まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【カラダ探し】など

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らんま2分の1  (漫画レビュー)

2017年10月31日 | 漫画紹介


【作者】高橋留美子
【連載】週刊少年サンデー 1987年-1996年 単行本38巻(完)

【ジャンル】ギャグ漫画、ラブコメ

【感想】
絶大な人気を誇った「うる星やつら」の次作として登場した作品で、期待以上の大ヒット漫画、アニメとなったこの作品。
「うる星やつら」のドタバタ奇想天外ラブコメを後継しつつ、格闘シーンが盛り込まれ、後半はシリアスな展開も多くなり、高橋留美子らしいさすがの最終回を迎えて完結する。

冒頭から、ギャグ要素満載でリズミカルにテンポよく話しが進み、巻は多いけど読み出すと早かったです。
高橋留美子にしか出来ないはちゃめちゃな舞台と設定、愛さずにはいられない個性豊かで魅力的なキャラクター、ちりばめられたギャグ、しっかりとした戦闘シーン、強敵との戦い、じれったいあかねとの意地っぱりな恋愛、そして少年誌が許容できる範囲のエッチ。とにかく「安定の面白さ!」と思いました。

【ストーリー】
ある日、「無差別格闘流天道道場」を経営する天道家に一通のエアメールが届く。
[前略、らんまを連れていく 中国にて。 早乙女だよーん]



天道家の父は、早速3姉妹を集めて家族会議を開いて事情と今後の事を説明した。手紙の主早乙女さんとは、同じ無差別級格闘家で、父の古い友人であり、その息子の乱馬君が修行から帰ってくる。そこで3姉妹のうちの誰かが乱馬君と結婚して道場を継いでくれ、と。

だが中国からやって来たのはおさげの女の子と、パンダだった。
腕に覚えのある三女「あかね」は、その女の子と道場で手合わせを試みたが、思っていた以上に女の子は強かく、あかねは背後を取られてしまう。
あかねは「結構やるわね。あなたが女の子でよかった。だって、男の子には絶対負けたくないんだもん」と言う。あかねは、ある事情から大の男嫌いなのであった。















その夜、女の子が風呂に入っている事を知らずに、後から風呂場に入ってしまったあかねは、そこに見知らぬ男子が居るのを見て驚愕する。



入浴、すっかり姿を変えた早乙女親子から、改めて自己紹介があった。
水にかかれば女の子(父はパンダ)になり、お湯にかかれば元の男子の姿になるのは、中国での修行中にうっかり中国語の解説を聞き飛ばして「呪泉郷」へと落ちてしまったためである、と。













改めて乱馬の許婚選びをした結果、姉達に押しつけられる形で、三女のあかねが乱馬の許婚に決まってしまった。




翌日から、乱馬は同級生のあかねと共に風林館高校に通いだしたが、学校では毎朝恒例のあかね争奪、男子達によるバトル大会が繰り広げられていた。なんでも剣道部主将の「九能帯刀」が、「あかね君と交際したくば、戦って勝て!それ以外の交際申込みは許さん!」と宣言したことが発端で、毎朝バトル形式の告白を受け続けているのだと言う。そう、あかねはモテるのだ。









自称あかねの恋人候補ナンバー1の九能帯刀は、男の乱馬とはライバルだが、女子姿の乱馬を同一人物とは知らずに惚れてしまう。以降、九能はあかねとおさげの女の子の両方への愛に苦悩する。願わくば、両方の女子と交際できないものか・・と。







一方あかねは、接骨院の先生「小乃東風」に好意を寄せていた。この小乃東風、飄々としているが、乱馬の背後を難なくとるなどかなりの腕の立つ男であり、天道家の長女と恋仲で、あかねは叶わぬ恋をその胸に秘めていた。









強くもあり、ちっょとエッチでもある乱馬。






男と女をいったりきたりしながらの、ドタバタはちゃめちゃ戦闘ラブコメは、少しづつ、ほんの少しづつ、2人の距離を縮めていきます。
コメント

銀河鉄道999 (漫画レビュー)

2017年10月31日 | 漫画紹介

【作者】松本零士
【連載】アンドロメダ編:週刊少年キング 1977-1981年
    エターナル編:ビッグゴールド 1996-2005年

【ジャンル】SF、ヒューマンドラマ

【概要】
銀河系の各惑星が「銀河鉄道」と呼ばれる宇宙空間を走る列車で結ばれた未来世界。
宇宙の裕福な人々は、機械の身体に魂を移し替えて機械化人となり1000年もの長き生を謳歌していたが、貧しい人々は機械の身体を手に入れることができず、機械化人の迫害されていた。母を機械人間に殺された生身の人間「星野哲郎」は、謎の女性メーテルと「銀河鉄道999」に乗って遥か遠くの星へ、機械の体を手に入れる旅に出る。

999号が停車する1つの惑星につき1つのエピソード、という短編の連作で基本的に構成される。

【ストーリー】
「星野哲郎」の父は、機械の体を人間が買うことに反対して殺され、哲郎とその母は迫害と貧困にあえいでいて、とてもじゃないが機械の体を手に入れることは出来なかった。皮肉なことに母は「お父さんが死ななければ、お前に機械の体を買ってあげられたのに」と残念そうだった。

雪が降り、冬の寒さが生身の肉体に堪える頃、母は哲郎の目の前で「人間狩り」に射殺される。
死ぬ直前に母は最後の言葉を哲郎に残す。
「銀河鉄道999号に乗ると、いつか機械の体がタダでもらえる惑星の駅に着くそうです・・・。今まで夢のような話だから哲郎に話すのは辞めていたの・・・。でもお父さんは確かにあるって言ってらっしゃったわ。哲郎、あなたはまだ若いわ、なんとかその列車に乗って、機械の体がもらえる惑星に行きなさい。そうしてお父さんとお母さんの分まで長生きしなさい・・」



