まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【カラダ探し】など

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東京喰種トーキョーグール 1巻 009 「孵化」

2016年06月18日 | 東京喰種トーキョーグール



立ち上がった僕は、激しい怒りと、死ぬほどの痛みと、想像を絶する空腹に我を忘れていた。

カネキの体から出た「赫子」は、激しい勢いで錦を狙い、超人的なスピードで錦の傍まで駆け寄ると、3本に別れた赫子で錦の体を貫いた。





錦は苦しそうにもがき、やめろッ!!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬッ!!!と喚いたが、カネキの赫子は、錦の体内をさんざんかき回した挙句、赫子をブンッと振って、赫子に付着していた錦を振り払った。



錦は、赫子にやられながら、この”爪”・・・リゼのそれと酷似している・・・と思った。


錦との闘いに勝った僕は、僕でないようで呆然となったが、
すぐにヒデが心配になって駆け寄ろうとしたが、駆け寄れなかった。

僕の頭の中で僕じゃない誰かが、話しかけてくる。
ヒデの匂い・・・食欲をそそる芳ばしい香り・・・
ほら、彼をよく見て。ほら、ほらほらほらほら。
じっくり見て、嗅いで!ああたまらない、もったいない!
こんなに〝美味しそう″じゃない。



カネキは自我を失っていた。
「ああ・・・ほんとうだ、どうかしてるぞ僕って奴は・・
せっかくのごちそうじゃないか、僕が喰べてあげないと・・・・」


カネキがヒデに駆け寄ろうとした時、ヒデの前で立ち塞がっていたのは、トーカだった。
トーカはまた、ビルの上からカネキの戦いを一部始終見ていたのだ。

トーカを食料を奪う敵と思いこんだカネキは、荒い息と紅い眼で「どけよ」と凄んだ。

「随分とらしくなってんじゃん、半端野郎。
激痛と空腹で理性吹っ飛んで・・・死にたいぐらい苦しいんじゃない?

その苦痛から解放される為なら、友達の命ですらどうなっても構わないでしょ?

そしてアンタは、彼を喰い散らかした後に、一人で後悔するの。血と臓物の上で。
それが【喰種】の飢え。それが私達の宿命・・・。ホントうんざりする。
・・・今回は、同情して救ってあげる。大人しくくたばんな」

トーカはそう言うと、着ていた黒いマントをぬいで、カネキとの戦闘態勢に入った。




どのくらい時間が経ったのだろうか。
僕が目を覚ますと、喫茶「あんていく」の2階に寝かされていた。
錦にやられた傷はすっかり治っていたが、口元に血がついていた。

何が起きたのかわからずに呆然とする僕に声をかけたのは、「あんていく」の店長だった。
「トーカちゃん達が運んでくれたんだよ」


咄嗟に僕はゾッとして血の気がひいた。
ヒデは!!?ヒデはあの後どうなったんだ!!!?
店長は黙って、ヒデが寝かされている別の部屋を案内してくれた。
僕はほっとして、心の底から嬉しくて、ヒデに駆け寄ろうとして・・・ある事に気が付いた。

空腹がおさまっている・・・・。
「・・・僕、最近はずっと空腹が続いていたんです・・・。
特にあの時は死にそうな位の飢餓感で・・・自分でも訳がわからなくなって・・・」


僕は、それでヒデを喰べようした、という言葉を飲み込んだ。

僕は店長の方に向き直って言った。
「でも今はまったくそれがないんです。僕の口についていた血・・・これは僕のじゃない。
正直に答えてください。僕が寝ている間に・・・何を・・・」


優しそうな店長の顔が、一瞬【喰種】に変わり、押し殺すような声がした。
「空腹を満たす方法は”ひとつ”しかない。・・・君もわかっているだろう。
あのままだと君は、友達をその手にかけていたよ。自分が”何者であるか”を知りなさい」



店長は僕の代りにヒデの様子を見てくれた。
ヒデはすーすーと寝息を立てて、寝返りをうった。

「僕は…友達を傷つけたくない…です。ヒデとは一緒にいられない。
【喰種】の世界でも生きられない。人間でも喰種でもない僕は…は…孤独(ひとり)だ…っ」

そう言葉を絞り出すと、その言葉が自分にのしかかってきて、それが現実であることを思い知る。
僕の居場所なんてどこにもない。たった一つの大切な居場所にも戻れない。
僕は涙が止まらなかった。



暫く黙っていた店長は、優しく僕に話しかけた。
「どちらでもない?それは違う。君は【喰種】でもあり、”人間”でもあるんだ。二つの世界に居場所を持てる、唯一人の存在なんだよ」


僕はその言葉に、どれだけ救われたかわからない。

「私達の店に来なさい。【喰種】の生き方を教えよう。
人間である君の居場所を守る道にも、きっと繋がる筈だよ。
そして少しでもいい、人間である君に、私達のことを知ってほしい。
我々が、ただの飢えた獣なのかどうか。
まずは、美味しいコーヒーの淹れ方からでも」






僕は涙をぬぐって、そして聞いた。
「僕…バイトとかしたことなくて…僕でも出来ますか?」

二人が部屋を立ち去った後、ヒデはそっと目を開けた。
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