まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【カラダ探し】など

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ファイアパンチ 目次

2017年06月23日 | ファイアパンチ
※ファイアパンチ 時代設定

※ファイアパンチ 登場人物

あらすじ(1)「アグニがアグニであった頃」
あらすじ(2)「ベヘムドルグへの道編」
あらすじ(2)「ベヘムドルグでの戦い」

(3)アグニ教
(4)世界を暖かくする木
(5)塩工場
(6)10年後

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【(1)アグニがアグニであった頃】
序章、アグニとルナ
1話、炎に包まれた男
2話、生きる糧
3話、あなた神様ですよね?
4話、太陽という意味の名
5話、ルナ?何故?


【(2)ベヘムドルグ編】
6話、本物ではない
7話、獣姦
8話、ドマとの再会
9話、地下鉄道
10話、トガタの祝福
11話、主役
12話、カタルシス
13話、おれは主人公になる
14話、演技
15話、ベヘムドルグの蒔
16話、だから君が主人公
17話、ファイアマンを殺そう
18話、教祖様
19話、これで死ねる
20話、本当のオマエ
21話、彼は神様だ
22話、これで終われる
23話、この世界の常識
24話、コマンド:ファイアパンチ
25話、天から降りてきた男


【(3)アグニ教編】
26話、殺して、お兄さん
27話、アグニ信者
28話、氷の女王
29話、死にたくねぇ
30話、ハダカみたいな女
31話、ブリーフ男
32話、殺意
33話、ありがとう
34話、期待
35話、可哀想な奴
36話、女の体に覆われた男


【(4)世界を暖かくする木編】
37話、私の名前はスーリャ
38話、大きな木になって
39話、スターウォーズ
40話、だからトガタにいてほしい
41話、姉がいるとしたら
42話、三度目のドマ
43話、正しい教養
44話、こんな終わり方
45話、刹那の衝動
46話、凍った湖
47話、映画館
48話、
49話、最後の言葉
50話、私を殺して
51話、本当の俺ってどれだっけ
52話、俺は兄さん


【(5)塩工場編】
53話、夢を見ているみたいだ
54話、俺達は悪者じゃない
55話、今なら死ねる

56話、兄さんと呼んでくれ
57話、俺がいないと駄目なんだ
58話、ここにいたい
59話、ルナを守る為 
60話、ファイアパンチを殺して
61話、そんな目で見るのはやめてくれ
62話、10年の歳月


【(6)10年後編】
63話、覚えてる
64話、教祖サン
65話、命の選択肢
66話、兄さんを愛しているから
67話、塩工場爆破
68話、鉄仮面の男との戦い

コメント

ファイアパンチ ~~登場人物~~

2017年06月23日 | ファイアパンチ


アグニ
   
・【再生】の祝福者で、同じ能力を持つ妹「ルナ」がいる。
・両親を強盗に殺され、妹と二人で逃亡した先で、貧しい村の人達に助けられる。
・村の人への恩返しとして、自分の腕を切って、「薪」や「食料」として配っていた。
・正義感が強く、誰かを助ける為なら自分の身を犠牲にする事も厭わない精神的に強い一面を持つ少年。
・人の肉を食って生活している村に嫌悪を感じた「ドナ」に、村人全員と妹「ルナ」を焼き殺され、自身も消えない炎をまとい、ドナへの復讐を誓って生きる。

・べヘムドルグ(ドナの住む王国)に向かう途中、奴隷として捕まり、殺されかけていた「サン」をなりゆきで助けた事がある。
・トガタの映画撮影に協力するかわりに、トガタにドマの復讐を手伝ってもらう事になる。




ルナ

・「アグニ」の妹で、兄同様【再生】の能力を持つ。
・心優しい少女で、悪いのは人ではなく、人を苦しめている『氷の魔女』が全て悪いと考える。
・村を消滅させた「ドナ」の炎でその身を焼かれて、炭化して死んだ。
・死ぬ寸前に兄アグニに「生きて」と言い残して死んでいる。




