものが立派な杉林になっていることと釜山の旧市街の中は300年前の日本人の設計により近代化されていると述べている。
 さらにイザベラ・バードは日本は朝鮮の独立のために清国と戦っている。或いは朝鮮の改革のために日本が努力している、そして日本はその改革に成功するであろうと好意的に書いている。殆ど日本人或いは日本軍に対する悪口は出て来ない。NHKの坂の上の雲にイザベラ・バードは何の違和感も持たないはずである。このような英国の好意的な見方が8年後の日英同盟に結びついてくる。さらに日韓併合にどの国も反対しなかったというより多くの国が祝福したという事実と結びついてくる。
 「坂の上の雲」の内容がおかしいと言う人たちの困惑は理解できる。左翼の歴史観では日本軍に朝鮮民衆が主体的に抵抗した歴史として描いてきたが実際には日清、或いは日露の対立の話しかないのである。NHKに抗議したいのも理解できる。坂の上の雲では日清、日露の戦争が全く肯定的に描かれていて左翼の歴史とは全く違う。司馬史観は明治は明るく、昭和は暗いという単純な描き方で問題がないわけではないが一般には大きく支持を集めている。
 日韓併合100年に対して行われた菅首相の謝罪発言と同様、左翼の人たちの歴史観が相当歪められていることをあからさまに教えてくれるいい本である。

 

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