トーキング・マイノリティ

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イスラエル・ロビー その②

2007-12-21 21:21:49 | 読書/ノンフィクション
その①の続き
 ユダヤ人有権者は高い投票率を誇り、米国でも重要な州に集中して居住しているという。特に重要とされるカリフォルニア、フロリダ、イリノイ、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルヴェニア諸州に彼らの多くは住んでいるそうだ。接戦となればユダヤ人票が重要となるため、大統領選候補者たちはあらゆる手段を用い、ユダヤ系米国人有権者の支持を得ようとする。候補者たちがユダヤ系の支持を得る努力を『エルサレム・ポスト』紙はこう揶揄した。「桜の花と同じくらい確かなワシントンの風物詩」。

 ただ、候補者たちは直接ユダヤ人にではなく、AIPAC(米国イスラエル広報委員会)のような<イスラエル・ロビー>に属する諸団体に熱心にアピールする。彼らは<イスラエル・ロビー>に属する有名な諸団体のお墨付きを得られたら、ユダヤ人有権者から政治献金と票が集まることを熟知しているからだ。
 熱心なイスラエル支持者の一人に大統領選候補者ヒラリー・クリントンがいる。彼女は夫が大統領だった'98年、パレスチナ国家建設への支持を表明し、翌年アラファトの妻スーハと公の場で抱擁を交わす。だが、ヒラリーは上院議員選に初出馬以降は態度を変え、親イスラエル諸組織から多くの支援と資金援助を受けている。拙ブログにヒラリーを「共産主義と寝た女」とコメントされた方がいるが、カネのためならシオニズムやファシズムでも寝る女だろう。

 ユダヤ系議員となれば熱心なイスラエル支持者であり、特にトム・ラントスは有名である。第二次大戦中の“従軍慰安婦”決議案を採択したこの人物が、イスラエルによる大々的な人権蹂躙には見ざる、聞かざるで一貫しているのは書くまでもない。
 昨年7月、ヒラリーは親イスラエル派の集会に出席、イスラエルの対レバノン戦争への支持を表明する。親イスラエル団体でも強硬派の「安全なイスラエルを支持する米国人の会」の理事はヒラリーの発言を評価しながらも、こう付け加えた。
しかし、それでも私たちはクリントン上院議員がスーハ夫人とキスを交わしたことを忘れることが出来ないのです。

 第6章「社会的風潮を支配する」には、世論形成のため<イスラエル・ロビー>がメディア、シンクタンク、学会や教育界に影響を与えようと懸命になっているか、様々な実例が記されている。
 米国の主流メディアのイスラエル報道はかなりイスラエル寄りに偏向しているという。こう述べたジャーナリストもいる。
ユダヤ系メディアであるか否かを問わず、米国メディアで記事を書いているユダヤ人の使命はイスラエルを擁護することです。そしてイスラエルへの攻撃に決して参加しないことです。

 ユダヤ人であれ、イスラエルに批判的な書き方をする人物にはこう警告される。「少なくともユダヤ人であるならば、非ユダヤ人に対してイスラエルについてどのように語ってよくて、どのように語ってはいけないかを教えなければなりません」。つまり、「非ユダヤ人はイスラエルについてユダヤ人が認める方法でのみ語るべきだ」となる。ニューヨーク駐在イスラエル総領事館の報道官は誇らしげだ。
米国のメディアにおいて当然自己検閲が行われている。ジャーナリスト、編集委員、政治家はイスラエルを批判することを躊躇する。損なことをしようものなら、彼らの許には1時間に何千本もの怒りに駆られた抗議の電話がかかってくるからだ。ユダヤ・ロビーは人々の怒りを圧力として結集させることに長けている」。

 親イスラエル団体は大学のキャンパスにおける議論をイスエラル寄りにしようと活動する。キャンパス内で親イスラエル活動をする学生の数を増やし、あらゆる学生団体と接触させ、親イスラエル的主張をキャンパス内に広めるよう指導される。これらの学生をイスラエルに送り、現地学生との友好交流も促進するが、もちろん経費は親イスラエル団体が負担する。
 その一方、息のかかった学生に、イスラエルに敵対的と思える学者の行動や発言を報告するよう呼びかける。“反イスラエル的”と疑いを持たれた学者の個人情報が掲載されたウェブサイトもあったという。

 潤沢な資金に恵まれた親イスラエル団体は当然大学の人事にも介入する。“反イスラエル的”な人物が教授にならないように圧力をかけ、パレスチナ系米国人教授の元には大量のスパムメールが送られたこともある。イスラエルの行動を批判するユダヤ人教授も、教授及び家族に対し、殺人予告が度々送られてきたそうだ。
 03年3月、レイチェル・コリーという23歳の女性はイスラエル軍のブルドーザーにより殺害されるが、彼女を主人公とした演劇「私の名前はレイチェル・コリー」の公演は圧力を受ける。ある劇場で公演が決まっていても突如延期となったり、回数が制限される。公演される予定だったが、中止を決定した劇場もあった。「表現の自由」への著しい侵害である。
その③に続く

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