むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

自滅の道を歩む馬英九=国民党極右派

2007-04-03 06:04:58 | 台湾政治
馬英九とそれの支持母体である国民党極右派が自滅の道を歩んでいる。

1.TVBSでっち上げ事件とNCCの偏頗性暴露
中国&香港資本でこの間馬英九を賛美してきたテレビ局TVBSは3月28日、ヤクザが銃を出して大衆を脅迫する場面を「スクープ」とニュースで報じたものが、実は自社記者の自作自演であったことを明らかにした。同社内の調査や疑問に思った同業他社、警察当局などの捜査で発覚した。
このため、台湾はは騒然となった。この数日、テレビの討論番組ではこの話題で持ちきりである。
TVBSは「自社で率先して調査し、報道した中部駐在記者の責任であることを明らかにした」として、末端に責任を押し付けようとしたところ、さらに世論や政府高官、さらには国民党穏健派系統からも、同社の態度を「トカゲの尻尾きり、そもそもどうしてその画面をニュースで延々と流すことができたのか?トップにも責任がある」と追及の声が上がった。
しかも醜いことに、放送局の監督権があり国民党保守派で構成されるNCC国家通信委員会は、当初は「最大で3日間の放送停止、罰金300万元の罰則」を宣言していた。ところが、それも「これが国民党に批判的な三立あたりだったら、即免許取り消し、罰金1億元とかになるだろう、NCCはおかしい」などという指摘が起こり、さらに騒ぎに拍車をかけるものとなった。
世論を見て蘇貞昌行政院長もTVBSおよびNCC批判に乗り出したが、もともと蘇院長やそれを支持する新潮流はTVBSなど国民党系メディアとも友好的だっただけに今ひとつ及び腰。そもそもNCCは昨年大法官会議(憲法裁判所)によって違憲解釈が出された組織である。批判は存在を認めたうえで成立するから、おかしな話だ。蘇貞昌氏は民進党総統予備選挙に名乗りを上げているが、かつて国民党系ジャーナリズムが持ち上げられてきたメッキも最近剥がれ、人気が急落している。
TVBSとそれを庇おうとしたNCCは、いずれも事後処理の失敗から、存在そのものへの疑問の声が台湾で広がっている。
そういえば、李登輝・前総統も、TVBSがお気に入りで、毎日チェックしていて、こないだの変節発言も壱週刊の次はTVBSを選んだ。
TVBS事件で、国民党反動派、蘇貞昌、李登輝は、ますます評価を落としている。

2.ハンセン病施設楽生院保存問題
日本統治時代にハンセン病患者を隔離したことから始まった楽生療養院。これの保存か取り壊しかをめぐって、やはり緑と青の対立になっている。国民党が支配する台北県政府などが地下鉄建設を名目にして取り壊そうとしているのに対して、緑陣営急進派・リベラル派が保存を訴えている。先週末は取り壊しを求める反動=青陣営と、保存を求めるリベラル=緑陣営のデモがそれぞれ展開された。
ただこれにはもっと複雑な事情もあって、実は前県長だった民進党所属蘇貞昌氏が取り壊して移転する方向性を決めていたことも、緑陣営内に影を落としている。蘇氏と対立する游錫コン、謝長廷両氏は保存を主張している。
私自身は弱者保護の視点から当然保存派である。台湾世論の多数も保存を求めている。しかし、青陣営は台北県長も取り壊し要求デモに加わり、弱者軽視の姿勢をあらわにしている。楽生院は日本植民地政府を受け継いだ国民党外来植民地政権にとってもハンセン病患者を不当に隔離、抑圧した負の歴史が刻まれていることから、国民党としては取り壊して証拠隠滅を図りたいのだろう。しかしそのために、国民党が弱者の人権を蹂躙する反動勢力であるという本質をますますあらわにしてしまっている。

