その一、その二の続き
ビートルズのメンバーで、特に熱心にインドに入れ込んだのはジョージ・ハリスンだった。現地でラヴィ・シャンカルからシタールを習っただけでなく、インドの精神文化に強い影響を受けたようだ。
番組HPにも載っているように、1968年、ビートルズのメンバー4人はヒンドゥー教の聖地、ヒマラヤのふもとのリシケシュへ向かい、アシュラム(道場)で6週間を過ごす。彼らはここでマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーと出合い、マハリシから瞑想を学んだと云われる。
「マハリシとビートルズ:本当は何が起こったのか?」という記事にはその詳細が載っている。但し記事のHPトップには、「TM瞑想で輝く自分になる!」というコピーがあるので、鵜呑みには出来ない。記事ではマハリシを“地上の天使”とまで持ち上げているのだから。
ビートルズには殆ど関心がなかったので、インド訪問以前のアルバムを聴いたこともなく、彼らの行動も知らなかった。ただ、メンバーがマハリシの前では畏まり、崇めているのが印象的だった。まるで具現化した救世主を前にしたようで、西欧人ってこうも易々と宗教指導者にひれ伏すのか?と感じた。
wikiにはマハリシが、「世界を股にかけ、ダイヤモンド取引からホリスティック健康療法まで、幅広い領域で数百万ドルもの事業を率いた」とあり、ビートルズとの出会いは彼にさらなる富と名誉をもたらす。
マハリシは本名ではなく一種のホーリーネームであり、直訳すれば“偉大なリシ”。ずい分とまあ、尊大なホーリーネームだが、臆面もなくこのような名で呼ばれるのがインドの聖職者である。
かつてインド初代首相ネルーは行者について、こう語ったことがある。我が国に行者と呼ばれる人間はごまんといるが、真に行者たる者はほんの一握りではないか、と嘆く。それを聞いた側近は、「そんなことを言って大丈夫ですか?宗教界のお偉方がうるさいですよ」と注意するが、「大丈夫。何故なら彼らこそが自分こそ真の行者と思っているから」がネルーの答えだった。
インドの聖者といえば、ガンディーの様な清貧の人物を連想しがちだが、ガンディーはむしろ例外で、露骨に布施を要求する者が多く、富を全く否定しない俗世塗れが大半なのだ。似非行者に騙される現地人も多いので、まして世間知らずの西欧人ミュージシャンならイチコロ。
リシケシュにはビートルズの他にもミア・ファロー等のハリウッドセレブ、ドラック依存症の欧米人も多かったという。さらにこの地にはKGBの工作員まで来ていた。元KGB係官の証言によれば、聖地に集う欧米人の動向を探るため腕利きの工作員が派遣されていたという。もちろん彼等がマハリシの正体を探ったのは書くまでもない。
リシケシュのアシュラムに集う欧米人の中には、CIA工作員や米国の手先がいるとインド共産党は非難していたが、実際はソ連側だった。当時のインディラ・ガンディー政権は、米国がパキスタンを支援していたためソ連に接近しており、インド共産党の非難もその影響だったと思われている。
但し、KGB係官の証言は何とも考えさせられた。ミア・ファロー等の愚か者はマリファナと瞑想といった習慣を米国に持ち帰ってくれた、この時点から米国の堕落が始まった……と嘲っており、我々はマハリシに全く援助することなしに敵対工作が行えたと云うのだ。レーニンの言葉を借りればビートルズやミア・ファローこそ、「役に立つ愚か者」だった。
深刻な問題から大衆の目をそらすには、どうでもよい話題を大きく取り上げる方法こそが共産党やKGBの宣伝工作とも元KGB係官は語っている。現代日本のメディアを見ただけで、その実践は諜報の素人でも頷けよう。
間もなくビートルズとマハリシは双方の誤解から決別してしまうが、インド滞在でビートルズメンバーはインスピレーションを刺激され、それが創作のプラスになったのは確か。
ビートルズに影響されてか日本人にもマハリシ崇拝者がいるらしく、TM瞑想なるもので集中力の増加・仕事のパフォーマンス向上、アイデアが浮かびやすくなると説く者がいる。それを信じ、実践するのは自由だが、番組ではアシュラムでいくらマントラを唱え、瞑想しても自分が生まれ変わった気分にはなれなかった……と話す白人女性が登場していた。
15世紀前半に活躍したインドの宗教改革者カビールの発言は興味深いので、過去記事から再び引用したい。
―ラーム(ラーマ神)と唱えて世界が救われるなら、砂糖と言えば口が甘くなる。火と言って足が燃えるなら、水と言えば渇きが消える。食事と言って飢えがなくなるなら、世間は救われるだろう。富と言って豊かになれば、貧しい者は誰もいなくなる。
◆関連記事:「ガンディー主義が挫折した訳」
「日本人は隠れヒンドゥー教徒?」
