まんがパウチ (レビュー・ネタバレ)

漫画の絵とストーリーを、真空パウチするように書きとめました。
【ファイアパンチ】【カラダ探し】など

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東京喰種トーキョーグール 3巻 028「円還」

2016年06月29日 | 東京喰種トーキョーグール
トーカに首を斬られた真戸は、どぶ川の中に倒れこんだが、それでも笑っていた。
「ク・・・ククククク、私が【喰種】如きに・・・・しくじったな・・・ハハハハ・・・クソ【喰種】め・・・。
死ね!貴様らに生きる価値などあるものか・・・、存在価値など笑わせる・・・・間抜けな【喰種】が・・ハハハハ・・・」




真戸は血を吐きながら、残った左手と右足だけで、ずるずるとトーカに近づいてきた。
「まだだ・・貴様らに報復を・・・わたしは・・ヤツを・・【隻眼(せきがん)】をこの手で葬るまでは・・・まだ死ねな・い」



真戸の最期は、その左手をトーカの膝の上に乗せて、息絶えた。
トーカは、真戸の手袋を見てイラだった。
「どけよ、手袋なんかしやがって・・・私らに触るのも嫌なのかよっ!!」と言って手袋を怒りに任せて引っ張って、その手を見て止まった。

真戸の右手は何度も傷つき、治ったのであろう古傷にまみれ、そしてその薬指には結婚指輪がはめられていた。
自分が殺したこの男にも、妻がいて、家庭があって・・・・家族があり、人生があったことにトーカは気付いてしまった。




トーカに声をかけたのは四方さんだった。
「おい!大丈夫か?」の呼びかけにトーカは「私は・・・大丈夫です、それより・・・・」と答えた。
四方さんは真戸の死体を回収しようとしたが、すぐに止めた。
「いや・・・誰かがこちらへ向かってきている。死体を運んでいる時間はない、行くぞ」

服の背中に4箇所の穴を開けたチナミちゃんを、四方さんがおぶって帰路に着いた。
四方さんは気付いていた。この現場を、遠くマンションの屋上から見ている者がいたことに。




僕は、怪我を負ったトーカちゃんの元へと駆け込んだ。
トーカちゃんは、先程戦闘していた場所・・・捜査官の遺体を残した場所を見つけながら、何かを考えているようだった。
僕はその思いつめたような背中に、声をかけることができなかった。





僕達が現場を立ち去った後に来たのは、僕が戦った捜査官だったことを僕は知らない。
亜門は、真戸の無残な遺体を見つけ、その無念を、この男の激しいまでの無念を思い、泣いた。
人目も憚らず、声をあげて泣き叫んだ。
どうして死なねばならない!!?どうしてこうも無残に殺されねばならない!!!!?
この無念に、この殺人に理由などあっていいものなのか、理由があれば殺されていいものなのか。
また一つ、亜門の中に哀しみと憎悪と怒りが積もっていく。






僕達の帰路、四方さんの背中におぶられたチナミちゃんが、ぽつりとつぶやいた。
「生きて・・いいのかな。わたし、生きてていいのかな・・・」

ここ数日、ヒナミちゃんに抱えきれないほどの事があったはず。僕なんかが何かを言え立場ではないけれど、それでも・・・。
僕はヒナミちゃんに声をかけた。
「ヒナミちゃん、リョーコさんはあの時、「生きて」って言ったんだと思うよ」
ヒナミは、あの時の、最期に笑った母の顔を思い出して「・・・うん」と頷いた。




僕は、傷ついたトーカちゃんに肩を貸して、人を殺したばかりの【喰種】達と歩きながら考えていた。

20区の捜査官はもっと増えるんだろうか、ラビットやヒナミちゃん、そして僕を狙って。
何かしなきゃ、僕にも出来る事があるはずなんだ。僕にしか出来ない事が・・・。

僕の頭の中を、あの人の言葉がぐるぐるとループしていた。
「この世界は間違っている」

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東京喰種トーキョーグール 3巻 027「三人」

2016年06月29日 | 東京喰種トーキョーグール
亜門が立ち去った後、カネキは一人で想像を絶する飢えの狂気と戦っていた。
ヒトを傷つける事は避けれたものの、【喰種】の食欲が止まらなず「一旦人を殺して肉を喰おう!」という思いに支配されては、必死に"人間"の自分が押さえ込もうと、のたうちまわっていた。




カネキの意識がだんだんと【大喰いのリゼ】に支配されていき、カネキの自我が押さえ込まれていく。
人を殺す為の赫子が、止まらない。

そんな危険な状態のカネキに声をかけた者がいた。
黒いマスクをした男は「お前を、見ていた」と声をかけた。

だが、その"お前"の中はすでにリゼに乗っ取られていた。
「・・・誰かしら?フフ、まぁ誰でもいいか。ねぇ、あたし、すごくお腹がすいてるの」


そう言った次の瞬間、カネキはそのマスクの男の腹に爪状の赫子を突き刺して、笑いながら肉をえぐっていた。



男はそうなる事がわかっていたかのように、それには動じずに静かに赫子を抜き、マスクを取って言った。
「芳村さんがお前に目をかける理由が、わかった気がする。俺も・・・お前がこれから先、何を成していくのか見たくなった。
戻ってこい・・・研」



そのマスクの男は四方さんで、四方さんの顔を見てカネキは正気を取り戻した。
だが、正気に戻ったカネキにとって、自分のしていた事・・・四方さんの腹をえぐった事はショッキングだった。
相手が【喰種】である四方さんだったから助かったものの、人間がそこに居たなら確実に殺していた・・・・。
「僕・・・あ・・・何でことを・・・ああ・・・」

