むじな@金沢よろず批評ブログ

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韓国が対北朝鮮宥和政策を続ける理由

2007-01-03 19:26:55 | 韓国・北朝鮮
日本では、北朝鮮バッシングが勢いあまって、韓国が北朝鮮に宥和的だったりする現状を見ると、坊主にくけりゃ袈裟まで式に韓国をもたたく傾向がある。なぜか朝日新聞とか「左系」とされるメディアや論者ですら、最近の日本の北朝鮮バッシングに便乗してか、北朝鮮核実験実施の後にはソウル発報道でノムヒョンの包容(太陽)政策を「失敗」だとする記事や論調が目立った。朝日でもこれだから、右系メディアや論者にいたっては、完全に狂っているというか、「ノムヒョン政権は左翼親北、共産主義が好きで、北朝鮮に取り込まれている」「韓国が北朝鮮に併合されるのも時間の問題だ」「民主労働党のような明らかな親北左翼政党が影響力を拡大している」「ハンナラ党になればマシになる」などと書きたてている。
しかし、それは彼我の条件や環境の違いや戦略的利益を考えない、単なる感情論というものだ。

では本当に韓国のノムヒョン政権が左翼親北で、韓国の改革派や左派の勢力が北朝鮮が好きだから、北朝鮮に取り込まれていて、韓国はもうじき北朝鮮に併合されるのか?ハンナラ党ならそういうことはないのか?
私は例によって、今回は政党では開かれたウリ党(ウリ党)、民主労働党(民労党)、メディアではハンギョレといった、日本の右系が「左翼容共」といって目の敵にしているようなところばかり回ったのだが、前から思っていたとおり、別に彼らは北朝鮮が好きなわけでも取り込まれているわけでもなく、東アジア国際戦略の中で韓国として北朝鮮と関係を保つことが利益になるからそうしているに過ぎず、またハンナラ党も含めて北朝鮮宥和はもはや国是となっているということなのだ。
韓国の「左」系が懸念しているのは、北朝鮮と断絶すれば、北朝鮮はますます中国に依存せざるをえなくなり、それが半島における軍事政治バランスを崩す可能性があるという点だ。特に民労党は「韓国が関係しなければ北朝鮮はアジアの覇権を狙う中国の植民地になってしまう」とまで断言した。
しかも、ウリ党も民労党も、北朝鮮の独裁体制に幻想を抱いているわけではなく、あくまでも戦略的なバランス思考から、北朝鮮との宥和を考えているということだ。
この点ではハンナラ党も同じだということだ。
韓国が北朝鮮に宥和的になっているのは、北朝鮮に取り込まれているのではなく、同胞国家である北朝鮮が中国や米国に取られてしまうのを防ぐために、韓国として関与して安全保障を確保せざるを得ない、というある意味で当然の戦略的選択なのだ。民族自主を極限まで進めて中国の言うこともきかない北朝鮮のほうが、中国やその傀儡よりは望ましいことだからである。
そもそも、短絡的な日本人が望んでいる「金正日体制の崩壊」が、必ずしも韓国や日本にとって良い展開をもたらすとはいえない。金正日はそれでも内心は中国が嫌いだし、中国に対して精一杯の抵抗をしている。もしそれを打倒したりすれば、後に来るのは中国の傀儡政権でしかないのではないか?中国はそれを狙っているのは間違いない。もちろん米国は黙っていないだろうが、もし米国がここで台湾と北朝鮮をバーターで妥協したりすれば、台湾が犠牲になり、それは韓国と日本にとっても困った影響をもたらす。
日本の右系は目先の感情論ではなく、後先考えてもっと冷静に金正日政権を見てほしいものだ。崩壊したら、その過程で難民がどれだけ出てきて、復興支援に日本がいくら出費させられることも含めて(ちなみに復興支援には中国は出費しないだろう。日本だけが出費させられて、ただでさえ赤字の日本の国家財政は破綻する。そうなったら喜ぶのはやはり中国だろう)。
そういう意味では、とりあえず中国の言うことも聞かない「変な独裁体制」である北朝鮮の存在は、現在のところ、韓国にとって利点が多いといえるし、私からみて日本にとっても台湾にとって都合がいいと考える。
もちろんこれに対して、日本人が「しょせんは朝鮮人どうしの問題。北朝鮮が中国の一部になろうと知ったことではない」という立場をとるならそれはそれでひとつの見識かも知れないが、北朝鮮なんかよりは中国の脅威のほうが問題だと思う私から見れば、現在の韓国の戦略思考はきわめてよく理解できる。

大体経済的にも社会的にも政治的にも北朝鮮に対して圧倒的優位にある韓国が、北朝鮮に「取り込まれている」などとする観測や分析ほど、現実から遊離したものはない。サムスン電子がソニーにブランド力でも経営実績でも凌駕していることに見られるように、今の韓国はむしろ「資本主義力」の強さによる貧富格差が問題になることはあれ、北朝鮮など「社会主義」に「取り込まれている」などと見るのは、大きな錯覚でしかない。
また、ウリ党やノムヒョンが「容共左翼」だというのも誤解だ。ウリ党にはたしかに社民主義左翼への願望めいたものはあるにしても、実際の政策をみれば、環境や女性の地位についてはきわめて及び腰だし、西欧基準でみれば、若干保守的ですらある中道政党というべきだ。
日本のマスコミはかつては同じような錯覚や幻想を北朝鮮に対してみていたことがあったが、朝鮮半島について冷徹かつ冷静に見ることができない性質は変わっていないようだ。
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