「平和と唱えて世界が救われるなら…」
番組でもジョンがマハリシに酷い言葉を使った曲を書いたと紹介されています。メンバー全員がインタビューで、「マハリシもただの人だった。我々は買いかぶっていた」とも言っていました。ネット検索などなかった時代にせよ、早く気づけよ…と言いたくなりますよ。
ビートルズ以外の欧米人もインドの“聖者”にコロッと騙されているのは驚きました。これではKGB係官が嘲笑するのは当然。尤もタダでソ連に協力し、反戦平和運動をしていた日本人もいたから欧米人を笑えませんが。
ジョージ・ハリスンのソロ曲は聞いたことがありませんが、エリック・クラプトンに妻を寝取られたエピソードだけは知っています(笑)。
「王様」という芸人は初めて知りましたが、「和訳」で女性歌手の「有名曲」を歌っていたのは笑えました。
Madonna-Material Girl!懐かしいですね~~ まさかジョージ・ハリスンの Living In The Material World から着想を得ていた?現代なら Material Girl のような曲は、ツイフェミがバッシング、炎上するでしょう。
動画「ビートルズ『タックスマン』は和訳で歌うとよく分かる!」には「散歩税」の歌詞がありますが、本当にあったの?と言いたくなります。それにしても、1966年の労働党内閣時の英国では税率95%とは仰天します。どうりで英国のトップミュージシャンが国外脱出をしていた。
ビートルズの歌を様々挙げている所から、のらくろさんも結構ビートルズマニアですね。「Taxman,Mr.Tanigaki」「Taxman,Mr.Aso」「Taxmam,Mr.Suzuki」「Taxman,Mr.Kishida」は完全に同意します。
68年リリースのアルバム「The Beatles」に入っているこの曲↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=tSk5U4oHhu0
は、最初にメンバーでマハリシを「まがい物!」と言い切ったジョンがマハリシに向けて書いたものとされる。Sexy Sadieとはマハリシのことを指す。歌詞は以下をご覧あれ(これ自体はカラオケなので、上の動画も含めた)
ttps://www.youtube.com/watch?v=ZDYFvfcHEUw
>ビートルズのメンバーで、特に熱心にインドに入れ込んだのはジョージ・ハリスンだった。現地でラヴィ・シャンカルからシタールを習っただけでなく、インドの精神文化に強い影響を受けたようだ。
ソロになってからの作曲も盛んで、数枚のアルバムをリリースしているが、のらくろはこれを取り上げる↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=NDh6Lj-n_l4&t=1309s
アルバム全部を聞いてくれどころか、タイトルソングも「お好きなら」。なぜなら以下の前フリに過ぎないから。これは超有名↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=6p-lDYPR2P8
これの和訳かつ歌は、かつてCDリリースはされたが、YouTubeには残念ながら見つからなかった。
なお、この人の別の「有名曲」を含む「和訳」が以下。ラストには「さくらんぼ爆弾」も↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=p1-yjN1Ei2c
ブログ主なら元歌4曲ともご存じだろう。日本人なら大爆笑だが、英語ネイティブに「何わらってんの?」と聞かれて返答に窮する、説明がつかない、「日本語頑張って使いこなして、そうすれば笑えるから」としか言いようがない。
しかし、ジョージ・ハリスンと言えば、のらくろのセレクトはこれだなぁ↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=l0zaebtU-CA
意訳が過ぎる気がしないでもないが、和訳で歌うの一例↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=KStQdMiZ1fc
1966年の英国は労働党内閣で税率95%だったらしい。そりゃタックス・ヘイブンへ逃げるわな。
何年か前の職場の同僚と出かけた送別会、2次会のカラオケでこれをのらくろはセレクト。送られる人がビートルズマニアだったのは知っていたから。間奏以降のメインリフにかかる合いの手をこうやって、当時もおっさんだらけの同僚の笑いを誘ってやった
「Taxman,Mr.Tanigaki」「Taxman,Mr.Aso」
今なら「Taxmam,Mr.Suzuki」「Taxman,Mr.Kishida」か。