まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【カラダ探し】など

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

潔癖男子!青山君 (漫画紹介)

2017年09月30日 | 漫画紹介



【作者】坂本拓
【連載】週刊ヤングジャンプ

【ジャンル】不思議君、不思議ちゃん、コミュ症



【感想】
潔癖症の青山君は、手を使わなくていいからという理由で始めたサッカーで、U-16の日本代表に選抜される腕前。
ヘディング、スライディング、試合後のチームメイトとの抱き合い、試合相手とのユニフォーム交換はしない主義。
そんな生意気な言い分も、なぜか通ってしまう青山君。表情をほぼ変えないのに、愛されキャラの青山君。

ぶれずに自分を持っている、そんな青山君の魅力にとりつかれる事必死の、ほんわかサッカー青春コメディー漫画。


【ストーリー】
富士見高校サッカー部の青山君は、U-16日本代表選抜で大活躍の実力を持つ男子。
だが、彼はサッカーを始めた理由は「手を使わなくていいから」という潔癖症であった。
敵に触られないよう、ぶつかられないように距離を保つ為、全てのプレイが恐ろしく正確。ディフェンスが寄ればドリブル突破、もしくはワンタッチで効果的なパスを出すからディフェンスはうかつに青山君に近れない。かといってスペースを空けると正確無比なシュートを決める。一時が万時徹底しした、”潔癖”という名の絶対領域を持つ男であった。




汚れるからという理由で、ヘディング、スライディング、スローイングはしない主義。




だが試合のラスト5分、我慢ならない汚れをおしてゴールを決める時もある。




ラスト5分は我慢できても、試合後に仲間と抱きあうとか、敵とユニフォーム交換するとか、ましてやドリンクの回し飲みは勘弁である。







日本代表にまでなった青山君が、弱小サッカー部の富士見高校に入学したのにも、彼ならではの理由があった。
それは、ここにしたないものがあるから。純白のユニフォームと、ウォシュレットのトイレ。
特にトイレは、進学高校の選択に絶対に譲れない条件であった。







自分に真摯に常に掃除、清潔を心がけ、潔癖ならではのプレイに徹する青山君に、周りは彼を認めざるをえず、いつしか彼の魅力にとりつかれ、甘やかしてしまっているのであった。








コメント

風の谷のナウシカ  (漫画紹介)

2017年09月29日 | 漫画紹介




【作者】宮崎駿
【連載】アニメージュ


【感想】
映画「風の谷のナウシカ」は頻繁にテレビ放送がされていて、国民的に有名なアニメでハッピーエンドでまとまっていますが、
原作でのあの部分は、今後起きる事への序章に過ぎず、ナウシカに「ハッピー」なんて言葉は使っちゃいけない、と思う程の苦悩と苦痛、哀しさと救いのなさにどよーんとなっていきます。

宮崎駿ワールドが全開でくるので、相当読み込まないと、なかなかストーリーや宮崎氏のメッセージが受け止められない作品だと思います。なかなかというか、私には一生宮崎氏のメッセージを全て理解するのは無理だろうと思います。
この原作漫画を一度読んだだけで「わかった」と言える人は、脳が宮崎駿レベルに達しているはず。

ナウシカに限らず、宮崎作品には全体に「廃れゆくもの」への惜別の視線がある、と思います。
どんなに愛してもどんなに惜しんでも、時代は進み、自然は破壊され、人間の営みの価値観は変わっていく。
人間社会と自然の共存は、本当の意味というか「維持」は無理であり、そこに抗うことが出来ないで嘆いているのは、宮崎氏自身なのかもと思います。

ナウシカでは、早い段階ではっきりと人間の活動が地球環境の汚染原因であり、自浄には人間の絶滅が必要である事が言われていると思います。
人間が幸福を求めて豊かな生活の為を送ることと引き換えに環境を破壊してしまう。次世代の人間は、前世代の人間の残した「変化した自然環境」の中で生きねばならないのは、物語の中も、現実社会も同じだと思います。
現在進行形で地球温暖化が進み、毎年災害が巨大化していく世の中を実感しても、それでも人の営みを止めるわけにはいかず、わかりながらも、現世生物の生息環境の破滅へと歩を進めている世の中に身を置いて、「将来の人類の悲劇の物語」を読むには、なかなかの覚悟が必要な気がします。

