紫草(日本ムラサキ)の記

日本ムラサキの紫根は輸入品に頼っています。薬用また、染料として国産紫根の生産普及、流通を期待しています。

ムラサキ特集4

2014-03-07 16:58:30 | 植物
ムラサキの栽培を鉢やプランターで計画している方が多いと思われるので鉢植えについての記述が掲載されているので参考にと書き写してみた。

「邦産ムラサキ園芸栽培の実際」    伊賀 達紀(著述・野草研究家)

4. 鉢 植

ムラサキの発芽後、約20日後に幼苗は細根を発生して土粒を抱くようになる。この時期から、最高気温が約25℃の

日が連日続くようになるまでの期間が、移植に適期である。次は梅雨時中で空中湿度がきわめて高い時である
。この

頃の幼苗はかなり大きく成長しているがそれでも移植は成功する。

鉢植えの用土は、土塊中に毛管水をよく含み、土塊間の空隙が十分にあるもの、赤玉土、鹿沼土の中粒がもっともよ

い。中でも赤玉土がもっともよく、鹿沼土はひとたび毛管水を失うとふたたび回復することはなく、灌水した水は鹿

沼土の表面を素通りしてしまって、吸収されない欠点がある。
鉢の大きさは径13~15cmのものが適当で、鉢植え栽

培の場合は1本植えに、2年目の休眠期に露地への移植用とする場合は、2~3本植でもよい。

使用する素焼駄温鉢がよく、硬い新品の方が生育がよく、中古鉢は通気性がよすぎて生育が遅れる。(中略、通気性

調査結果表)

移植は幼苗の抱く土粒を落とさぬように、静かに行い、移植後は十分に灌水してからマルチ(敷草法)を行う。マル

チに用いる材料は別に選ばないが、少量の灌水でも均等に水がゆきわたるようなものを使用するとよく、ここでは水

苔を用いているが、水苔は高価すぎる欠点がある。 

しかし、水に濡らしてムラサキの株元に敷くと非常に落着きがよい。その後の約10日間は日陰地に置き、新芽が発

生してからやや日当りのよい場所に移し乾燥気味に管理する。


きわめて排水状態をよくした場合(大量の灌水を行っても、瞬時も水が用土表面に溜まらない程度)は、活着後炎天

下に一日中置いても十分に生育を続けてゆける。ただし毎日十分に灌水しないと、乾燥のために枯死する。

鉢栽培のムラサキは、1年目は開花を見ないのが普通であるが、少量の追肥と半日陰で管理すると、6月下旬頃より

急に茎葉が伸長して、7~8月にかけて開花する。これは開花数が少なく、頭勝ちで倒伏し草姿が悪いが、2年目に

はしっかりしたよい草姿となる。

これらの鉢植えは、1本植えはそのまま2年目を迎え、2本植えのものは露地栽培用として、休眠期に露地に移植さ

れる。鉢栽培において、第3年目まで生育したものは根部の腐敗が進んでいて5、6月頃には枯死する。
野生品を切

り戻しして活着させたものも同様である。鉢植えムラサキは、露地植えと比較して分枝数が少なくて3分枝の場合が

多く、開花数も少なく、花は小計で0.8cm以下のものが多い。分果も少なく1株当たり60個以上の種子を得たこと

はない。
                        P54,55より転載


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