トーキング・マイノリティ

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秘密結社KKK 白い闇の正体

2022-09-21 21:30:05 | 音楽、TV、観劇

 9月15日放送のダークサイドミステリー、「秘密結社KKK 白い闇の正体~人はなぜ差別と暴力に走るのか?~」は興味深かった。KKKといえば、全身白づくめの衣装をまとい、目出しの白い三角ずきんを被っているスタイルと、十字架を燃やす儀式を行う人種差別集団で知られる。しかし、その成り立ちや実態は殆ど日本では知られていないだろう。以下はNHKオンデマンドからの引用。

真っ白なローブに目出しの三角ずきん。夜の森で怪しげな儀式を行う集団KKK(クー・クラックス・クラン)とは何者か?差別とテロを重ね、アメリカでよみがえり続けた謎組織の正体とは?
▽KKKに乗っ取られた町!映画化された恐怖の事件「ミシシッピ・バーニング」とは?
▽遊園地で笑顔で遊ぶKKKたち。ふだんは優しい人たちがなぜ?
▽最初は敗者のイタズラだった!屈辱が暴力へ…KKK誕生の秘密と人間の差別感情の闇に迫る

 白装束と三角白いずきん集団というイメージが定着しているKKKだが、初期は違っていており、ハロウィン顔負けの派手なコスプレだったそうだ。KKKの結成は南北戦争終結後の1865年12月24日なので、時期や活動内容は3種に分けられ、思想や活動が一貫している組織ではなかった。
 KKKを設立したのは南軍中将だったネイサン・フォレスト、彼と親交のあった南部の上層部の若者 5人らによりKKKが誕生する。若者には弁護士や新聞記者などもいたが、真摯な政治的結社よりもお遊びに近い感覚だったらしい。19世紀の米国では結社を結成することが流行っていたという。

 初期のメンバーも顔を覆う三角巾と丈長のガウンを身に着けたが、色や模様は決まっておらず、人目を引くド派手な仮面やガウンをつけた者までいた。
 それでも南部の保守的な白人からは支持を集め、会員も増えていく。フォレストはKKK指導者に推薦されるが、与えられた称号が「グランド・ウィザード(Grand Wizard、総司令。直訳では「大魔導士」)」。騎士の称号を持つ幹部もいたので、日本人にはオカルト的にしか感じられない。
 反奴隷解放を唱えるメンバーも現れ、「黒人を懲らしめる」目的で行動するようになった。KKKは次第に過激化し始め、白装束で街を巡回するようになり、ここから白装束と三角白いずきん集団となっていく。

 初期のKKKはあくまで人種主義を取っており、そのため南部陸軍軍医総監だったサイモン・バルークらユダヤ人のメンバーも存在していたほど。やがてメンバーには過激派も目立ち始め、暴力行為を繰り返したために、政府からは非合法のテロリスト集団と認定され、軍や警察の摘発に曝され、「第1のKKK」は自然消滅した。

 番組サイトにある「遊園地で笑顔で遊ぶKKKたち」とは、第一次世界大戦時に復活した「第2のKKK」の時代。設立者が「神のお告げ」を聞いたと称する白人伝道師ウィリアム・ジョセフ・シモンズだったので、「第1のKKK」の人種主義に加え、民族・宗教主義も強まる。「第1のKKK」の頃の標的は専ら黒人だったが、第2では有色人種全般となり、同じ白人でもカトリックや共産主義者も攻撃対象となった。
 こうしてKKKは白人貧困層の絶大な支持を集めるようになるが、家族ぐるみでKKKに入会した白人家庭もあった。そんなメンバーが「遊園地で笑顔で遊ぶKKKたち」。「ふだんは優しい人たち」という一文が番組サイトにあるが、エスカレートした“優しい人たち”は、離婚した女性に制裁を加えたり、売春宿など「倫理的ではない」建物を襲撃するに至ったことは触れずじまい。

 組織拡大で増長した「第2のKKK」だが、1925年3月当時のKKKの指導者が強姦と殺人に及んだことで崩壊する。「第3のKKK」は第二次世界大戦後に米国南西部で労働者階級を主体として息を吹き返すものの、統率力に欠け影響力の低い組織に過ぎなかった。
 加えて1964年フィラデルフィアで、地元警察と結託したKKKが白人2人を含む3人の公民権運動家を殺害した事件が起き、郡保安官や副保安官を含む21名が逮捕された。但し裁判で有罪となったのは数名に過ぎず、犯罪の質にも関わらず罪は軽かった。

 この事件を映画化したのが映画「ミシシッピー・バーニング」。私もビデオで見たことがあり、思ったより面白かった。映画では理想主義に燃えるウィレム・デフォー扮するエリート捜査官が、現地で捜査に苦労するのに対し、世知に長けたたたき上げ捜査官(ジーン・ハックマン)と衝突しながらも事件を解明していくストーリーになっている。
 しかし歴史家ハワード・ジンからは、「歴史や公民権運動を少しでも知っている人なら、この映画の描写には戦慄を覚えるだろう」と述べていたことをwikiで初めて知った。彼によれば当時FBIは公民権運動には非協力的で、まったく当てになるような存在ではなかったという。やはり映画は鵜呑みにできない。

 それでも「KKKの全国的な影響力は大幅に低下したものの、その後も形を変えて細々と生き長らえ、現在もなお幾つかの分派が活動を続けている」(wiki)らしく、人種差別が絶えることはないのは人類の業だろう。ちなみに黒人を最も激しく差別しているのは他ならぬ黒人である。黒人をアラブ人や白人に奴隷として売ったのも黒人だった。

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