まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【カラダ探し】など

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進撃の巨人 15巻 第62話-2 「罪--記憶」

2014年05月12日 | 進撃の巨人
ハンジがリヴァイ達と合流する数時間前。


ハンジとモブリットは、ベルク新聞社の号外配布を手伝った後、リヴァイ達との合流場所へと向かうと、そこに居たのは調査兵団ではなく、中央憲兵の男女二人だった。
彼らはリヴァイからの指示でそこに居ることを確認すると、二人の案内でリヴァイ達の潜伏先へと向かった。

その途中で、人々から”例の手がかりの話”を聞くことが出来た為、モブリットをそ大至急エルヴィンの元へと走らせて、ハンジはリヴァイの元へと向かったのだった。





ハンジは、リヴァイ班と合流すると、エルヴィンのクーデター成功という良い話と、「エレンが食われる可能性」の悪い話をした。

エルヴィンからハンジに託された『レイス卿領地の潜伏報告書』によると、レイス家は5人の子供がおり、それとは別に愛人の子であるヒストリアがいた。
レイス家は領主として領地の人々に評判はよく、特に長女のフリーダは飾らない性格で、領民の皆が口を揃えて彼女はこの領地の自慢だったと語る程であった。

しかし、ウォール・マリアが破壊された日、レイス家を悲劇が襲う。
その夜、村の礼拝堂でウォール・マリアの惨事に、レイス家が一家全員で祈りを捧げていたところ、一家の主であるロッド・レイスを除く家族全員が、盗賊の襲撃を受けて惨殺されてしまう。
盗賊の襲撃で、礼拝堂は全壊している。

その数日後、ヒストリアの母が第一憲兵に殺される。


ハンジの推理では、盗賊が殺人を犯すのに、礼拝堂を”全壊”させる必要はないはずで、そこに巨人の存在があったと考えられること。


また、家族を失った直後にヒストリアに接触を図っているあたりに、連中がヒストリアを求める理由がありそうだ、という事だった。
だとすれば、今、リヴァイ班がエレン・ヒストリア奪還に向かうべきは礼拝堂となる。


アルミンはハンジの話を聞きながら考えていた。
巨人になれる人間を、巨人が食べることによって、その能力が継承される。
もしそれが本当なら、エレンはいつどうやって巨人になり・・・誰を食べて能力を得たのだろう・・・?







リヴァイ班が向かう礼拝堂の地下に、エレンは鎖でつながれていた。




いったいどれ位の時間気を失っていたのかはわからないが、その間にヒストリアは、父親ロッド・レイスにすっかり言い含められていた。

ヒストリアは、囚われのエレンに説明した。
「私のお父さんは、これまでもこれからも、この壁に残された人類すべての味方なの。
私達には誤解があったの。確かに彼らは、調査兵団の邪魔をしたし、ニック司祭やリーブス商会は殺されけど・・・お父さんはそうするしかなかった。
そのすべては、人類を思ってやらざるを得なかった事なの。」


あれほど父親を恨んでいたヒストリアが、すっかり手懐けられるのにどの位の時間を要したのだろう・・・。
兵長やアルミン達とはぐれて、かなりの時間が経つ気がする。

改めて周りを見ると、そこはうっすらと光る不思議な壁を持つ空間だった。
だけど、不思議とここに来たことがある気がして、エレンは戸惑った。

ロッド・レイスはそんなエレンを見透かすように「君はここに来るのは初めてだ。だが見覚えがあっても不思議ではない。」と言うが、その意味がエレンには全くわからなかった。

ロッド・レイスはエレンに”説明”すると言って、その手をエレンの背にかざし、ヒストリアにも真似するよう言った。
「私達が彼に触れるだけでいい。説明と言っても彼は、ここで起きた事の記憶がどこかにある。
こうすれば彼は思いだすだろう。この場所なら少しのきっかけを与えるだけで・・・」



そう言ってロッド・レイスとヒストリアは、その手のひらをエレンの背に押し付けた。







その瞬間、エレンの頭の中に電気が走ったように、様々な記憶が駆け巡った。
古い石造りの礼拝堂が見え、その地下へと降りる狭い階段を見つけ、下りた先にある光る壁を持つここの空間にロッド・レイスの家族がいるのが見える。



いつか夢で見たことのある黒髪の女性もいて、自分を睨んでいる。
そして女の巨人・・・・




これは俺の記憶じゃない!!!!!誰の記憶だ!!??


記憶はまだ続いていた。
巨人と化した自分が、人を掴んでいる記憶。
燃えて崩れる礼拝堂を立ち去り・・・・
そして手に巻き付けた鍵。その鍵には”見覚え”があった。父が自分に託した自宅地下室の鍵だ。



そして、ウォール・マリアに巨人が襲撃した日の”エレン”が見えて、泣きじゃくる少年のエレンに注射をする記憶。


少年の日の自分(エレン)が、巨人化していくのを見て、その巨人に捕まって、殺されていき
・・・


巨人の抜け殻の横に座りこむ少年エレンの横には、父の遺体の一部が散乱し、
「お・・・とう・・さん?」と泣き叫ぶ自分・・・。




そこまで来たところでロッド・レイスがエレンに話しかけた。
「どうだ?思い出したか?父親の罪を」









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進撃の巨人 15巻 第62話-1 「罪--夢があります」

2014年05月12日 | 進撃の巨人
調査兵団解体と、団長エルヴィンの処刑決定の運命のあの日、長く続いた王政が崩壊した。

王都・行政区を、ザックレー総統率いる兵団組織が制圧した後、民衆の前で、ザックレー総統とエルヴィン調査兵団長によって、現体制の崩壊が宣言された。
それは、エルヴィンのために用意された処刑台の上で宣言された。
だがエルヴィンは、まるでまだ処刑の身であるかのように、暗く浮かない顔で立っていた。