よく言われる、「地球が壊れる」だの「地球の為に環境保全」という言葉の陳腐さがナウシカにはあります。
元々酸素など存在しなかった地球は、人類や哺乳類などの現行生物が絶滅したところで、痛くも痒くもない。
困るのは現行生物だけで、環境が変わったなら、その環境に適応した"次の生物"がちゃんと地球上で繁栄する。
その、哺乳類にとってかわる進化した生物がナウシカの世界では「蟲」という種類であり、哺乳類の中でヒトがリーダーシップをとったような立場で「ムシ」のリーダーが「王蟲」なのでしょう。

ヒトと王蟲の違いは、ヒトが「自分とその仲間」というとても狭い範囲でしか考えなかった事に対し、王蟲は種類全ての共存を考えたことにあるのではと思います。ムシの行動に、ヒトの足りなさを知るという皮肉。

そんな皮肉やメッセージを多分に含んで、ナウシカは人類の一人として人類の過ちの罪を被ろうとしていきます。



【ストーリー】
地球上で人類が豊かに繁栄し、魔法のような素晴らしい技術が次々に生み出され時代。人は空を自由に飛び、動物を都合よく作り変え、生命出生さえも技術でコントロールし、人が船に乗って月へと行き繁栄の限りを誇っていた。
その素晴らしい技術は「巨神兵」という人工知能を搭載した軍事力を生み出し、皮肉なことに巨神兵の使用以降、人類は環境変化によって絶滅への階段を急速に駆け下りていく。


そんな時代から数百年経った未来、地球に人の住める地域は僅かとなり、地球が過去の土壌汚染を浄化する中で排出する「毒」に体を蝕まれて死期を早める時代が物語りの舞台。
海風によって森の毒を遠ざけて質素に暮らす「風の谷」の風使いの族長の娘として生まれた「ナウシカ」は、森を愛し、森に住む蟲を愛する風使いの娘であった。

蟲はその時代、巨大化し、森を破壊する者や蟲を殺す者を攻撃し、森の毒を撒き散らすものとして怖がられ、忌み嫌われていた為、ナウシカの森好き、蟲好きは危険で変わった趣向と見られていた。

だけど、ナウシカは気づいていた。森や蟲が危険なのではなく、森と蟲は汚染された地球の環境を浄化する役目を担った、人類にとってなくてはならない存在であるという事に。


しかし、世界は「大国・トルメキア軍」と土着民族「ドルク」が対立し、人類同士で殺しあう戦争が続いていた。
人の住めるエリアや食糧確保が困難な世界で、争いは絶えることがなく、とうとう「風の谷」にも戦争の火の粉が降りかかり、ナウシカは故郷風の谷を守るため、そして世界を見たいという思いを抱えて、トルメキア軍とともにドルクと戦う戦争に身を置いていく。

他の人達と視点の異なるナウシカは、トルメキア軍ともドルクとも違った中立の立場で戦争を渡り歩くようになる。
その視点の先にあるのは、「自然環境と人類の共存」だった。
さもなくば、その先に人類の絶滅があることを感じていたから。

近代的技術を駆使するトルメキア、過去の歴史の遺産であるバイオ技術の封印を解いて駆使するドルク。
そんな両者を一掃するのが、過去の遺物「巨神兵」の復活であった。

ナウシカは、たった一人で世界を救おうとその身を削って行動するのですが・・・・。
手塚治漫画に匹敵する社会派の重みを持った漫画だと思います。
コメント

ナルト疾風伝 (漫画紹介)

2017年09月29日 | 漫画紹介



【作者】
【連載】少年ジャンプ(1999-2014年)、ナルト無料アプリ

【感想】
ドラゴンボール、ワンピースに並ぶジャンプの王道バトル少年漫画で、海外での人気が絶大。
第一部の少年編、第二部の青年編、「NARUTO」の連載終了後は、結婚して父親となって息子の代に話が続く「BOUTO」などドラゴンボール並みの年月の経過を感じることが出来る作品で、NARUTO本編は全700話、単行本72巻に及びます。

体内に九尾の妖狐を封印された落ちこぼれ忍者・うずまきナルトが、里一番の忍である火影を目指し、仲間たちと共に数々の試練を乗り越え成長していく物語。(wikiより)


時代背景は日本の戦国時代のような時代設定ですが、今の戦争の緊迫感溢れる世界情勢を彷彿とさせるシーンも多く、「戦争」と「力のバランス」「政治戦略」が随所で頭をよぎります。