飢餓と正気、喰種と人間の狭間で苦しむカネキに、四方さんは「あんていく」の個包装人肉を手渡した。
「喰え、楽になるぞ」






真戸とトーカの方では、真戸が容赦なくトーカに「トドメ」を刺そうと、"父親"の赫子『クランケ』をトーカめがけて振りあげた・・・が、真戸はその手に手ごたえがなく、異様に右手が軽いことに気付いて、自分の右手を見ると、右手首ごと切断されていた。

やったのは、ヒナミ。
ヒナミは、自分を守ろうとするトーカの窮地に耐え切れず、悲しみの感情で【喰種】としての赫眼と赫子に開眼していた。
その赫子は、母のそれと似た蝶の羽のようなものだったが、下2枚は父親譲りの節足動物のような形状だった。



ヒナミは泣きじゃくりながら「もうやめてよ・・・お姉ちゃんを傷つけないで・・・、おとうさんを、おかあさんを、そんな風にしないでよぉ!!!」と言うと、その節足動物型の赫子が伸びて、真戸を攻撃した。
真戸は、ヒナミの赫子を交わすと、トーカに突き刺さった母親の赫子を抜き取ると同時に翻し、母親の赫子クランケで、娘のヒナミを殺そうと攻撃した。

だが、ヒナミの上2枚の蝶の羽状の赫子が、真戸の攻撃を防御する。

真戸は、自分の右手からどくどくと流血している事を気にも留めずに興奮した。
「素晴らしい!すごいいっ!!!母親と父親の赫子の優れた部分だけが見事に引き継がれている!!!実に良質な赫子だ!欲しい!!!」



真戸にとって、赫子とは武器の材料であり、玩具である。
左手しか使えない真戸は、リョーコの赫子クランケを「えええいっ、重い!」と放り出すと、父親の赫子クランケを握って、ヒナミを攻撃した。
「よこせええええええッ!!!!」

だがヒナミの"父親型"赫子は、真戸の"父親型”クランケに巻きついて動きを止めると、真戸ごと持ち上げ、残るもう1本の"父親型"赫子で、真戸の左足を切断した。



だが、それすら真戸は気にせず、ヒナミの赫子を欲しがり、どぶ川の中を這いずるようにしてヒナミへと近づいて行く。
「フ・・フ・・素晴らしい・・・、私のクランケにしてやるぞ!家族は一緒にいるべきだろォ・・ハハハハハ!!」


トーカは、ヒナミに声をかけた。
「ヒナミ・・・トドメ・・・」

でもヒナミは動かない。 「私、できないよ」と佇むヒナミに、トーカが強い口調で言った。
「アンタの両親の仇なのよ・・・!?」

ヒナミは動かなかった。
「私も考えたんだ。この人に仕返しすれば、このモヤモヤも消えてくれるのかなって思うけど・・・、けど違った。
復讐なんてどうでもよかった・・・・。私・・・かなしいだけなの、おとうさんとおかあさんにあいたくて・・かなしいだけだった。」

悲しみに暮れるヒナミから、赫子が消えていく。
「三人で暮らした時にもどりたい・・・ひとりはさびしいよ・・・おとうさん、おかあさんっ・・・」



「反吐が出るっ!!」と真戸が、残った左手でクランケを拾いあげて、ただの少女となったヒナミめがけて振りかざした時、動いたのはトーカだった。
トーカは、真戸のその喉を切り裂き、一撃で確実に殺した。





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東京喰種トーキョーグール 3巻 026「対者」

2016年06月29日 | 東京喰種トーキョーグール



「だったらわからせます」と言った言葉の意味が、何をわからせたいのか、さっぱりわからない亜門は、立ち上がって自分を睨みつける【喰種】に、戦闘の意思を見取って自分も身構えた。
どうせ、【喰種】側の勝手な言い分なのだろう。
 「ふん・・・【喰種】の戯れ事など、耳を傾ける必要はなかったな!」

再度のカネキの攻撃に、さっきよりは少し動きがよくなった程度だと見切った亜門は「取るに足らん!!」とカネキを足で蹴り上げた。

蹴り上げられた時、僕は軽い・・・たいしたことないと思った。
本物の【喰種】である西尾さん(錦)に、何度も蹴られたが、その時の蹴りとは破壊力がまったくと言っていいほど違って軽い。
僕は「たいしたことないな。効かないよ、そんな蹴り」と言うと、捜査官の顔に悔しそうな色が見てとれた。
カッとなりやすいところはトーカちゃんに似ているが、重い武器を振り回すその動きは、トーカちゃんの俊敏さに比べればとても遅い。
僕は、その捜査官を「当ててみろノロマめ」と言葉で煽った。
 
逆上して冷静さを失えば、攻撃が直線的になり、僕でも戦えるかもしれない、と思ったのだが、読みどおり、まるでトーカちゃんのように激情に駆られて、金棒をぶんぶん振り回して攻撃してきた。


だとすれば、危ないのはあの"金棒"のような武器だけだ。この人からあの武器を取ったら、あの人は戦えなくなるかもしれない。


あの金棒に対抗するには、西尾さん(錦)と戦った時のような"本気の力"で赫子を使わねば勝てないだろう。
僕の中に躊躇はあった。
怖い・・・・、自分の意識がとぶほどおかしくなって、必要以上に彼を傷つけてしまうことが怖かった。
だけど、せめて戦っている時は、僕の中の【喰種】を受け入れるしかない・・・・と決心した僕は、マスクの口についているチャックを開けて、捜査官の肩に噛み付いた。





