蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

敦 -山月記・名人伝ー

2015年07月02日 16時21分22秒 | 日記
昨日は、朝から中野市の職業訓練センターの
入校式に参列。
今年も就職支援講座の非常勤講師として
講座を担当させていただくことになっている。

今回は「介護職員初任者研修科」の講座にて
自己分析を通して、自分を見つめ
未来の自分を想像して頂いた上で
表現とコミュニケーション力の向上を目指し
実演しながら体験していただく予定。

介護の現場は様々な問題を抱えている。
それらを精神的に追い込まれることなく
明るくほがらかに乗り越えていくには
体力と精神力が必要で
様々な価値観に対応できる考え方も必要。

それらに気づいて頂くきっかけになることを願い
講義を進めて行こうと思っている。

入校式終了後、夢幻の営業部長として
営業面に携わって下さることになった
Sさんと打ち合わせ。
Sさんは、これまで賛助会員として
夢幻を応援してくださり
ボランティアとして、公演当日の受付を
積極的にお手伝いしてくださって来た。
今年のオープンエアは、更に営業面を
サポートしてくださると言う。

Sさん、誠にありがとうございます!

私が多忙でなかなか外回りが出来ないため
今回は、Sさんと制作・ケンジ君で
銀行関係や各企業を回ってくれることになった。
何卒よろしくお願いしますm(__)m

制作・ケンジ君は、抱えている仕事がハンパなく多いが
前向きに明るく取り組んでくれていて、感謝!

もっちゃんは、衣装で悪戦苦闘中。
何しろ、大変な衣装プランを作ってしまったので…
ご苦労かけますが、よろしくお願いしますm(__)m

みんなの頑張りを見て
私も精一杯頑張らねば…と思う。

12:00過ぎに帰宅。
12:40にサリア、クボちゃん、恭子ちゃんが到着し
うちの車に同乗して、いざ、松本へ!
運転手はケンジ君。

目的は、野村萬斎氏の舞台観劇。
会場は「まつもと芸術館」大ホール。

ホールのロビーでバイオリニストの牧さんと合流し
劇場に入場。

■タイトル  敦 -山月記・名人伝ー
■原  作  中島敦
■構成・演出 野村萬斎

「山月記」は、私も2年前に執筆し上演したことがある。
この作品は、いずれ再演したいと思っていて
それを踏まえ、是非とも萬斉さんの山月記を観たいと。

牧さん、ケンジ君、恭子ちゃん、クボちゃんは
夢幻「山月記」の初演メンバー。
初演メンバーには一緒に観てもらえたら…と
思っていたが、チケット料金もかかるし
強制できないと思っていたところ
牧さんもクボちゃんも恭子ちゃんも観劇する予定と聞き
大変嬉しかった(^^)

芝居の内容は―(まつもと芸術館HPから抜粋)

戦時下の閉塞した状況の中にあっても
開かれた柔軟な精神を保ち
“私とは何か”という普遍的なテーマを問い続け
その才能を惜しまれながら早逝した中島敦。

二つの短編小説『山月記』 『名人伝』を軸に
『狼疾記』 『北方行』 『かめれおん日記』
『光と風と夢』などの作品群を絡めながら
古典芸能の〈語リ〉の技法や発想
そして〈謡〉や〈囃子〉とい った
能狂言にある音楽劇の構造を取り入れ
舞台芸能へと変換していく―

この説明だと、色々な中島敦氏の作品を混ぜ合わせ
一本の作品に仕上げるのだろうと思った人も多かったのでは?

実際は「山月記」「名人伝」の2本立てという作りだった。
と言っても、最初と最後に萬斎さんが演じる中島敦が
語るシーンがあり、分身の術のような演出は面白かったし
2本に共通する「生きるとは何か、死ぬとは何か」を
クローズアップした演出でもあった。

切り口は、私が創作した山月記と似ていたが
夢幻で提出した作品は、もっと中島敦氏に
焦点を絞った作りで、今回の山月記は
原文をそのまま使いつつ、舞台美術や
演出面を工夫した作りだった。

こういう芝居は、台詞術や身体性のある役者が演じなければ
お客様が退屈してしまう。

が、流石でした。
見応えのある芝居に昇華できたのは
役者の力量と舞台セットの素晴らしさ
生演奏の尺八、太鼓も良かったし
虎の鳴き声をソデで発した方の声が
あまりにも素晴らしく、未だに耳に残っている。
これらを総合的に芸術の域に引き上げた
萬斎さんの演出手腕も素晴らしいと思った。

また、芸歴80年を経た野村万作氏の演技も秀逸だった。
枯れ具合がとてもいい。
芸を極めた役者の凄みを感じた。

何と言うか…これは決して批判ではなく…
演出的に狙っていたのだとは思うが
紙芝居的な芝居のようにも感じた瞬間や
陳腐になりかねないと思った瞬間もあったんだよね。

けど、そうはならなかった。

それは何故か。

月を連想させる舞台美術
役者の力量―特に声―
衣装・生演奏

これらの芸術性が高かったから…かな。

やっぱりね…
演劇って役者次第だよね―

役者としての基礎とポテンシャル
それらを持ち合わせた役者の人数により
舞台全体の仕上がり具合が変化する―

基礎の必要性を再認識した舞台でもあった。

再演に向けてのヒントも頂き
とても有意義な時間でした(^^)