カジュアル・アミーガ         本ブログの動画、写真及び文章の無断転載と使用を禁じます。

ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

ジェットストリーム 

2010年02月12日 | お宝テレビ館
 
JALがこんなことになるとは、誰も思わなかった。
これを聞いていると初めて飛行機に乗ったことを
思い出します。
城達也の声がなつかしい。
夜間飛行は、別世界への旅立ちでしたね。
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さすらいー若葉のころ3

2010年02月12日 | 投稿連載
若葉のころ 作者大隅 充
    3
 種差海岸沿いの国道をポルシェとフィットで仲良く
縦に並んで走る。先頭を走るトモミのポルシェは、
中古車なのか、上り坂でエンジンを噴かす度にガチョ
ウのような唸り声をあげてはそのつるりとしたお尻を
ブルブルと振る。私は、ギザギザの岩山の連なる湾岸
道路から内陸の山道へ蛇行する国道を軽自動車の身分
を思い知らされながら、必死で対向車の大型トラック
の威圧風に耐えてアクセルを踏み続ける。
 よく考えるといつの間にか車酔いも小さな中年の恋
心も排気ガスの臭いと共に消し飛んでいた。ほとんど
車というものを通勤の道具としてしか使っていないし、
トモミや夫のカズマのように遠出やドライブでハンド
ルを握ることがなかったのである意味こんな長い時間
運転するのは正直死ぬ思いだし、いくら夜8時に帰れ
ばいいと言っても宮古まで行くと一人でこんな長い道
を戻ることができるか不安だ。特に久慈の港町を過ぎ
た辺りからその私の臆病な心配がパンパンと膨れ上が
って、峠道の途中で携帯で前を走るトモミに計画変更
しようと呼びかけた。ポルシェは多少広くなった山道
の張り出しで停まりトモミは乗ったまま携帯で仕方な
いか、と私の提案に応じて、カーナビと睨めっこする。
私はやっと停車したポルシェに追いつきサイドブレー
キを引いて出ようとするとトモミから携帯で押しとど
められる。
「いいよ。降りないで。この先の白井海岸に当てがあ
る。任せといて。」
「わかった。別にグルメじゃないから。何でもいいよ」
「すみれは主婦やってるんだものね。」
「ごめん。今度ゆっくりね・・・」
私は、語尾を曇らせて言うと急発進するポルシェの後
を追ってエンジンを再びかける。
 それからしばらくは野田玉川の港町を抜けて走り、
とにかく宮古のフレンチレストランは諦めて、陸中海
岸シーサイドラインへ入る手前の黒崎の海辺にあるド
ライブインに入ることになった。
 「黒崎キャンプ場すぐ」という看板がかかっている
海寄りの道の外れにぽつんとひとつだけ店がある。そ
して私たちはその「テキサス」と書かれた派手な看板
のログハウスの店に入った。
 私は、先に入ったトモミの選んだガラス囲いのテラ
ス席に座る。ちょうどそこからは小さな岬の灯台が見
える。トモミは、ここが一番眺めがいいの、と満足そ
うにコートを脱いで椅子にかけると座る。
若く背の高い首にバンダナを巻いた店員がメニューを
もってくると、トモミはランチのマグロステーキはも
う終わったと十歳は若造りな微笑で尋ねる。
バンダナの店員は、少し考えてからありますと人懐こ
い笑みの長い歯を覗かせて大きく頷いてトモミの目を
見つめる。
じゃ、それで、とトモミは言いかけて・・
「後ライスなしで」と店員の方が察して先に付け足し
た。
私は、野菜のパスタにしてコーヒーを食前に持って来
てもらうように頼むとトモミがわたしも眠気覚ましに
それでと付け加えた。
 そして店員が去るとトモミは、小声で私に囁いた。
「番狂わせだな。ここはわたしだけの店のつもりだっ
たのにな。」
「どうりで。馴れ馴れしいと思った。常連なんだ。」
「まあーね。ここは何でもおいしいよ。」
「あの店員も結構イケメンだもんね。」
「ま、まあーね・・・・」
トモミは、サングラスを外して真っ直ぐで形のいい鼻
頭をメガネの弦でこする。
学生時代から面食いだったトミーの気に入った男の子
に会った時にいつもしていた癖でそのメロメロの度合
いで鼻をこする回数が増える。
 バンダナの店員が再び来てコーヒーを置いていく間
に私は、トイレに立った。
 トイレは、階下の崖に面した海側にあった。ちょう
ど入ったフロアが1階だけど崖に店がへばり付くよう
に造られているので海側から見たら地下が1階になっ
て表通りに面したフロアが2階になる。しかし地下は
夏の海水浴シーズンにならない限り使わないらしくテ
ーブルが畳まれていて、薄暗く黴臭い倉庫と化している。
海に面した明るい廊下の先にトイレはあった。
 私は、洗面台のミラーで髪を結い直して目尻にパフ
を当てる。涙のカスを隠すために。足の下から岩を抉
る波の音が聞こえて窓から荒海に目をやる。遠くでフ
ェリーが小さく航行していた。当然あの人の乗った
「ちきゅう号」は見えないことはわかっていてもつい
探してしまう自分がいる。 
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