NARUTOの世界では、「核爆弾」並みの巨大軍事力として、「尾獣」という超常現象的な能力と破壊力を持つ「力」が各国のパワーバランスの均衡と危機感を担っています。巨大な力は戦争の抑止力となる。だがしかし一旦戦争となれば、その「人智を越えた脅威の破壊力」を使わざるを得ない、、、という戦争のジレンマは、『風の谷のナウシカ』や現代の核保有国同士の緊張状態に誓いように思いました。

血の宿命と孤独という環境に立ち向かい、それらを克服するのに「周囲の人々との信頼と繋がり」が必要であると気づく少年編。

歴史の中で途絶えることのない憎しみの連鎖と負の感情が起させる「戦争」を解決する為には、「怒り・復讐」ではなく「対話・許し」が必要である事に気づく青年編。

その【人々との繋がり】の描き方が丁寧で、ナルトを取り巻くキャラクター達も幼少期から青年への成長をつぶさに見ていくこととなり、読み進めるうちにどのキャラクターにも多分に感情移入をしてしまっています。

ナルトを取り巻く魅力的なキャラクターの代表格が「うちはサスケ」。
明るい性格で金髪青目、洋装のナルトと、暗い性格で黒髪黒目、和装のサスケの『明暗』の対比コントラストがあります。
ナルトが「対話と許し」の象徴であるのに対し、サスケは「憎しみと復讐」の象徴で、ナルトはサスケを暗闇から助け出そうと
するのも、大きなストーリー展開です。

サスケだけでなく、幼少期から共に成長する「仲間」や、子供達を次世代の担い手として温かく見守る大人達の目線もあり、ヒューマンストーリーとしても読み応えがあると思います。



【ストーリー】
世は戦国時代。
「大名」が取りまとめる国と国の間には、軍事力による力のバランスが働き、微妙な均衡が保たれていた。その軍事力を担うのが各国の持つ「忍びの里」で、忍の家に生まれた子供達は、忍術アカデミーに通って忍術を習得し、将来職業としていくのが習わしであった。

そんな時代に大国「木の葉の里」に里のリーダー「火影」の長男として生を受けた「うずまきナルト」は、生後すぐに両親の命と引き換えに巨大軍事力である「尾獣・九尾のクラマ」をその体内に封印される。
親を亡くし、厄介者として孤独な少年時代をすごすナルトは、里の長である「火影」になる事を夢として努力する。火影になって、自分の存在を里の皆に認めてほしい一心だった。

ナルトは、周囲の人達に育てられながら、人を信頼すること、人と繋がることを知っていく。
だが同じく里で生を受け、兄による一族大虐殺の生き残りとして孤独を抱える「うちはサスケ」は、ナルトとは違って憎しみと復讐にその心を奪われて里を出、里への復讐者としてナルト達の脅威へと育っていく。


第2部青年期では、体内に封印された「尾獣」と心を通わせ、皆を守る為に苦難の修行を越えて強い青年へと成長したナルトが、
戦争に突入してた世界で、世界を救おうと奔走する。

第3部では異次元の敵が現れて、戦争しているどころではなくなり、いがみ合っていた国々が協力し、巨大な敵と戦います。




【余談的ネタバレ】
途中で、今まで必死の思いで倒した敵、今生の別れをした味方、過去の偉人達が「どっこいしょー!」と全員丸ごと生き返ってきます。えー!全員揃って再登場!?
あんなに泣いて別れを惜しんだのに、死んだ人とぺちゃくちゃ会話しちゃっていたりすると「死は取り返しのつかない最期であり、絶対の別れである」という大切なナニカがふっとびます。
そして、一度死ぬ思いで倒した敵とまたバトル。前半のあの時の達成感はどこへやら。

ドラゴンボールが緊迫感を失ったのは、いくら死んでもまたリセットすればいいだけのこと、という設定以後だと思いますが、ナルトもまた「死んでも復活」の設定によって、バトル漫画の緊張感を置いてきてしまった・・・と思いました。

そんな「死んでも復活ありの漫画」の雰囲気の中、突如として現れた「宇宙からやってきた強敵」。
インデペンデンスデイ的な・・・。
少年期~青年期にかけて、戦争で対立する国をナルトがどうまとめるのかと期待していると、「共通の敵」を作ることでがっちりとまとまってしまいました。
平和的解決でなく、「反日」という共通の敵を持つことで発生する仲間意識、みたいなところに落ち着いてしまったのは、個人的には残念でした。結局戦いによって仲間を認識するのかぁー・・・、大きな敵がいればまとまるよねー、そっかー・・・と。
そして、宇宙人ってなんだんねん、今までの戦いはなんだったんだ的な驚き。