「いただきます」

僕は、捜査官の服の上からその肩の肉を噛み千切って、肉を飲み込んだ。
自分の意志で生きた人間の肉を喰うのは、これが初めてだった。


肉を呑み込んだ瞬間の、なんともいえない恍惚感と、全身にいきわたる感動的なほどの感覚。
ああそうか・・・。
【喰種】は、生まれながらにして得ることの出来ない人の快楽の代わりに、"これ"が与えられたのか、とわかった気がした。
快感と快楽・・・そこに堕ちていく感覚に包まれていく・・・。



人間のそれとは違う強烈な快楽に、リゼさんのような「食欲」に支配された【喰種】がいるのも充分に理解できた。
そして、自分も今、快楽とも言える強烈に食欲に呑み込まれそうになっていく・・・。

だけど!僕は"自分(ヒト)"を見失わない! それが僕の戦い方だ!



飛び上がり、振り切った僕の赫子は、狙った通り捜査官の金棒を切り刻んだ。
捜査官は、重い金棒を渾身の力で振り回した為、僕が噛んだ傷口が開き、血が吹き出した。

亜門は武器も肉体も失くして、【喰種】の前で膝をついた時に死を覚悟した。
『クランケ』をいとも簡単に破壊するとは・・・相手を見誤った・・・。まさか20区にこんな【喰種】がいたとは・・・。
『クランケ』が使い物にならなった以上、【喰種】相手に生身で戦えるはずがない。
自分は、空腹の獅子をつついてしまったようだ・・・。




だが、その【喰種】は意外な行動に出た。 
「逃げてください。このままだと僕はあなたを殺します。どうせその状態じゃ戦えない、行ってください・・・」と言う。

劇情型の亜門は「ふ・・ふざけるなッ!【喰種】相手に背を向けるなどと・・・」と意地を張ったが、カネキにはそれにつきあっている時間がなかった。
「行けッッ!!!頼むから・・・・・僕を・・・・人殺しにしないでくれ・・お願いだ、耐えられない、早く行ってくれっ!」



カネキは、自分の中の【喰種】の食欲を止めることに限界を感じていた。
自分が自分でなくなるような、強烈な飢えと精神の崩壊に襲われていた。

亜門は驚愕して、その【喰種】の顔を見ると、そいつは泣いているようだった・・・。





逃げた先で、亜門は繰り返し繰り返し考えていた。
あの【喰種】は一体なんだったんだ? なぜ俺を見逃したんだ・・・?捜査官という敵である俺を・・。
奴は泣いていた・・?「人殺しにさせるな」って何だ?存在そのものがヒト殺しである【喰種】が何を言っている?
それに・・・「わからせる」という言葉の意味はなんなんだ・・??

今まで大量の【喰種】と対峙してきた亜門だったが、初めて見て、聞く【喰種】に、とまどいを隠し切れなかった。
考えてもわからない。
【喰種】の戯れ事だと自分に言い聞かせて、真戸さんの元へとよろよろのその体を引きずるようにして急いだ。
何か、嫌な予感がしていた。









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東京喰種トーキョーグール 3巻 025「開眼」

2016年06月29日 | 東京喰種トーキョーグール


【喰種グール】を掴まえて殺し、赫子を取り出して、「喰種捜査官」の対喰種用武器にするという【喰種】への侮辱と、殺した母親の赫子を娘に見せ付けるという人でなしな行為に、トーカの怒りは収まらなかった。

チナミの悲痛な叫び声が、トーカの仲間思いの優しい気持ちを、激情へと駆り立てる。
それも、真戸の狙いだった。

「・・・こ・・・んのッ・・ゲスッ野郎ォ!!!」
トーカは赫子を沸き立たせて真戸に向かっていくが、リョーコさんの赫子が真戸を守って、トーカの攻撃を無効にする。


真戸は笛口リョーコの赫子クランケを振り回し、防御型から攻撃型へと形を変えさせた。
「学習してないな、ラビット。相変らず直情的で、思考が短絡、果てしなく愚かで・・それゆえ命を落す」
真戸の目がニヤリと笑った時、リョーコさんの赫子がトーカの体を突き刺し、腹をえぐった。
「お前は、いい"材料"になりそうだ」



母の赫子が、お姉ちゃんを殺す・・・チナミの心は張り裂けんばかりに悲痛で、でも無力なチナミはどうする事も出来ず、母の時がそうであったように、今も泣き叫びながらトーカが死んでいくのを見るだけしかできなかった。
真戸は、そのチナミの悲痛な叫び声にゾクゾクして「良いね!愉快だ!もっと響かせろ!!!」と興奮を覚えた。

真戸は左手に蝶型の『クランケ』を持ったまま、右手で足元の節足動物型の『クランケ』を拾い、両手に2種の『クランケ』を持ってトーカに言った。
「笛口リョーコを、"旦那の方"で仕留めた時は一興だった。お前は"どちら"で葬ってやろうか?ん?」

リョーコさんを、夫の赫子を使ったクランケで殺したのか・・・、なんて残酷な・・・。
リョーコの赫子クランケに体を貫かれたまま、トーカは「ころ・・すぞ・・・クソジジィ・・・」と憎悪の顔で睨んだが、真戸にはそれが滑稽ですらあった。
「フン・・・死肉を貪るハイエナ・・・ゴミめ。一体なぜ貴様らは罪を犯してまで生き永らえようとする?」