宣言直後、自由を手にした新聞記者達に、憲兵団長ナイルは取り囲まれた。
今までは、事実をどう隠し、歪曲するか徹していたが、今は自分の知る限りの事実を、自由に記者たちに伝えることが出来る。そして、自分の考えを発言することも出来た。

「ベルク社の号外の通り、フリッツ家は真の王でないことが判明し、真の王が世を忍ぶ姿で存在する事がわかりました。
この激化する巨人の襲撃の最中で、先導者たるべき王政の不信は、人類存亡の危機と言えましょう。
そして我々兵士の務めは、人類を巨人の脅威から身を粉にして守り抜くこと。
ならば我々が成すべき事は、真の王家に先導者としての威厳と、民の信頼を取り戻していただくよう助力することです。」
と。



この事態を興奮気味に話すナイルだが、民衆の顔は浮かなかった。
皆、一応に不安を抱えていた。
新聞記者の一人が、おずおずとナイルに質問した。
「それは喜ばしいニュースですが…民衆の思いは複雑でしょう。
もはや、この激動する世の中において、民衆は何を求めて、何を信じればいいのかわからないのです・・・・。」


そこでやっと、ナイルは、事態が明るくない事に気付いた。
世の中は、巨大な”不安”をすがるものがあったから何とか立ち向かって生きてきた。
その”すがるもの”がなくなった今、不安は大きくなるばかりである。



エルヴィンは、この計画を立てた時から、その事への懸念はあった。
民衆前での宣言から移動する馬車の中で、エルヴィンはザックレー総統に自分の考えを語った。

「人類を思えば、元の王政にすべてを託すべきでした。


王政がいくら浅ましく、下劣であったとしても・・・今日まで人類を巨人から生き永らえさせた術がある。
人類の半数を見殺しにするようであっても、人類が絶滅するよりかはいい。
エレンの持つ巨人の力や、ウォール・マリアの奪還計画も・・・エレンの命ごと、このまま彼等に託すべきなのかもしれない。
人類を思えば、私が常日頃仲間を死なせているように、エレンやリヴァイ・・・ハンジ皆の命を見捨て、自分の命と共に責任を放棄し、王政にすべて託すべきだったのでしょう。人よりも・・・人類が尊いのなら・・・」



黙って聞いていたザックレーは、
「君の使命は相変わらず辛いな。死んだほうがはるかに楽に見える。」と、その人類救出はエルヴィンの使命であって、自分の使命ではないかのように言った。



”より険しい道を選んだ”今となって、後悔と自責の念にかられているエルヴィンに、ザックレー総裁は事もなげに言った。
「エレンを王政に託して今の立場から退きたいのなら、ピクシスに入れ知恵をせず、部下にそう指示すればよかったのだ。」
エルヴィンは、自分の頭と心の食い違いを指摘されて、言葉に詰まった。


ザックレーは、エルヴィンの質問に答えた。
「私がなぜ王に銃を向けたのかは、それは・・・昔っから、王政が気にくわなかったからだ。」


「は?」驚くエルヴィンを気にせず、ザックレーは饒舌に続けた。

「むかつくのだよ、偉そうなヤツと、偉くもないのに偉いヤツが・・・。
人生を捧げて奴らの忠実な犬に徹して、この地位に登りつめた。
クーデターの準備こそが、生涯の趣味だと言えるだろう。
つまり、君達がやらなくても私がくたばる前にいっちょかましてやるつもりだった。
私はこの革命が人類にとっ良いか悪いかなどには興味がない」


「私の大した悪党だが、しかしそれも君も同じだろう?
君は死にたくなかったのだよ。私同様に、人類の命運よりも個人を優先させる程に。
君の理由は何だ?」



エルヴィンの心は少し自由になっていた。
自由になった心は、子供の頃を思い出していた。
あの頃…父から初めて歴史を聞いた時に自分の中に沸いた疑問、そして父の仮説。

エルヴィンは穏やかな顔で答えた。
「自分はとんだ思い上がりをしていたようです。
私には夢があります。子供の頃からの夢です。」

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進撃の巨人 15巻 第61話-2 「回答--より険しい道」

2014年05月11日 | 進撃の巨人
王の謁見の間のドアが激しい勢いで開かれ、駐屯兵が大声で報告事項を伝えた。
「ウォール・ローゼが巨人により突破されました!!!現在、避難住民が押し寄せて来ています!!!!」

その場に居た者達は、皆一様に青ざめた。
巨人による大量の人々の捕食、人類の居住地の縮小、そして人類同士の殺し合いが今始まろうとしている。

ナイル・ドークはハッとしてエルヴィンを見ると、エルヴィンは、まっすぐにナイルを見ていた。
「エルヴィン・・・、お前-------」


ナイルは、王の謁見前に、エルヴィンの牢獄で二人で話しをしていた。
その時の言葉がどうにもひっかかっていた。
エルヴィンは、ナイルの自宅がウォール・ローゼの東区にあり、家族が元気だと知ると
「・・・そうか。ピクシス指令に、あることを委ねた。もし・・・その時が来ればだが、その時、俺はただ見ている。選ぶのはお前だ、そして彼らだ。」



エルヴィンの言った『その時』が、今なのか!?
幹部達の誰もが、ただ青ざめるばかりでうろたえる中、ピクサス指令が王宮に響き渡る声で指示を出した。
「避難経路を確保せよ!!住民の避難が最優先じゃ!!」

だが、王の側近が、ピクシス並みの大声でピクシスの指令を制止した。
「ダメだ!!! ウォール・シーナの扉をすべて封鎖せよ!!避難民を何人たりとも入れてはならんぞ!!」


唖然とする幹部達の中、ウォール・ローゼ出身のナイルが口を開いた。
「そ、それは、ウォール・ローゼの住民を、人類の半数を見殺しにするとのご判断でしょうか?」
王の側近は「その者が言った通り、内戦が始まるだけだ!!わざわざ敵を増やすことはあるまい!!」とさも当然と言い捨てた。

