もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

アメリカ楓(フウ)の思い出話なんですが…(^^;

2021-12-06 10:48:36 | ひとりごと

(他のブログで書いたものですが、こちらにも載せました)



12月に入り、木々の紅葉も
そろそろ終盤ですが…

とてもきれいなグラデーションで
色を変えていく並木の紅葉を見るのを
私は毎年楽しみにしています。


もう10年ほど前になるでしょうか
久しぶりに実家の母親から用事で呼ばれて
金沢にひとりで帰ったときのこと。

母はまだ病気もわからず
私は母が健康なのだと思っていました。


用事が片付いて、コーヒーも飲んだ後は
いつも「もう帰りなさい」と
自分からハッキリ言う母でしたが…

帰る間際には、近くの美術館での
催し事を教えてくれたりもしました。
(出光美術館のルオーの連作は
それがきっかけで観ました)


10年前のそのときは、母はふと

「中央公園のアメリカ楓(フウ)…
あ、あの木はそういう名前なんだってね
紅葉がきれいだから、ホテルまでの途中に
通り抜けで見て行ったらいいわ」

最近は、ちょっと植栽の入れすぎで
(「あれって園芸業者の言いなりだからよ。
税金の無駄遣いだわね」)
公園が込み合って、風情が悪くなった
と言いながらも…

その年の紅葉が、いつも以上に
綺麗だったからでしょう
私にわざわざ教えてくれたのです。


もちろん、私は言われた通り
公園内を歩きました。

ホテルは公園を出た先にあり
「通り抜け」が近道で丁度良かった
ということもあります。

でも、もう一つは「アメリカ楓」という名前。

「楓」を「フウ」と読むのも
そのとき初めて知ったことで
私はその異国的な名前の木々を
自分の目で確かめたくなったのです。


私が最後に「中央公園」に行ったのは
そのときよりもさらに30年ほど前。

公園ができて10年ほど?
経っていたはずですが
その当時は「込み合ってる」どころか
植木はまばらで、どちらかというと
芝生メインの広々とした場所でした。

街の真ん中、繁華街のすぐ隣に
そういう大きな公園があることが
新鮮に見えた時代…

私はまだ学生で、父ももちろん存命で
姉のこどもたちも本当に幼い頃。

植えてある木の名前など
知ろうとも思わないし、そもそも
ヒョロヒョロで知りようもなかった頃。


それでも、日陰の少ない芝生の上には
家族連れやこどもたちの姿が
あちこちに見えたのを覚えています。


それが…


10年前に帰省したときには
空が狭く見えるほど葉の繁った
大木が立ち並ぶ場所になっていました。

花壇も増えて、さまざまな色合いの
花々があちこちで目について…

私の目には、それはちょっとウルサイ
余計な色彩にも見えました。
(母が言った「込み合ってる」はこれか…と)

でも、そんなのは些細なこと。

何より「大木」のその大きさ!!

その迫力に圧倒された私は
その場に立ち竦んでしまって…


「植物って凄いなあ…」


30年で、私は全然成長してないのに
まだあの頃の「何者でもない」私のままなのに
木々はこれほど成長し、変貌を遂げている…

涙が込み上げてきて、それが
感動なのか、情けなさなのかも
自分ではよくわかりませんでした。



それ以来、私はどこかで美しい紅葉を見かけると
あのときのアメリカ楓を思い出します。

少しずつ色が変わっていく
その「絵に描きたくなるような」色合いは
ほんの一瞬、今いる場所から私を
連れ出してくれる…


それが嵩じて、紅葉の季節によく似た木々を見ると
ついアメリカ楓だと思い込むように
なってしまいました(^^;

そのせいで起きた(最近の)失敗を
次の記事で書こうと思います。


本当にバカみたいなミスなんですが
その話をどうしても書きたくなって…

今回はその「長~い前置き」でした(^^;

 

 

コメント
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