トーカはその問いに答えた。
「生きたい・・・って思って何が悪い?こんな・・・でも・・・せっかく産んでくれたんだ、育ててくれたんだ・・。
ヒトしか喰えないなら、そうするしかねぇだろ・・・。
こんな身体で、どうやって正しく生きりゃいいんだよっ、どうやって・・・!
テメェら自分が【喰種】だったら同じことが言えんのかよッ・・・・!
ムカツク・・死ね!死ね死ね死ねみんな死んじまえッッ!!畜生・・・ちくしょ・・・【喰種】だって・・・
私だって・・・アンタらみたいに生きたいよ・・・!!」

そう言ったトーカの目は白かった。もう【喰種】の赫眼ではなく、人間となんら変わらない目だった。




だが、相手が悪い。これが亜門相手だったなら、トーカの言葉に何かを感じていたかもしれないが、【喰種】に感情なんてものを認めていないばかりか、自分の快楽の対象とする真戸に、トーカの気持ちは伝わるはずもなかった。
「・・・それはそれは、聞くに耐えんよ、もう十分だ、死ね!!」
真戸は、”笛口の夫”の方のクランケをラビットめがけて振り上げた。




亜門とカネキの戦いの方も、亜門の『クランケ』の前にカネキの赫子は歯がたたず、亜門の一方的な攻撃にカネキは地面に叩きつけられるばかりだった。
この、弱すぎる【喰種】なら会話をする暇もあると踏んだのか、亜門は【喰種】に話しかけてきた。
「貴様らに一度聞いてみたかった。罪のない人々を平気で殺め・・・己欲望のまま喰らう。貴様らの手で親を失った子も大勢いる。残された者の気持ち・・・悲しみ・・・孤独・・・空虚・・・お前達はそれを想像したことがあるか?

ラビットと呼ばれる【喰種】が、私の仲間を殺した・・・。ほんの数日前だ。彼は何故殺された?捜査官だからか?人間だからか?
ふざけるなッ!!彼の一体どこに・・・!!」
と言いかけて亜門は言葉に詰まり、涙が溢れてきた。


涙をこらえた亜門は、耐えがたきギリギリとした悔しさを滲みだして言った。
「・・どこに彼が殺される理由などあった?・・・この世界は間違っている!!!歪めているのは貴様らだ!!!!」



赫眼が消えて"人間"となった僕には、その話が痛いほどにわかる。
仲間の命が奪われて怒るのは当然だ。トーカちゃんが殺した捜査官や、他の【喰種】が喰らった人達・・・。確かに多くの【喰種】が数え切れないほどの悲しみを生み出してきたんだろう・・・。この人の言う通り、【喰種】はこの世界を歪めている。
僕だってそう思う部分はたくさんあるし、彼の言う事は・・・正しい。僕に何も言い返せない・・・。


でも・・・・・。
僕は、穏やかなリョーコさんの笑顔、いろんな事を覚えたいと笑うチナミちゃんを思い出していた。
リョーコさんやチナミちゃんの生き方は【喰種】として間違っていたのだろうか?
大切な人を殺される悲しみや孤独は【喰種】だって同じじゃないのか。【喰種】にだって感情はあり、ヒトと変わらない。
この人はそこに目を向けないのか?この人さえも、それを思ってくれないのか・・・

と思いかけて、僕はハッとして心臓が張り裂けそうにドクンと脈打った。


僕だけだ。
それ気付けるのも、それを伝えられるのも・・・・。
「あんていく」の店長の言葉が、今やってわかった気がした。
どちらでもないんじゃなく、どちらでもあるんだ。
【喰種】の僕だけだ・・・・"人間"の僕だけだ・・・・両方の気持ちがわかるのは---------!!!




僕の中である一つの答えが出た。
僕は立ち上がりながら、この人情派の捜査官に言った。
「あなたの言う通りです。多くの【喰種】は道を誤った。ラビットという【喰種】もその一人だと思います。
・・・僕もあなたの言う事はよくわかる。だけど・・・相手のことを本当に知らないまま、間違ってるって決めてしまうなんて・・・そんなのが正しいなんて、僕には思えない。もっと・・・知るべきなんだ・・・みんな・・・。」


亜門は、まさか【喰種】が答を返してくるとは思っていなかったし、言ってる意味が全くわからなかった。
「・・・何を言っている?・・・全く意味がわからん・・」

僕は捜査官をまっすぐに見て答えた。
「・・・だったら、わからせます」


それが自分の使命のような気がした。






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東京喰種トーキョーグール 3巻 024「隠刃」

2016年06月29日 | 東京喰種トーキョーグール
僕は、本気で「喰種捜査官」を倒してしまおうとは考えていなかった。
僕は、ヒナミちゃんやトーカちゃんを助けたい。
だから、この人までトーカちゃんの所へ行かせてはならない、時間稼ぎでいいと思った。




僕の体には【喰種】が入っている。包丁さえも突き刺さらない頑丈な体と、喰種特有の強い力なら、対格差は半端ないが、並みの人間相手なら僕でもなんとかなる・・・はず!!
だと思っていたが、なんともならなかった。




相手の対【喰種】用に鍛え上げられた鋼の肉体に、僕は弾き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

僕のへなちょこパンチに、捜査官は僕を【喰種】だとは思わなかったようで、「喰種捜査官をやっていると、貴様みたいな【喰種】の真似事を馬鹿な輩が現れて困る」と、僕を"人間"扱いした。
「悪趣味なマスクだ」とマスクを剥ぎ取られそうになって僕は、ようやく俊敏に動くことが出来た。

僕が馬鹿だった・・・・。
【喰種】相手に戦うプロが、並の人間のハズがない・・・、中途半端な事をしていると、僕が捕まってしまう・・・。全力で行くんだ・・・!!!本気で!!!