母の遺体は、人間狩りの機械人間達に持ち帰られ、機械伯爵の応接間の壁を飾る剥製にされてしまった。この頃、完全な生身の肉体を持つ人間は希少価値があったのだ。



哲郎は、独り途方に暮れながら、降り積もる雪にうずもれて意識をなくしていった。今度生まれて来る時は、初めから機械の体に生まれてくるよ・・・と思いながら。

哲郎が気がつくと温かい部屋のベッドで寝かされており、傍らには「メーテル」という名の、母によく似た美しい女性がいた。メーテルは哲郎と母の身に起こったことを知っていて、自分も生身の体であり、機械の体をくれる星に一緒に行ってくれるなら、銀河鉄道の地球~アンドロメダ間の無期限パスを哲郎にあげる、と言う。



哲郎は驚いてメーテルに旅の目的を聞くが、「それはきかないで!」と強く断られた。
哲郎は、機械伯爵に母の仇を撃てたならメーテルと一緒に銀河鉄道に乗ると約束し、メーテルから渡された銃で機械伯爵達を皆殺しにすると、母の剥製ごと伯爵の家を燃やした。



哲郎は母の剥製に誓う。
「見てろ!僕が機械の体を手に入れて帰ったら、地球の機械人間どもを皆殺しにしてやるからな!」と。こうして、星野哲郎は、母に似たメーテルという謎の女性と共に機械の体を手に入れるため、アンドロメダを目指すこととなる










銀河鉄道の発着駅のある「メガロポリス」は気温調整ドームに覆われた快適なハイテクシティであった。



ここで銀河鉄道を待つ間に、哲郎のパスが強奪されてしまう。
この広いメガロポリスで、たった一枚のパスを探すなど無理かと思われたが、メーテルは平然と「パスを取り返さなくちゃ」と、都市の深層部へと迷いなく進んでいき、とある機械室へと入っていった。

機械は自分達エージェントの存在を知るメーテルに驚くが、メーテルは「秘密なんてどうやっても漏れるのよ。私達を殺すと手が回りますよ」と機械を脅し、機械は渋々哲郎のパスを返却した。
メーテルは建物を後にした直後、陽子爆弾で機械をビルごと粉砕して言った。「災いは未然に防いでおくのが銀河旅行に生き残る道よ。むこうから来るのを待つだけでは生きてはいけないわ。機械の体を手に入れるには、それだけの覚悟が必要なのよ」と。



哲郎はメーテルの事は何も知らない。だけど、ふとした時にメーテルは母によく似ていると思った。哲郎にはそれでよかったのかもしれない。




ホテルに戻った後、メーテルが誰かと会話しているのを哲郎は聞く。
「メーテルよ、お前が私のいいつけに背いた時、お前は死ぬ!その事を忘れるな!!お前はあの子に影のようにつきまとい、決して離れてはいけないぞ!!お前の体が原子分解されたくなければ裏切ったりはするな!」
その声にメーテルは「はい、決して忘れません」と従順に答えていたが、誰と話していたのかは哲郎にはわからぬままだった。


出発時間となり、哲郎とメーテルは99番ホームの「銀河鉄道999号」へと乗り込んだ。





思っていたより遥かに旧式の昔の日本のSL型列車に哲郎は驚いたが、機関部は人間の科学力以上の知力で作られた近代的なものであった。
人間の科学力以上とは、遠い外宇宙の滅亡した科学惑星の遺跡や異星人から手に入れた、人類には理解できないが利用できる資料を元に組み立てられた機関車なのだという。機関士はおらず、機関車自身がコンピューターの頭脳で考えて判断しながら運行しており、決してミスを犯さない。

999号に先に乗っていた貧しそうな女は、「この列車がアンドロメダに行って往復して戻ってきた時、乗客は一人もいない。出て行った乗客はどうしちまったんだろうね・・・」とつぶやいた。
だが、一旦銀河鉄道に乗れば、引き返すことも途中下車も出来ない。乗った人がどこへ消えるのかは、現時点では誰もわからなかった。

列車は駅の構内こそ線路を走っていたが、宇宙空間へ飛び出すとそこに線路は必要なかった。



哲郎を乗せた銀河特急999号はその無軌道軌道に乗って走り始めた。
どんな星を訪ね、どんな所に行って、どんな姿になってここへ帰って来るのか哲郎にはわからない・・・。
銀河鉄道の伸びていく彼方には、無限の星の瞬く海が広がっているだけだ・・・。(第1話)





【感想】
昭和の天才の名作。日本人なら知っておくべき漫画の1つ。
子供の頃にTVアニメを見て育ちましたが、本当の意味で理解はしていなかった気がします。
一つ一つの星で哲郎がする体験と教訓は、大人になって読むと、その示唆するものと奥の深さにぐっときます。

冒頭から吹き出る矛盾と謎、生きる為の苦悩と仕方なさ。主人公の目指す冒険の目的、「不老不死」はそもそも本当に幸せなのか、という疑問を抱かせつつ物語がスタートします。

自己の生命や幸福追求の為に、他者を踏みにじって進まねばならない様と、人間の運命や性。それらを幾つも幾つも巡った先に、哲郎は何を得るのか・・・・。
母によく似た謎の女性メーテルの正体がミステリアスで、「母なるもの」を象徴していて、人間が人間たる普遍のテーマなのかもと思いました。まさに日本を代表する壮大なSF作品だと思います。

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とモーリス・メーテルリンクの『青い鳥』をヒントに執筆が始められ 全体的に寓話性や教訓性がやや強いものの、物語や登場人物の印象的な描写によって多くのファンを得た。物語の枠組みは『銀河鉄道の夜』に登場する銀河鉄道を元にしているが、列車や運行システムの細部は日本の旧国鉄をモデルとしている。松本自身が『銀河鉄道の夜』『青い鳥』とともに、SLの引く列車に乗って東京へ行った青春時代の体験が基になっていることを述べている。
タイトルの999には、大人の1000になる前で未完成の青春の終わりという意味が込められている。

元々『ハーロック』『エメラルダス』『999』は同一の物語として構想していたところ、アニメ化・漫画化の際に別々の物語として再構成した、とのことである。Wikipediaより


