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アルゼンチンの通知表2018年

2019-07-21 00:04:05 | Weblog
世界の評価」から、「指標」を定めて、
日本の通知表 2018年」をみた。2018年6月17日。
https://blog.goo.ne.jp/mulligan3i/e/4d4f55b3981c559fcd25d9222e5c9c9d

同じ指標で、
アルゼンチンの通知表 2018年」は、どうなるだろうか?

通知表の「評価項目」は、つぎ。
1)学力は、  世界でどのくらいか?
2)開発力は、世界でどのくらいか?
3)創造力は、世界でどのくらいか?
4)芸術力は、世界でどのくらいか?
5)文化力は、世界でどのくらいか?
6)運動力は、世界でどのくらいか?
7)経済力は、世界でどのくらいか?
8)援助力は、世界でどのくらいか?

世界の表彰・評価から、「指標」を、つぎとした。
1)学力:   PISA、15歳の知識と技能の調査、
2)開発力: 国際特許
3)創造力: ノーベル賞
4)芸術力: カンヌ映画祭
5)文化力: 世界遺産
6)運動力: 国際フットボール連盟FIFA
7)経済力: 国内総生産GDP
8)援助力: 政府開発援助ODA

1)学力
世界の文教関係者が、
「自分の国の教育改革が、成果を上げているのか?
 生徒の学力のレベルが、世界のどの位置にあるのか? 国際比較を知りたい」
という要望に、経済開発協力機構(OECD)が応えて、PISAを開発した。
PISA(Programme for International Student Assessment)は、
義務教育が終わる15歳の生徒の学習到達度のプログラム。
科学、数学、読解力を調査する。
OECD加盟国を中心に、2000年から調査を始め、3年ごとに実施。
参加国は、OECD加盟国以外にも増えてきている。最新は2015年。

2)開発力
国際特許の出願件数。世界知的所有権機関WIPO。
出願後、1年以内に望む国に、審査請求ができる。
出願日を優先権主張することができる。

3)創造力
ノーベル賞の受賞は、国の底力、品格を示す。
自然科学分野の受賞数を見る。
恣意(しい)がからむ、文学賞、経済賞、平和賞は除く。

4)芸術力
カンヌ映画祭は、総合芸術である映画の表彰。
1946年以来、72年の歴史がある。
グランプリ、途中から代わったパルム・ドールの受賞作品数を見る。

美術や音楽分野では、スペイン、イタリア、フランス、オランダ、ドイツ、
オーストリアなどから、多くの天才・鬼才を生まれている。しかし、
天才・鬼才の世界的な表彰・評価や「天才事典」はなかった。

5)文化力
ユネスコ(UNESCO)が世界遺産を選定している。
文化遺産と自然遺産、これらを組み合わせた複合遺産がある。
人類の創造的な傑作で、将来的に遺したい文化遺産と複合遺産を採用する。

6)運動力
サッカーは、世界で行われ、競技人口が多い(野球の15倍)。
サッカーは、瞬発力、持久力、戦術、とっさの判断力を要する。
国際フットボール連盟FIFAが、ランキングを公表している(2018年5月)。
オリンピックは、競技種目に地域差があるために、採用しなかった。

7)経済力
国内総生産GDPは、国内で生産された付加価値の総額で、
国の経済力を示す。

8)援助力
政府開発援助ODAは、先進22か国から始まった、
発展途上国への援助を示す。

「指標」を「ランク」で示す。
ランクは、つぎを目安にした。
AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内 E=50位以内。

