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優秀なる移民

2009-11-24 21:25:18 | 読書/インド史
 今日はイギリスのロックミュージシャン、フレディ・マーキュリーの命日に当たる。45歳の若さで彼が他界してから、今年で18年となる。国籍こそイギリスだが、元来フレディはパールシー(ペルシアから来た人の意で、ゾロアスター教徒を指す)と呼ばれるインドの少数民族の出である。そこで、彼の同族パールシーについて書いてみたい。千年以上前、宗教の迫害を逃れイランからインドに移住してきたパールシーだが、インドに限らずどの移住先でも評判がよく、もっとも優れた移民だと私は思っている。

 パールシーが住み着いたのはインド西部グジャラート州だが、この地にも13世紀末頃、トルコ系ムスリムが侵攻して来る。彼らはヒンドゥー軍に加わり侵略に抵抗、死闘を繰り広げたが、惜しくも敗れる。パールシーより遥か前からユダヤ人もインドに居住していたが、当然後者は参戦などしない。
 イギリス支配下のインドでも、パールシーはイギリス東インド会社と共存共栄を果たし、確固たる社会的地位と財を築くものの、やがて独立運動に熱心に取り組む。ガンディーの先駆け的存在で、「インドの大長老」と謳われたダーダーバーイー・ナオロージー(1825-1917年)のような人物もいた。

 パールシーはヒンドゥーやムスリムと異なり娘にも教育を授け、多くのパールシー女性が就学した。その中でカーマ夫人(1861-1936)のケースは興味深い。夫人の結婚前の名前はピカージー・パテール、ボンベイ(現ムンバイ)の富裕なパールシーの家系に生まれる。欧州でインド人、ロシア人革命的活動家と交流し、1909年からパリを根拠にインド独立に向けて宣伝活動を開始する。そして、シュツットガルトの社会主義協議会の席上、インドの独立旗を掲げた。
 自国で独立旗を掲げれば即刻逮捕となるが、この事件はインドで知れ渡る。社会主義のためか、カーマ夫人の独立構想は暴力的な路線があったのは否めないが、それでも少数民族、しかも女性の独立運動家の行動は異色だ。在日女が日本の独立に尽力することなど、99.9%ありえないのではないか。欧州を中心に活動した夫人だが、死の直前、帰国しているのも胸をうつ。

 独立後のインドで、ダライラマ14世の亡命を助けた雑貨店主ナウゼル・ナウロジ氏もパールシーだった。この人物のことを私は新聞のベタ記事で初めて知ったのだが、異人種、異教徒のために奔走した民間人がいたことに驚いた。中共のチベット侵攻に見ざる、聞かざるを貫く日本人左翼やクリスチャン、在日等と、ナウロジ氏のような少数民族の何たる違いだろう!
 総じて裕福なパールシーだが、全員が金持ちという訳ではない。しかし、インドで例外的に物乞いのいないコミュニティーはパールシーくらいであり、ヒンドゥーやムスリムもそれは認めている。彼らも移住したばかりの頃は貧しかったはずだが、誰も苦しい時にも他宗教の者に施しを求めることはしなかったというから、見事という他ない。

 数こそ少ないものの、実は日本にもパールシーはいるそうだ。彼らは戦前から神戸在住の貿易商として来日、その子孫の方々は現代でも神戸及び東京で健在という。彼らの国籍はインドに属し、他の印僑もいることからゾロアスター教徒と見分けるのは難しい。ただ、アーリア系らしく、彫りの深い顔立ちと明るい肌をしているとか。
 日本在住のパールシーも三世や四世の時代であり、代々日本女性と結婚、定住している人もおれば、東京生まれで東京育ち、日本の有名大卒業後、女性雑誌のライター(当然日本語で執筆)として著名になる人も現れ、すっかり日本文化に溶け込んでいるそうだ。それでも、一旦ことあらば、ムンバイに帰りゾロアスター教の宗教儀礼に参加するなど、教徒としての団結力の強さを持つ。