サン

・【ビリビリの力=電気】の祝福者
・見た目は少女だが、実は男子。
・空気を読むことが苦手で、純粋。
・村人全員が謎の疫病にかかったことで、サンの命を守る為に村から"追放"された。
・奴隷として殺されかけた所を「アグニ」に助けられ、ベヘムドルグまで付いて行く。
・サンとは旧世代の言葉で太陽を意味し、生きているだけで周りを暖かくする存在になれと願って名づけられた。
・弟思いの兄がいる。



サンの兄

・疫病にかかる。
・弟サンの命を疫病から守る為、悪役を演じてサンを村から追放する。(3話、4話より)




ネネト

・サンと同じ部屋に入れられた黒髪の奴隷の少女で、脱走を試みたが失敗している。
・性格はしたたかで、空気を読んで行動できる。
・初めはジャン所有の奴隷だったが獣姦失敗後にイワンに譲られ、時間潰しの強姦用に地下鉄道に乗せられた。
・地下鉄道車内でトガタと出会い、一方的にカメラガールを任命されてトガタやアグニと共に行動するようになる。
・故郷は男尊女卑が強く、女は13歳で絶対に子供を産むのが常識とする習慣を嫌って逃走した。
・自分の価値観で生きたい、と考えている。

・この物語において、読者と常識感覚が近く、彼女の視線の中に読み手側の視点がおかれているのかな?と思う。




トガタ

・【再生】祝福者。アグニ同様、頭を破壊しても再生する強い再生能力を持つ。
・かなり自分勝手な性格。
・「歴史文化遺産=1990年代~2200年代の映画」が好き。
・「ファイアマン」をテーマに、自分でドキュメンタリー映画を撮ることを思いつく。
・故郷の町をベヘムドルグによって焼かれた。
・べヘムドルグの前身の町に住んでいた為、べヘムドルクの地理や歴史に詳しい。
・現在は2人の男と護身契約を結んでいる。
・300歳で、今は珍しい格闘技をたしなみ、知識が豊富で強い。
・『氷の魔女』は存在せず、あるのは氷河期である、と言う。
・アグニがどんなに頑張ろうとも、この世の先には絶望があると考えている。




------------------【ベヘムドルグの人達】--------------------------------------
ユダ

・【再生】の祝福者で、首を切断しても再生する強い再生力を持つ。
・アグニの確保及び首の切断をし、アグニを海へ沈めようとしたが、トガタに邪魔される。
・130歳、愛煙家。

・べヘムドルグの国の運営に関わり『神』を演じ、『氷の魔女』や『国王』を駆使して国民をまとめているが、そんな生活に疲れている。
・べヘムドルクが消滅した時に、役目は終わったとして、死ぬことを強く望んだ。




ドマ
    
・【炎】の祝福者で、手のひらから炎を出す。【ドマの炎】は朽ちるまで消えない。
・ベヘムドルグの兵士で、アグニとルナと村を焼き払っている。
・正義感の強い人物で、「人を殺すこと」に苦悩し、精神を病んで地下牢に閉じ込められている。




ジャン

・【??】の祝福者。サンの切断された傷口を触れただけで治した。
・べヘムドルグの高官兵士。
・奴隷の少女を雄犬を獣姦させて楽しむ趣味がある。愛煙家。
・海列車内でトガタに殺された、再生祝福者イワンの兄。




イワン

・【再生】の祝福者。再生能力は普通。
・大柄で力の強い、ベヘムドルグの高官兵士。愛煙家。
・ジャンの弟。
・体内に人工骨格を入れて身体能力を向上させていた。
・10話、地下鉄車内でトガタに殺された。




サイモン

・【再生】の祝福者。再生能力は普通。
・ベヘムドルグの高官兵士。国一番の英雄と呼ばれていた。
・イワンから「サイモン師匠」と呼ばれている。
・地下鉄車内で、トガタに殺される。


ウロイ

・ベヘムドルグの高官で、ユダの側近だったが、ユダが神様の役を放棄して以降、自分がユダの変わりとなってベヘムドルグを引っ張ることを決意して、アグニらと戦い、奴隷を取り戻そうとした。
・手から炎を出す祝福者
・3人の「アグニの弟子」と戦って殺される。(32話)