1)学力: PISA、15歳の知識と技能。

日本の PISA2015は、3位→ランクAA。
アルゼンチン(ブエノス・アイレス)のPISA2015は、40位→ランクD

2)開発力: 国際特許出願件数。

日本の2017年の国際特許出願件数は、3位→ランクAA。
アルゼンチンの2017年の国際特許出願件数は、55位→ランクE

3)創造力: ノーベル賞

日本のノーベル賞の受賞者23人は、5位→ランクB。
アルゼンチンのノーベル賞の受賞者3人、16位→ランクC
突出している1位~3位→ランクAとした。

4)芸術力: カンヌ映画祭

日本のパルム・ドール受賞5は、5位→ランクB。
アルゼンチンのパルム・ドール受賞はない、→ランクF
突出している1位~4位→ランクAとした。

アルゼンチンには、「タンゴ」がある。
タンゴ・ショー


夜10時、ステージ左手のバンドは7人編成。
バンドネオン2、バイオリン2、ピアノ、ギター、コントラバス。
「ンチャッチャッチャ」が流れてくる、と体が浮いてくる。
最初は、男の歌手が現れた。切なそうに歌う。
「港湾労働者のつらい境遇とか、 
 去って行ったガールフレンドに、呼びかける歌です」
「夢を抱いてアルゼンチンまで移民した。
 だが、生活はちっとも楽にならない…」
「恋人よ、帰って来てくれ!
 あんなに愛し合ったのに、どうして去ったんだ…」
と、アルゼンチン人は説明してくれる。

「タンゴは、イタリア移民の港湾労働者から発生しました」
「労働者の悲哀を歌う、低下層の歌でしたが、
 1930年代に優れた作曲家や歌手が登場して、
 タンゴが高められて、普及しました」

「タンゴ界の第一人者に、カルロス・ガルデルがいました」
「フランスからの移民で、歌手として、作曲家として大成功しました」
「それで『ガルデルのようになれ! 』という言葉があります。
 『がんばって、成功しよう! 』という意味です」

つぎに、女の歌手に代わった。有名な人だという。
それから、ダンスが始まった。
最初は、以外に男同士である。
「昔は、男同士で踊っていました」
「男女の交際が、うとんじられていたから」

それから、男女の踊りになった。
背景は、波止場や酒場であったり、
わびしい港町であったりして、男と女のかかわりを踊る。
女のドレスのフレアが、回転するたびに男にからみつく。いいものだ!
フィニッシュは、唇が触れ合わんばかりで、
女は長い脚を後ろに引いて、のけぞる。

カミニート。港(ボカ)にあるイタリア移民の街、タンゴ発生の地。


外壁を青、ピンク、橙、黄色と原色に塗られた、2~3階建ての家が連なる。
まるで映画のセットのようで、カラーフルな家並みは、100メートルほど続く。
「屋根は、石の代わりにトタンが使われているところもあって、冬は寒く、夏は暑い」
「1階は安酒場、上階はベッドで、当時は売春宿であった」
今では、みやげものや、アパートメントで、観光名所になっている。

5)文化力: 世界遺産

日本の文化遺産17は、11位→ランクB。
アルゼンチンの文化遺産6は、38位→ランクD

6)運動力: 国際フットボール連盟FIFA

日本のFIFAのランキングは、60位→ランクF。2018年5月。
アルゼンチンのFIFAのランキングは、5位→ランクA

2018年のワールド・カップ、ロシア大会で、
南アメリカの出場枠 4.5を、ブラジル、ウルグアイ、
アルゼンチン、コロンビアが得た。5位のペルーは、
ニュージーランドとの大陸間プレーオフで勝って出場。

ロシア大会では、3度目の優勝を目指す。
Dグループで、クロアチアに次ぐ2位で、
決勝トーナメントに進出。しかし、フランスに敗れた。
そのフランスが、決勝に進み、クロアチアを破って、2度目の優勝をした。