そして敵が大きくなりすぎて、ナルトの力のインフレが他キャラを圧倒しすぎて、ラストに来てサブキャラ達の存在感の薄さ。
サスケ君が幼少期よりライフワークにしていた復讐物語が、途中から「反抗期の中二病」程度の扱いになってしまいました。

ラストのクライマックスバトルを「おお!」と受け取るか「そこっ!?」と受け止るかで感想が変わるだろうな、と思いました。

そしてすっぱり惜しまれて終わればいいものを、ドラゴンボール並みの収益柱を手放せなさからか、作者の岸本氏ではない別の筆者を連れてきて、父親と息子編に突入したのも良かったのか、悪かったのか。
コメント

ワンピース (漫画紹介)

2017年09月29日 | 漫画紹介



【作者】小田栄一郎
【連載】週刊少年ジャンプ/ジャンプアプリ/ワンピース無料アプリ


【感想】
現在進行形の漫画の頂点をいく王道冒険物語。
絵柄や表面的には、少年漫画らしいドタバタハチャメチャバトル冒険ものに見えますが、これほどまでに大人にも人気があるのは、その筋にしっかりとした下地のストーリーがあるから。

主要登場人物の抱える過去のエピソードが「泣ける」ことは有名ですが、サブキャラ達も一人一人それぞれの過去があり、思いがあり、抱えるものがあり、複雑な世界の掟と歴史の中で、冒険は進められていきます。

人種差別、生まれの身分差別、人権、宗教(神とはいかなる存在であるべきなのか)、親と子のありかた、支配者と被支配者の構図、過去の戦争が未来に残すもの、歴史を知ることは未来を知る道標であることなどが、いずれもズドンと物語の軸を貫いています。

「天上人」と呼ばれる支配者階級は、過去に「世界政府」という世界の政治的仕組みを作った王族の子孫で、血族という家系がその支配者階級を継いでいき、数百年の間に絶対的権力者として君臨します。

また、人種による生活階級や権利の違い、「神」という支配階級のあり方、「教育」の中で過去の憎しみを情報として子孫へ伝える事の恐ろしなど、多岐に渡る「社会の仕組み」への疑問を読者へ投げかけてきます。











社会とは、世界とは、支配者が作った「仕組み」で出来ているのではなく、市井に暮らす人々一人一人の思いで出来ている。
過去から脈々と続く「社会の仕組み」を壊し、そして自由で支配される事のない新しい世界や価値観を築いていく存在こそが、"麦わらのルフィ"率いる"麦わら海賊団"なのです。

ルフィは、物事に囚われない自由な発想で行動します。その”自由さ”がワンピースらしさなのだろうと思います。

エピソードの多さ、登場人物の多さも他を圧倒する量ですが、載当初から仕組まれていたと思われる「フラグ」が全体にちりばめられており、初期の登場人物が後(10年後、20年後)に重要人物となって再登場する事が頻繁に発生します。
ワンピースマニアは手元に全巻置いて、大量にちりばめられたフラグをまるで宝探しのように見つけ出し、回収していくのも楽しみですが、膨大な年月と量に脱落する人も多数。


「まんがパウチ」では、カラーで過去の話を1話ずつ振り返り確認出来るようにしつつ、編ごとにまとめてみました。
→ 「ワンピースまんがぱうち」



【ストーリー】
海賊が海を行き来する時代、海賊王と呼ばれた「ゴール・D・ロジャー」は世界で初めて世界の海を制し、「ひとつなぎの宝(ワンピース)」を手に入れた男として君臨していた。
引退したと思われたその男が突然海軍に捕まり、公開処刑に処された時、海賊王は世界に向けてメッセージを発信する。
海賊王ゴールド・ロジャーは、自分の命と引き換えに「大海賊時代」の幕を切って落としたのだった。




そんな「大海賊時代」に生を受けた少年「ルフィ」は、「悪魔の実」と呼ばれる特殊能力を身体機能として獲得する果実を食べ、【ゴム人間】となって冒険の海へでます。夢は『海賊王になる!!!』