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ホムンクルス (漫画レビュー)

2017年10月30日 | 漫画紹介


【作者】山本英夫
【連載】ビッグコミック

【ジャンル】「ヒューマンドラマ」「トラウマ」


【概要】
裕福なビジネスマンであった「名越」は、今は愛車1つを持つだけのホームレスとなっていた。
そんな彼に医学生の伊藤が、頭蓋骨に穴を開けて第六感を呼び覚ます「トレパネーション」の実験をもちかけ、名越は金目当てで了承するも、実験後の彼の目に様々な「怪物(ホムンクルス)」が見えるようになる。それは、その人の持つ心の闇と名越の闇が共鳴してみせるもののようであった。
市井に生きる「普通の人達」の抱える心の闇に焦点をあて、人間とは何なのか、心理とは何なのかを考えさせられる圧巻のヒューマンドラマでした。


【ストーリー】
新宿西口の高級ホテルと、ホームレスがたむろして生活する公園の間の路上で車上生活をしている主人公「名越」(34)は、他のホームレスと一線をひいて、ひかれて暮らしていた。
決してスーツを脱がない、決してなれ合わない、決して車を手放さない、プライドを捨てない虚言壁のある男。
彼の唯一の趣味であり、愛する相棒は車。車の中ではきつい方言で独り言をつぶやき、唯一素の自分に戻れる場であった。






名越はある日、不信な若い男から「70万円で頭蓋骨に穴を空ける人体実験をさせてほしい」と持ち掛けられる。
その実験は「トレパネーション」と呼ばれる実験で、成人の頭蓋骨に穴を空けて圧を変えることで、幼少期のような脳の状態となり、第六感が芽生える可能性が、というものだった。



怪しい話を断ったいた名越だったが、愛車を動かす金も底をつき、おまけにレッカー移動されてしまう。愛車を失った名越は平常心を保つことが出来なくなり、仕方なく金目当てに実験に参加することを決断する。



男は伊藤と名乗る医学生で、自宅の一室を手術室にして、一人で闇手術を施していた。






トレパネーションなんてものを信じていなかった名越は、手術後の自分に起きた変化に驚愕する。
左目だけで周囲を見ると、周囲の人間の中に「怪物」が見えるのだ。









だんだんとその怪物「ホムンクルス」は、その人が抱える無意識下の心の闇が、名越の第六感と共鳴して見えていることがわかってくる。


試しに、指をつめるのが趣味のやくざの親分の「ホムンクルス」を一つ一つ解いていくと、親分の幼少期のトラウマが解消し、それと同時に親分のホムンクルス化はされなくなった。
親分と名越との共鳴点は、子供時代に友達を傷つけた罪悪感というトラウマであった。











親分は、名越との接触によって無意識下に抑え込んでいた罪悪感と向き合い、謝罪する事で罪悪感のトラウマから解放され、ホムンクルスのない姿へと変貌していった。
だが名越は、自身が無意識下に抑え込んでいた少年時代に友達を傷つけた記憶を呼び覚まし、親分のホムンクルスの一部を自身の体に取り込んで自身をホムンクルス化させてしまうのだった。
















名越の目に映るホムンクルスは、心の闇を抱えている人間かつ、名越が共鳴する人間だけである。
その左目に写る名越自身、そして目の前の医大生伊藤もまた、ホムンクルスだった。






名越と伊藤は、「トレパネーション」の解明としてホムンクルスの原因を探っていくべく、精神病院やブルセラショップで働く人との接触をはかる。その中で出会ったのが、「砂の少女」であった。






「砂の少女」の抱える深い闇は、伊藤を呑み込み壊してしまう。
少女に対応したのは、名越だった。名越は少女の処女を「犯す」という形で無理矢理奪うと・・・!!

人々の深層心理と、自分自身の深層心理の痛い部分をえぐりながら、二人はホムンクルスと向き合い続けます。


【感想】
人間の深層心理や記憶の中には、生きる過程で蓄積されて「思い出したくない事」があり、人によってはトラウマを抱えている。
その誰にも知られたくない、自分自身も直視したくなくて蓋をして生きている深層心理の闇を、第三者に覗きこまれ、えぐられるる不快感のようなものを感じる漫画でした。
だんだんと、自分の目に映る世界が偽りの世界なのでは、自分の精神にも闇があるのでは、と思ってしまいました。

人間の心理を描くだけあって、表情の描き方が何ともいえず巧みで、顔の僅かな筋肉の動き一つ一つに魅せられました。
話の奇想天外さと、それを裏づける説得力のある理論、展開の意外性・・・どれをとってもさすがの秀逸さで、人間とは何なのか、心理とは何なのかを考えさせられる圧巻のヒューマンドラマでした。






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妄想ショウジョ (漫画レビュー)

2017年10月30日 | 漫画紹介


【作者】瀬緒ユキノ
【連載】Love Jossie
【ジャンル】「女性漫画」「コミュ障」「小エロ」「ラブコメ」


【ストーリー】
「茅野ジュン(かやの)」(21)は、大胆な肌見せ、やたら明るい巻き髪、派手なネイルとメイクで周囲から完璧なピッチだと思われているが、処女である。






しかも重度のM系妄想壁があり、妄想ばかりでリアルは何もないまま21年。このままでは誤解されたまま、墓場まで処女を持って行きかねない、妄想でないリアルな恋愛が欲しいと思いつつ、つい妄想が先行して実際の行動には至らない日々を送っていた。
そんなある日、ジュンはコンビニの客に一目ぼれしてしまう。



もちろん、一目見て妄想スタート。












その男「叶君」は、ジュンの言動から、ジュンが見た目とは逆に男慣れしていない女の子である事を一目で見抜き、ジュンに興味を抱く。




これは妄想のネタに最適だと喜んでいたジュンだが、同居中の姉に「いい加減妄想を卒業して、現実の中で男を落としにいかんかいっ!」と厳しくも愛のある鉄槌アドバイスを受けるも、何をどうすればいいのかがわからない。