”ただ見ていた”エルヴィンは、静かに目を閉じた。
ピクサス指令は、伝令役の部下に合図を送ると、伝令兵はどこかへ走って行った。

王の側近は、頭を突き合わせて相談を続けた。
「あの方が"それ"を手にするまで、数日の辛抱であろう。」
「避難民が領地に入ってくるなど耐えられないが数日乗り切れば何とかなる」
と。



幹部達にも混乱が起こった。王の意志に従うべきだと考える者、大勢の命を見殺しにしていいのか悩む者・・・。
その中で、ナイルはきっぱりと言った。
「俺はウォール・ローゼの人間だ。扉の閉鎖は阻止させてもらう。」
ナイルの守るべきものは、家族と故郷だった。
憲兵団の裏切りに場がざわついた時、扉の外から「私も加勢しよう」とザックレー総統が、銃を持った大勢の兵を引き連れて入ってきた。
「彼らの返事は意外じゃったかの?」と聞くピクシスに、ザックレー総統は「いいや?ちっとも。」と答えた。



驚く王の側近達に、ザックレー総統はひょうひょうと「先程の報告は誤報です。」と言った。
ピクサスは「首謀者ならワシじゃ」と続けたが、本当の首謀者はエルヴィンであった。

エルヴィンは、"賭け"に出たのだった。
あの日、ピクシスに「人類の運命を賭けるのか?」と聞かれ、その賭けを実行したのだ。
「では彼らに尋ねてみましょう。彼らが人類の手綱を握るに相応しいのかを。決めるのは王政(かれら)です。」と。



そして、巨人襲来の誤報を流して、彼らの下す結論を試したのだった。


ピクシスは王と、その側近達…この壁の中の世界を実質的に支配する者達に言い渡した。
「わしら一部の兵士は、ここで命を賭け、あなた方の意志次第では、反逆行為で首を差し出すつもりじゃった。
しかし、あなた方は、自らの資産を、残り半数の人類より重いと捉えておいででは、我々は大人しく殺されている場合じゃない。
たとえ我々が・・・巨人の力や、この世界の成り立ちに関して無知であろうと、人類を生かす気のない者を頭にしておくよりは、いくらかましでしょう」


しかし王政側はまだ余裕があった。
反乱が起きたとしても、2000年以上続く王政の体勢により、人々は王にのみかしづく存在となっている。反逆が起ころうとも、人民は王につくであろうと。


だが王宮の外では、ベルク社の新聞号外が人々の話題を集めていた。
そこには、リーブス商会の息子フレーゲルが、リーブス商会を殺害した中央憲兵の悪事を暴いたこと、
調査兵団が中央憲兵の罪を被せられていること、
今までの新聞が全て、王政によって情報操作されていたこと、
そしてフリッツ王は偽者であり、本物の王は別に存在することが、全て暴露されていたのだった。
人民は、この瞬間に王政への忠誠を捨てた。いや、捨てざるを得なかった。


手錠を外され、自由の身となったエルヴィンにナイルが声をかけた。
「エルヴィン、お前の勝ちのようだな。・・・嬉しくないのか?」

エルヴィンは険しい顔で答えた。
「ナイル・・・人類はより険しい道を歩まざるを得なくなったぞ・・・・」







そして話は、中央憲兵の寝城を襲った、リヴァイ兵長率いる調査兵団に戻る。
リヴァイ達の元へ近づく人影は、ハンジだった。
マルロとヒッチの二人が、ハンジをリヴァイの潜伏先まで案内して連れて来たのだった。

そして、ハンジから昨日起こった王宮でのエルヴィン団長とピクシス指令、ザックレー総統によるクーデターの件を全て聞いた。



「調査兵団の冤罪が晴れ、我々は自由の身だ。」
そこまで聞いてやっと、104期新兵達は歓声をあげた。
ジャン、アルミン、ミカサ、サシャ、コニー、そして新しい仲間のマルロとヒッチも抱き合い、飛び上がり、泣き、大騒ぎで喜んだ。




巨人出現以来、喜ぶという感情があっただろうか。
今までの苦労が報われた事に、命が助かったことに、未来に希望を抱けたことに、涙を流し、抱き合いながら喜んだ。


だが、リヴァイだけは冷静に「お前ら、一体・・・どんな手を使った?」とハンジに聞いた。
ハンジは「変えたのは私達じゃないよ。一人一人の選択が、この世界を変えたんだ」と答えた。

調査兵団を信じてくれたリーブス商会の会長の英断と、その意志を引き継いだフレーゲル新会長。
真実の暴露に勇敢に挑んだ新米新聞記者ピュレ、
家族や仲間と自分の命を賭けて、世界を変えることを決断したベルク新聞社のロイ、
廃墟と化したトロスト区の住民達、
家族を人々を守る決断をした憲兵のナイル、
エルヴィンの賭けに命を張ったピクシス指令、
体勢の変換を決断したザックレー総統と、その部下達、
そして、命を投げ打って最前線で戦ったきた兵達・・・
一人一人の勇気の決断が、世界を変えた。


だが、リヴァイの見る世界は、まだ何一つ変わっていない。
巨人に襲撃されて、その世界が破滅する驚異は、何一つ減ってなどいない。
エレンとヒストリアは、中央憲兵の親玉の手によって、本物の王の手に落ちた。
それをどうにかしないと、この革命は頓挫し、未来は開かない。

ハンジは若き調査兵団達に伝えた。
「エレンとヒストリアの居場所に心当たりがある。この戦いは、そこで終わりにしよう」









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進撃の巨人 15巻 第61話-1 「回答--人類の矛」

2014年05月11日 | 進撃の巨人
【ストヘス区・王宮】

王宮では、壁の中の全兵団の幹部が一堂に集まり、調査兵団団長エルヴィンの処遇決定と、調査兵団の解体が始まろうとしていた。街の中央では、エルヴィン調査兵団長を処刑するための"首吊り台"がちゃくちゃくと設置されていた。