 パールシーは常に同教徒のみと結婚し、異教徒からの改宗を認めないという排他性が特徴である。他の民族宗教であるヒンドゥー教やユダヤ教さえも、条件つきながら異教徒の改宗を認めることがあるのとは好対照だ。血統的には純血主義を貫き、極めて保守的な一方、進取の気性に富み、移住先で現地人と協調、成功するのは面白い。異民族の中で彼らの伝統文化を守りつつ、移住先でも貢献する姿勢に、私は敬意を払う。欧米の受け売りばかりしている日本人クリスチャンよりも、パールシーの方が余程日本社会に貢献しているのではないか。

 現地に同化も貢献もせず、支援ばかり求める移民はどこでも厄介者と成り果て、共生など不可能なのだ。何事にも優劣があり、移民でも優秀なタイプとそうでない者がいる。私は移民絶対反対論者ではないが、受け入れには慎重であるべきだと考えている。パールシーのような協調性のある民族は極めて少ないのだから。

◆関連記事:「合法移民と不法移民
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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
移民は必要か? (室長)
2009-11-25 18:21:23
mugiさん、またおじゃまします。
 パールシー達が、優秀な移民としてインドの歴史に貢献していることを知り、感嘆します。
 最近小生が読んだ本に、米国人投資家ジム・ロジャ-ズ著の『冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見』(日経ビジネス文庫、06年1月)があります。同人の意見では、世界中の国々が、国境という障壁を取り除き、移民を自由化し、関税障壁も低くして、自由でグローバルな経済システムとして、投資資金への規正を止めれば、経済はうまくいく、という投資家としての視点が根本にあります。また、米国の対外政策を厳しく批判しているし、NGO、国連、IMF、世銀などの活動にも、厳しい批判をしています。NGO職員が、外国でろくでもない活動しかしないのに、高給をむさぼり、贅沢していると、小生が感じたことも書いています。
 他方、同人は、後進国のやる気のある人々が、欧州先進国などへの移民を阻害されていることを、良くないことだと見ています。日本に関しても、高齢化社会で、毎年60万人ほどの移民を導入して、活力ある経済に戻すべきだという意見です。低賃金でも文句を言わず、一生懸命頑張って働く、そういった後進国の人々にチャンスを与えるような国家でないと、自然と衰頽する、という意見のようです。
 我々日本人の多くは、貴兄同様に、愛国心のない、単なる経済移民が増えることには、警戒心の方が強いし、地方選挙権にしても、外国籍のままでの投票権付与には懐疑的ですが、コスモポリタン的なロジャーズ氏は、世界中のやる気ある個人にチャンスを与える、という思想のようです。同人の宗派は、監督教会派=the Episcopal Church=the Anglican Church in Scotland and US.というので、要するに、英国教会系プロテスタントらしいのですが。
 小生としては、中国、インドなどと競争するには、製造業における低賃金を受け容れつつ、対抗するしかないと思うので、派遣労働者という制度に関しても、しょうがない、と諦めているのですが、他方で、やはり日本の青年層の気概、やる気が低下していることは問題とも思います。正社員でも低賃金というやり方で、何とかしのぐしかないのではないか、とも思うのですが、やる気のある移民にはかなわないかも。
 ともかく、失業者も増えているし、移民を受け容れることには慎重であって欲しいというのが、本音です。
 今の激安商品ばやり・・・やはり中国、インドネシアなど、外国で製造した商品への依存度がたかまるばかりと思う。移民ではなくとも、国内の工場がどんどん閉鎖に追い込まれそうで、憂鬱になります。保護貿易しても、やはり産業内規のこれなくなるし。八方ふさがりですね。
訂正 (室長)
2009-11-25 18:26:08
最後の部分、「保護貿易主義を採用しても、結局産業の競争力が弱まり、生き残れなくなる・・」と読んでください。変換ミスです。
Re:移民は必要か? (mugi)
2009-11-25 21:53:27
>室長さん

 個人的にゾロアスター教に関心があるので、パールシーに関しても調べたのですが、本当に彼らと在日を比較すると、あまりの差にため息がでます。ただ、華僑のような儒教圏の移民と違い、パールシーは帰るべき祖国がないという違いはある。それでも、イスラエル建国以前のユダヤ人も立場は同じなので、なぜ違いが出るのか、私も不思議でなりません。いずれにせよ、パールシーは特殊なケースであり、このタイプの移民は至って少ないはず。