だがそこは漫画。その男、叶君はなんとジュン姉妹の隣に引っ越してきた!!
ロリコンギャル風ニューハーフの邪魔が入ったり、初デートで失敗をしでかしたり、ジュンは果たして妄想処女を無事に卒業できるのか・・・!?ジュンの男に対する免疫のなさすぎ、ダメダメっぷりがなんともかわいいラブコメディー。








【感想】
1巻は、現実と妄想が入れ混じりのエッチな描写が多いですが、だんだん「ジュン」の純情ドタバタコメディーが増えていきます。派手な見た目のくせに超純情、純情のくせにエロ妄想癖を持つ主人公ジュンの心の声が溢れ出し、思わず応援したくなります。

女性の肉体描写がキレイで、エッチなシーンもいやらしさをあまり感じない、爽やかエッチなラブコメディー。
女の子のエッチな妄想と本音の心理に、男性が読んでも面白いのでは?と思いました。

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僕の初恋を君に捧ぐ (漫画レビュー)

2017年10月27日 | 漫画紹介


【作者】青木琴美
【連載】少女コミック 2005-2008年、全12巻(完)
      ・第53回(平成19年度)小学館漫画賞少女向け部門受賞。発行部数750万部突破。
      ・2009年に井上真央と岡田将生主演で実写映画化され、興収20億円を超えるヒットを記録。

【ジャンル】「少女漫画」「死を越えて」

【概要】20歳まで生きられない病を抱える男の子「逞」と、その運命を知りつつ彼を愛し支えようとする女の子「繭」の、死に至るまでの切なく、愛に満ちた物語。


【この漫画が好きな人に】「君の膵臓を食べたい」「砂時計」「僕は妹に恋をする」


【ストーリー】


僕は幸せだった 繭が好きで好きで 毎日毎日どんどん好きになってく だって知らなかったんだ… 好きになっちゃいけないって 好きになっても無駄だって… 8歳の夏 僕は最低な約束をした。

幼い頃から心臓病で入院していた逞と、その主治医の娘の繭。8歳のある日、繭は逞が「20歳まで生きられない」ことを知る。
8歳の繭は、逞がいつか死んでしまうのでは、突然自分の前からいなくなるのではとの不安を抱え、逞の体を心配しつつも、誰にもその不安を悟られないように明るくそして強く振舞う。死を受け入れるのではなく、死に抗い、生を信じて逞と接する姿は、小さいながらも、人を愛する女性の強さを醸し出す。

8歳の逞の将来の夢は「宇宙飛行士」。
繭は、逞の宇宙飛行士の夢の願いを叶える為にと嘘をついて、二人で「四つ葉のクローバー」を探しに行く。
クローバーに託したかった繭の本当の願い事は「タクマを殺さないで」。





だけど四つ葉のクローバーは見つからなかった。それがまるでタクマの命が助からないと暗示しているようで、不安に泣きじゃくる繭に、タクマは優しくキスをして言った。
「ぼく、うちゅうひこうしになれなくってもいいから、そのかわり、大人になったら僕のおよめさんになってください!」
大人になったら・・・!!繭は「20歳になったらぜったいよ!やぶったり承知しないんだから!」と約束を結んだ。







逞が繭の涙の意味を知るのは4年後。病気は治ると信じていて、繭と結ばれる未来を信じていた8歳の頃。
後に逞は、「最低な約束をした。守れない約束をしてしまった」と後悔と自責の念を抱えることとなる。



成長していく逞は、繭がどんどん綺麗になっていくのを見て、毎日ドキドキと胸を高鳴らせていた。
「僕は幸せだった。繭が好きで、好きで、毎日毎日どんどん好きになっていくばかりだった。」

小6の修学旅行は僕が生きていた中で一番楽しかった思い出だ。何も知らずに無邪気に未来を信じていれた頃。
寺社仏閣で繭が真剣にお願いごとをしているのは、「僕のお嫁さんになれますように」だと思い込んでいたし、
仁和寺の「四つ葉のクローバー」の白とピンクのお守りを二人で交換しあったことも、二人でこっそり何度もキスしたことも、生きてきた中で一番楽しかった思い出だ。









だが最高に幸せだった日の翌日、僕は大阪の病院で自分の運命を知る。
自分が20歳まで生きられない・・・死ぬ運命であること、繭とは結ばれない運命である事を。



それからの逞は、親にも繭にも周りにも悟られないように、嘘を重ね続けることになる。
そして自問自答する。自分は何なのだろう、走ることも出来ず、人と同じ物も食べられず、このまま入退院を繰り返して、中高・・20歳、大学の途中で死ぬ。そんな僕の人生って何なんだろう。なにのために生まれてきたんだろう。
あと8年、今ここで死ぬのと大して変わらないんじゃないのかな・・・。



自分の運命を知った逞は、繭に嘘ばかりつくことになる。好きで好きで、好きだから僕は守れない約束にケジメをつけようとしていた。



18歳の誕生日、僕は一人で写真館に行った。遺影を撮りに行ったんだ。
僕の人生にはタイムリミットがある。あと2年、精一杯力の限り、繭を愛することを誓います。



死がすぐ傍にある人間が、人を愛するという事は難しい。残していかねばならない繭とは、一緒にいても幸せにできないと考えた逞は、繭から逃げるように全寮制の中高一貫校に入学するが、繭も逞を追って同じ学校に入学してきた。冷たい態度で繭を遠ざけようとする逞、それでも逞を慕い続ける繭。

やがて、二人はそれぞれ違う異性との出会いや想いを重ね、紆余曲折の果てに 高校で再び結ばれる。

しかし運命の歯車は2人だけでなく、2人をとりまく人々の「生と死」を巻き込んでいく・・・・・。
ラスト、死が二人を分かつ時、繭のとった行動は・・・・!?