王の側近がエルヴィンに聞いた。
「最期に言い残したことはあるか?エルヴィン。」




後ろ手に縛られ、王に膝まづいたエルヴィンは虐待の跡が生々しい顔を真っ直ぐに上げて主張した。
「調査兵団を失うということは、人類の矛を失うことを意味します。
迫り来る敵から身を守るのは、楯ではなく、驚異を排除する矛です。
例えばこの瞬間、ウォール・ローゼが巨人に突破されれば、ウォール・ローゼの住民をウォール・シーナへ避難させることになりますが、ウォール・シーナには食糧の備蓄はもうありません。それは人類による内戦の開始を意味します。」



側近は「・・・それで?調査兵団がいれば何か解決するのか?」と聞いた。
エルヴィンは「我々は真っ先に相手の懐に飛び込みます。引き下がるのみでは何の解決にもなりません。
・・・それとも、何かしらの秘訣があるのでしょうか?」
と逆に質問したが、王とその側近達は黙っていた。



沈黙を破ったのは、王の側近だった。
「君の主張はわかった。リーブス商会を殺したのは調査兵団ではない、調査兵団は王政に敵対していないと言いたいのだな?
しかし、君の腹心のリヴァイが、ストへス区で憲兵を多数殺害して逃走した。
そのような組織を、人類が容認する理由などこの壁の中のどこにもない!」
とピシャリと言い切った。

側近は、ピクシス指令にもその言葉を向けた。
「駐屯兵団と、調査兵団は、前線で命を張る者同士、親密な関係を築いておるのではあるまいな?」

ピクシスはチラリとエルヴィンを見てから答えた。
「あり得ませぬな、人同士の殺し合いほど愚かな話はない。
先のトロスト区防衛線においては、兵士を言い聞かせて、おおいに死んでもらったものです。
何より、巨人が壁を破って来た時、人があまり残っとらんようじゃ、巨人に呆れられてしまいししょうぞ」




ピクシス指令の話に、王の側近は愉快そうに大笑いして、ピクシスを疑ったことを詫びた。
側近達が笑っている間、ピクシスはエルヴィンに目で語った。
いかんぞ・・・エルヴィン・・・


エルヴィンとピクシスの話はついていた。
先日、ニファが本物の王家がレイス家である情報を持ってきた時の密談の際、ピクシスは、エルヴィンの革命には乗れない、と。
王家の持つ情報が、人類存亡の切り札である以上、エルヴィンの革命は、奴らの持つ情報や知恵を永久に失う可能性がある。
その"知恵"を無事に継承できる保障がない以上、ピクシスは、私欲にまみれた王家側に立つべきだと結論づけていた。
「また、根拠もなく賭けるか?お主が・・・人類の運命を」





エルヴィンは処刑台へと連行されながら、退屈そうな偽者の王と、私欲にまみれた側近達を見ながら思った。
これがよかったのだろう・・・。この人類を救うのが我々であるとは限らないのだから・・・・。
人事は尽くした。あとは-----------------
処刑台へと向かうエルヴィンの口元は、かすかに微笑んでいた。







その時、王宮のドアがけたたましく開き、恐怖の一報が報告された。
「ウォール・ローゼ東区が巨人に突破されました!!!!!現在、住民が押し寄せて来ています!!!!!!」






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進撃の巨人 15巻 第60話-2 「信頼--1日だけの取材」

2014年05月10日 | 進撃の巨人
【1日前・ストヘイ区】

話は1日前に遡る。

調査兵団と中央憲兵の酒場での戦いを取材していた、ストヘイ区のベルク新聞社のロイとピュレは、第一憲兵団から事実は全て隠ぺいするようにと、いつもながらの指示を受けていた。
今回の記事は、"中央憲兵が、野生化した調査兵団から住民を守った戦い"と書けとの指示だった。


壁の中は、王政によって統治されている。
もちろん新聞も王政の管理下におかれ、王政の広報機関の役を担うに過ぎなかった。

新米記者のピュレは、この事実に落胆してロイを責めた。
「ロイさんも、この謎多き世界の真実追求に情熱を燃やしていた時期もあったはずで・・・」

ロイはその言葉を塞いだ。
「我々は一人で生きているわけでない。仲間や家族ができ、自分を偽る事で自分の大切な何かは死んだが、代わりに、もっと多くの大切な者を守ることができた。」

ロイがそう言ってピュレの方を振り向くと、そこにはいつの間に入ってきたのか、調査兵団の女ハンジと、その部下モブリットが入ってきていた。


ハンジは静かに言った。
「ロイさん、あなたがこのまま王政に従っていても、仲間や家族、娘さんも守れません。
一日だけでいい、私達を取材してください。」





【トロスト区・廃墟】
トロスト区内の廃墟のような荒れた下街で、フレーゲル・リーブスは中央憲兵団に追い詰められ、銃口を向けられていた。


今、まさに殺されるという時に、フレーゲルは中央憲兵に質問を始めた。
「質問!どうして親父はお前ら中央憲兵によって殺されたんだ!?」

中央憲兵の男は、よく喋る男だった。
リーブス会長は、中央憲兵に脅されて、調査兵団から人をさらうよう依頼を受けていた。
だがなぜか、リーブス会長は中央憲兵を裏切り、調査兵団に味方したため、中央憲兵に殺されたんだ、と説明した。
男はさらに自分の感想として、会長は、街や従業員を見捨てて逃げていれば死なずに済んだものを、街や従業員に固執して死んでいった馬鹿者だ、とまで言い放った。