7)経済力: 国民総生産GDP

日本の国民総生産GDPは、3位→ランクAA。
アルゼンチンの国民総生産GDPは、21位→ランクC

8)援助力: 政府開発援助ODA

日本の政府開発援助ODAは、5位→ランクA。
アルゼンチンの政府開発援助ODAはない、→ランクF

「指標」のランキングを「数値」で示す。
ランクAAとA ⇒ 5点、B ⇒ 4点、C ⇒ 3点、D ⇒ 2点、E ⇒ 1点、F ⇒ 0点。
数値で見る、「アルゼンチンの通知表 2018年」。
1)学力:   日本のPISA2015は、3位→ランクAA ⇒ 5点。
       アルゼンチンのPISA2015は、40位→ランクD ⇒ 2点。
2)開発力: 日本の国際特許出願件数は、2位→ランクAA ⇒ 5点。
       アルゼンチンの国際特許出願件数は、55位→ランクE ⇒ 1点。
3)創造力: 日本のノーベル賞の受賞者23人は、5位→ランクB ⇒ 4点。
       アルゼンチンのノーベル賞の受賞者3人は、16位→ランクC ⇒ 3点。
4)芸術力: 日本のパルム・ドール受賞5は、5位→ランクB ⇒ 4点。
       アルゼンチンのパルム・ドール受賞はない、→ランクF ⇒ 0点。
5)文化力: 日本の文化遺産17は、11位→ランクB ⇒ 4点。
       アルゼンチンの文化遺産6は、38位→ランクD ⇒ 2点。
6)運動力: 日本のFIFAのランキングは、60位→ランクF ⇒ 0点。
       アルゼンチンのFIFAのランキングは、5位→ランクA ⇒ 5点。
7)経済力: 日本の国内総生産GDPは、3位→ランクAA ⇒ 5点。
       アルゼンチンの国内総生産GDPは、21位→ランクC ⇒ 3点。
8)援助力: 日本の政府開発援助ODAは、5位→ランクA ⇒ 5点。
       アルゼンチンの政府開発援助ODAはない、→ランクF ⇒ 0点。
合計(40点): 日本は32点。
         アルゼンチンは16点

レーダーチャートで見る、
アルゼンチンの通知表 2018年」。


アルゼンチンの、国土は日本の7.5倍、人口は4千400万人。
レーダーチャートは、運動力/サッカーが素晴らしい。
経済力/GDPは、新技術、大規模生産による農業で、
穀物を世界に輸出(大豆、トウモロコシ、小麦)。
日本は牛肉、ワインを輸入している。

アルゼンチンの南東に「フォークランド島」がある。
人口2千人、羊毛や漁業で生計を立てている。
領有権をめぐって、イギリスと戦争をした、1982年。

「イギリス国民が1人でも助けを求めている限り、世界中どこにでも救助に行く」
時の首相サッチャーは、フォークランド島にイギリス軍を派遣した。
原子力潜水艦から魚雷を発射して、アルゼンチンの駆逐艦を沈めた。
2か月間にわたる攻防で、イギリスが勝って、
フォークランド島を領有している。

このフォークランド島のことを、アルゼンチン人に聞いてみた。
「『マルヴィナス島』Malvinasといって、アルゼンチン固有の島だ!
と、怒っている。
「『地理的』にも『歴史的』にも、マルヴィナス島はアルゼンチンの領土だ。
 地理的には、アルゼンチンから480キロメートルのところにある島だ。
 イギリスからは1万3千キロメートルも離れている」と言うと、
紙きれをさがして、アルゼンチンの地図を描いた、そして、
MALVINAS” と書き入れた
   
右は、外務省のホームページの地図に、マルヴィナス島と入れた。

「アルゼンチンの本土から、深さ200メートルの大陸棚の範囲に、
 マルヴィナス島は含まれるから、国際慣習上アルゼンチンの領土だ」
と、アルゼンチン本土の外側に、大陸棚の「線」を描いた。

「スペインの植民地であったマルヴィナス島は、
 アルゼンチンがスペインから独立した1816年から権益を継承した」
「住居、電気、医療などの社会基盤は、
 これまでアルゼンチンが整備してきた」
「イギリスはマルヴィナス島の主権を、
 いったん放棄することにしたのだが、
 鉄の女、サッチャーになってから、
 態度を一変させたのだ」
こんなに怒る人は初めてだ。世界で、最も怒っている人だ。
あとで見る「100万ペソ」紙幣で、経済危機になったことを知る。
「今でも、アルゼンチンは、領有権の主張を継続している」
と、言う。

イギリス人に聞いてみた。
「フォークランド島の人たちは、われわれイギリス人と姿かたちが似ているよ」
「それに、フォークランド島には石油が出るからね、その権益を守りたい」
「でも、石油が枯渇する数10年後には、どうなるのかな?」
「南アメリカにおけるイギリス軍の重要な基地として、残すだろうな」
と、遠く離れたところにある島には、どこか冷めている。

アルゼンチンは、サッカーが強い。
ワールド・カップで2回優勝している。
ワールド・カップの優勝国を見る。


1位はブラジルで、5回の優勝、
2位はイタリアと、ドイツで、4回の優勝、
4位はウルグアイ、アルゼンチン、フランスで、2回の優勝。

アルゼンチンの2回の優勝は、
1978年、第11回の地元アルゼンチン大会と、
1986年,第13回のメキシコ大会である。
このメキシコ大会、準々決勝は、イングランド戦。
1982年のマルヴィナス戦争後の、宿敵の対決となった。
マラドーナの大活躍で、2対1で勝った。
「神の手」によるパンチングと、「華麗な5人抜き」があった。

