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今の停滞した日本には何が必要なのか。政治・経済を中心に語ります。
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軍隊と議会。どちらが国家に欠かせないものか

2019-12-29 23:20:17 | 政治
議会と軍隊。どちらが国家に欠かせないものか。

それは軍隊である。議会がなくても国家は運営できるが、軍隊がなければ国家は外国に侵略されてしまうからだ。

もっとも平安時代の日本は軍隊を廃止してしまうし、江戸時代も永く続いた平和のために幕府の旗本八万旗は形骸化していたのだが。

戦後日本も軍隊はないのだが、自衛隊が正式な軍隊の代わりであるし、世界最強の米軍の一部が在日米軍として駐留している。

このようなことを書くと「軍国主義者」扱いされてしまうかもしれない。だが事実である。

帝国議会が明治23年に開設されるまで日本に議会はなかったが、国家の運営に支障はなかった。

明治維新が起きたのも薩長土肥の新政府軍が旧幕府軍に勝ったからで、「政権は銃口から生まれる」(毛沢東の言葉だが、銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーがこの言葉を使っているので、日本人にはそちらの方が有名かもしれない)のだ。

もし「鳥羽伏見の戦い」で旧幕府軍が新政府軍に勝っていれば、明治維新は起こらず、幕府主導で近代化が行われていたかもしれない。この辺りも想像すると実に愉しそうだが、今回は取り上げない(今回は、と書いたが私のブログでは永遠に取り上げることはないかもしれないが)。

もっとも「議会と軍隊をどちらが国家に必要か」とする問いがナンセンスなものでもある。どちらか一方しか選べない類いの話ではないからだ。

私は自衛隊を一刻も早く正式な軍隊にすべきと考えているが、こう見えて私は「議会主義者」だ。議会が軍隊そして政府を抑える役割を果たすべきだと考えている。

昨今は内閣(政府)の力が強すぎて国会が追認機関に堕しているのが不満である。

だが、なぜわざわざ物議を醸し出しそうな題名をつけたのか。もちろん読者の興味を引くためでもある。

大東亜戦争敗北による大日本帝国の破滅。それは陸海軍が帝国議会との権力争いに勝利してしまったことが一因であったと考えるからだ。軍人は政治家ではないのだ。

帝国議会は開設された当初はその地位は低かった。国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関(日本國憲法第四十一条)ではなく、天皇の協賛機関に過ぎなかった。

しかし日清戦争前までいわゆる不平士族が衆議院議員を占めたことから政府の予算案を否決するなど権限が低いながらも政府に反抗した。

明治天皇が内廷費の一割である30万円を下賜することによって衆議院はようやく矛を収め、軍拡のための予算が可決された。

日露戦争を勝利に導いた英雄であるはずの内閣総理大臣桂太郎を尾崎咢堂が帝国議会で弾劾し退陣に追い込んだ。尾崎咢堂の非難は妥当ではなかったかもしれない。しかし帝国議会は内閣総理大臣を言論で打倒するほどの存在になったのだ。

大正デモクラシーでは政党政治が花開き、平民(どこかの藩の家老の家柄だそうだが)である原敬を内閣総理大臣にするに至った。

帝国議会はここまで力をつけたのだ。

しかしその後の昭和恐慌に対応できず、娘の身売りや一家離散などが相次ぐようになり国民は帝国議会に政党政治に失望していき、日清戦争、日露戦争を勝利に導いた軍を頼るようになっていく。

五一五事件や二二六事件で軍部が実権を握るようになっていくが、帝国議会も浜口雄幸の「腹切り問答」や斎藤隆夫の「反軍演説」で抵抗する。 

しかし帝国議会は自ら斎藤隆夫衆議院議員を「除名」してしまった。議会の自殺だ。軍部と議会の権力争いは軍部の勝利に終わった。そして破滅した。

軍人出身の政治家が内閣総理大臣になることが悪いことではない。軍部べったりの政治をやろうと大したことではない。

問題は軍部そのものが議会を無力化し政府を乗っ取ることなのだ。

軍部に外交はできない。譲歩が敗北と受け取られてしまうから、譲歩できないからだ。もっともルーズベルトは戦争をしたがっており、大日本帝国がとても呑めない「ハルノート」を突きつけるのだが。

私はこのブログで山本五十六に辛い評価をしてきた。聯合艦隊司令長官として実績がないからだ。聯合艦隊を潰滅させ大日本帝国を敗北に追いやった軍人と見ている。

真珠湾攻撃も厭戦気分が溢れていた米国世論に火をつける愚行だった。

しかし山本五十六は「軍政家」としてはそれなりの軍人であった。海軍省次官として海軍を切り盛りしていくことには実績もあった。しかし政争に負けて聯合艦隊司令長官に「左遷」されてしまう。

当時の海軍の愚かさよ。米国と戦争になれば聯合艦隊司令長官こそ最重要の要職なのに、左遷した人間を据えてしまう。「軍政家」山本五十六に艦隊を動かす器量はなかった。

明治天皇が時の海軍大臣山本権兵衛になぜ東郷平八郎を聯合艦隊司令長官に抜擢するか下問した。

山本権兵衛曰く「東郷は運の良い男ですから」

明治天皇「よろしい」

もっとも山本権兵衛は海軍将官の考課表を全て読み聯合艦隊司令長官に相応しい軍人を選んだそうだが。

日露戦争も世界中誰も日本が勝つとは考えていない「無謀な戦争」であった。しかし当時の指導者は有能で人事も最適の人物を選んだ。

日露戦争と大東亜戦争の結果は真逆になった。

それに山口多聞海軍少将が聯合艦隊司令長官に相応しい軍人だと衆目一致するところであったのに、階級が低いから、年齢が若いからという理由で聯合艦隊司令長官どころか空母機動艦隊の司令長官にもしない。

海軍は戦争に勝つことよりも官僚の人事秩序の方が大事だったのだ。これで世界最強の米軍に勝てるはずがない。もちろん陸軍も同じだ。

権力は欲しい。責任は取りたくない。死ぬのも嫌だ。抜擢人事もしたくない。

それで敗戦が近くなると階級が下の軍人に「特攻」や「玉砕」をさせるのだ。これでは必敗ではないか。「特攻」や「玉砕」させられた軍人を想うと涙が出る。

現在も似たようなことをしているが。

例えば家庭内暴力を振るっていた長男を殺害した熊澤英昭農水省事務次官はBSE問題を適切に対処できず、放言を連発したことで事実上の更迭されたのだが、官僚同士の薄汚い庇い合いで駐チェコ大使として復権する。

外務省は国益より官僚の面子、保身が大事なのだった。外務省しばしば傷のついた官僚を大使にして復権させている。「害務省」と呼ばれる所以である。

農水省も外務省も熊澤英昭元事務次官が長男を殺害した責任を問われていないが、それで良いのだろうか。東大法学部を卒業すれば自動的に事務次官なのだろうか。

戦争に惨敗しても日本の官僚は何一つ変わっていないのだ。


(参考文献)
小室直樹著『日本人のための憲法言論』
小室直樹・日下公人著『大東亜戦争、こうすれば勝てた』

(参考サイト)
日本が第二次大戦に勝てた方法 圧倒的優勢なのになぜ負けたのか(世界のニュース トトメス5世)

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