フレーゲルの、目つきがかわった。
「親父は俺に教えてくれたよ。商人は、人を見る目が大事だってな。だから俺は、親父が信頼した人を選んだ。」


フレーゲルがそう叫んだ時、廃屋の上から、フレーゲルの信頼した人達・・・調査兵団が降ってきた。





ハンジら調査兵団に殴られて、仰向けに倒れた中央憲兵の男は、その廃屋の上から、人々がこの話を全部聞いていた事を知った。


降りてきた住民は言った。
「全部聞いたぜ、中央憲兵が会長らを殺したこと、調査兵団が、リーブス商会を守ろうとしたこと。
そして、リーブス会長が・・・俺らの街を・・・俺らの生活を守ろうと、体を張っていたこと。ここにいる全員が証人だ。」


廃墟に住む何の力もない弱者共なんぞに何が出来る!!事実を決めるのは王政だ!!!と暴言を吐き続ける中央憲兵を、フレーゲルは、ケツに下に敷いて、みんなに言った。


「みんな・・・安心してくれ。この街はリーブス商会が守る。
今日から、フレーゲル・リーブス・・・俺が会長だ・・・よろしく・お願い・・します」

若者の決意に、廃墟と化した絶望の地、トロスト区に小さな希望が芽吹いた。
意志が、今、継承された。




ハンジは、リーブス紹介の若き会長の就任を見届けると、身を隠してこれを聞いたいて新聞記者に言った。
「この事実を、世間に訴えることが出来るのは、あなた達だけです」と。



若く、守るものを持たないピュレは、これにいたく感動し、王政に反旗を翻す意志を見せた。
だが、ロイはそうはいかない。この壁の中に長年敷かれ続けてきた「理」は、そんな簡単ではないことを知っていた。
実際、この壁の中の秘密を暴こうとした仲間達が、その家族が、何人も消息を絶ったのを見てきた。
「我々は王に生かしてもらっているんだよ・・・。あなたに私の家族を殺す権利があるのですか?」

調査兵団やリーブス会長が、命をかけて守るものがあったように、この新聞記者にも守るものがある。
ハンジは、その気持ちがわかるだけに、それ以上は何も言えなかった。
ただ、ここまで来て頓挫したことで、調査兵団の仲間の命が奪われる。それが悔しかった。



調査兵団に、時間はない。
その頃、ストヘス区の中心では、王の座の前に、囚われのエルヴィン団長が最期の審判を受けるべく召還されていた。










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進撃の巨人 15巻 第60話-1「信頼--命の優先順位」

2014年05月10日 | 進撃の巨人
ストヘス区憲兵団のマルコとヒッチの協力を得て、リヴァイ率いる調査兵団は、中央憲兵の根城に侵入を成功させた。
侵入するや否や、リヴァイは中央憲兵の長らしき人物を一人拉致してきた。
憲兵長以外の部下達は、しばらく歩けないよう脚を傷つけてきた。

調査兵団は新兵と言えど、巨人を相手に戦ってきた連中なので、憲兵達を大人しくさせる位はわけがない。
今回は人を殺すわけでないので、新兵達は対人対戦の指示を実行したが、ジャンは、人を傷つけたことに手の震えが止まらないでいた。

だが、リヴァイは違う。
中央憲兵の長の口に容赦なく蹴りを入れ続け、拷問によってエレンとクリスタの居場所を聞き出そうとしていた。


中央憲兵団の長も、黙って殴られているわけではなかった。
リヴァイが、殺人を認めて出頭しなければ、捕らえられた調査兵団の兵達や、エルヴィン団長は処刑される。
お前一人が出頭すれば、お前意外の全ての調査兵団達の命を助けてやろう、と取引をもちかけた。


だが、リヴァイはその取引をあっさり断った。
「イヤ遠慮しとこう。お前はエレンとヒストリアの居場所を言え。



「・・・へぇ、仲間を見殺しにして生き延びるのか。そりゃまた絆の深ぇことで」と言った中央憲兵長の腕をへし折りながら、リヴァイは答えた。
「まぁな、調査兵団の命には優先順位ってもんがある。それを承知の馬鹿どもの集まりだからな。」


絶対的力量差のある捕食者の巨人を相手に、その命を自ら投げ出して、巨人のエサとなってきた多くの調査兵団達。
無駄に死んだ、と言われても仕方のない調査の日々。
今生きている調査兵団は、彼らの命を継いでここに立っている。
世界を変え、人類を絶滅から救う。その大いなる目的の前に今更、命乞いもなく、自分の命を使い方は、自分が一番よく知っていた。

リヴァイの拷問に中央憲兵長は、口を割った。
「し、知らない。本当にほとんど何も知らされてないんだ。ケニー・アッカーマンはとても用心深い!!」


「アッカーマン?それが奴の姓か?」リヴァイは初めて、ケニーの名前を知った。
そして、ミカサもその名に反応した。自分もアッカーマンだ。



その時、見張りをしていたサシャが叫んだ。
複数の人影が、こちらにやってくる!
調査兵団に緊張が走り、サシャの指す方角に銃を構えた。


静まり返る平原に、憲兵長の声だけが響いた。
「お前たちのやってきた事を償う時が来た。調査兵団は、ここで終わりだ。」

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進撃の巨人 15巻 第59話-2 「外道の魂--新しい仲間」

2014年05月09日 | 進撃の巨人
ストヘス区憲兵支部の104期の新兵、マルコ・フロイデンベルク二等兵と、同ヒッチ・ドリス二等兵は、調査兵団の残党探しに、山中に派遣されていた。


マルコは、人類の為に自分の命をなげうって働く調査兵団が、殺人をするとは信じ難かった。
しかしヒッチは、ストヘス区で調査兵団のエレンの巨人と、女形の巨人が戦った事で、ストヘス区の住民や兵士がたくさん死んだ事を許しがたかった。

