ロック探偵のMY GENERATION

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東京事変からみえる日本のリアル

2020-03-06 10:15:10 | 時事


先日、東京事変がライブツアーを中断するという決定をしました。

待望されていた東京事変の再結成ツアー。東京公演こそ開催しましたが、世間からの批判が創造していた以上に強く、ツアー継続断念を余儀なくされたということのようです。

難しい判断ですが……

東京公演を“強行”した背景には、個人事務所でやっているということもあるといいます。

同じく個人事務所で活動しているRADWIMPSの野田洋次郎さんのツイートも話題になりましたが、あれほどビッグな存在になっても、大規模公演のキャンセルは死活問題となるようです。
大手事務所であれば所属アーティストに生じた損失を全体の勘定のなかでカバーすることもできるでしょうが、個人事務所ではそうもいきません。

そういったことが、果たして“自己責任”で片付けられてよいものか……

イベント中止がもたらす深刻な問題は、プロにかぎった話ではありません。
大阪のライブハウスで集団感染が起きたらしいということで、ライブハウスやそこに出入りするバンドマンへの風当たりが強くなっているようですが……イベントの主催者がキャンセルで相当な損失を負ったという話があちこちで出ています。ときおりそういったところに出入りする身としては、これは決して他人ごとではありません。


いっぽうで、感染予防のために人の密集を避けるといったことがどれほど徹底されているのか疑わしい現実もあります。

ホンネと建前、とよくいいますが……日本という建前主義社会の悪弊がここでも出ているように私には感じられます。

政府が場当たり的に打ち出す策をみていると、感染対策の実効性よりも、むしろ「対策しました」という建前を作ることが重視されているようにみえるのです。
一斉休校もそうです。満員の通勤電車が毎日走っている状態で学校だけ閉鎖してもあまり意味がない。
東京マラソンの観戦自粛もそうです。「自粛を呼びかける」という形だけをつくり、結局は少なからぬ人が沿道に集まってしまう。

新たに打ち出された中韓からの入国制限というも、同じです。
ニュースをみていると、アナウンサーも専門家も、口をそろえて「遅すぎる」といっています。今さらそれをやって、果たしてどれほどの意味があるのか。結局は、「思い切った対策をしています」というアリバイ作りでしかないといわれてもやむをえないでしょう。


話を音楽に戻すと、イベント自粛というのも、結局日本社会挙げての「アリバイ作り」でしかないように思えます。
「対策しました」というアピールだけが目的で、実効性ははなから無視されている。アピールはしたいけど、経済活動は止めたくない。だから、企業活動を妨げない分野が狙い撃ちにされている……そういうことでしょう。

逆にいえば、日本を動かしている人たちが「どうでもいい」と思っているものが今回の件であぶりだされているのだと思います。
教育、文化、庶民の生活……そういったものが、この国の為政者にとっては「どうでもいい」ことなんでしょう。
カネになることだけを死守し、「どうでもいいこと」を犠牲にして建前だけをつくる――こんな世の中では、トイレットペーパーの買い占めが起きるのもむべなるかなというところです。




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