そう思った時、僕はやっと自分の意志で『赫眼』に変化した。
『赫眼』を見た亜門の目つきが変わった。
あまりに非力で人間かと思ったが、【喰種】であるなら本気でいかねばならない、と亜門は持っていたアタッシュケースを開けた。
中から出てきたのは、ギャリギャリと異様な動きをする"棒"であった。
その棒は、包丁を突き刺しても傷一ついかないハズの僕の体に、いとも簡単に傷を作り、僕はとまどった。







一方、橋の下のチナミとトーカの方も、ピンチだった。
「喰種捜査官」の真戸が、トーカに近づいてくる。
トーカは顔を捜査官に見られてしまった。



「この間ぶりだね、笛口の娘に・・・ヤマグチは偽名だね、こう呼ぶべきかな、ラビット。
あの時男の方がゲートに反応しなかった理由はよくわからんが・・・しかしようやくこれで理解した。お前がわざわざ敵陣まで乗り込んだ理由。そうか、笛口の娘の為か。「CCG」が明確な情報を得ていないことがわかれば、顔を直接見た我々さえ消してしまえば捜査力は大きく弱まる・・・。」


次の言葉を発する真戸の顔は、ムシケラを侮辱して有り余る顔をした。
「反吐が出る。バケモノの分際で穏やかな暮らしを望もうなどとは!!」


激情型のトーカにこうした挑発は効果的で、トーカはバケモノ扱いの悔しさにギリギリと唇を噛んだ。
笛口の娘の為に危険を冒す【ラビット】の精神を崩すには、笛口の娘を攻撃すればいいことぐらい、真戸には簡単な方程式だった。
真戸はチナミに向かって話しかけた。
「そうそう、"贈り物"は喜んで頂けたかな?母親が恋しいかと思ってねェ・・・クククまんまと掛かりおった、ハハハハハ!!!」

チナミが見つけて持っていた「おかあさんの手」は、真戸が撒き餌として置いておいた物だった。

トーカがキレて叫んだ。 「てめェッ!!!」
だが、それが真戸の罠だった。戦いは冷静さを欠いた者が負ける。

トーカが動いたのを見て、真戸はアタッシュケースをあけて『クランケ』を取り出した。
それは以前の戦いでトーカの腕を貫いた武器で、トーカは万が一の時に、この武器が使いにくいようにと、あえてこの橋の下という障害物の多い狭い場所を選んでおいたのだった。



俊敏性の高いトーカは、以前同様に真戸の『クランケ』の動きをギリギリのところで交わしてみせた。


真戸は、二度までも交わしてみせたラビットに「ほう!見事!!そこらのザコとは違うな!!」と歓喜の声をあげた。

「今日死ぬ運命でなければ、過日の20区の【梟ふくろう】のように、さぞかし厄介な【喰種】となったことであろう!!」
と言って、刃のついた節食動物のような『クランケ』を振り回したが、トーカの読んだ通りに狭い場所ではその大きさが仇となって、役に立たなかった。

トーカが作戦勝ちを感じ、攻撃に転じようとした時、真戸はポイッとその『クランケ』を捨て、新たな『クランケ』をアタッシュケースの中から取り出した。



それは蝶の羽のような『クランケ』で、真戸の盾になってトーカの攻撃が入らない。
トーカは、先程からこの武器に対して、変な・・・違和感を覚えていた。まるで・・・アレに似た感じを受ける・・・。

すると、ヒナミが「嫌・・・・・!!」と言って泣き出した。
ヒナミがそれが何であるかを気付いたことに、真戸は楽しそうに笑った。
「ククク・・・どうだ見覚えがあるだろう?大好きなお前の"母親"だ。『クインケ』はお前達の赫子(かぐね)から作るものだからなァァァ!!!」





















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東京喰種トーキョーグール 3巻 023「失踪」

2016年06月29日 | 東京喰種トーキョーグール



「あんていく」を出たヒナミは、裸足で行く宛てもなく、街を彷徨うように歩いていた。
どの位歩き、それがどこなのかはヒナミ自身にもわからなかったが、匂いに敏感なヒナミは、懐かしい母の匂いを感じて、誘われるようにその方へと向かって行った。

トーカはヒナミを探す為、なりふり構わず【喰種グール】の能力を使って街中を飛び回って探した。探しながら、自分を責めた。
私がヒナミに渡したあの新聞が原因だ・・・どうしよう・・・。
どうして私はいつもそうなんだろう・・・、弟の時だって・・・。




トーカは、重原小学校近くの川の橋の下で、一人膝を抱えて泣いているヒナミを見つけた。
ここは、自分が「CCG」にヒナミを目撃したと、嘘の証言をした場所だった。
早くここを出ないと、「喰種捜査官」が来ないとも限らない。



トーカはヒナミに「帰ろう」と声をかけたが、ヒナミは「イヤ」と答えた。
「どこに隠れても、どうせ私は殺されるんだ。新聞にメガネの人が【喰種】に殺されたって書いてあった。お姉ちゃんがしたんだよね・・・。私が殺したって思われてる。どこに隠れてもお母さんほを殺した人が私を探しに来る、だから逃げないと、ずっと、ずっと・・・」