------------------【ベヘムドルグの死刑囚達】---------------------------

ベヘムドルグ死刑囚・ダイダ


・筋力が強くなる祝福を持つ。
・奴隷でない女を複数人犯し、兵士を34人殺して収監された。(第18話より)
・アグニと戦う為にトガタからパワースーツを着せられ、さらにパワーアップした状態でアグニと戦う。
・ベヘムドルグが火の海に包まれたのは、この男がアグニを集合住宅地に殴り飛ばしたから。
・アグニに殺される。(24話より)



ベヘムドルグ死刑囚・カルー


・風を操る祝福を持ち、自身が飛ぶこともできる。
・施設の子ども17人の顔の皮を快楽の為に削ぎ、収監される。(18話より)
・ベヘムドルグからアグニと戦わずに逃げたが、途中で野球男に心を読まれて殺される。




ベヘムドルグ死刑囚・フガイダイ


・視界に映る鉄を操る祝福を持つ。
・ベヘムドルグを自分の国にしようと兵士数百人を殺して収監される。(18話より)
・アグニに殺される。




-------------------------【アグニ様の3人の弟子】--------------------------
ハダカのような女

・槍を自在に遠隔操作でき、戦闘力は高い。
・新陳代謝が激しいらしく極寒にビキニ姿で突然現れた。(30話)
・英語しか話せない。
・160人の親族と共に逃避しており、アグニ様の話を聞きつけてやってきた。
・サンに「アグニ様の弟子」と呼ばれる。(32話)


野球男

・心を読むこと、銃弾をパットで打ち返すなどが出来、戦闘力は高い。
・息子が奴隷として運搬されていた時にアグニに助けてもらっており、死ぬ際にアグニ様にお礼を言いたいとの遺言を果たす為にアグニ様を探してベヘムドルグに来た。
・アグニ信者のリーダーで、サンに「アグニ様の弟子」と呼ばれる。




ブリーフの男

・手から鉄のような物を出す祝福者で、身軽で、戦闘力は相当高い。
・ベヘムドルグから逃げる車両の前に、突然ブリーフ一丁で現れた。(31話)
・アグニ側の味方のようで、登場直後にベヘムドルグの追手を全員殺す。
・何者かはまったくわからないが、サンに「アグニ様の弟子」とよばれる。











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ファイアパンチ ~~時代設定~~

2017年06月23日 | ファイアパンチ
時代設定
・近未来の地球が舞台
・2200年代に「文化革命」が起こり、文明や時代のターニングポイントとなっている。
・2200年代を「祝福者」がまだいない、昔々の旧世代と称している。

・時代は未来であるが、『氷の祝福者』による氷河期にような気候に、文化文明が停滞
しているようで、建物、道具、衣服、乗り物等にハイテク感はなく、アナログ感が強い。
・この時代もソニーのビデオは健在。7話、8話より)


・300才のトガタが言うには、世界が寒いのは『氷の女王』の祝福能力ではなく、地球が氷河期に入った為。



舞台設定
・2200年代の文化革命以降、生まれながらに特殊能力を持つ者が稀にでて、「祝福者」と呼ばれている。
・『氷の魔女』とよばれる祝福者によって、世界は雪と飢餓と狂気に覆われ、人々は寒さと飢えで死の恐怖と隣り合わせで生きている。

・300年、130年生きる「再生祝福者」のトガタやユダは、氷の女王など存在しない事を知っている。




地名設定
〔ベヘムドルグ〕
・国王が作る自称”自由の国”で、祝福者や若い人間を戦力として集め、『氷の女王』を倒して、世界に緑を取り戻すことを目指している。その能力によって年齢問わず出世する制度を持つ社会。出世すれば奴隷を持つことができる。(1話ドナ談)