世界一の剣豪になる夢を持つ剣士ゾロ、世界の海の航海図を描く夢を持つ航海士のナミ、世界の食材が一同に集まるオールブルーへの夢を持つコックのサンジ、偉大なる冒険家の夢を持つウソップ、医学の道を究め人々を救いたい船医チョッパー、海賊王の船の造船技師として世界を航海したい造船技師のフランキー、死んだ仲間との約束を果たしたい死んで骨だけブルック、そして世界の歴史を解き明かしたい考古学者ロビン達と仲間となり、海賊や、海軍、世界政府や天上人らと戦いつつ、『ワンピース』を目指して航海する物語。








「ワンピース」を目指す中で、閉ざされた空白の100年間という歴史の闇と深く関わっていくことになります。
現世の人間に、絶対に知られてはならない歴史の空白に何があったのか。
その謎を解き明かすには、名前に「D」のミドルネームを持つ者たちの力が必要不可欠であった。
Dは、過去の歴史で封印されたとある王国の末裔の証・・・・。
大きな謎の解明は、あと何年・・・いや何十年後なんだろう?と思うスケールの大きな漫画です。



コメント

キミに小さな嘘一つ

2017年09月20日 | 漫画紹介


【作者】吉岡李々子
【掲載】ぷちブリンセス
【ジャンル】少女漫画
【カテゴリー】1人の女の子に複数の男子、登場人物の死

【感想】
ピュア系少女漫画。
双子で同じ人を好きになって、これは三角関係かと思った矢先に双子の一人が死亡するストーリーは「タッチ」を彷彿とさせますが、物語は単純には済まず、明星の残した「嘘」と、千星の何気ない「嘘」と、それぞれの人物の抱える「想い」が絡み合っていきます。
本当の事を言えたなら、どんなに楽なのだろう・・・。だけど人は成長につれて真実だけを口にしては生きていけない。
ヒロインの「千星」が、3人の男子にもてもてなのは、少女漫画の定番ポイント。


【あらすじ】
中学生の「宮本千星(ちせ)」と「宮本明星(あかり)」は一卵性の双子で、見た目はそっくりだけど、妹の「明星」は明るく甘えたな性格で男子からの人気が高く、よくもてていた。
姉の「千星」は真面目で勉強ができて、お固いので男子から人気はなかったが、よく妹と間違えて告白されていて、その日も、同級生の井田君が「明星」と間違えて「千星」に告白していた。




でも、唯一幼馴染の「宮本真行(まゆき)」は、二人をキチンと見分けていて、間違える事はない。「千星」はそんな真行の事が好きだったが、明るくかわいい妹へのコンプレックスもあって、素直になれないでいた。

真行も千星の事が好きで、告白しようと試みるもなかなか想いは伝わらない。



真行が千星への告白のタイミングを見計らう中、千星は真行「も」明星の事が好きだとカン違いしてしまう。
妹ばっかり・・・どうして自分は・・・。双子の真面目な方、もてない方としての苦悩と、双子の妹へのやるせなさを千星は感じていた。

一方、妹の「明星」も、幼馴染の真行の事が好きだったが、真行はいつも千星の事しか見てはいない。
自分に振り向いてくれない真行に、明星もまた千星には言えない悩みを抱えていた。
双子で同じ人を好きになっても、選ばれるのは一人だけ。なまじ同じ顔だけに、二人にとっては残酷な事だった。


二人の15歳の誕生日当日、真行は千星に告白する為に、明星を誘って千星へのプレゼントを買いに出かける。
真行が今から千星に告白しようとしている事を知った明星は、怒りながら真行の元から飛び出して帰って行った。
真行は、いつもの明星のワガママだとタカをくくって、明星を追いかける事をしなかった。




真行の元を飛び出した明星は、嫉妬のあまり、千星への小さな意地悪を思いつく。
「真行から告白されたけど、断ったよ。だから次は千星が告白されるはずだよ」と電話で嘘をついたのだ。

井田は、明星に告白しなおそうと飛び出した明星を追いかけたが、明星のついた嘘を聞いてしまって足を止めた。井田は、そのまま明星の背中を見送った。まさかそれが彼女の最期の姿になるとは思ってもいなかった。




その頃もう一人の中3男子が、街で明星を見かけ、その姿をカメラに収めていた。


明星からの電話を切った千星は思う。
どうして私達はふたりなんだろう。どうせならもう、一人でよかったのに・・・・と。

明星は千星への電話を切った後、メールをしながら歩いていた明星は交通事故にあって帰らぬ人となる。
双子だった「千星」と「明星」は、15歳の誕生日に一人となった。


双子の片割れを失くしたちせは、学校では明るく振る舞ったが、そんな千星の姿を見るのが真行には辛かった。あの日、自分があの時、明星を怒らせていなければ・・・、あの日ちゃんと追いかけていれば・・・あの日事故の瞬間にメールしていた相手は自分だったのでは・・・真行は最後に千星に「ごめん」と言ってキスをした後、何も言わずに引っ越して行った。それ以来、真行とは会っていない。