トーカはヒナミに声をかけようとして、ギョッとした。
ヒナミがリョーコさんの”手首”を愛おしそうに握っているのだ。
こんな所に、それがあるわけがない。





だけどヒナミの次の言葉に、トーカは胸を詰まらせた。
「【喰種】は生きてちゃいけないの?何でこんなこと・・・何で・・?」

トーカは、ヒナミをぎゅっと抱きしめて言った。自分に誓っているかのようでもあった。
「私が守る。あいつらにアンタを殺させはしない。絶対よ、約束する。
【喰種】が生きてていいのかは、私にもわからない。でもきっと何か意味はあるはずよ」




チナミの泣きはらしたその瞳は、トーカの言葉にどこかうつろであったが、トーカの気持ちに「・・・うん」と答えた。

チナミを説得できたトーカは、チナミが重原小学校近くで見つけた事を、別の場所を探している
カネキにケータイで報告しながら帰ろうとして、その目を見張り、言葉をなくした。

一番恐れていたこと・・・チナミの”お母さんを殺した人”が、目の前に立っていたからだ。






僕は、トーカちゃんからの電話報告を受けて、重原小学校近くにチナミちゃんが居たことに違和感を覚えながら、そちらに向かおうとしたが、すぐ近くの男も、自分と同じように、緊急連絡を受けて”重原小学校近くの橋の下”へ向かおうとしている事に気付いた。

おそらく、「喰種捜査官」の仲間だ。
その人をこのまま行かせると、トーカちゃんとチナミちゃんの命が危ない。

僕は自分に問うた。今、何をすべきかを。
もう、リョーコさんの時のような思いはしたくない。
僕は、二人を守りたいと思い、鞄の中から【喰種のマスク】を取り出すと、自分に装着して、その人の前に立ちはだかった。











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東京喰種トーキョーグール 3巻 022「新聞」

2016年06月18日 | 東京喰種トーキョーグール
翌日、僕は「喫茶あんていく」に置いてある新聞の、ある記事に目が止まった。
 
20区で「喰種捜査官」が、身長155センチぐらいの兎のキャラクターの面を被った【喰種】に殺されたとの記事。


僕はその捜査官の顔に、見覚えがあった。
僕はトーカちゃんに聞いてみた。
「もしかして、トーカちゃんが・・・」

トーカちゃんは僕から新聞を取り上げて言った。
「・・・だったら何?私は人殺しよ、全員殺すまでやめない。全員・・・」
僕は何も声をかけられなかった。
【喰種】として生まれてきた彼女は、人の命に対する価値観が全く違うんだろうな・・・と思ったから。



そんなトーカちゃんは、ヒナミちゃんの事は何かと気にかけていて、優しい。
僕はヒナミちゃんの事で声をかけた。
「ヒナミちゃんだけどさ、ずっと元気がないし、夜も寝てないし、食事もとってないらしい。心配で・・・。」と言うと、
「ヒナミを元気づける方法なんて、1つしかないじゃん。だからこっちは命がけで「CCG」行ったりしてんの!」と言いながら、ヒナミの様子を見に行った。

トーカちゃんの信じている方法って、・・・復讐。
でも・・・本当にそれでヒナミちゃんは報われるのか、僕には疑問だった。


トーカは、元気の無いヒナミの前で、わざと明るく振舞ってみせた。
「メシ喰ってないんだって?ダメだよ成長期なんだから、ちゃんと喰わないと。
大丈夫。アンタはなーにも心配しなくていいから、私が全部うまくやってやるよ。
こんな狭い部屋じゃなくて、もっと広い世界を見せてあげる。だから・・・もう少し辛抱して」



ヒナミは力なく「うん」と答えた後、トーカの持っていた新聞に興味を示した。
たくさんの文字、人間の世界のこと・・・。
ずっと塞ぎ込んでいたヒナミが、久しぶりに明るい笑顔を見せた瞬間だった。



トーカは、ヒナミの部屋を出ると"ある場所"へと向かった。
そこは日中、トーカ達がヒナミを見たと、嘘のタレコミで指定して場所だった。
目撃情報の精査の為、複数の「喰種捜査官」達が、捜査していたが、それを確認したトーカは「あんていく」に戻ってきた。

捜査員達はガセネタだったのだろうとその場を後にしたが、真戸だけは何かひっかかるものを感じて、その場に残った。


その夜、ヒナミは夢中で辞書を片手に新聞を読んでいた。
訃報欄の「哀悼」という言葉を、辞書でひいた。
「人の死を惜しみ、悲しむこと・・・・か、私のことだ」と思った瞬間、その記事の写真の顔に見覚えがあった。
お母さんと私を追いかけてきた捜査官・・・死亡・・・喰種・・・「私が全部うまくやってやるよ」・・・!!!


