面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

正しい日本語を使いたい

2019-03-31 20:27:34 | 日本人への呼びかけ
~~引用ここから~~
【日本語メモ】「射程距離」は重言です 2019.3.31 06:00 (産経新聞)

 校閲業務で特に気をつけることの一つに、重言(同じ意味の語句を無駄に繰り返すこと)の修正があります。

◇「最も最適」→「最も適している」

◇「犯罪を犯す」→「罪を犯す」

◇「日本に来日する」→「日本に来る」

◇「電車に乗車する」→「電車に乗る」

◇「電気の電源」→「電源」

◇「受注を受けた」→「受注した」

◇「辞意の意向を」→「辞意を」

◇「挙式を挙げた」→「式を挙げた」

◇「期待して待っている」→「期待している」

◇「過信し過ぎる」→「信じ過ぎる」

◇「違和感を感じる」→「違和感がある」

◇「後で後悔する」→「後で悔やむ」

 以上の例は同じ漢字が2つあるので、記事モニターで読んでいるときも比較的すぐ気づきます。

 しかし、下記の例は、日常会話の中でも出てくるくらいの重言なので、時間に追われて速読していると、うっかり見逃してしまうことがあります。

◇「若くして夭折(ようせつ)した」→「夭折した」(夭は「若い」の意)

◇「まだ時期尚早」→「時期尚早」(尚は「まだ」の意)

◇「捺印(なついん)を押す」→「捺印する」(捺は「押す」の意)

◇「手ほどきを教える」→「手ほどきする」

◇「第1日目」→「第1日」または「1日目」

◇「約30分ほど」→「約30分」または「30分ほど」

◇「排気ガス」→「排ガス」(気とガスは同じ意)

 私が駆け出しの校閲部員だった頃、産経新聞の北朝鮮のミサイル発射に関する記事の見出しに「日本は射程距離内に」とあった事について、作家の塩田丸男さんがオピニオン面のコラムで「射程の『程』は距離の意味である。射程だけで『弾丸や矢のとどく最大距離』のことだ。他の記事中にもあったが、間違いです」と指摘されていて、衝撃を受けました。

 まさか「射程距離」が重言だったとは! 「機動戦士ガンダム」の登場人物たちや、湾岸戦争当時「イラク軍のスカッドミサイルの射程距離は…」とテレビで言っていた人たちは 皆、間違えていたのか!

 自分がいかに無知であるかを痛感させられた出来事でした。

 もしかすると、いまだ未知の重言があって、見逃してしまっているかもしれません。おっと、いけない。「いまだ未知」も重言でしたね。 (は)
~~引用ここまで~~


ネット上で誤字脱字誤変換を指摘していてはきりがない。しかし誤った表現をすることは良いことではない。産経新聞が「重言」についての記事を書いていたのでそれを取り上げる。

一番有名な重言は「犯罪を犯す」だろう。「犯」という文字が含まれているから「犯す」で二重になってしまうのだ。「罪を犯す」か「犯罪を冒す」が正しい。

しかしネットを検索していたら「犯罪を犯す」は重言ではない、という見解もあるらしいのだ。全文を引用する。

~~引用ここから~~
「犯罪を犯す」は重言か?(一意専心の資格マニアの記録)

 先日(2013/09/25)、「従来から」という重言についてメモするに当たっていろいろ調べるうちに、「犯罪を犯す」という表現が重言であるかどうかについて、相反する見解があることが分かりましたので、ここにメモしておきます。

1 重言であるとの見解
(1) 「とっさの日本語便利帳」((株)朝日新聞出版発行)によると、「犯罪を犯す」は重言である。「罪を犯す」の項に、次のように記述されている。

○罪を犯す
中国製の単語「犯罪」を、日本語の語順に直して「罪ヲ犯ス」と読んだもの。「犯罪を犯す」では、「犯す」を二重に用いて、罪を二度犯すことになってしまう。

(2)「日本国語大辞典第二版」(「重言」の項)によると、「犯罪を犯す」は重言である。※他に、「豌豆豆(えんどうまめ)」、「半紙の紙」、「後の後悔」、「被害を被る」が、重言の例として挙げられている。

2 重言ではないとの見解
 明鏡国語辞典によると、「犯罪を犯す」は、同族目的語を取ったものであり、重言ではない。

3 「犯罪を犯す」が重言ならば、代わりに何というべきか。

(1)刑法では、「犯罪を実行する」という言い方が採用されています。
刑法第60条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法第61条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

(2)法務省令で「犯罪をした」、「犯罪をする」という言い方も見られました。
犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則(平成20年4月23日法務省令第28号)
第28条  法第39条第1項に規定する仮釈放を許す処分は、懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、再び犯罪をするおそれがなく、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし、社会の感情がこれを是認すると認められないときは、この限りでない。

(3)法務省のサイトでは、「犯罪を行う」という言い方も見られました。
1  現在の条約第5条についての条約交渉当初の案文では、共謀罪については「重大な犯罪を行うことを合意すること」、参加罪については「組織的な犯罪集団の犯罪活動又はその他の活動に参加する行為」とされていました。この段階では、未だ共謀罪の対象となる「重大な犯罪」の範囲が定まっていませんでしたし、また、共謀罪について、現在のように「組織的な犯罪集団の関与するもの」という要件を付することも認められていませんでした。 《リンク》
(法務省 「『組織的な犯罪の共謀罪』を巡る条約の交渉過程での政府の発言・提案について」)

(4)以上の3通りの言い方のうち、通常の書き言葉として最も自然なのは、(3)の「犯罪を行う」だと思うのですが、いかがでしょうか。
~~引用ここまで~~


「同族目的語」と言われてもいまひとつピンとこない。「明鏡国語辞典」がいうからそうなのだろうとしかいえない。わからない。

重言と捉えて「犯罪を犯す」は使わない方が無難だが、他人が使っても間違いとは指摘できないというところだろうか。刑法や法務省は「犯罪を犯す」という表現を使っていないようなので。

他には「第1日目」と「排気ガス」が間違えそうな重言だ。この文字を入力しているdtabだと「排気ガス」が変換候補に上がった。正しい日本語からすれば間違いだ。

実質的な敵基地攻撃能力保有は良いのだがでは引用した読売新聞は「射程距離」とは書かず「射程」とのみ書いているのだから大したものだ。

自分では意識したことがなかったが、読売新聞に釣られてか、本文にも「射程距離」とは書いていない。恥をかかずに済んだ。

「重言」に注意して正しい日本語を使う。たまにはこんな記事も良いだろう。

本文修正。

カテゴリー修正。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マスコミの詭弁を理解しよう... | トップ | 特殊詐欺を摘発せよ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本人への呼びかけ」カテゴリの最新記事