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タクシー・ドライバーの5つの条件

2010-02-21 00:19:29 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。

15) タクシー・ドライバーの5つの基本条件
ロンドンの街中で、タクシー・ドライバーのを見つけた。
モペッドをとめて、青い本を見ながら、
付近の地理を確かめている。

モペッドのハンドルには、スタンドが取りつけてある。
そのスタンドには、道路名ほかのリストが、
クリップで、しっかりと留めてある。

ここは、観光地ロンドン塔の近く。
あたりの調べが終わって、青い本を座席のボックスの中にしまった。
チャンスとばかりに、近づいた。

タクシー・ドライバーの卵。

ロンドン塔近く。テームズ川沿い。日曜日。

タクシー・ドライバーの卵は、気がついて顔を上げた。
話しかけてみる。
ナンバー・プレートの下に、赤くLとある。
それに、フロントの右側にも。
「この“L”マークは、なんですか?」

Learningです。学んでいます」
と、手を休めて、気さくに応えてくれた。

「タクシー・ドライバーになるのです」
近くに駐車しているロンドン・ブラック・キャブを指して、
「あそこにあるような」
と、笑みを浮かべて話すから、親しみを感じる。

「チャリング・クロスから半径6マイル(10キロメートル)にある、
25,000の道路と、その周囲の幹線道路を覚えています」
と、タクシー・ドライバーの卵は言う。

「25,000の道路」を覚えると言うが、そりゃ大変だ。
すべての道路に名前がついているが、それにしても、
25,000も道路があるのだろうか?

LONDON AZ」(Geographers’ A-Z Map発行)で調べてみた。

「LONDON AZ」は、ロンドンの地図帳(A5サイズ)。

ロンドンの街中と周囲のグレーター・ロンドンの、
AからZまで、文字どおりすべての道路が載っている。
300ページの半分は地図
残り半分は道路名の索引である。

イギリスに来て、すぐに買う地図帳で、
場所を探したり、名所・旧跡に行ったりと、
生活には欠かすことができない必需品である。

道路名の索引を見ると、細かい字でびっしりとならんでいる。

目が痛くなりそうだ。拡大鏡がいる。

150ページある道路名は、56,000ほどになるから、
「25,000の道路」を覚えると言うのは、うなづける。

しかし、道路名はまぎらわしい。
「XX通り」でも、あとにつく道の名がたくさんある。

それは、Streetのほかに、Road、Drive、Lane、Avenue、Gardens、
Way、Boulevard、Place、Circle、Court、Centre、Grove、
Estate、Square、Palace、Close(行き止まり)。

だから、「XX Street」と「XX Road」では、
まったくちがう道路になり、ちがう場所になる。
まぎらわしいが、これらを区別しなければならない。


平日は仕事があるから、日曜日になると、
ロンドン市街に飛び出してきます」
が降っても、こうして上も下も防水着を着て、
危険防止のために、オレンジの輝くベストを着けて、
ロンドン市街を調べるのです」
と、完全防備である。

「このロンドン塔近くの入り組んだ道路や、
一方通行、右折禁止を調べています。そして、
客待ちをするために、駐車できる場所を探しています」

「タクシー・ドライバーになるには、5つの基本条件があります」
「最初に、“年齢”が21歳以上になっていることです。
つぎに、“適性”です。犯罪歴があればあきらかにします。
それに、身体的にも精神的にも“健康”であることです。
それから、“Knowledge of London”、ロンドンの知識を覚え、
そして、まちがいなく、かつ安全に“運転”できること、です」
と、言う。


「タクシー・ドライバーになるには段階があります」
「最初に、Public Carriage Office(公共輸送事務所)へ行って、申請します」
「申請用紙には、これまでに犯罪歴があれば、書きます」
「1年間の健康診断履歴を提出して、健康診断をパスしなければなりません」
「薬物使用や精神障害、心臓発作があれば、パスできません」

「申請が受理されると、インタビューを受けて、
Blue Book”(青本)が支給されます」

「Blue Bookに書かれた400のルートと、
周囲の名所、劇場、病院、警察署、学校、
映画館、公園、教会、スポーツ施設、モニュメント、
レストラン、歓楽街、ホテル、官庁のビルディングなど、
乗客が利用するだろう場所を、すべて覚えます」

「それに、ロンドン郊外に通ずる100のルートを、
覚えなければなりません」

「そして、“筆記試験”、“口頭試験”、“実地試験”に、
進んでいきます。

「筆記試験では、
“Knowledge of London”という、ロンドンの知識を熟知したか? 試験されます」
「口頭試験では、
タクシー・ドライバーとして“適性”か? 試験されます」
「そして、実地試験は、
指定された場所に、まちがいなく、安全に“運転”できるか? 試験されます」

「これらをパスして、
継続している犯罪がないことが確認されれば、
バッジが授与されます」

「これで、ロンドンのタクシー・ドライバーとして、
働くことができます。資格が得られるのです」
「平均3年かかり、合格率は10人のうち3人です」
難関だから途中で、あきらめる人もいます」

――これは、大変だ。
手を休めて、話してくれて、ありがとう。

正面から写真を撮ることをお願いした。
快くOK してくれた。30歳代か?

フル・フェースの ヘルメットから、
澄んだ目が見え、高い鼻が飛びだしている。
ハンサムだ! それに、温厚そうだ。
タクシー・ドライバーになっても、客受けしそうだ。

ロンドン・ブラック・キャブのドライバーの卵の、
ひたむきさと、すれていない“純”が印象深かった。
「成功を祈るよ!」
「サンキュー」

ロンドン・ブラック・キャブの、
タクシー・ドライバーが世界一、信頼されるわけは、
健康”に問題がなく、
継続している“犯罪”がなく、
Knowledge of London”で、ロンドンの知識を知り尽くし、
タクシー・ドライバーとしての“適性”があり、
複雑なロンドン市街をまちがいなく、安全に“運転”できる能力、
を身につけた人だけに与えられる“資格”だから。

タクシー・ドライバーの卵を見るならば、
日曜日、テームズ川沿いに行ってみるといい。
雨が降っても、防水着にオレンジのベストを着け、
フル・フェースのヘルメットをかぶる完全防備で、
モペッドにまたがって、ロンドン市街を調査する、
ひたむきな若者に会うことができる。
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