少し話しは遡り、サンジはスモーカーの言うとおりに、3番目の鍵を飲み込んだワニを蹴り上げたのだが、その口から出てきたのは鍵ではなく、ご無沙汰のMr.3であった。
サンジはMr.3を締め上げて、【ドルドルの実】の能力で檻の合鍵を作らせ、檻を開けたのだった。
だが、部屋から逃げ出す前に、海水がドッとなだれこんできた。悪魔の実の能力者は海水に力を奪われて、カナヅチとなり沈んでいく。サンジがルフィを抱え、ゾロがスモーカーを抱え、なぜかウソップをナミとビビが抱えて引き上げた。
”麦わらの一味”にとって、”それ”は重大な事ではなかったが、海賊に助けられたことを海軍のスモーカー大佐がこだわった。
「ロロノア!!!何故おれを助けた」
ゾロは「"船長命令"を聞いただけだ・・別に感謝しなくていいと思うぜ?コイツの気まぐれさ、気にすんな」と淡々と答えた。
水没から復活したルフィは、スモーカーを見つけて、戦闘の意志をみせた。
助けておきながら、敵とみなして戦おうとするのか・・・。スモーカーは、ルフィがどこまで本気なのか量りかねたが、戦わずにルフィ達に逃げるよう示唆した。もうすぐ海軍が駆けつけるはずだ。
スモーカーが”麦わらの一味”を逃がすのは、助けられた恩なのか、アラバスタの為なのかはわからない。ただ、スモーカーは「行け。だが、今回だけだぜ・・おれがてめェらを見逃すのはな・・・。次に会ったら、命はないと思え、"麦わらのルフィ"・・・。」と言った。
海軍のスモーカーのこの態度と言葉にサンジは驚いて言葉をなくしたが、一緒に檻に入っていたゾロは愉快そうに笑った。ルフィもニカッと笑って「おれ、お前きらいじゃね~なァ~!!しししし!!」と言ってスモーカーと別れた。
スモーカーは駆け付けた海兵達に、麦わらを追わずに『海軍本部』へ連絡して、海軍総力をアラバスタへ集めるよう指示した。これからアラバスタは大荒れに荒れ、世界をひっくり返す悲劇の幕を開けるのかもしれない。
「レインベース」を出た”麦わらの一味”とビビは、今からアルバーナまで全力で走っても間に合わないことに焦りをみせた。が、この事態を救ったのは、チョッパーとラクダのマツゲだった。
マツゲは、砂漠を高速移動できる巨大な砂漠のカニ「ヒッコシクラブ」の友人を連れてきてくれたのだ。
この速度なら間に合う!!!
皆の胸に希望が戻り、いざアルバーナへと出発したとき、何者かが背後からビビを引きずり降ろした。
クロコダイルだった。
ルフィはとっさにビビを救い出し、かわりに自分が1人で残ると言ってヒッコシクラブから落ちていった。