・氷雪に覆われておらず、大都市をもち、自給自足率が高い様子。
・国民は、定刻になるとある方角を向いて神に祈る習慣を持つ。

・その実態は、ユダら一部高官によって共通の敵と宗教によって統一された国家で、国のエネルギーや食糧等は、「薪」と呼ばれる祝福者達を奴隷として死ぬまで働かせて搾り取っている。

・強く危険な力を持つ祝福者は投獄して死刑に処している。




           


〔アグニとルナ〕の出身村
・強盗が二人の家に入った時に、薪がないなど、かなり貧しかったと考えられる。
 (アグニ・ルナ兄妹の両親は、強盗に殺されて薪変わりに燃やされている)


〔アグニとルナ〕が世話になった村
・二人の出身村からさほど遠くはない場所にあると考えられる。
・村人達は行き倒れの二人を介抱し、二人はドマがくるまでの3年間をこの村で過ごした。
・老人ばかりの貧しい村で、毎月多数の死者が出ている。
・アグニ、ルナ兄妹の恩返しで、かろうじて命を繋ぎ留めていたが、『ドマの炎』で
 村人は一人残らず焼き殺されている。


〔サンの出身村〕
・比較的大きな村だが、サンを除く全員が疫病に感染した。

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ファイアパンチ あらすじ(1)「アグニがアグニであった頃」

2017年06月23日 | ファイアパンチ
世界は、極寒に覆われていた。
氷雪が止むことはなく、大地は凍てつき、人々は寒さと飢えに苦しみ、命の危機を感じながら必死で生きる時代に、アグニとルナの兄妹は生まれ、生きていた。

この世界では、時折「祝福者」と呼ばれる特殊能力を持つ人が生まれる。
その能力は様々だが、今世界がこんなにも寒いのは、『氷の女王』と呼ばれる寒さを操る一人の祝福者が起している事なのだそうだ。人々は世界をこんなにした『氷の女王』を恨んだが、どこに居るとも知らぬその相手をどうする事もできずに、日々を生きていくしかなかった。


アグニとルナ兄妹は、生活は貧しく苦しかったけど、二人は温かな両親の愛に包まれ、僅かな暖炉の炎にあたることの出来る生活に、辛い世界の中で幸せを感じて暮らしていた。

そんなある日、アグニ達の家に男達が押し入り、両親を殺して”薪”として暖炉で燃やしてしまった時から一変する。両親の体が燃え尽きると、今度は幼いアグニとルナの体を切って燃やそうとした。
だがアグニとルナは「再生祝福者」と呼ばれる体質で、体を切り落としてもすぐに元通りに生えてくるうえ、飲み食いせずとも痩せもしなければ、死ぬこともない為、男達は無限に補給できる”薪”として二人の体を切っては燃やし、切っては燃やした。
再生はするが、切られた時の痛みは通常の人間と同じに、気を失うかと思う程に痛い。
アグニは、男達に対して激しい憎しみを持ったが、ルナは悪いのは全て『氷の女王』であり、寒さと飢えが人間を狂気に陥れると言った。
アグニはルナを守る為に男を殺し、極寒の中、あてもなく二人で逃げた。

両親や生活の全てを失ったアグニにとって、ルナこそが〝生きる糧”であり、ルナを守る為なら何でも出来た。


極寒の雪の中で行き倒れになっていた二人の子どもを助けたのは、ある貧しい村の老人達だった。この村も、寒さと飢餓で毎日人が死んでいっていたが、村人達は自分達の命を犠牲にしてでも、若い二人の為に僅かな食料と暖の為の薪を差し出し、二人の為に神に祈ってくれた。



アグニは、村の人達に恩返しの為、そして死んでほしくなくて、毎日自分の腕を何回も切断しては村の人達に配って歩いた。アグニの腕は、その肉を食糧にも出来るし、燃やして薪にもできる、村で生きる為に必要な物資となった。
ただ、人肉を食する事に抵抗のある人も少なくなく、アグニが村に来てからも、毎日のように餓死者は絶えず、アグニは自分の無力さを痛感するのだった。