【感想】
少女漫画らしい大きなキラキラ瞳の絵だけど、読み出すとストーリーの重さに引きずられて、一気読みした作品でした。
「死」をすぐ近くに感じ、「死」の恐怖に抗いながらも、必死に「今」を生きようとする若者達の「生」の群像的な命の輝きが、逆に悲しみを予感させました。

「生と死」が軸ではあるけれど話に暗さはなく、精一杯の「生」の輝きが全体を彩っていると思いました。
「死ぬのなら、生きている事に意味がないのでは」という主人公の問いかけに、作品は、全ての人間が死ぬその日までの生を享受しているだけのこと、その生が長くとも短くとも、どう生きたかが問題だと答えを出しているような気がします。

話は、主人公達が8歳の頃から時系列で進みますが、時折、20歳までに亡くなるとされている主人公男子が「当時」を振りかえった遺書を読む形でのナレーションが入ります。死後という最終的な立ち位置から、死までの時間を振り返るというナレーション。
「死」と「生」、「未来」と「過去」が入り混じる中で、物語の軸である「20歳以降の未来は存在しない」ことをズドンとつきつけられます。全ては彼の生前の話しであるのだ・・・と。

全ての人に平等にやってくる「死」が、病気によって平等さを欠いて主人公達に押し迫る。
好きな人を残して死ぬ方が辛いのか、好きな人を亡くして生き続けるのが辛いのか、それは誰にもわからない。
そして、明日生きている事が当たり前だと信じて疑わない人にも、「死」は平等に突きつけられているという事実。
死に直面した時、人はどう感じ、どう動くのは実際に死なないとわからない、と思います。
また、病気と移植、ドナーのあり方や考え方についても言及されていて、最後は涙、涙でした。


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カラダ探し最終章 47話「世界が壊れた日⑥」ネタバレ

2017年10月15日 | カラダ探し 最終章(完)
『カラダ探し』を終わらせる為の最後の戦いが始まった。
美雪が、その命を犠牲にして美紀の呪いを解いてくれたことで開くことが出来た道だ。

死産した美紀・美子の妹「美沙」から何かを聞いたという留美子と、亡くなった妹のあゆみちゃんから聞いたという武司が、結子を連れて、八代先生の案内で美子の遺体が埋まっている墓に行き、美子の心臓を身体に返しに行くと言う。
そうすれば、美子から『赤い人』が追い出されると留美子は断言した。




美紀の光をその体に通した明日香と、皆より『カラダ探し』とのつきあいの深い遥、そして高広の3人が小野山邸の地下室で『赤い人』が壺に吸い込まれるのを待って、壺を壊す役目を引き受けた。高広達の仕事は、留美子達が成功する事が絶対条件となる。




皆が、自分の出来る事をやる事を決意して学校を出た。ここから先は、殺されると本当に死んで生き返れない最後の戦い。
校門を出る時、明日香は校舎の屋上を見上げて誓った。
(美雪、やる事はわかったよ!!あとは私達が何とかしてみせる!!!)



決死の覚悟を決めた皆を乗せて車を走らせる八代先生も、今回はいつになくやる気にみなぎっていた。
「やる事は何でも協力する!!僕もそう約束したからね、森崎さんと、相島さんとも!!」

暫く走ると、車の前に誰が人が立って道を塞いでいた。健司だ。



健司の様子は明らかにおかしくて、山岡泰蔵にとり憑かれている時の状態に限りなく近いことに気づいた高広は警戒したが、健司は「オレも行く!!留美子なら分かってるよな!?」と言ってきた。
留美子、武司同様に、健司もナニカを見たのだろう。留美子は「わかってる!乗せて!」と健司を車に乗りこませた。武司は健司の『カラダ探し』を知らない為、高広がどうしてそこまでオタクの健司を警戒するのかわからなかった。

ただ、何かが起きている・・・。それだけはわかる。

八代先生の車の中に『カラダ探し』に関わった因縁のメンバーが揃った。
皆、思いは同じ。これで終わらせる・・・!!!




八代先生の車は小野山邸の前で明日香、遥、高広の3人を下した。
留美子は3人に「頼んだよ明日香!!死なないでよ!!」と言葉をかけ、明日香も「うん!そっちも!」と答えて互いに先を急いだ。

小野山邸に向かって走りながら、遥が指示する。
「美子から追い出された『赤い人』がどうやって壺に入るかわからないし、邪魔が入る可能性がある!!中に入って壺の前で待つ!!」
3人の目の前には前回あまりの殺気に退いた門が、相変わらずの重くて暗い嫌な気を吐いて立っていたが、高広はその門に飛び蹴りを食らわせて突破した。


「関係ねぇ!!!美雪は殺されて、今は留美子も武司も命懸けで動いてんだ!!!負けてらんねぇだろうがァ!!!行くぞぉ!!!」と2人に、そして自分に言い聞かせるように言うと、屋敷の敷地に足を踏み入れた。




だが、3人は異様な物を見てその足が止まった。
屋敷の周りにボォとした光が無数に飛び交っているのだ。





一方、美子の墓へと向かった車は、もうすぐ到着という所でまた前方に誰かが立って、道を塞いでいた。
留美子が叫ぶ。「赤い人ぉっ!!!!」
八代先生がとっさに急ハンドルをきり、車は道路の下に横転して止まった。



乗っていた者達はなんとか無事だが、先程の場所から『赤い人』がこちらに近付いてくるのが見える・・・!!!
逃げようにも結子が事故で足を負傷して走れそうになく、武司は結子を車に置いて、自ら『赤い人』に対峙して戦うことを決意した。『赤い人』と戦っても、結果は死である事は武司も嫌というほどわかっていた、だが、こうするしか結子を、留美子達を守れない。

その時、健司が動いた。
車の後部のハッチバックのドアを素手で破り千切ると、苦しそうに言った。
「後ろから・・・早く出ろ、袴田・・・。『赤い人』は・・・オレがぁ・・・止める・・・!!」



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カラダ探し最終章 46話「世界が壊れた日⑤」ネタバレ

2017年10月15日 | カラダ探し 最終章(完)
留美子は、倒れる前とは別人のように、『カラダ探し』について何かを知っているようで、
「美子の新蔵を探して、美子に返す・・。そうすれば美子の身体は浄化されるの!!美沙が教えてくれたって言ったってわかんないでしょ!?時間がないんだって、急いで呪いを解かないと『赤い人』は多分もう動き出してる・・・。
いつどこから襲ってくるか、分かんないから!!」
と叫ぶように言った。



