旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

山葡萄

2010年05月23日 10時46分52秒 | Weblog
その昔、近くの遊び場に自生していた。野生種かと思われる。その「ぶどう」によく似たぶどうの苗を、昨春、園芸店でみつけて躊躇なく買い求めた。この冬を越して春先に芽をふきはじめて今では50㎝四方ほどにカラフルな葉を広げている。

このブドウの正式な名称を知りたくなって検索にかけてみた。野生種だから「野ぶどう」で検索を始めた。ところが、ブドウ科の和種「野ぶどう」は食に適さない。思い出のブドウは「山ブドウ」に分類されるようだ。

この「山ブドウ」という名称には、1000年ほど前に中国か朝鮮半島から入ってきたヨーロッパ種が野生化した「サンカクヅル」(ギョウジャノミズ)と純和種の「エビヅル」(ミヤマツ)が含まれ、8種8亜種に分類される。しかし、この系統の研究が進んでいないので個体の数ほど種があるといわざるを得ない状況なのだそうだ。

3年ほど前に比婆山に登った際に野生と思われるブドウを見つけた。思わず口に入れようとして同行者からたしなめられたことがある。「毒でもあったらどうすんのよ。」というわけである。あのブドウが「サンカクヅル」だったようだ。北海道から東北の寒冷地や西日本の高地に自生する。

葉の姿かたちや温暖な地域に自生するという分布から推して、「エビヅル」系の可能性が高い。ところが、半世紀ほど前に近くの遊び場に自生していたブドウも、栽培中のブドウも、葉が茶系とアイボリー系、それにみどりの斑だという特徴がある。葉が緑でだと明記してある「エビヅル」とは風貌が大きく違っている。

最近ではワインメーカーが、ヨーロッパやアメリカのブドウと和種の「サンカクヅル」や「エビヅル」を交配させて品種の改良を進めているという。この交配過程で不要になったブドウの苗を私が買った。その苗がたまたま、その昔、近くの遊び場に自生していたブドウに似ていただけのことなのか見知れない。

記憶をたどれば、近くの遊び場で自生していた「山ブドウ」の実は径1㎝に満たない。房の形は市販されているブドウに似ていて、その長さが5から6㎝でミニブドウという様だ。ところが、この味ときたら野性味に富み濃く甘い。庭先で実りって熟す日を心待ちにしている。

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