アグニは腕の切断は相変らず痛かったけど、ルナの前では痛くないフリをしたし、我慢も出来た。




アグニにとってルナが生活の全てで、ルナと二人で毎日を生きる村での生活の中に、少しの幸福を感じることが出来た。
二人で寄り添うように眠る時、アグニはよく「昔の話」をしてきかせた。
ルナが生まれる前、アグニが小さかった頃は、世界はまだ暖かくて、花が咲く野山を駆けたり出来たのだと話た。ルナは見た事のない暖かな世界に憧れ、「いつか外が暖かくなったら、世界を一緒に見てまわりましょう」と言うと、二人でグーにした拳をコツンと当てて”約束”した。
そしてルナは安心したように眠りにつくのだった。



アグニが暖かい世界を知っているというのは嘘だった。腕を切断してもそんなに痛くないのも嘘。
全てはルナの笑顔を絶やさない為の、心配させない為の嘘だった。



ある日、村が「ベヘムドルグ国」の兵士達の侵略を受けた。
「ベヘムドルグ」とは遠くの強国で、『氷の女王』と戦うために戦力となる祝福者や若者や奴隷を集めている最中、食糧の補給に村に立ち寄ったのだと言う。この貧しい村から食料を奪うことは、死を意味するが、兵士達に聞く耳はなかった。
「ドマ」と名乗るリーダーの男は、アグニにベヘムドルグへ来て、共に『氷の女王』と戦わないかと誘ったが、アグニは自分がいないと村人達が餓死する事を思って断った。



その時兵士が、各家に人間の肉があるのを見つけ、”人肉を食らう村"である事がばれた。
「ドマ」は正義感の強い男で、このおぞましい村を、その手から出る”燃え尽きるまで消えることのない炎”の祝福で焼き尽くして消滅させた。

通常、人が燃えると炭化して死ぬ。だが「再生祝福者」であるアグニは、肉が燃えてただれて炭化した瞬間から次の肉が再生し、再生した肉がまた燃え・・・と燃え尽きることなく、いつまでも炭化と再生を繰り返して燃え続けていた。
肉や皮膚、筋肉や内臓が燃えて焼ける痛みは、腕を切断する痛みの比ではなく、アグニは壮絶な苦痛に悶えてのたうち回った。




半狂乱になりつつ、アグニは自分で体の再生を拒むと、炭化したまま再生しない事に気付いた。
死ぬことが出来る!死ねば楽になれる!死のう、死んだなら、暖かな天国でまた家族4人で暮らし、ルナに暖かな世界を見せてあげることができる!!天国でルナと子供を作って新しい家族で暮すこともできるはず・・・。




これで死ねると喜ぶアグニの前に、自分と同じような燃えて炭化した人間が這いずって近付いてきた。
その今にも燃え尽きそうな黒い塊はルナだった。アグニは助からないであろうルナと共に死に、死んで幸せになることを誓う為に約束の拳を出した。ルナは、アグニの約束の拳が触れあった時「に・・・いさ・・・、生きて・・」と最後の言葉を絞り出して”約束”をすると、息絶えた。

アグニは驚いた。死という希望が絶たれると同時に、生きる糧を失った。
生きる希望などないこの世界で、アグニは憎しみの炎を纏って、ドマへの復讐を誓って生きた。




アグニの苦悩と苦痛はここから始まる。
食べなくても死なないアグニは、8年間をただ、炎に焼かれて苦しみもだえることだけに費やした。
8年後、アグニは全身に消えない炎を纏って立ち上がり、肉を焼かれる痛みを抱えながらべヘムドルグへと向かって歩き出してた。
ドマを恨み、憎しみ、復讐に心と頭が支配されると、痛みを少し忘れることが出来た。
"生きる糧"を奪ったドマへの復讐こそが、炎を纏ったアグニの”生きる糧”となっていた。






≪感想≫
極寒の世界は、現在から後の未来の地球が環境変化によって"氷河期"を迎えた時代のようです。
その中で、一部発生する「祝福者」と呼ばれる特殊能力者の存在と相まって『氷の女王伝説』がまとこしなやかに語り継がれる世界の片隅で、身を寄せ合うようにして健気に生きる兄妹。

