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過去に定期接種の一時中止、積極的な勧奨の差し控えを行った公費助成のある予防接種

2015-01-24 | Vaccine 概要

過去に定期接種の一時中止、積極的な勧奨の差し控えを行った公費助成のある予防接種

  • DPT:
    1970 年代からDPTワクチン、ことに百日咳ワクチンによるとされる脳症などの重篤な副反応発生が問題となり、1975年2月1日にDPTワクチンは一時中止となった。接種開始年齢を引き上げるなどで同年4月から再開されたが、接種率の低下は著しく、あるいは、DPTでなくDTの接種を行う地区も多く見られた。
    その結果、1979 年には年間の届け出数が約13,000例、死亡者数が約20 ~30 例に増えた。その後、我が国で百日咳ワクチンの改良研究が急いで進められた。それまでの全菌体ワクチン(whole cell vaccine)から無細胞ワクチン(a
    cellular vaccine)が開発され、1981 年秋から無細胞(精製、とも表現する)百日咳ワクチン(aP)を含むDPT 三種混合ワクチン(DTaPとも表現する)が導入され、その結果、再びDPT の接種率は向上した。 (IDWR 2001年第38週)
    百日せきワクチン ファクトシート 平成 29 (2017)年 2 月 10 日

 
  • OPV: 
     2000(平成12)年5月16日福岡県において、ポリオワクチン接種後にその因果関係は不明であるが、1例の急性脳症例と1例の急性弛緩性麻痺例(Acute Flaccid Paralysis:AFP)の報告が所管保健所より県に相次いであった(症例1:4月2日、症例2:5月15日)ため、5月16日福岡県は「厚生省の指示が出るまでポリオワクチンの使用を見合わせ」とし、同日厚生省は「AFP例はポリオワクチン440万接種あたり1人は発症し得るものであるが、無菌性髄膜炎および急性脳症の発生は確認されていない。しかし同一ロット(Lot.39)において両症例が発症していることを考慮し、安全確保の観点から因果関係の調査を行うこととし、その間Lot.39ポリオワクチンの投与を一時見合わせる」とした。(IASR ポリオワクチンの一時中止と再開)
    副反応の検討の結果、中央薬事審議会医薬品等安全対策特別部会(2000年6月15日開催)では、2000年6月7日に開催された公衆衛生審議会感染症部会と同様の結論に達したとし、さらに、
    1)国立感染症研究所において実施したLot.39のポリオワクチンおよびそれを構成する1型、2型、3型の単価バルクに関する国家検定の結果を厚生省が再確認したところ、特に問題は認められなかった。
    2)製造業者である(財)日本ポリオ研究所に対し、厚生省がLot.39のポリオワクチンおよびそれを構成する1型、2型、3型の単価バルク等についてGMP 査察を行ったが、検定項目の自家試験成績を含め、特にその品質に影響を及ぼすような問題は認められなかった。
    とし、以上のような結果により、Lot.39ポリオワクチンについては、品質・安全性に問題はないと考えられる、と結論づけた。
    ポリオワクチンの予防接種の今後の取扱いについて(平成12年6月16日)

  • 日本脳炎:
    日本脳炎ワクチンによるADEM(急性散在性脳脊髄炎)の健康被害については、予防接種法に基づき、1991年度以降2005年5月までに、因果関係が否定できない又は肯定できるとして、13例(うち重症例4例)の救済を行われてきた。
    2005年5月、疾病・障害認定審査会において、現行の日本脳炎ワクチンの使用と、重症のADEMの事例の発症の因果関係を肯定する論拠がある旨の答申が出され、5月26日、厚生労働大臣による因果関係の認定がされた。
    これらは、いずれも厳格な科学的証明ではないが、日本脳炎ワクチン接種と健康被害との因果関係を事実上認めるものとされた。
    従来、予後は良好であると考えられてきたADEMについて、日本脳炎ワクチン以外での被害救済例は2例であるが、日本脳炎ワクチンでは14例の救済例があり、そのうち、5例目の重症な事例が認知された状況においては、よりリスクの低いことが期待されるワクチンに切り替えるべきであり、現在のワクチンについては、より慎重を期するため、積極的な接種勧奨を差し控えるべきと判断された。
     - 厚生労働省の対応
    マウス脳による製法の日本脳炎ワクチンと重症ADEMとの因果関係を肯定する論拠があると判断されたことから、現時点では、より慎重を期するため、定期予防接種として現行の日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨は行わないよう、各市町村に対し、地方自治法に基づく勧告を行われた。
    流行地へ渡航する場合、蚊に刺されやすい環境にある場合等、日本脳炎に感染するおそれが高く、本人又はその保護者が希望する場合は、効果及び副反応を説明し、明示の同意を得た上で、現行の日本脳炎ワクチンの接種を行うことは認められるとされた(2005年5月30日 健感発第0530001号) 。
    日本脳炎の予防接種を継続する必要性については、専門家から指摘されているところであり、よりリスクの低いと期待される組織培養法によるワクチンが現在開発中であることから、供給できる体制ができたときに供給に応じ接種勧奨を再開する予定とされた。
    各市町村において、日本脳炎の予防接種に関する問い合わせに対応するとともに、念のため、戸外へ出るときには、できる限り長袖、長ズボンを身につける等、日本脳炎ウイルスを媒介する蚊に刺されないよう注意喚起を行うこととされた。(厚生労働省HP 日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて
    その後、平成21年2月に乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが開発され、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の下に設置された、日本脳炎に関する小委員会において専門家に検討いただいた結果を踏まえ、平成22 年度から積極的勧奨が再開された。(日本脳炎ワクチン接種に係るQ&A 平成 25 年 3 月改訂版)