 私は経済にはド素人で、ジム・ロジャ-ズなる投資家の名は初耳です。ロジャース氏は「冒険投資家」と形容されているようですが、どうも私には氏の意見が怪しく感じられます。投資家が米国の対外政策を批判するのは当然だろうし、NGO、国連、IMF、世銀などにも見る目が厳しいのも無理もない。
 しかし、「低賃金でも文句を言わず、一生懸命頑張って働く後進国」の移民は意外に少ないのではないでしょうか?これは民族、宗教を問わず「愛国心のない、単なる経済移民」が圧倒的多数だと思いますね。かつての日本人移民もまず経済が目的であり、その国への愛国心は二の次だったはず。それでも概ね日本人移民は遵法精神がありましたが、その気質を持つ移民はあまり期待できません。

 後進国の移民がやる気があるかどうかなど、見極めは極めて難しい上、市民権を取るまではやる気のあるフリをする可能性もあると思いますね。ロジャーズ氏が唱える毎年60万人ほどの移民導入など、暴論としか思えません。英国教会系プロテスタントなら植民地でも似たようなことを行っており、特にビルマなど異教徒を殖民させ、この国を大混乱に陥れ、支配しました。投資家という人種は、己の儲けが第一に過ぎません。

 私はマスコミが報道する派遣労働者問題を懐疑的に見ていますが、日本の青年層の気概が低下していることには同感です。少し前に見た映画に、「恵まれすぎると、バカになる」という台詞がありましたが、確かに恵まれすぎると覇気がなくなってくる。
 塩野氏はエッセイで、イタリアの不法入国者について書いてますが、日本の近未来を見ているようで、陰鬱な気分にさせられました。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/2a87573c858f86305de0eacead5daa2c
冒険投資家 (室長)
2009-11-26 14:49:27
mugiさん、ジム・ロジャーズに関する予備知識は、小生もないのですが、91年から単車で世界一周して、その目で見て(国境通過に際して、官僚主義的な障害が多い国とか、やたらに関税類を取ろうとする役人の腐敗度がどうとか、税制その他の煩雑さなどを直ちに理解できる)、また現地の識者らと話してみて、その国の将来を感じ取って、長期投資する、という、なかなかもっともらしい投資術のようです。
 小生が読んだ本は、1999年から今度はメルセデスで世界巡りした記録。
 将来性のある国で、未だに経済が離陸していないが、国民が勤勉で教育程度が高い(昔の中国など)、外国人への投資規制が少ない、などの用件を探り当てて、当該国の一流企業株を買い付け、長期にわたり保持し続けて、値上がりを待つのです。極めて真っ当な投資家といえます。短期のブームとかに注目する投資信託(日本など)は、結局このような長期の視点を持たないから、何時も損するだけと言っているのも正しいし、正常な感覚です。米国のいい大学で経済の基礎を勉強しているが、卒業後まず金融界で働いたものの、すぐに独立して、自らの才覚で投資を初め、若くして大金を手中にして、その後は世界の新興国投資を生業としているそうです。まあ、凄い人です。

 小生もハワイにいたとき、若い日系人の中にも、小規模の商売と「かなりの金額を元本とする投資」が仕事といっていた人もいて、米国では、自分の才覚で投資を自分の一番の「職業」としている人が多いのに驚いたので、投資家という職業で、大金持ちが結構いることは知っています。日本では少ないように思うけど。
 
 後進国の移民、或いは人材の「やる気」、に関して小生の意見を言えば、少なくともブルガリア人なら、90年代以降にのし上がった「新資本家」とか「マフィア系資本家」などを、現地の新聞などでよく見ていたので、小生は信じます。金儲けという概念の無かった社会主義時代と違い、個人の才覚で、金儲けができるありがたい時代ですから、驚くべきほどの才能を発揮する人間が続出して、ブル人達自身が、なぜあいつはあれほど成功し、自分はダメなのかと、深刻に考えています。まあ、ショックを受けている連中は、やはりダメですが、波に乗った人間は凄いです。