やっと意識を取り戻して起き上がった武司も、留美子と同じようにナニカを知っているようだった。
「オレも行くぜ、あゆみが言ったんだ。『私達を信じて』ってなぁ・・、だからオレァ留美子を信じてやるぜ」



明日香は美雪の言葉を思い出していた。
「やれる事をやる」・・・。だとしたら、今の自分に出来る事は、この状況に賭けるしかない!!!
明日香は、高広に美雪と翔太と結子を託すと、自分は留美子と武司と一緒に美子の心臓を探しに行くと告げた。

全員、一斉にそれぞれが"すべき事"の為に走り出した。




高広、結子、八代先生の3人は、屋上に美雪と翔太の様子を確認しに走った。
留美子の言った通り、美雪は『赤い人』に殺され、傍らには翔太が遺体にすがって泣き崩れていた。
好きな女を一人で行かせて、守ってやれなかった無念は、高広にもわかるつもりだ。






そこに残ると言う翔太に「美雪は任せるぞ、翔太」と言って高広達はすぐにそこを立ち去った。
ここで泣いていても仕方がないのだ。
美雪の・・・今まで死んだ者達の無念を晴らすためにも、自分達が美子の呪いを解かないとならないのだ。すべき事はまだある。



明日香がついて行った留美子と武司は、二人で明日香のわからない話をしながら、確信があるようにまっすぐに生産棟の中庭へ走っていく。
美紀の声、、、白い光、、、留美子と武司が倒れてから見た記憶・・・。
美子と美紀以外の、別の力が動いている事を、明日香は感じていたが、それは何であるかは、今はわからない。
留美子は中庭の石の下に美子の心臓があると言い、3人で石を倒して、心臓を取り出した。
それは美子の遺体がそうであったように、まるで生きているかのように美しく新鮮さを維持していた。





屋上に行った3人と、心臓を探しに行った3人が再び合流した。
美雪は確かに死んでいた。そして、美子の心臓は確かにあった。
あとは、全員でこの心臓を美子を返し、『赤い人』を美子から追い出す!!



留美子は、心臓の場所は聞いたようだが、美子の体はどこにあるか知らないようだった。
それに応えたのは、彼等の様子を見ていた遥だった。
「亡骸はお墓ある、掘り起こしたから間違いないわ、その心臓をそこに収めれば全部終わるの?」



だが留美子はそれだけでは終わらないと言う。
「それで美子の呪いは解ける!!けど全部は終わらない!!追い出された『赤い人』は、小野山邸の地下にある壺に吸い込まれるの、そのタイミングで壺を壊せば、全ての呪いは終わるはず!!!」

頭のいい遥は瞬時に次の行動を判断し、「心臓を返すチーム」「小野山邸で壺を壊すチーム」の二手に分かれて行動すべきだと指示した。

高広は、「この間は引き下がったけど、今なら行くぜ明日香!!絶対許さねぇ、何が来てもオレがぶっ倒してやるからよ!!」と決意を固めていた。この間とは、遥と3人で小野山邸に行き、あまりの殺意に何もせずに帰ってきた日の事だ・・・・。

あの時の恐怖が蘇って何も言えないでいる明日香に、遥が声をかけた。
「私も目的がはっきりしているなに別よ。命を懸ける。今その時なんじゃないの?明日香。相島美雪がそうしたように。」




明日香は美雪から後を任された事を思いだして決意して、留美子にお墓の方をお願いした。
留美子は力強く「そのつもり、私も・・・約束したから!!」と答える。
先生に「留美子達を美子のお墓まで連れてってもらえますか?」と明日香が聞くと、先生は「任せてくれ!!」と引き受けてくれた。
高広は、墓の方へ行く武司に「武司!!そっち頼むぞ、死ぬんじゃねぇぞ・・・!?」と言うと、武司は「テメェもな。オレが殺すんだからよ」と答えた。男子達は、自分が真っ先に、襲い来る『赤い人』と戦う事になる事の覚悟は出来ているようだった。

遥が明日香に確認する。
「決まりね。覚悟は出来たわね、明日香」



間違いなく、あの"黒くい怖い人"が待ち受けているはず・・・だけど・・・、これで終わらせる。
「行こう!!小野山邸に・・・!!!」




その頃、自宅にいた健司の体にも異変が起こっていた事は、誰もしらない。
開放された呪いが、動き出す。


全てかが終わってどうなるのか知る由もない・・。
その前に私達を襲うであろう"呪い"の力。
どうなるのかもわからない、『カラダ探し』より恐ろしい、殺されれば終わりの最後の戦いが始まった。



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カラダ探し最終章 45話「世界が壊れた日④」ネタバレ

2017年10月15日 | カラダ探し 最終章(完)
 
呪いのホラーと、お祝いのミスマッチ感が凄い。


美雪は、美紀を動けないように抱きしめると、振り返って『赤い人』を呼び出した。

美紀に『赤い人』は見えないが、その声と気配を感じて、美紀の目がみるみる黒く変化していく。
呆然とする美紀に美雪は、「美紀・・『カラダ探し』はもう終わりなの!!」と言い聞かせるように言ったが、美紀は「お姉ちゃん・・・違うっ・・・」と言う。何が違うのか、美雪にはわからなかった。






すると『赤い人』がいつものあのセリフ・・・「ねぇ、赤いのちょうだい」と言って、美雪ごと美紀の背に手を突き刺して2人まとめて殺した。美紀は「ア"ア"ア"ア"ア"…」と呻き声をあげて体がビキビキとひび割れて崩れていく。
崩れながら「美紀は・・・美子ちゃんが・・・暴れない・・・よう・・・・に・・」としゃべるが、『赤い人』はそれを許さずに美紀の体を貫通する手を強め、そして笑った。
「美雪、本当ニ アリガトォオォ」