ヒナミはその心を押し込んで立ち上がり、そして「あんていく」を抜けて、夜の町を一人駆けて行った。



ヒナミちゃんがいつ、どこへ出て行ったのかはわからない。
僕とトーカちゃんがヒナミちゃんの不在に気付いたのは、翌日の「あんていく」の営業が終了した後だった。
トーカは愕然とした。
嘘・・・でしょ? 何・・・で?ヒナミ・・・






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東京喰種トーキョーグール 2巻 021「哀悼」

2016年06月18日 | 東京喰種トーキョーグール
その死神のような顔の捜査員は、何か確信を得たかのように、しつこく僕達を"ゲートの奥"へと誘ってきた。
ヤバイ!!!ここをどうやって切り抜ければいい??
捜査官は、僕の腕を掴んで有無を言わさず"ゲート"に引きずり込んだ。


僕は結局成す術もなく、ヤバッ・・・!!と思ったきり、通ってしまった。
捜査官がニィに笑って振り返る。


が、ゲートは僕の心臓のドクンドクンという爆音に反して、静まり返ったままだった。

恐らくその時3人ともが「あれ?_」と思っていたに違いない。
僕自身も驚いたが、僕の人間の部分が残っているからだろうかと思った。


僕達はそこから走りに走って「CCG」からなるべく遠ざかった。
今回の事にはさすがにトーカちゃんもびびったのか、「助かったよ・・・半端ヤロー」と言った。
いつも態度が大きくて、謝ることもないトーカちゃんが少し素直だったことと、二人に何もなくてよかったと思えた。



ゲート前で考え込む真戸に、亜門が声をかけた。
「さっきの学生二人、ピンと来るものがあってね。目線に落ち着きの無い少年の方をゲートチェックしてみたんだが・・・
どうやら違ったみたいだ。・・・私のカンも鈍ったかな」
と答えた。

亜門は、先日殉職した草葉さんの告別式の事を真戸に伝えたが、真戸は興味なさそうだった。
「私は遠慮する。それなら1分1秒でも仕事していたい。君もそうだろう?」と云われたが、亜門は告別式に出席していた。


告別式を終えた亜門に、中島が声をかけた。 「メシ、一緒にどうですか?」
来たのは、以前草葉さんと中島さんの二人に声をかけられて、3人で来たうどん屋だった。
中島さんはポツリポツリと喋りだした。
「あいつが独身でよかった・・・、嫁さんなんかいたら哀れで・・・。あいつ、あなたの事尊敬してたんですよ・・・。」そこで天麩羅うどんがでてきた。
うどん屋の親父は「今日はめがねのニィちゃんは一緒じゃないんだね」と笑いかけた。

中島さんは、うどんに手をつけずに言葉を続けた。
「僕はここではいつもこれでね、草葉の野郎は「またですか、中島さん」ってうるさくてな・・・
あのバカ・・・毎回俺に奢らせるくせしてよ・・・奢る相手が・・・いなくなっちまったじゃねーかよ・・・バカヤロー」

中島さんは、そこでこらえきれずに目頭を押さえて、肩を震わせた。
どんなに悔やんでも、どんなに思っても、もう草葉さんは帰ってこない。
草葉さんのやりたかったことも、もう叶えることは出来ない。
生きている者は、それを背負って生きていかねばならない。


亜門は、突然箸をつかむと、烈火の如くに天麩羅うどんを飲み込むように食べだした。
これには中島さんも、泣くのを忘れて驚いた。



一気に全部を食べ終わった亜門は、箸を置いた手をギュッと堅く握りしめて言った。
「草葉さんが殺されていい理由なんてない・・・、こんな社会は間違っている。俺達が正すべきだ。
中島さん、今度私にも奢ってください。草葉さんよりずっと食いますが」

中島さんは「給料がとんじまいそうだな」と微笑んだ。



帰宅した亜門は、自宅で一心不乱に筋肉トレーニングに精を出した。

正義を貫こうとした男、大切な人を奪われた子供達、誰かを守ろうと戦った人々、
なぜ彼らが命を落さねばならない・・・?
変える・・・変えてみせる。まちがったこの世界を!!!







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東京喰種トーキョーグール 2巻 020「白門」

2016年06月18日 | 東京喰種トーキョーグール
リョーコさんの件以来、僕は「あんていく」の地下で、トーカちゃんに赫子を使った戦い方の特訓を受けていた。
僕の場合は身の危険を感じるなど、必死にならないと赫眼と赫子が出てこないので、トーカちゃんの特訓は僕が必死にならねばならないほどのスパルタだ。
うかうかしていると、本当にまた指の骨を折られてしまう。
でも・・・"角砂糖"でしか栄養をとっていない僕は、空腹で体力が落ちていくばかりだった。


そんなある日、トーカちゃんから「ちょっとつきあってほしい」と言われた。
待ち合わせ時間から20分遅刻でトーカちゃんは現れた。今日は早い方だ。

トーカちゃんに言われるまま、高校生の制服に着替え、髪をぼさぼさにし、眼帯を外して、僕は高校生に化けた。


お揃いの制服に着替えたトーカちゃんに連れて来られたのは、「CCG 喰種対策局の20区支部」だった。


「CCG」は、リゼやヒナミなど特定された【喰種】の目撃情報を一般から募っているので、それを利用して「CCG」の操作状況を確認に行くらしい。

だけど僕は、【喰種】が「喰種捜査局」の敵陣に乗り込むなんて無茶が過ぎるとビビッた。
ここでバレたら一体どうするつもりなんだ・・・。
「CCG」のロビーのソファの居心地は最悪だった。

聞こえてくるのは捜査官達の【喰種】情報。
どうやら20区では「美食家(グルメ)」と呼ばれる喰種が暴れているらしい。
そして「CCG」の奥に中に入るには『Rc検査ゲート』というゲートをくぐる必要があるらしい。


【喰種】は、人間よりも細胞内の"Rc因子"が数十倍高い為、細胞を検査すると人間か【喰種】かの識別ができる。
『Rc検査ゲート』は細胞を採ることなく、そこを通過するだけで、その識別をつけることが出来る画期的なシステムだ。
ただ、開発途中であること、設置にお金がかかるので一般普及はしていないが、「CCG」や大手企業には設置が進んで
きているのだそうだ。