  • PCV, Hib(非定期接種):
    ワクチン接種緊急促進事業が軌道に乗り始めた2011年3月2日以降に、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを含む同時接種後の死亡報告が相次ぎ、2011年3月4日に接種が一時見合わせられた。その後、数名の追加報告があり7名の死亡例について厚生労働省医薬品等安全対策部会安全対策調査会、子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の合同開催で複数回の検討が行われた。
    検討の結果、接種と一連の死亡との間に、現時点では直接的な明確な因果関係は認められないこと、接種後の死亡事例で、接種との因果関係がわからないものは海外でもある程度報告されていること、これまでの国内外の調査では、Hibワクチンと小児用肺炎球菌あるいはDPTワクチンなどの複数のワクチンを同時に接種しても、重い副反応の増加は報告されていないこと等により、現在得られている知見の範囲では、これらのワクチンの安全性について心配はないとされ[平成22年度薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(第13回)及び子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(第4回)(合同開催)]、2011年4月1日に接種が再開となった。(IASR Hibワクチン定期接種化に至るまでの経緯と小児ワクチン接種の現状)

     
  • HPV
    第1回(平成25年5月16日)の審議において、「全国被害者連絡会から提供された24例については、副反応報告の転帰など詳細については調査し、医学的なデータを可能な限り収集すべき」とされたことを受けて、新たに収集された医学的データを基に専門家による評価を実施。
    「ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が、HPVワクチンの接種後に特異的に見られたことから、この副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」と判断・積極的な接種勧奨の再開に向けて、①2種類のワクチンの比較、②海外での慢性疼痛症例の状況、
    これまで報告のあった広範な疼痛を訴える38症例を中心にその概要を明らかにすることとされた。
    対応として、
    積極的な接種勧奨の一時差し止めを決定した旨を報道発表を行うとともに、自治体等へ通知(ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告) 平成25年6月14日健発0614第1号)。
    早急に調査すべきとされた副反応症例等について、可能な限り調査を実施し、速やかに専門家による評価を行い、積極的な接種勧奨の再開の是非を改めて判断することとなった。(副反応検討部会における審議状況について
    その後、同審議会での検討が継続中(2015年1月)。 
 

接種勧奨:A類疾病の定期接種については、予防接種法に基づき市町村が接種対象者やその保護者に対して、接種を受けるよう勧奨しなければならないものとしています。

 具体的には、市町村は接種対象者やその保護者に対して、広報紙や、ポスター、インターネットなどを利用して接種可能なワクチンや、接種対象年齢などについて広報を行うことを指しています。

積極的な接種勧奨:「積極的な接種勧奨」とは、市町村が対象者やその保護者に対して、広報紙や、ポスター、インターネットなどを利用して、接種を受けるよう勧奨することに加え、標準的な接種期間の前に、接種を促すハガキ等を各家庭に送ることや、さまざまな媒体を通じて積極的に接種を呼びかけるなどの取り組みを指しています。

 

医療過誤などの損害賠償請求における、過失と損害との関連(相当因果関係)の判断
「訴訟上の因果関係の立証は、1点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである(最二小判昭50・10・24 民集29巻9号1417頁)」

 

ワクチン接種等と健康被害の因果関係判定基準(白木四原則)

  1. ワクチン接種と接種後の事故(疾病)が時間的、空間的に密接していること
  2. 疾病について、ワクチン接種以外の病因が考えられないこと
  3. 接種後の事故と後遺症が原則として質量的に強烈であること
  4. 事故発生のメカニズムが、実験、病理、臨床などの観点からみて、科学的、学問的に実証性や妥当性があること
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