3.国民党が「228鎮圧はアカを取り締まるためのもの」と反共ドグマの意見広告を発表
国民党はこのほど中国時報などの一部新聞に、国民党の過去を正当化する意見広告を発表。その中で、民進党政府が現在進めている蒋介石ファッショ政権の清算問題について「蒋介石総統がいなければ今日の台湾はなく、228事件はアカが操縦したものだから、それを鎮圧してアカを殺すことは必要だった。台湾独立派や民進党は共産党の手先」などと、冷戦が終わった現在では明らかに有り得ない反共ドグマによる反動的主張を展開したて、世論を呆れさせている。
そもそも「アカなら殺してもいい」という主張が、今だに国民党内にあることは驚きだ。まったく国民党という政党はどこまで腐っているのか?そもそも、これは馬英九が国民党文化工作委員会主任に抜擢した楊渡(中国時報出身)の手によるもので、馬英九の意向を反映している。馬英九は「アカを殺してもいい」という思想の持ち主なのである。
馬英九を弁護しつつ、日本の右翼の反共主義を批判し、一見して「左翼」的なポーズを取ってきた日本人ジャーナリストの本田善彦氏や共同通信特派員氏は、国民党があまりにも古臭い「反共ドグマ」を暴露した件について、どういう釈明をするつもりだろうか?国民党こそが、反動ファッショ反共ドグマ政党であり、それを擁護してきた本田氏や共同通信特派員氏こそが右翼というべきである。
また、国民党は2005年台湾世論の批判の中で、中国に代表団を送り、中国共産党の指導者たちとにこやかに握手したが、「アカは殺してもいい」というなら、どうしてそのとき相手と握手をしたのか?国民党や中国人の食言や一貫性の無さは今に始まったことではないが、これでは21世紀に生きて行けない。国民党は滅びるしかない。
また「蒋介石がいたから台湾は共産党から守られた」というが、これにも台湾独立派から「蒋介石が来なければ台湾は米国の管理の下でとっくに独立できていたし、蒋介石が来たからこそ中国共産党が台湾を中国の一部だと主張する根拠を与えてしまった」という重要な反論もあるのである。

4.馬英九が「一審有罪判決でも総統選挙に出馬」宣言
馬英九・前国民党主席(つまり現在は公的ポストはない)が4月2日、支持者たちとの会合で「特別費事件で一審で有罪になっても、総統選挙には出る」と宣言した。
これは「妻の事件で一審有罪なら辞任する」としていた陳水扁総統と比べてあまりにも往生際が悪すぎる。しかも陳水扁総統の国務機密費事件については証拠が確定していないのに「辞任すべきだ」と盛んに主張してきた馬英九自身の「道徳基準」に照らせば、有り得ない発言である。これで馬英九が政党支持無しの中間層からも浅藍(青陣営の中でも穏健派)支持を受けなくなることは確実であり、馬が無法無天の典型的な醜い中国人に過ぎないことが証明された。「ハンサムでクリーン」などと書きたててきた共同通信や本田氏はどう釈明するつもりだろうか?
最近の馬英九は、もはや破れかぶれで、とにかく総統選挙にだけは出たいという姿勢があらわであるが、当選は度外視している。どうみても、特別支出費で真っ黒の馬英九に総統選挙での勝算などない。今回の宣言で、浅藍の支持層も反発しているだろう。実際、TVBSなど青陣営系テレビ討論番組でも、浅藍のジャーナリストなどは馬英九を猛攻撃している。
馬英九はそれでもいいのかもしれない。とにかく今の馬英九は深藍、少数の国民党反動派=統一派に依拠するだけで満足なのだろうし、彼らの顔色だけ見ているだけだからだ。
しかし、これで馬英九の勝算はゼロになったといえるだろう。
「次は馬英九で決まり」などと書きたて、そういう噂をばらまいてきた共同通信、林涼介氏、本田善彦氏らは、どう釈明するつもりだろうか?


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