赤ワインの成分で肥満マウスが長生き 米研究

2006年11月06日 07時41分08秒 | Weblog
2006.11.05
Web posted at: 12:24 JST
- AP

ワシントン(AP) 赤ワインに多く含まれる成分を肥満のマウスに大量投与することによって、肥満による悪影響が消え、寿命が延びるとの研究結果を、米ハーバード大の研究者らが発表した。専門家らの間で「画期的な研究」と評価され、注目を集めている。

研究は、同大のデービッド・シンクレア博士らと米国立老化研究所(NIA)が共同で実施し、英科学誌ネイチャーの電子版で報告した。同博士らが注目したのは、ワイン中の抗酸化物質ポリフェノールの一種で、「レスベラトロル」と呼ばれる成分。植物が病気や外傷などのストレスを受けた時、防御のために作られるとされ、ぶどうの皮やピーナッツ、ラズベリーなどに多く含まれる。

研究チームは、肥満のマウス55匹に、レスベラトロルを大量に投与した。その結果、糖尿病や肝機能障害など、肥満に関連する疾患の発生率が低下。肥満の影響による死亡例は、レスベラトロルを投与しなかった肥満マウスのグループに比べ、31%減少した。また、投与を受けたグループは内蔵の状態も良好で、運動の様子も正常体重のマウスと同様、身軽で活発になることが分かった。肥満マウスの体重自体が減るわけではなく、コレステロールの値も改善しなかったが、「健康状態の面では、カロリー制限と同じ効果がみられた」(シンクレア博士)。さらに、正常体重のマウスを対象にした予備実験でも、寿命が延びるなどの結果が得られつつあるという。

NIA所長のリチャード・ホーズ博士によると、レスベラトロルの延命効果は、すでに酵母菌やショジョウバエの実験で立証済み。「次は、より人間に近いアカゲザルで同様の実験を実施したい」と、博士は語る。

ただし、今回の実験では「劇的な結果を一刻も早く発表すべき」との意図から、マウスの最終的な死亡率までは追跡していない。またシンクレア博士によると、投与したレスベラトロルは「人間の成人が1日に100本のワインを飲んだ場合に相当する」ほどの量。副作用の有無など、安全性に関する検討が十分でないことから、チームでは「無認可のサプリメントなどに飛び付くのはまだ早い」と、注意を呼び掛けている。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200611050002.html