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謝長廷総統候補、12/16 京大講演「日台関係強化への道」は大成功

2007-12-29 21:23:00 | 台湾政治
 民進党の総統候補・謝長廷氏は12月16日から19日、日本を訪問したが、力点を置いていたのは16日から17日午前中にかけて滞在した京都であり、特に謝長廷氏が最も重視したのは、16日午後6時から京大構内にある医学部百周年記念施設「芝蘭会館」2階で台湾京大校友会などの主催で開かれた講演会だった。
 京大は1972年から76年にかけて大学院法学研究科で学んだ経験がある、謝長廷氏にとって母校でもある。
 事前に知った在関西台湾人、マスコミ、学生、台湾ファンなども押し寄せたため、250人程度収容の会場は開催時間前から一杯になって、立ち見と会場外に人が溢れる盛況となった。
 謝長廷氏自身もこの講演には最も力を入れており、18日に東京の日本外国特派員協会で開いた講演よりも(いずれも原稿は日本語で作られたが)、事前の原稿を念入りにチェックした。
 京大講演は、質疑応答は受けず、講演だけでその後、懇親会を開くという形だった。謝氏は日本語で6千字程度の原稿を30分程度でこなした。これは外国人が日本語を読むスピードとしてはかなり早口というべきだろう。そう、謝長廷氏はちょっとせっかちなところもあるし、もともと早口なのである。
 ただし、発音そのものは台湾訛があってそれほど上手ではないが、それはご愛嬌となって日本人の好感を誘った。しかも、テンポそのものは速く、ジョークやウイットも随所に含まれていたので、日本メディアに強い好感を与えたようで、翌日、これを報じる日本各紙のトーンは、いずれも好意に満ちたものだった。

 「日台関係強化への道」と題して開かれた講演で謝長廷氏は、最初に「私と京都」として、京大留学時代の思い出と、総統選挙で掲げている「台湾維新」のヒントとなった明治維新が京都で展開されたことを提起し、さらに李登輝・前総統に訪日前に明治維新について話を聞いたことに触れた。
 そして「日本と台湾の歴史的絆」として、台湾における最近の日本への好感度の上昇と、台湾と日本との密接な相互交流の現状を述べ、さらに台湾において民主化とともに台湾人意識が高まっていることを指摘、日本人にこの点への理解を求めた。
 続いて「台湾は中国ではない」として、台湾で台湾人意識が高まった原因は、中国の台湾に対する横暴な対応にあるとして、台湾における国連加盟の声の高まりに理解を求めた。
 次に「強者・中国の妥協こそ平和の鍵」として、「小をもって大に事(つか)うるには智をもってし、大をもって小に事うるには仁をもってす」という孔子の言葉を引用しながら、中国に対して強者、大国として妥協と寛容の姿勢を求めた。
 さらに本題でもある「台湾と日本の関係強化への道筋」として、日本と台湾が今後政治、NGO、情報通信・経済の3つの側面で関係強化を図るべきだとして、政治面では日本に米「台湾関係法」に類似した法律制定、NGOの次元ではハンセン病訴訟に見られたような交流の強化、情報通信・経済分野では台湾新幹線に見られたような技術協力を発展させて、さらに中国の台頭にあたってゆくべきだと主張。
 最後に「進歩的な若者の力を結集」として、少なくなってゆく台湾の日本語世代に代わって、日本と台湾の若い世代が環境問題への対応などを通じて接近し、さらに「和解と共生」という自身の哲学に基盤にして、中国と平和的で安定した関係を築いてゆく見通しを語り、そうした進歩と改革の力はまさに自身が京大で学んだものだと指摘して締めくくった。

 この講演では、実は事前に三箇所、ジョークを用意しておいた。それが三つとも予想以上に高評を博して、会場は非常に盛り上がった。
 一つ目は、京大との絡みの部分で、「マスメディアの人たちは、私が京都で勉強したことよりも、中華料理屋でバイトしたことに関心を持っているようですが、私は実際に勉強したのであり、分野も法哲学、哲学でして、鉄板焼をやったのではないのです」という駄洒落。彼の表情を壇下から観察していたが、これが自身予期した以上に大爆笑を呼んだためか非常に喜んだ表情だったのが、ある意味で笑えた。謝長廷は基本的には策士なのだが、それとは逆に極端にお茶目というか、子供っぽいところもある。
 二つ目は、李登輝に触れた部分で、「李登輝さんは私の京都大学の先輩にあたり、おそらく世界で唯一の京大出身の大統領経験者でしょう。(来年には私が二人目となるはずです)」としたところで、「もちろん来年には」といったところで、会場は大拍手に包まれ、これも予期以上の大成功。
 三つ目は、台湾関係法のところで、「手前味噌ではございますが、そうなれば、私も来年5月以降も総統として日本にも来られるようになりますし、また皆様とお目にかかることもできるようになります。それによって両国の相互往来と友好関係がますます発展することになると思います」とした部分。これも大喝采となった。

 京都では、講演前に「順正」という結構有名な湯豆腐の店に寄ったり、銀閣寺前から「哲学の道」を歩いて恩師である田中成明名誉教授宅を訪問したり、さらに講演の翌日朝は円山公園の坂本竜馬・中岡慎太郎の銅像を訪ねて明治維新を懐古、他の団員にも両者と明治維新の意義について解説してみせたりするなど、謝長廷氏は最大限に発揮していた。
 これは7月の訪米よりは、謝氏自身が他の民進党上層部を圧倒できたところだったようだ。話に聞いたかぎりでは、訪米時は米国滞在が長い長老議員が前面に出たりして謝氏はかすみがちだったようだが、訪日では終始主導権を握ることができて、ご満悦だった。

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【写真:謝長廷DPP候補】・・・・間違って京都大の正門に行ったら「憲法九条改悪断固反対!」「米軍辺野古移転反対!」等の立て看が。ノンポリなウチの大学では思いもよらなかった。