僕はその話を聞いて「・・・じゃあゲートの技術が進歩して世間に普及したら・・・」と言いかけて、やめた。
トーカちゃんは「・・・・・・・そうなりゃ地下に逆戻りするだけよ」とボソリとつぶやいた。


そこで、「CCG」の職員の情報部の累沢(るいさわ)さんが笑顔で現れた。
トーカちゃんは、20区の端の重原(かさはら)付近でヒナミちゃんを目撃した、と嘘をベラベラ喋っていた。
僕は相槌を打つだけでいいと言われていたが、ハラハラして気が気でなかった。

トーカちゃんは「あのぉー【喰種】って人間よりずっと強いんですよね?捜査官って拳銃とかで戦うんですか?」と聞いた。
累沢さんはそれには答えられないと言いつつ、聞いてもいない、本局から来たエリートイケメン捜査官の事は嬉々として喋っていた。
「母親の【喰種】もその人が退治してくれたし、逃げてる【喰種】もすぐに見つけてくれるわ!」
トーカちゃんは「よかった。でも・・・あんな若い子殺しちゃうの、ちょっと心が痛みそうですね」と言うと、
累沢さんはにっこりと明るく「大丈夫よ、【喰種】は人間じゃないし、私達に危害を加える恐れがあるから駆逐されて当然なのよ」と笑った。



「そう・・・そうですよね」


僕たちは彼女の言葉に、沈みこみながら「CCG」を後にしようと歩き出した。
しかし、そこでトーカちゃんが、一人の捜査官にぶつかったことで、事態は急展開する。
その死神のような顔の捜査官の顔を見たトーカちゃんは、早足で「CCG」を出ようとしたが、捜査官は僕らを呼びとめた。
「君達の話を聞かせてくれないかな・・・?"奥"で」
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東京喰種トーキョーグール 2巻 019「地下」

2016年06月18日 | 東京喰種トーキョーグール
カネキは、トーカからメールで「今から店の前までこい」と閉店後の店に呼び出されたが、40分経っても一向にトーカは現れなかった。
それでも待ち続けていると「よ。ついて来て」と全く遅刻を悪びれることのないトーカに、カネキは反抗する気力もなくして、大人しくついて行った。



今「あんていく」では、2階でヒナミちゃんを匿っている。
ちゃんと眠れているのだろうかと心配だった・・・・。

トーカは、店の地下のさらに地下へと降りていった。
あの一見普通の喫茶店の地下に、こんな巨大施設があるとは誰も思いはしないだろう。
ここは、昔の【東京喰種】が作った地下道で、その道は東京の地下を縦横無尽に走っているらしく、1人で進むと迷って2度と出れなくなるので注意するよう言われた。


昔の東京喰種の生活・・・・。


トーカはホールと呼ばれる広い場所で立ち止まると、上着を脱いで「赫子の使い方を教えてあげる」と言い出した。
それは以前、自分がトーカに頼んだことだった。
トーカは「教えるって言っても口で言ってもわかんないだろうから、私が教わったのと同じやり方でやる。死ぬかもしれないから覚悟して」と言うと、いきなり僕の腹を思いっきり殴り、蹴り、僕の体は吹っ飛んだ。

痛みと驚きで放心状態となった僕の眼帯を外すと、その白い目を見て「・・・イマイチ危機感ないみたいね」と言うと、僕の人差し指を足で容赦なく折った。


指の骨が砕けて折れる激痛に僕は苦悶したが、トーカちゃんは「明日にはくっつくよ」としれっと言っただけだった。


この人、本気だ。
「折るよ」と言ったら本気で折ってくる・・・と思った時、先程までとは全く違うオーラのトーカちゃんが攻撃態勢に入っていた。
「でも・・・これはスグには治らないわよ、そのまま死ぬかもね。その時はその時、こっちで処理してやる」


その迫力に、本気で言ってると思った。
本気だ・・・本気で僕が死んでもいいと思ってる・・・死ッ!と思った時、僕は無意識でトーカちゃんの赫子を、僕の赫子で受け止めていた。


トーカちゃんは「やりゃできんじゃん。ま、この前の赫子の方がもっと強力だったけどね」と言うと練習をやめて上へと戻った。
歩きながら説明された。

カタチは違うけど、僕は僕が移植されたリゼという【喰種】と同じ【鱗赫(りんかく)の喰種】であるらしい。
【鱗赫の喰種】は、頑丈で傷の治りも早く、しぶとさなら他の種よりも優れている。
腕さえ磨けば、受けても攻めても戦えるタイプらしい。

とはいえ、僕は読書好きのインドアタイプで、腕がない、力もない、筋肉もない。
とりあえず腹筋、背筋、腕立て、スクワットを毎日100回言い渡された。

「こんな体で戦うつもり?もっと肉をつけろ」と言われて「や・・やるよ、やりますよ」と答えはしたが、肝心の食事がままならない。


そこにウタさんが訪ねてきた。
ウタさんは、僕が発注していたマスクが出来たのを、わざわざ届けに来てくれたのだった。


マスクは僕らしく眼帯風だけど、いつも眼帯をしている方とは逆の眼が覆われて、いつも隠している方の眼が出ていた。


ウタさんは「・・・隠している眼の方が見たかったから」とその理由を言った。

僕は不思議な感覚だった。
冷たい革の質感と、普段と逆側の目から覗く世界は、不思議と僕の気分を高揚させた。










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