高校生になったちせは、家から遠い高校に入学し、家を出た。
家には生まれた時から15年、いつも一緒だったあかりとの思い出が溢れすぎていて、辛かったから。

高校には、同じ中学から井田君が進学していた。自宅から毎日2時間半をかけて通学する井田には、思うところがあった。ただ、あの事故の日、事故に遭う直前のあかりを見かけている事は、誰にも言っていない。


千星が高校で知り合った里見君もまた、明星の最期を知る人だった。
カメラの好きな彼は、あの日街で写真を撮っていて、偶然明星を見かけて撮っていて、直後に里見君の目の前で明星は事故に遭っていた。
里見のカメラには、涙をその目に光らせながら歯をくいしばる、千星の知らない明星の姿が刻まれていた。
里見は、それだけでなくそれ以前から、千星を知っているようだった。







双子の死に心を深く傷つけながらもがく千星と、あの頃実は両想いだった宮本真行、明星に告白しようとして間違えて千星に告白した井田、そして千星にまっすぐな気持ちを向ける里見。
千星と明星を巡る3人の男子の抱えるそれぞれの秘密が、もつれて、絡まっていく少し切ない恋のお話し。

コメント

カラダ探し 最終章 43話「世界が壊れた日②」

2017年09月15日 | カラダ探し 最終章(完)

【昼休み・後半】
美雪は思い出した。美子が自分に一番最初に接触してきた日の事を。
思えば、あの時から今回の事はすでに始まっていて、あの時に、美子は自分を選んで伝えに来ていたのだ。

放課後、帰りが遅くなってしまったあの日、廊下で『赤い人』を見た後に階段で南田先生に呼び止められたのだ。
「ちょうと良かった、少し手伝ってくれないか、大した事じゃない、とりあえず大職員室に来てくれないか」と。




『赤い人』は放課後、一人にならないと現れない。
今日の放課後を待って、職員室に先生がいなくなってから美雪一人で職員室に入ることとした。
問題は、職員室の施錠の解除。ここは八代先生に頼るしかないと、明日香は美雪と二人で八代先生を訪ねた。

八代先生は、日々記憶を失くしているはずなのに、"その日"に見知った事を記録に残し、明日香達の『カラダ探し』の記憶を積み重ねて、理解してくれていた。
「相島さんだね、森崎さんから聞いているよ。僕に会うのも初めてじゃないんだろう。"呪い"を解く為に自ら棺桶に入ったそうだね・・・、本当に強いね、君達は。
僕は恐怖を俯瞰的に調べることで和らげたかっただけで・・・、いろんな事から逃げてきた。棺桶に入った恋人だった人とも会うことが出来なかった。『カラダ探し』での記憶と共に歩むのが怖かったんだよ。
そんな僕だから、仲間と向き合い、まとめる事もできずに5年もかかってしまったんだろうね。
そんな僕に比べて君たちは本当に凄いよ」
と目の前の少女達に出来て、自分に出来なかったことを自省しだした。

明日香は、否定した。
「ちがいます!先生がここまで調べて、協力してくれたからです。先生がいなかったら私達だって・・・」

八代先生はキッといつになく強い目をして顔をあげた。
「ありがとう、呪いを解くとどうなるのか、正直僕は怖いけど・・・、出来る事は何でも協力しよう。大職員の事は僕が何とかする」と言ってくれた。
その顔は、『カラダ探し』を始める前の自信に満ちた若い頃の先生の顔に、少し近い気がした。




八代先生の元から屋上に戻る途中で、遥に呼び止められた。
遥と美雪は初対面だけど、遥は美雪に「相島さん、私の事はわかるわね?」と言うと、単刀直入に核心をついて、「今日、美紀の呪いを解くんでしょ?出来るの?会って、それでどうするの?」と聞いてきた。

返答に困る明日香の横で、美雪がしっかりと答えた。
「美子が待ってる場所に行けば、美紀の呪いの解き方を教えてくれると言ったの。さっきその場所がわかった。今はそれだけだよ」
それが、あの道端の石ころに自分をなぞっていた自信のない美雪と同一人物だとは思えない言い方に、明日香の方が驚いた。