あの事件以来、ヒッチと同室で同期だった、アニが行方不明なのも心配だった。
「あの惨状は酷い。だけど潜伏していた巨人を見つけだし、壁の破壊を防ぐことに成功した。そんな事が他の兵団に出来ると思うか?調査兵団が解体されたら、人類は・・・・・。」マルコは調査兵団を否定しきれなかった。


しかしその時、マルコとヒッチはその調査兵団に掴まってしまう。
捕まりながらマルコは、あのリヴァイ兵長の本物が、自分のすぐ近くにいることに興奮を覚えた。



リヴァイは、憲兵団である二人の服を使って憲兵団に潜り込み、エレン達の居場所を探り出す計画をたてた。
だが・・・もう、こんな計画しかないことに落胆していた。どの道 時間はない。短期決戦に懸けるしかねぇ、と状況の不利を理解した。



リヴァイ兵長が「マルロ、ヒッチ、お前達だが・・・」と言った時、一同に緊張が走った。


調査兵団の居場所と作戦を知ってしまった以上、無事に開放するとも思えず、当人達はもとより、リヴァイの残虐性を知る調査兵団達も、その処遇に固唾を飲んだその時、ヒッチがリヴァイにたてついた。

「あなた達のせいで、ストへス区の人民が100人以上も死んだのを死ってますか?
あなた達は正義のつもりかもしれませんが、被害者とその家族は地獄に落とされたんですよ?」




リヴァイは「ああ、知ってる」と淡々と答えた。

その言い方に、ヒッチの怒りは止まらなくなった。
「あんた達、アニ・レオンハートと同じ南方訓練兵団出身なんだってね。アニがあの日以来見つかってないのは、巨人にグチャグチャにされて、見分けがつかなくなったからでしょ!?」
リヴァイは「いいや、巨人の正体がアニ・レオンハートだったからだ。」とこれも淡々と答えた。


ヒッチとマルコはその巨大すぎる事実に、目を丸くして、ただただ驚くばかりであった。
言葉を失ったヒッチに代わって、マルロがリヴァイ兵長に、リーブス商会を殺したのかを質問した。
リヴァイは「いいや、殺したのは中央憲兵だが、何が事実かを決めるのはこの戦いに勝った者だ」と答えた。




マルロは、リヴァイ兵長の言葉に嘘がないことを確信し、意を決してリヴァイ兵長に頼み込んだ。
「俺に協力させてください!!!この世界の不正を正すことが出来るのなら、俺は何だってやります!!!」


リヴァイは「・・・何だ、お前は?」とマルロの顔を見たが、その覚悟は信用できないとして却下した。

ジャンは思った。「こいつ・・・・多分本物のバカだ。あいつに似ている・・・」



ジャンも意を決して、リヴァイ兵長に自分にこの二人を任せてもらうよう言った。
ジャンの決意を感じたリヴァイは、ジャンに二人を任せた。



ジャンは、二人が信じられる人間かどうか、試した。
その試し方は、ジャンの賭けが外れた時、ジャンはマルコに殺される危険なものだった。
だが、マルコはジャンが思った通りのバカだった。
「調査兵団が今も、こうやって命を懸けて戦い続けている限り、俺はあんたを信じる」と。

マルコはジャンに、なぜ初対面でそこまで自分を信用したのかと聞かれた時、ジャンは一人の男を思い出していた。
「お前、俺の嫌いなバカに似ていたからな・・・」
マルコに「そのバカって、アニが言ってた奴か?」と聞かれたが、そのバカはきっとエレンだ。
「知らねぇよ、バカばっかいるから・・・」

そう言うジャンも、しっかりと本物のバカだ。


マルコとヒッチの協力のおかげで、中央憲兵団の潜伏先に早い段階で辿りつく事が出来た。
「行くぞ、今度はこっちが仕掛ける。」
リヴァイは、前へ進んだ。










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進撃の巨人 15巻 第59話-1「外道の魂---この壁の理」

2014年05月09日 | 進撃の巨人
【ストヘイ区】
調査兵団のリヴァイ兵長と、アッカーマン隊長率いる第一憲兵団が戦闘を交わしたストヘイ区の酒場の前には、たくさんの遺体が並び、それらを憲兵団が処理するのを、大勢の見物人が囲んでいた。


ベテラン新聞記者のロイは、新米新聞記者のピュレと二人で、この事件について取材していた。
酒場の客の目撃証言では、憲兵団が街中で調査兵団と争ったことが明らかになっている。
で、この事実を、どうように改ざんして記事にするかを、顔なじみの憲兵団の「ドーク師団長」に相談していた。

ロイの考えた「公式発表」はこうだ。
「中央憲兵団が秘密裏に開発した新型立体起動装置を用いて、現在手配中の残存調査兵団と交戦。
人類最強とされるリヴァイ兵士長を取り逃がし、死者多数。」

だが、ドーク師団長は首を横に振った。
「ダメだ、まだ待ってくれ。我々にも何が起きたか把握できていない」
それを聞いた新米記者のピュレが、口を出した。
「つまり、通常の憲兵団と組織系統の異なる、中央憲兵がやったという事ですか?」
ロイは、中央憲兵に関わる事は一切記述しない、という"この壁の「理」"を新人記者に教えた。
ドークは、新型立体起動装置について、一切書かないよう釘をさした。

ドーク師団長は、本当に知らなかったのだ。
散弾を使い、人を殺す為、調査兵団を殺す為だけにある"新型立体起動装置"という兵器の存在を。
中央憲兵団にもその存在が隠されていたという事は、我々憲兵団もその対象となり得るという事だ・・・。