両親が子供達を"生きる糧"として暮らしていたように、親を失くした兄アグニは、妹ルナを"生きる糧"とする・・・・その兄が妹を思いやる気持ちが、後に世界を覆す程の脅威となっていく・・・。

どうしようもない世界で、たった一つの小さな信念だけを抱いて流されるように生きていく気の小さな主人公アグニは、どこか「エヴァ」のしんじ君と重なります。
どうしようもない、逃げられない、本当はこんな事したいわけじゃない・・・ただ、死にたいだけ。
だけど死ぬ事を許されない「十字架」を背負った主人公は、深い苦悩と焦燥と絶望を抱きながら生き続けます。

全体に暗いテーマで、場面展開の切り替わりの激しさがありますが、じっくりと読んでいくと、その中に「生きること」「希望とは」「信じること」「神という存在と人間の弱さ」など人間の普遍の心理が強く一本の筋として描かれていると思いました。

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ファイアパンチ あらすじ(2)「べヘムドルグ編」

2017年06月23日 | ファイアパンチ
【ベヘムドルグへの道と、サンとの出会い】
炎を纏った全裸の男となったアグニは、一人、べヘムドルグを目指して歩いた。
途中、ベヘムドルグの奴隷運搬車に出会い、鉄を出す祝福者をリーダーとするべヘムドルグの兵士達を皆殺しにして、奴隷達を開放してやった。
奴隷達に情けをかけたわけではない。ベヘムドルグが憎かっただけであったが、奴隷達はその暖かな炎を纏った異様な男に感謝した。

特に、殺される寸前にアグニの登場によって命を助けられた少年サンは、アグニを慕って、どこまでもついて来た。アグニはサンを迷惑に思いつつも、サンを見放すこともできず、自分の炎が触れない距離で、寒さで凍え死なない距離でサンを見守ってしまうのだった。

サンは微弱ながらも電気を出す祝福能力者だった。サンの村は疫病が蔓延した為、感染していないサンを生かす為に村を追放された後、奴隷として捕まっていた。サンとは古い言葉で"太陽"を意味し、周りの人達を明るく暖かく照らす存在であれと名付けられた名前だった。


【ルナの顔を持つ女、ユダ】
だが、アグニとサンは、べヘムドルグの追っ手によって捉えられる。
その追っ手の女を見たアグニは驚愕した。どう見ても成長したルナなのである!顔も声も再生祝福までも同じだ。
だが女は自分はユダというベヘムドルグの高官だと言うと、アグニの首を切り落とし、ドマを呼んだ。ルナを殺した憎き男ドマが、ルナとそっくりの女ユダの仲間であることに、アグニは混乱した。


【ドマとの戦い】
首だけでベヘムドルグに持ち帰られたアグニは、隙をみて脱出し、ドマと対決したが、アグニはドマに手も足も出ず、その体を再びドマの炎で焼かれるだけだった。またあの若く正義感に満ちていたドマの面影はなく、そこにいたのは老いて精神を病み、「殺さないでくれ」と卑屈に懇願する情けないしょぼくれた男がいるだけだった。その男に、アグニは負けた。

【地下鉄】
ドマの炎でも焼き殺す事の出来ないアグニを危険視したユダは、特別に地下鉄を走らせて、遠い海へアグニの頭部を捨てに行くこととした。その電車には、ユダを始めとするべヘムドルグの主たる祝福能力を持つ高官達が乗り込んだ。
国に残るのは精神を病んだドマと、ジャンという男ぐらいであった。

一方、サンもベヘムドルグに捕らえられ、先に奴隷として連行されていた「ネネト」と二人で、ベヘムドルグの高官の一人「ジャン」の玩具として、獣姦させられようとしていた。ネネトの機転とサンの電気の祝福でその場を逃げ出した2人だったが、サンは両脚を切断されて捕まり、ネネトは退屈凌ぎの女奴隷として「地下鉄」に乗せられていた。

