愛するココロ :作者 大隈 充
8
春一番のせいでお堀端に咲きかけた桜の蕾が一斉に
風に踊りながら顔を隠してしまった。
取調室の窓ガラスに一匹のツチグモがさっきからへばり付いて、
唸り声をあげる外の春風に聞き耳をたてているようにじっと動かない。
厚い防弾ガラスに映る自分の八本の脚の姿が信じられず、どうして
こんな姿になってしまったのか考えあぐねているようであった。
目の前にいる吉田智光もこのどこから迷い込んできたかわからない
ツチグモと同じだと村上実男は、調書を書きながら思った。
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春一番のせいでお堀端に咲きかけた桜の蕾が一斉に
風に踊りながら顔を隠してしまった。
取調室の窓ガラスに一匹のツチグモがさっきからへばり付いて、
唸り声をあげる外の春風に聞き耳をたてているようにじっと動かない。
厚い防弾ガラスに映る自分の八本の脚の姿が信じられず、どうして
こんな姿になってしまったのか考えあぐねているようであった。
目の前にいる吉田智光もこのどこから迷い込んできたかわからない
ツチグモと同じだと村上実男は、調書を書きながら思った。
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