遥は「そう・・・私もあなたと同じだから。それがあなたにしか出来ない事で、今出来る精一杯の事なんでしょ。私でもそうする。そっちは任せたわ、頑張ってね」と言って立ち去り、美雪は遥の背中に「ありがとう」とつぶやいた。




美雪と自分は同じと言ったのは、『カラダ探し』の変化で家族を失った事を意味するのかは、わからない。
だけど「こんな世界壊れてしまえばいい」と言っていた遥が、呪いが解けて全てが戻る可能性に懸けている事がわかった。
だから、お墓や廃墟に行くことにも積極的につきあってくれていたのだと、明日香は今更ながらに、遥の思いを感じた気がした。


美雪は、遥に言った事を聞いていて明日香に謝った。
「ごめんね明日香・・・、美紀の呪いの解き方を知ってるように言ってたけど、本当は美子に聞くまでわからないの・・・」

明日香はわかっていた。
2回目の『カラダ探し』の最後、美紀が怒りが爆発し、『赤い人』が動きかけ、武司も抑えようのない修羅場だった。
あの時、たとえ嘘でも美雪が「知っている」と言った事であの場が治まったのだ。
美雪はその責任を一人で抱え込んでいる・・・、本当は謝りたいのは私の方なのに・・・・と思ったけど、今はそれを言葉にしなかった。
ただ「大丈夫、分かってるよ。皆には黙っていよう」とだけ美雪に伝えるのが精一杯だった。


【5時限目・翔太】
美雪と二人きりになった翔太は、美雪に告白し、美雪からも「好きだよ」の返事を貰い大声で雄叫びをあげて歓喜した。




【6時限目・留美子】
留美子が翔太との事を聞きだすと、美雪は「翔太も留美子も明日香も皆好きだよ、友達だから」と相変らずだったらしい。

【放課後】
そして夜、『カラダ探し』のメンバー皆で"その時"をまんじりと待った。
見上げると夜空にも亀裂が入っているのが見える。
この先、世界が壊れるのか、壊れた後どうなるのか、予想もつかなかったけど、このままでいいわけじゃない。

そしてとうとう、八代先生から職員室が無人になったとの連絡が入った。
皆で一緒に職員室の前まで行き、もしも中で美雪に何かあればすぐに助けに入ることを約束した。




美雪は「皆ありがと・・・、行ってくるね」と告げて皆の顔を見回した。
これは美雪だけの問題ではない。なのに、全ての責任を美雪一人に背負わせている事に皆はそれぞれ思うところがあったけど、今はそれを言っても仕方がない。皆が自分の出来る事をするのみ。

明日香は美雪と目があった時、頷いてみせた。
(わかっている・・・、万が一の時は私が後を引き継ぐ・・。)

美雪が職員室に入ると、『赤い人』・・・美子が待っていた。






コメント

カラダ探し 最終章 42話「世界が壊れた日①」

2017年09月15日 | カラダ探し 最終章(完)

11月28日、美雪が目覚めた。
2回目の「カラダ探し」で呪いを解くと宣言して自ら棺桶に入った美雪が、8日ぶりに目を覚ましたのは、明るい陽が差し込む現実世界の学校のホールだった。




みんなはそれぞれの思いを抱えて、この日を待っていた。
真っ先に口火を切って美雪に抱きついたのは留美子で、その後武司が「相島ぁ!!お前が言った事忘れてねぇよな?」といきなり本題を持ち出した。
美雪は起き上がりながら「うん・・・、頑張ってのろいを解くから・・・」と答えたが、武司はその曖昧な言い方につっかかった。 「頑張るとかじゃねぇんだよ。必ず"呪い"を解くっつたろが」と容赦なく、美雪の"責任"を誇張した。

翔太がすかさず「もう一つの"呪い"の解き方ってどうやるんだ?出来る事なら何でも協力する」と一人で背負う事はないことを告げたが、美雪は「ありがとう、だけどこれは私にしか出来ない・・・・。」とことわってから 「それと美子が待っている"約束の場所"がまだわからないの・・・」と不安をもらした。


それに武司が反応し、怒り口調で美雪に詰め寄った。
「どういう事だコラ・・・オレを騙しやがったのか、あゆみは一年以上前に死んだことになってんだ・・、それにお前の家族も全員死んだんだぜ。場所がわからねぇ?だから何だ、やるっつた以上死ぬ覚悟でやらねーとブッ殺すぞ!!」