 我々世代の同窓会でも、高校時代の成績はあまり関係なく、凄く成功している人と、平凡なままの人の差はかなり大きい。粘りが利いて、しかも楽観的で、何時までも努力できる忍耐力というか、結局根性というか、それがある人、特殊な方面の職業を選び、それを追求している人なども、大成しているように思う。根暗はダメなようです。人生に前向きな人、「やる気」がある人というしかない!!
 小生は、生涯こつこつ生きた方ですし、金儲けを商業としなかったけど、まあ普通の老後を送れます。これだけでも十分ですが、後進国の人々は、大家族全員分の大金を稼がなければならないから、それこそ目の色買えて頑張るし、工夫するのだと思う。華僑が凄いところは、そういうでかい夢を持っていることでしょう。
Re:冒険投資家 (mugi)
2009-11-26 21:27:08
>室長さん

 私も含め一般の日本人には、投資家という職業がよく分からない人が多いのかもしれません。ただ、ロジャース氏クラスの人物となれば、アメリカでも少ないと思いますね。紹介された経歴を見ても、大した人物なのは確かでしょう。機を見るのに敏なのも、天性の才覚があったように思えます。
 しかし、ロジャース氏のような切れ者ばかりではないので、大損をした人の方もかなり多いでしょうね。そのような人々をマスコミも取り上げることはないし、注目もされません。成功者の影には夥しい負け犬もいるはず。

 例えは悪いですが、投資家というと私はどうしてもギャンブラーを連想してしまいます。もちろん元本とする投資で大儲けをするのは自由ですし、マネーゲームが悪いという気は全くありません。金は天下の廻り物なので、金融商品で経済活性化を図るのも結構だと思います。マスコミのえげつないのは、短期のブームにすぐ飛びついて煽り、それを疑問視する者を無知と決め付け、金融バブル破綻となれば、一転して反省論となる。なお、私自身は度胸のない小心者なので、とてもギャンブルなど出来そうにありません(笑)。

 母から聞いた話ですが、昔の相撲取りは貧乏人の子供が多かったそうです。角界に弟子入りすれば、少なくとも食べる心配はないし、そのため土俵に金が落ちていると思って必死で頑張ったとか。今の日本人力士が外国人にまるで勝てないのも、豊かになりすぎた背景があるはず。家族を養うため、日本の相撲界入りする外国出身の力士は、目の色買えて頑張ります。
 そして、人生で成功する人はやはりネアカですか!人生に前向きで「やる気」があり、何時までも努力できる忍耐力を兼ね備えた人は成功する確立が大ということですね。
投資と投機 (室長)
2009-11-28 09:31:45
 ロジャーズ氏自身の言葉として「自分は体制を変革して、自由主義経済・資本主義経済へと舵取りした混乱期の新興国株式に投資する」というようなことを言っています。短期的な投機ではなく、長期的な投資をする、というわけです。既に世界中から投資が押し寄せているような経済にも関心はない、ということで、全く自分自身の現地体験、分析に基づき投資する、安値で当該国の基幹産業など、主要企業の株式を買い、20年、30年の長期での値上がりを期待しますが、途中で当該国が経済自由化路線から離れたり、政府の腐敗、汚職が深まったりした場合、すぐに売り抜けるか、損しても売って清算する。そもそも、初期投資なので、巨額の投資は少ないようです。新興国の変化の兆しに投資するやり方なので、株式なども値段が安いのです。
 ギャンブラー的な要素がゼロとは言えないけど、そういう段階での投機には参加しないというわけです。長期の歴史的予測を建てて投資するという、まるでロスチャイルド財閥の創始者達のようなやりかたですが、全く自らの冒険的体験とか、経済学知識(米国の著名大学卒)を元に分析している、本物のプロらしいです。
 もちろん、我々のように若い頃に巨額の元本を手中にするような、金融プロとしての能力もない人間には、24時間チャートを睨み、投機に参加して、初期資本を蓄積し(30歳までに大金持ち)、その後は新興国の将来性を見て初期投資に専念するという、手堅い投資家のロジャーズ氏のような芸当は難しいですが、米国にはそういう「個人の才覚」のみに頼る「投資家」というカテゴリーの人間が相当いて、彼らは普通、日々のギャンブル的な投機はしません。日本にはあまりいないタイプの人々です。