その頃、怪我を負ったリヴァイ兵長と、新兵達は、山中の古びた馬小屋を隠れ家として体を休めていた。



外では、アルミンが激しい嘔吐に見舞われ、涙を流して苦しんでいた。


ミカサはそんなアルミンの背をさすっていたが、 「ミカサもこうなったの?」と聞かれ、答えに窮した。


ミカサが初めて人を殺した幼かったあの日、ミカサの傍にはエレンがいた。



アルミンが苦しんでいるのは、人をその手で殺したからだった。
ストヘイ区で憲兵団の馬車を追跡している時、憲兵の1人が防衛班のリヴァイとミカサをすり抜けて、アルミンとジャンの乗る馬車へと追いついた。


アルミンに向けられる銃を、ミカサが蹴り倒してアルミンを守ったが、蹴り倒した先がジャンの乗る荷台だった。


荷馬車に飛び込んできた憲兵団の女に、ジャンが銃を向けられた時、アルミンはとっさに女を撃っていた。


そのアルミンの判断があったから、ジャンは今生きている。


暫くして嘔吐が落ち着いたアルミンは、ジャンに確認したい事があった。
あのタイミングと距離では、アルミンが銃をとっても間に合うはずがなかったのだ。
なのに、先に銃を撃ったのがアルミンであった事に、アルミン自身が納得いかなかった。
ジャンは、言葉に詰まった。
自分に銃を向けた女が見せた、苦悩と躊躇の表情。
それは巨人とは違う、血が通い、感情のある、自分達と同じ人間そのものだった。


言葉に詰まるジャンのかわりに、リヴァイが口を開いた。
「相手が撃つのを一瞬躊躇した、そうだろ?」


人を殺す事をためらう優しい人間を、自分は殺した・・・。やはり、アルミンにとってそれはショックだった。

リヴァイはアルミンに言った。
「お前の手はもう汚れちまったんだ、新しい自分を受け入れろ。
お前の手がきれいなままなら、ジャンはここにいない。お前がすぐに引き金を引けたのは、仲間が殺されそうになっていたからだ。
お前は聡い。あの状況で半端な事が通用しない事、物資や馬車を無くせばその先に希望がない事を理解していた。
アルミン、お前が手を汚してくれたおかげで、俺達は助かった。ありがとう。」




そして、ジャンが重い口を開いた。
「リヴァイ兵長、オレはあなたのやり方は間違っていると思っていた。
いや・・・そう思いたかった。自分が人に手をくだすのが、怖かったからです・・・。間違っていたのは自分でした。次は必ず撃ちます。」




それに対するリヴァイの言葉は、ジャンには意外なものだった。
「何が本当に正しいかなんて俺は言ってない。そんなことはわからないからな。お前は、本当に間違えていたのか?」





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進撃の巨人 14巻 第58話-2「銃声--動くな!!」

2014年05月08日 | 進撃の巨人
【ストヘイ区内、トロスト区との境】
リヴァイが第一憲兵と戦いながら逃げている頃、リヴァイ班の104期新兵達は、リヴァイの指示に従ってストへス区内で待機していた。

サシャがその野生の耳で、トロスト区内で鳴り響く銃声を聞きつけ、一同に緊張が走った。
アルミンは冷静に、兵長達が憲兵に見つかった時の作戦に切り替えるよう、皆に指示した。

作戦はこうだ。
まず指名手配されているリヴァイやニファ達4人は、立体起動装置を使って屋根伝いにトロスト区より「エレンらが乗っていると思われる霊柩車」を追跡しながら、ストヘイ区へと壁を乗り越えてはいる。

指名手配されていない104期の新兵達は、先にストヘイ区で馬車と馬を用意して待機。
霊柩車がストヘイ区へ入ってからは、新兵達が馬車での追跡を担当し、全員が合流するまで目標を補足し続けること。

しかしトロスト区ですでに尾行が発覚した今、アルミンは、もはや尾行ではないこの方法で、エレンらを最後まで追跡できるとは到底思えなかった。


サシャは、銃声が何発も近づいてきつつあることに気づいた。
だが、ジャンはいわかに信じがたかった。
”銃を撃ちながら”立体起動装置で人を追えるはずがない。
ましてや、憲兵が、あのリヴァイ兵長の動きについていけるわけがない。

しかし次の瞬間、ジャン達は信じがたい光景を目にする。

エレンらを乗せた霊柩馬車の後ろを、流血したリヴァイ兵長が巨人用のブレードを抜いた状態で逃げていた。
その後ろを、両手の銃をリヴァイ兵長に向けてぶっ放しながら、飛んでくる憲兵達。
バカな!立体起動装置を使って、銃を撃ってくるなんて!!

もっと信じがたかったのは、リヴァイの行動であった。
リヴァイ兵長は、対巨人用ブレードで人間を斬り殺しながら飛んでいた。


人の血に染まったブレードを振って、新兵達に左にそれるよう合図したリヴァイは、アルミンのひく荷馬車の荷台に着地して指示を出した。


「霊柩馬車はもう追うな。俺達の行動は筒抜けだ。一旦、エレンとヒストリアを諦める。
奴らは二人をエサに、残存する調査兵団を全員殺すのが目的だ。
きっとこの先も敵が待ち伏せしている。同じようにして他の3人は殺された。」


続けて、次の指示が飛んだ。
「アルミン、左側から最短で平地を目指せ。サシャとコニーは馬を牽引、ジャンは荷台から銃で応戦しろ。ミカサは、俺と立体起動装置で逃走の支援だ。」

エレンの追跡を諦めることに、ミカサが納得するはずがなかった。
「エレンとヒストリアは、どうするつもりですか?」
「他の手を探すしかねぇだろ。それも、俺達がこの場を生き延びることができたらの話だ。敵を殺せる時は殺せ。わかったか?」


ミカサは「了解」と答えたが、ジャンは人を殺すことに了解できないでいた。
だが、ジャンが納得しようがしようまいで、「敵」が大挙して前方から自分達の命を狙って集まってきた。