そこで美雪の感じていた不安は確証に変わる。
やっぱり、悪の根源は・・・・

美雪が死ぬ直前、美紀の魂が飛び去るその直前の僅かな一瞬の間に、ありとあらゆる記憶のようなものが、美雪の頭の中に流れ込んできた。
カラダ探しのメンバーもいれば、知らない人もいる・・・・、誰!???何・・?これ・・・。



その時どこかで「見つけた」という声を聞いた気がした。
美雪にはもうわからなかった。自分のした事が正解でなかった事がかろうじてわかるるくらい・・・。
美雪は崩れ落ちながら、助けられなかった真冬に、お父さんお母さんに謝った、そして後は明日香に・・・・。

美雪が崩れ落ちるより一瞬早く、ボロボロに砕け散った美紀の体から、白い光が走り去った。





同時に、階下で待っていたメンバーも異変を感じた。今度ばかりは八代先生にも見えているらしい。
ひび割れていた景色が、学校がガラガラと音を立てて崩壊していくのだ。恐れていた事・・・世界が崩れるのか!?
それは美雪が成功した事を示しているのか、失敗した事を示しているのかもわからず、皆はただ、戸惑った。

明日香だけは違っていた。
明日香の耳に「お姉ちゃん、助けて・・・」という美紀の声が聞こえたのだ。
美紀の気配がした気がしてその方向を向くと、物凄い勢いで白い光が迫ってきて、明日香の体を貫通してどこかへ走り去って行った。
だが、その声も光も感じたのは、明日香だけだったようだ。




異変は、留美子と武司にもあった。二人が同時に意識を失って倒れたのだ。
だが、美雪も留美子も武司の事もどうする術もなく、ガラガラと崩壊する「景色」に皆は呑み込まれていった。







それからどれくらいの時間が経ったのか・・・気づくと、景色は元に戻っていた。ひび割れもそのままに。
武司は気絶したままだったが、留美子が呼びかけに応じて目を覚ました。
だが留美子は完全に混乱していて、明日香を見るや「明日香さん・・・何でここに?」と他人行儀な事を言う。




留美子は暫く混乱していたが、突然「そう!!!呪い・・『赤い人』の呪いを解かなきゃ!!」と言いだした。




留美子が倒れている間に何があったかわからないが、確信があるようなはっきりとした口調で、「違う!美紀じゃない!本当に解かなきゃならないのは、美子の呪いなの!!今は細かく説明してらんない!!信じられないなら・・・屋上に行ってみなよ。美雪は・・・殺されている・・・!!」と言いだした。



翔太は美雪が死んでいると聞いて、パニックになって屋上へと駆けあがっていった。


明日香は、自分に起きた白い光のようなものが留美子たちにも起こったのではないかと思い、留美子に聞いた。
「留美子!わかるの?美子の・・『赤い人』の呪いの解き方・・・」

すると留美子はしっかりと「分かる!!嘘じゃない、信じて明日香!!!」と真剣な目をまっすぐ明日香に向けた。


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カラダ探し最終章 44話「世界が壊れた日③」ネタバレ

2017年10月15日 | カラダ探し 最終章(完)

美雪が大職員室に入ると、美子が待っていた。
美雪が「遅くなってごめん・・・最初からこの場所を教えてくれてたんだね」と謝った。
美子は・・・というより「赤い人」は、「そう、待ってた。けど美雪は今まで来てくれなかった・・・」と呪い節を口にしたが、美雪が話を本題に切り替えた。
「けど来たよ。だから美紀の"呪い"の解き方を教えて。」

すると美子は「壊す・・・美紀ちゃんの世界ヲ・・・壊ス・・・ワタシガ・・」と言葉がたどたどしい。
美雪は「そしたら、『カラダ探し』はなくなるんだね・・?」と確認すると、美子は「そウ・・」と答えるが、その顔が醜く邪気に包まれた「赤い人」である気がしてならなかった。だけど・・・。



「赤い人」を見た美雪はもう振り返る事が出来ない為、職員室の前方の扉から出てきて、廊下で待っていた皆に伝えた。
「これから呪いを解きに行くから・・・屋上で美紀と美子を会わせる。
美紀は、美子を怖がって美子の前には出てこないから、私が屋上で美紀に会い、その場で振り返り、美子・・・『赤い人』を呼び出す。
そして『赤い人』が美紀を殺す・・。それが美子の言った美紀の呪いを解く方法・・・」




屋上というのは、明日香が棺桶に捉われた時に美紀が迎えに来た場所だから、そこに行けば美紀が現れるだろうと思ったから。

武司が「それで全部終わるのかよ」と美雪に聞いたが、美雪にだって先の事はわからない。
「わからないけど、それが私に出来る精一杯だから・・・屋上に行ってくる」と言い切った。

美雪一人が抱えこむ事ではないし、一人で行く事の恐怖は皆もよくよく知っている。だけど、美雪を止めることもできず、皆は言葉に詰まったが、留美子が口火を切った。こういう時、いつも雰囲気を変えてくれるのは、留美子だ。
「持ってって美雪!!!私がついてるって忘れないで、あと、絶対返しに来てよ!!!」



留美子に先を越された翔太は、自分のネクタイピンを美雪に手渡し「オレがついてるかな!」と言ったが、その後に続いて高広がボタンを、八代先生が愛用のボールペンを、結子がヘアゴムを、武司がガムの包み紙をそれぞれ手渡した。
最後に明日香がハンカチを渡そうとした時、美雪は明日香に抱き着いて、耳元で囁いた。
「明日香・・・ごめん、後は任せるね・・・」



「皆、本当にありがとう。美紀の呪いは必ず解くから・・・」と暗い顔で一人屋上へと上っていった。




今は美雪に懸けるしかない。だけど・・・美雪は美子との接触で、悪い予感を感じたに違いない。
この後があるということ・・・・。最悪のケースは美紀の呪い『カラダ探し』だけがなくなって、『赤い人』がこの世に開放される事・・・?もしそうなったら、どうしたらいいの・・・?