 エーと、テーマは移民なのですが、日本人には少ないタイプの才覚を伴った人材が、日本の経済界で活動できるような機会を与えるという意味で、ビジネス上の査証取得条件を緩和するとかすれば、査証相互免除協定のない新興国人士でも日本で活動することはできるし、必ずしも本格的な移民を受け容れる必要はないと思う。日本国での経済的な活動に関して言えば、現在のシステムでも、外国人にもそれなりに多くの可能性、チャンスが開かれていると思う。
 日本人の外国人への偏見とか、人種差別感情も少なくなっていて、国際結婚を通じて諸外国の人材が既に日本に浸透してきているとも思う。しかし、まだまだ欧米系が少なく、中国、韓国という隣国が多いという偏りがあると思う。まあ、地理的にしょうがないけど。
  日本としては、日本というアイデンティティーを保ちつつ、他方で、米国ほどではないにしても、才能ある外国人の能力を導入して、今後も成長する社会であって欲しい、というのが小生の「移民」テーマに関する感想で、しかも「大規模移民は回避」しつつ、という願望です。
 貴兄も気づいておられるように、既に成熟国家で、恵まれた社会の日本の青年では、新興国国民達の活力(バイタリティー)に勝てないのです。
Re:投資と投機 (mugi)
2009-11-28 21:41:47
>室長さん
 ロジャース氏ほどの人物なら、長期的展望で自らの知識や体験を元に行動するというプロの投資家ですね。そのような逸材なら、ギャンブラー的な資質も必要だし、リスクをとらない限り儲けは出来ない。起業家もある意味ギャンブラー的要素があるし、その度胸がなければ起業もやれません。「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」と、古の中国人はいいことを言いました。
 もちろん、私のような小心者には能力はもちろん、真似する気力もありません。しかし、ロジャース氏のようなタイプは本当に日本人にはあまり見られないですね。やはり日本人はコツコツ型で、ギャンブルを好まない傾向があるのでしょうか?

 貴方が言われるように、日本人には出来そうもない発想を持ち、才覚のある優れた途上国の人材を受け入れることには私も賛成です。そして、日本社会の法と秩序を守ることを何よりも求めます。そのような点を考えると、儒教圏やイスラム圏の移民には問題が多い。自分たちの伝統文化を守ることは構わないですが、欧州がよい例で、移民の増大は犯罪も跳ね上がっています。マスコミの取り上げる多文化共生など、実現不可能な夢物語なのが、バルカン情勢に詳しい貴方ならご存知のはず。