「敵」を目指して飛び上がったリヴァイとミカサは、仲間を守る為に躊躇なく憲兵を殺していく。
「クソッ・・また人が死んだ! 何でこんなことに・・・!」
ジャンは、自分達の目的の為に人が死んでいくこの事態に迷いがあった。


その時、一人の憲兵がリヴァイらの攻防戦をすり抜けて、アルミンとジャンの乗る荷馬車へと向かった。
アルミンへ向けられる銃声。だが、間一髪でミカサがその憲兵を蹴り飛ばして、アルミンは命拾いした。


その憲兵がころがり落ちたのは、ジャンの乗る荷台だった。
目の前に横たわる憲兵に、ジャンは銃を向けながら「動くな!!動くなっつってんだろ!!!」と怒鳴るも、憲兵は立ち上がってジャンの手から銃をはじき飛ばし、丸腰になったジャンの顔面に、銃をつきつけた。
ミカサも、リヴァイも間に合う距離ではなかった。


次の瞬間、パン!という乾いた銃声とともに、ジャンの帽子と血しぶきが飛んだ。






【ロッド・レイスの隠れ家】
どの位の時間が経ったかわからないが、拘束されて棺桶に入れられて連れ去られたエレンは、突然棺桶のフタが開いたことに気づいた。

「ようエレン。長旅ご苦労さん。」
そう言ってエレンを棺桶から出したのは、第一中央憲兵の切り裂きケニーこと、アッカーマン隊長だった。
横を見ると、ヒストリアが中肉中背の男に棺桶から出されていた。

あれはロッド・レイス…。こいつか…オレ達の邪魔をする奴は…人類の敵…。
ヒストリアの話を聞く限り、こいつは、クソ野郎で間違いねぇ!とエレンはその男を睨んだ。


棺桶から出されたヒストリアも、積年の憎しみを込めた目で、ロッド・レイスを睨んだ。
しかし、ロッド・レイスは「ヒストリア、今まですまなかった。」
と詫びると、ヒストリアの体をぎゅっと抱きしめた。





ヒストリアは、今、何がおきているのかわからないでいた。







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進撃の巨人 14巻 第58話-1「銃声--隊長撃たれる」

2014年05月08日 | 進撃の巨人
「ケニー!!」
そう叫んだリヴァイは、対巨人用の予備の超硬質ブレードをケニーに向かって投げつけた。
しかし、ケニーもひるむことなく、ブレードを避けて撃ってきた。



ケニーの攻撃を間一髪かわしたリヴァイだったが、目の前には、逃げ切れずに顔面を撃たれたニファの遺体が転がっていた。
また、守ってやれなかった…。ギリギリと歯を食いしばり、ニファを残してリヴァイはケニーから離れた。






ケニーはリヴァイが逃げたと思ったが、そうではなかった。
リヴァイは街中を走る、エレンとヒストリアを乗せた馬車を追ったのだ。
「クソ・・俺の行動が読まれている。このままじゃ棺の二人も、部下も失う。よりによって、なぜヤツが憲兵に・・・」

だがその行動も読まれていた。考える暇もなく、リヴァイは待ち伏せしていた中央憲兵団に囲まれ、全方向から銃撃を受けた。
立体起動装置をつけての銃撃はできないはず!?



空中戦では耐え切れないと判断したリヴァイは、酒場に飛び込んだ。


だが、ケニーは銃を両手に酒場に追ってきた。


酒場の外では、ケニーの部下の何十人もの憲兵団が、リヴァイが飛び出すのを待ち構えていた。
リヴァイは、酒場のカウンターの下に身を隠しながら、ケニーの呼びかけに応えた。
久しぶりだな」
「おぅ、懐かしいな」
二人の久々の出会いは、殺す側と、殺される側だった。


「なぁリヴァイ。どうしてお前が調査兵団になったか、俺にはわかる気がするよ。
俺らはゴミ溜めの中で、その日を生きるには精一杯だった。
世界がどうやら広いらしいと気づいた時には、ひどく傷ついたもんだ。
ちんけな自分と、そのちんけな人生には何の意味もねぇって知っちまった」
ケニーは、話を続けた。

「だが、救いはあった。やりたい事が見つかったんだ。大いなる目標のためなら、殺しまくりだ。」
リヴァイら、調査兵団の理論と通じるものがある。

リヴァイは、ケニーの話しを聞きながら、棚に並ぶ酒瓶の角度を調整した。
ビンに映るケニーは、リヴァイに最後の一発を食らわせる体制に入っていた。
だが、先に撃ったのはリヴァイだった。
リヴァイは、カウンター下から酒瓶に写るケニーめがけて、後手に銃を撃った。






弾は、ケニーの胸に命中した。
「アッカーマン隊長が撃たれた!」
部下の女性はアッカーマン隊長に「やっと死んだんですか?」と尋ねると、アッカーマン隊長こと切り裂きケニーは「バカ野郎・・・」と言いつつむくりと起き上がった。
「どチビなりに、成長してたらしい。こりゃ簡単じゃねぇな。」とつぶやいた。
「よかったですね」と声をかけた部下に「いいわけねぇだろ。俺の夢が遠のいちまうだうが」と答えた。





リヴァイは、袋のねずみの酒場から飛び出すと同時に、第一憲兵団を殺しながら逃げ進んでいった。
対人用高機能散弾銃に対し、リヴァイは対巨人用の刃しか持たない。
しかし、圧倒的な力を有する巨人との戦い中で身についた戦闘能力はケタ違いだった。
的確に、相手の「うなじの肉」をそいでいく。


その天才的な戦術と躊躇のない残虐さに、アッカーマン隊長の下で殺人訓練を受けていたはずの第一憲兵達も青ざめた。
だが、いくらリヴァイでも圧倒的な人数差は不利なうえ、すでに作戦は破たんしている。
リヴァイは、憲兵団に追われつつ、新兵達の待つストヘイ区への壁を越えて行った。


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