ネネトは、女を性欲処理と出産機械としか見ない自国を嫌って飛び出したが、ベヘムドルグに奴隷として捉まってもやはり、性欲処理機として扱われようとしていた。

だが「地下鉄」にはもう一人、招かれざる女「トガタ」が乗り込んでいた。

トガタはアグニ同様の強烈な"死ねない"再生祝福者で、ベヘムドルグの国が出来る前からもう何百年も生きていた。殺されても死なない上に、古代の武道術を身に着けているトガタはいとも簡単に電車内のベヘムドルグの兵達を一人残らず殺害すると、アグニを鞄から出して再生させた。
トガタの目的は「アグニを主役にした映画の撮影」である。
何百年も死ねないトガタに、生きる糧などなく、唯一の娯楽は古代の映画を見ることだった。
しかしそれも戦争で消失し、今は自分で「ファイアマン」の映画を撮影する事を、生きる糧としたのだ。

アグニは、知識が多くて判断の早いトガタについていき、次第に依存していくようになる。

トガタの映画撮影と、アグニのベヘムドルグとドマへの復讐の利害が一致し、二人はべヘムドルグへ戦争をしかけることとなった。ネネトはなりゆきで、映画撮影のカメラガールを任された。

【奴隷となったサン】
その頃、脱走が見つかって両足を切断されたサンは、ジャンの祝福で傷口を治してもらうと、ベヘムドルグの国のエネルギー源供給の薪として、死ぬまでその再生を搾り取られる絶望の奴隷生活を送っていた。自殺する事も許されず、苦痛だけの日々の中、死を唯一の希望としていた薪人間達の中で、サンは唯一「アグニ様」に希望を見出して、生きる希望を持ち続けていた。
「きっとアグニ様は奇跡を起こして助けに来てくれる」
その希望は、次第に絶望した人々の心の中に希望として広がっていくのだった。


【ベヘムドルグへの復讐戦】
トガタの指導で、武術を習い、武装を施したアグニは、トガタとネネトと3人でベヘムドルグへと復讐の戦いを挑みに行った。

トガタは映画が面白くなるように、アグニに黙ってべヘムドルグ側に戦いの応戦方法やアグニに負けない協力な武器を贈って、映画の準備を整えた。トガタにとって最重要なのは「映画」であり、アグニが負けて死んでも映画が面白ければそれでよかった。

戦闘の日、アグニはベヘムドルグで牢屋に押し込まれた奴隷達を見て、復讐より彼等の開放を優先させた。
「彼等を助けたい、サンを助けたい」
それはルナの復讐にしか生きる意味を見い出せなかったアグニに芽生えた、新しい感情だった。


ベヘムドルグはトガタの入れ知恵で、最凶の祝福能力を持つ囚人達を武装化してアグニと戦わせたが、アグニはどんなに悲惨にやられても、殺されても、体を木端微塵に粉砕されても何度でも細胞から再生し、何度も燃える拳でパンチを打ち続けた。
そのパンチはやがて全ての強靭な敵を殺した。
戦闘の中で、アグニの炎がベヘムドルグの建物に飛び、またたくまにそこにある密集した建物、そこに住む人々を焼き尽くし、みるみる間にベヘムドルグという大国は瓦礫と化して終焉した。
燃え尽きるまで消えることのないベヘムドルグのドマの炎は、アグニを通してベヘムドルグを崩壊させたのだ。


べヘムドルグで、「国王」また「神」として影でこの国を支配させられていたユダは、守り続けた国が完全焼失したと同時に、自分の「神を演じる役目」の終了を悟り、「これでやっと死ねる」と安堵した。
強力な再生祝福者であるユダは自殺する事が出来ない為、死ぬにはアグニの炎で自分を焼くしか死ぬ方法はない。
「お願い、死なせて」、そう迫るルナと同じ顔の女に、アグニはとまどった。

【氷の女王】
そんなアグニとユダの前に現れたのは『氷の女王』だった。
トガタはこの気候は地球が氷河期に入ったからであって、『氷の女王』などいないと言ったが、アグニの前に現れた『氷の女王』と名乗る者は、氷でアグニを突き刺すと、ユダを連れてどこか消えていった。

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