その横暴で配慮の欠片もない言葉に、翔太や高広は武司を止めようとしたが、美雪は冷静に受け止めようとしていた。
「わかってる・・・私の為でもあるんだから・・・、けどどうしてお父さんとお母さんまで・・・・」


翔太は「タイミングを見て見せようかと思っていたんだ、乗用車とトラックの交通事故だ・・・」と切り抜いた新聞記事を美雪に渡した。
せっかく戻ってきても、生きているのは自分だけしかいないと知った美雪は言葉を失くし、明日香は美雪に何と声をかけていいのかわからずに戸惑っていると、留美子がいきなり美雪の口に持っていたパンをねじ込んで、
「食え!!腹が減っては戦はできぬ!全部何とかするために"呪い"を解くんでしょうが!!場所がわからないなら、みんなで考えて探せるでしょ!!私達がついているから!!!」と言った。




留美子はいつも、空気が重くなると明るくしてくれる。前向きな考え方を皆にもたらして元気を与えてくれる。
空気が変わったところで、明日香が提案した。
「授業は6時限、ここには美雪以外6人いるから、1時限ずつ交替で1人ずつここに残るのはどうかな」と。


そして、明日香は自分が一番最初に美雪と二人きりになった。
明日香は、どうしても美雪に伝えておきたい事があった。
・3回目の「カラダ探し」があったこと。
・美紀に言われた"黒くて怖い人"の存在。
・小野山邸の地下室で見つかった"儀式"の跡などを話した。

「美子の"呪い"の元凶は恐らく"黒くて怖い人"。せっかく美雪が気づいて教えてくれたのに、美子の呪いの解き方がまだわからない・・・。美雪が美紀の呪いを解けば、美子もそのまま『カラダ探し』と共に消えるかもしれない・・・。だけど美雪が思ったもう一つの可能性のように、『カラダ探し』が消えても『赤い人』が・・・・」

そこで美雪は明日香の言葉を遮った。
「明日香、私は私のやれる事をやる・・・。だからもし私が殺されて、まだ"呪い"が続くなら、その後の事をお願いしてもいい?
皆がついてきてくれて、本当に嬉しい・・・けど、お父さんもお母さんも真冬もいない世界・・・・、私、やっぱり無理だから、お願い・・・・・・・」
と言いながら堪えきれずにボロボロと泣き出した。




明日香は「うん・・」とだけ答えた。
頭のいい美雪ならわかっているに決まってた。
それなのに美紀の"呪い"を解くことに懸けるのは・・・美雪には選択肢がないから。
だからこそ、美子の"呪い"を、明日香が自分で何とかしておかなきゃならなかった・・・なのに・・・出来なかった。

明日香は、ぎゅっと美雪を抱きしめると「万が一そうなっても・・・私達が"呪い"を解いて絶対に元に戻してみせるから!!!」
言い、美雪は「うん・・」とだけ答えた。



お互いに、絶対にとか、元に戻る確信などない事はわかっていた。
だけど、これが二人の精一杯だった。




【2時限目・武司】
武司はいきなり「場所分かったのかよ。つーか何の場所だ!?」とつっかかったが、美雪も武司に言い返す事が出来るようになっていた。
武司は「何とかなるかもしれねーんだよな?呪いが解けてよ、あゆみが生き返ったらどんな世界になるんだろうな。
お前と留美子はあゆみと仲良くなったりな。それにあゆみにつきまとうカスみてーな男がいたりしてよ・・・。」
と幸せな未来像を語りだして、ハッとしたように「チッ何言ってんだ。オレは高広のバカじゃあるめーし」と話しを逸らした。
武司の苛立ちは、期待の大きさなのだ。
それに懸けるしかない袴田君の、そこに懸けた未来への期待を感じて美雪は「頑張るよ」と答えた。




【3時限目・結子】



【4時限目・高広】




【昼休み・明日香、留美子、高広、翔太】
昼休みは5人でもう一度"美子が待っているといった場所"について考えた。
美子は『カラダ探し』の中で、「美雪・・・美子が教えた場所に来て」と言っていて、それがどこかは言ってなかった。
ヒントはそれだけ・・・・。


その時、留美子がテストの事で南田先生から職員室に呼び出された。
美雪はハッ!としてつぶやいた。
「分かった気がする・・・、美子が私に教えた、美子が私を待つ場所!!」

コメント