屋上に上がった美雪に、すぐに美紀が声をかけてきた。
「お姉ちゃん、迎えに来たよ。お姉ちゃんも美紀に会いたかったの?」と言うと美雪の前に飛び出してきて「嬉しいな~、遊ぶ約束したもんね~」と無邪気な子供らしい顔で小躍りして美雪にじゃれついてきた。



美雪は思う。美紀より『赤い人』の方が呪われた醜悪な化け物に見える・・・・。悪い予感もする、世界が壊れるかもしれない、だけど・・・。

美雪は美紀に優しく話しかけた。
「美紀ちゃん、お姉ちゃんにね、妹がいたんだけど死んじゃったんだ・・・。代わりに抱きしめさせて」

すると美紀は素直に屈託ない笑顔で「うんいいよ。美紀を妹だと思ってくれていいからね」と承諾してくれた。美紀を騙すことになるけど、なんとしてでもお父さん、お母さん、真冬を取り戻したかった。無視される日々でも構わないから、家族のいる世界に戻りたかった。

美雪は「ありがとう」と言って美紀を強く抱きしめると、そのまま体をひねって振り返った。








すると美雪の正面、美紀の背後に『赤い人』が立って、ニタリと笑った。
「美雪、アリガトウ」



その醜悪な笑い顔を見た瞬間、美雪は自分が利用されていることを悟って、思わず明日香を呼ぶ。









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うる星やつら  (漫画レビュー)

2017年10月14日 | 漫画紹介


【作者】高橋留美子
【連載】少年サンデー 1978年~1987年、単行本34巻(完)
  ・ ワイド版全15巻、文庫版が全18巻。
  ・新装単行版が2006年~2008年に刊行、
  ・2016年に連載時のカラーページを全集成した『うる星やつらパーフェクト★カラーエディション』(上下)刊行。
  ・他にコンビニコミック版あり。
  ・1980年度、小学館漫画賞少年少女部門受賞作


【ジャンル】「ギャグ」「ラブコメ」「宇宙」

【概要】
地球侵略に来た宇宙人のラムが、災難を引きよせる運命の持ち主で浮気者の諸星あたるに惚れて一途な押しかけ女房となる事を発端とした、はちゃめちゃラブコメディギャグ漫画。一話完結型。


【ストーリー】
『かけめぐる青春』
高校生の「諸星あたる」は、災いを引き寄せる体質であったが、今回なんとインベーダーの地球侵略をかけた宇宙人代表対地球人代表の一騎打ちバトルの相手に、地球人代表として選ばれてしまった。

地球侵略をかけたバトルとは、宇宙人の娘「ラム」との鬼ごっこ。あたるが鬼となって、10日以内にラムの角を掴めば地球の勝ち、掴めなければ地球侵略というものだった。あたるは、このグラマーな美女を掴まえて抱きしめればいい、と軽く引き受けてしまったが、ラムは空を飛ぶことが出来た為、苦戦する。






とうとう8日目、疲労したラムに飛びつくことに成功したあたるは、ラムのブラジャーを奪い取った。


スペアのブラを持ってきておらず、これを勝機とみなしたあたるは猛反撃にでるも、角を掴むまでには至らず、タイムリミットが差し迫っていた。見かねた恋人のしのぶは「勝てば結婚してあげる」とあたるに約束する。
しのぶとの結婚の為、どんな手段を使っても勝ってみせるとブラジャーを罠にして、あたるはとうとうラムの角を掴むことに成功する。



だが、「結婚、結婚」と叫びながらラムを追いかけていた為、ラムは自分がプロポーズされたとカン違いしてしまう。
これが、諸星あたるとラムの出会いである。




『悲しき雨音』
騒動後、ラムは宇宙に帰っていたが、あたるの同級生のメガネ達「ラムちゃん後援会」が再びラムに会いたいと、あたるを交えて宇宙との交信の儀式をしていたところ、あたるの念が宇宙に通じて、「星間タクシー」を召還してしまった。高校からあたるの家までを星間タクシーで移動した代金は、地球の石油含有量相当分という超高額。



あたるが支払えないとわかると、星間タクシー協会の強制取立てが全世界で開始され、地球上の石油を剥奪されていった。
この地球の窮地を救う為、自治会が連絡したのがラムだった。ラムは代金立替の条件として、諸星家に同居することを提示した。



当初は断固拒否の姿勢のあたるだったが、タクシー代金が支払えるはずもなく、仕方なくラムに立替をお願いした。
これが、あたるとラムの同居生活の開始である。




サザエさん同様に、作品中はずっと「友引高校2年生」のままですが、年月を経る毎にラムを初めとする女性キャラクターのかわいさが飛躍的に増幅。初期の色気や口の悪さなどが控えられ、健気さとおちゃめさが際立つラムになっていきます。













【感想】
ロボット界では『ガンダム』、冒険バトル界では『ドラゴンボール』、青春ラブストーリー界では『タッチ』、そしてギャグ漫画界では『うる星やつら』が一大ブームを起こし、その後の日本のアニメ、漫画業界を牽引する大物漫画真っ盛りの時代に堂々君臨した漫画の1つ。

はちゃめちゃで奇想天外なギャグ満載から、あたるとラムの永遠の鬼ごっこラブストーリーから、魅力的過ぎるキャラクター達の傍話まで様々な要素が織り交ぜられながら、最後の終着点へと向かっていきます。

アニメも前衛的で、1話完結ギャグ漫画の要素をおおいに活かして、毎回アニメーターが違ったり、新人を起用したり、見るたびに作画やストーリー感が全然違うという面白さを詰め込み、効果音なども様々な新しい音が造りだされていきました。

特に前期は「押井守」がチーフプロデューサーを担っており、押井守の初期作品である映画「うる星やつら・ビューティフルドリーマー」は「うる星やつら」の世界観とキャラクターを使って表現した押井守らしさに溢れた名作として、後世に語り継がれることとなる。当時まだ珍しかった透過法の駆使などの技法的にも斬新な作品でした。

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