 本当に「大規模移民は回避」しつつ、優秀な移民は受け入れるのが望ましいですね。情けないことですが、今の甘やかされた日本青年では、活力も望み薄です。以前、「目がキラキラした途上国の人間」の類のコメントをしてきた者がいましたが、そのくせ「福祉や教育」を祖国に求めている。こんな甘ったれなど、何処の国にも適応は出来ない。
途上国の天才 (室長)
2009-11-29 11:44:47
mugiさん、だんだん小生の論点をご理解いただけたようで嬉しいです。
 小生がブルガリアで、学生していたとき(70年代初頭)、ガーナ人女性の天才が、ソフィア大学の先生方の間でも話題となっていました。黒人女性なのですが、教科書をほぼ丸暗記できる、驚異的なIQの持ち主で、我々外国人学生が「必修」で学ばされる「ブルガリアの歴史」(各章の文章量も多く、文章も外国人学生には難しい表現も多いし、更には全く共産党政権による、自国賛美の内容で、隣国マケドニアからの学生らは、大反発していた)ですが、ともかく文章量が過大で、読む気を無くすし、面白くないので、小生もなかなか飲み込めなかったのですが、このガーナ人女性は、内容をほぼ完全に把握、記憶していました。アラブ人学生が、「おまえはどうしてそんなに簡単に、丸暗記できるんだ!!??」と呆れていましたが、小生も全くかなわんなーと呆れた。
  とはいえ、ブル人教師達によると、アフリカの黒人学生の中には、「頭の中に不必要な情報がほとんど事前には入っていないので、ほとんどの教科書を掃除機のように、全て瞬く間に脳髄の中に消化・吸収できる子がいる」という風に評価していました。この評価を小生は怪しいと思うけど(アフリカでも、欧米式の教育で、事前に多くの情報を吸収して、脳の訓練ができていたと思う)、ともかく人間の頭脳の優秀性を、顔とか、人種、当該国のレベル、その他の要因で、偏見を持ってみてはいけないと、痛感しました。
  ジャングルから出てきたばかりの、黒人の女の子の中にも、天才がいる!!これが、ソ連が自国、および東欧の共産圏諸国で、後進国からの留学生を教育し、世界共産主義革命の先兵として、養成しようとした人材だったのです。
  これらのアフリカの天才も、社会主義という間違った理論ばかり植え付けられたのでは、何の社会的貢献もできなかったかも知れないのが残念です。彼らのその後に関する情報を小生は保有していない。
  他方で、現在同じように外国留学している、或いは既に留学した90年代以降のブル人の中の秀才達は、ドイツ、パリ、アメリカなどに奨学金を得て留学し、現在のブルガリアにおける政治家、高級官僚となって国作りとか、EU本部におけるコミッショナー、高級官僚、あるいはIMF、世銀の高級官僚などにもなっています。そういえば、最近ユネスコ事務局長になったのも、ブルガリアの駐仏大使を務めていた秀才女性です。
  小生自身、国際会議などにおいて、英語で議論するには、相当な語学力が必要で、小生には荷が重すぎると感じましたが(パーティーなどで、個人的に交際するとか、食事の場で意見交換するなどは、より容易いのですが)、そういう国際的な場で活躍できる人材を日本としてはますます必要とするはずです。しかし、日本というのは、自国語のみで勉強もできるし、優れた書籍も、新聞もあるので、ブルガリアのような小国に比べて、外国語に堪能となる人材も、外国機関で活躍する方が収入面で得だという人間も少なく、これが残念なところかと思う。
Re:途上国の天才 (mugi)
2009-11-29 21:32:26
>室長さん

 貴方の紹介されたガーナ人女性のお話、とても面白く拝見させて頂きました。彼女のような天才はアフリカ人でも稀かもしれませんが、すごい女性ですね。彼女の暗記能力に驚いたアラブ人学生は、もしかすると男性だったのでしょうか?総じて女性留学生の方が勉強熱心で、外国での適応能力があるように思えますが、どうなのでしょうね?昔、ソマリアの砂漠から渡英、現地で一流モデルになった女性の自伝「沙漠の女ディリー」を見たことがありますが、彼女のサクセスストーリーも見事です。案外男性だと、現地に馴染むのに時間がかかるのかも。

 冷戦終結後、共産圏諸国に留学した途上国の秀才達がどうなったのか興味深いですが、それだけ優秀な人材ならば、支配層に収まる人も多かったのではないでしょうか?かつての日本と同じく洋行帰りはエリートコースのはず。まさか、人民裁判の果て粛正まではいかないでしょう。欧米留学したブルの秀才たちのその後も、日本の欧米帰りと似ていますね。猫も杓子も留学する現代と違い、かつてはエリートコースへの道でした。

 仰るとおり、国際的な場で活躍できる人材には語学力が欠かせません。その方面に長けた優秀な途上国留学生を採用することに、私も賛同します。その前に日本人自身こそ、その種の人材が求められるのですが、日本に暮らしていれば自国語だけで生活できるため、どうしても外国語に堪能な人が育ちにくい。特に恵まれて育っている最近の若者は、以前のように留学に熱心でなくなってきているそうです。もちろん、留学しても帰国後あまり良い職に就けない実態も知られてきており、英語が堪能だけでは通じない時代になっているのかもしれません。
立派な移民ならいいのですが・・・ (スポンジ頭)
2009-11-29 22:11:01
こんばんは。

正直言って中華思想に固まった国の移民は百害あって一利なしだと思います。日本がアメリカのように愛国心を植えつける教育が出来ればまだしも、そんな力はありませんし。
ヤフーの海外ニュースの中国コーナーは掲示板があり、あの国の人間が複数書いていますが、もう愚劣、下品な人間が殆どです。あれらが大挙して日本に住み着いたら、治安等のコストが増大、それこそ民族紛争になるでしょう。
ttp://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/china/