神の手」とは、0対0で迎えた後半、
マラドーナがイングランドのゴール・キーパーと、
空中で競り合って、ヘッディングでゴールを決めた…。
かに見えたが、左手でパンチングをして、ネットに入れた。
イングランドは、審判に激しく抗議したが、判定は変わらなかった。

華麗な5人抜き」は、神の手から4分後の、
マラドーナの「ワン・マン・ショー」。
アルゼンチン陣内で、ボールを奪ったマラドーナは、
巧みなドリブルで、つぎつぎと抜いて、最後は、
ゴール・キーパーをかわして、ネットに蹴り込んだ。
「マルヴィナス戦争の『あだ討ち』をしてくれた!

次の準決勝は、ベルギー戦、マラドーナの4人抜きがあって、2対0で勝利。
決勝戦は西ドイツ戦、2対2から、マラドーナのアシストで、3対2で振り切った。
「マラドーナのためのワールド・カップだった。
 それに、イギリスをやっつけた!
アルゼンチンの国民は歓喜して、マラドーナの凱旋を迎えた。
マラドーナは、「サッカーの神様」として、国民的な英雄となった。

アルゼンチンは、マルヴィナス戦争もあって、
経済危機、「ハイパー・インフレーション」になった。、
100万ペソ」紙幣を発行した。
ブエノス・アイレスの骨董店で見つけて、400円で買った。

表は、サン・マルティン将軍

アルゼンチンの独立を指揮した「祖国の父」。
チリ、ペルーも独立へと導いた。

裏は、カビルド(旧市議会)。

「1810年5月25日」、五月革命の舞台で、
スペインからの独立が宣言された。五月広場にある。
現在は、五月革命博物館になっている。

「この100万ペソは、現在では使われていない。
 それに、当時は4千円ほどの価値だった」
と、アルゼンチン人は言う。
4千万円の大金持ちに、なったわけではない。
アルゼンチン人の怒りは、この「100万ペソ」紙幣の発行にあった。

また、「100万ペソ」紙幣には、
サン・マルティン将軍、カビルド、
五月革命と、アルゼンチンの歴史が詰まっている、

五月広場には、大統領府、大聖堂、カビルドがあって、
ブエノス・アイレスの始まりの場所。さらに、
五月通りを西に行くと、幅140メートルの、
「7月9日通り」を超えて、国会議事堂に出る。

アルゼンチンの安全について、
外務省の、「海外安全ホームページ」には、
「首都ブエノスアイレス市及び周辺都市では、
 銃器を使用した強盗や殺人,誘拐などの凶悪犯罪が発生しているため,
 渡航には十分な注意が必要です」とある。
アルゼンチン人の案内で、五月広場~国会議事堂を訪れた。

大統領府(カサ・ロサーダ)。東側から。

西の五月広場からは、文字通りの「バラ色の家」。

1986年のワールド・カップ、メキシコ大会で優勝した、
マラドーナの一行は、空港から大統領府まで、凱旋パレード。
国民と大統領から、熱狂的な祝福を受けた。

大聖堂(カテドラル・メトロポリターナ)。

「祖国の父」、サン・マルティン将軍が眠っている。
棺は、アルゼンチン、チリ、ペルーの聖女に守られている。

五月広場の西端には、カビルド(旧市議会)があるが、
「100万ペソ」紙幣よりも、横幅が縮小されている。

「7月9日通り」を横切って、国会議事堂

ドームがあり、大理石でできた巨大な建物。
議事堂広場には、ロダンの「考える人」。
左の▽は、「ゼロキロメートル地点」の標識で、国道の起点。

アルゼンチンは、
五月広場に、独立の歴史が凝縮されている。
農業は、新技術、大規模生産によって、
農産物は世界の輸出品になっている。
「100万ペソ」紙幣は、
ハイパー・インフレーションで、
経済の危機があったことを示している。
「サッカーの神様」、マラドーナが、
マルヴィナス戦争の仇討ちをしてくれた。
タンゴは、港湾労働者の切ない気持ちを、
カルロス・ガルデルが高めて、文化にした。
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