便利は不便

境内に立つ二本のいちょう。寺のシンボルです。
樹齢は120年ほどといわれています。
秋、大量の落ち葉に悩まされます。以前、掃除の負担を軽くするため
枝をかなり落としたことがありました。掃除をする側からすれば大変ありがたいことでしたが、見た目は少々寂しくなりました。しかしそれ以上に失ったのは夏の強い日差しをさえぎる木陰が少なくなったことです。
いちょうの木の下は風通しもよく、夏は一休みするには絶好の場所です。
秋の負担をかるくしたら夏のたのしみまで失くしたのです。便利と思われたのに、結果的にそれ以上のものまでなくしました。都合よくいかないものです。文明の発達とともに、人間のあさはかな考えで失ったものは数え切れないほどあります。手間を惜しまないことって大切なんですよね。