もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

⑮ 初めて猛禽類の「漁」を見たのは… (ミサゴさん)

2021-06-28 17:37:39 | 家から半径1㎞で出合った野鳥たち

最初は、なんていう鳥か

まったくわからなかった。


猛禽類なんて、ほとんど見たことがない私は

大きな川の上を悠々と飛ぶ、黒っぽい鳥…というと

「トビさん」くらいしか思いつかない。


ある朝、その鳥の「漁」を見た。

今から6年くらい前のことだ。



朝、いつものように川縁で

見たことのない鳥がいないかと

あちこち眺めていると…


向こう岸に近い辺りを、川に沿って

流れを遡るように飛ぶ

大きな黒い鳥がいる。


遠くてよくわからないけど

カラスとか、カワウなんかとは

体型が違ってる感じ。


「きっとトビさんだね」


でも、いつもは高い所を

円を描くように飛ぶヒトなのに

珍しい気がして、目を凝らして見ていると…



その鳥はスーッと高度を下げて

川面に着水?と見えたかと思うと

バタバタ翼を羽ばたかせて

エッチラオッチラ

なんとか、やっと飛び立った。


驚いたのは、足で掴んでる銀色の物体!

「きゃー!! あれって魚じゃないのォ~」


そう、結構大きな魚なのだ。

(鳥にとっては分不相応な獲物?)


もちろん、魚は暴れる。


鳥の方も苦労していて

なかなか高度が上がらない。


「どーなるんやろ、逃げられちゃうかな」


もう、ハラハラドキドキ

出来るものなら、手伝ってあげたい。


鳥の方が、そのまま

落っこちてきそうに見えた頃…


それでも、なんとか少しずつ

飛び方がスムーズになってきて

大きな鳥は、いつものように

近くの山の方へ姿を消した。


「知らなかった~ トビさんって

生きてる魚も獲るのね」

 

ところがところが…


その数日後、同じ川に架かる

大橋の上を歩いていると

遠くから、よく似た鳥が飛んできて…


私のいる大橋の方が川上。

お蔭で、鳥の「着水」?を

真正面から見ることに。


「わっ、こんな近くで見られるなんて!」


でも… 今度は鳥が

なかなか飛び立たない。


ジタバタジタバタ…

「大丈夫かしら」

魚が暴れるのか、飛び立てなくなったのか。


「考えてみると、水鳥じゃないんだし

水面からよく飛び立てるなあ…」


なあんて思う間もなく

鳥は、ちょっと羽ばたいた後 

ソソクサと?元来た方へ飛び去った。


足には何も掴んでなかった。

 

その日の夜、仕事から帰ってきた家族が

地元紙の夕刊を見せてくれて


「この前言ってた『魚獲る大きな鳥』って

これのことじゃないか?」


記事の見出しは

「ミサゴの狩りの失敗」


え~~!!!

(あれってトビさんじゃなかったの~?)


その記事に貼った連続写真は

私が橋の上から見ていた光景に

ソックリ。


あのとき、すぐ近くに

こんな写真撮ってた人が居たなんて…と

思うくらいのソックリ度合い。



「とにかく、ミサゴっていう鳥さんなのね」

それまで聞いたこともない名前だった。

 

その後は、そんな間近で

「漁」を見る機会はなかったけれど…

「チャレンジする」ミサゴの姿は

遠い所から、何度か見かけた。


時には「遊んでる」のか、それとも

「目下練習中」なのか… というくらい

何も獲れない(獲らない)ときもあって

「もしかして若いミサゴなのかなあ」

な~んて、想像を膨らませたり。



それでも、あの重そうな魚が暴れるのを

なんとか運んでいったのは

子育て中の親鳥だったのかなあ… とか

「狩り」も、そうそう

上手くいく訳じゃないんだなあ… とか


猛禽類の「実生活」を見せてもらった気がして

同じ生きもの同士… ということを

「生で」感じた、貴重な瞬間だったと思う。

 

もう一度会いたいなあ。

遇えたらいいのになあ。

 

 

 

コメント
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