スコットランドにおけるユニオンジャックは、単なる国旗にとどまらず、複雑な歴史的、社会的な意味合いを孕んでいる。
一般的なスコットランド人は、国旗として聖アンドリュー十字旗(サルタィア)を掲げるが、町中でユニオンジャックが掲げられるのは、政府庁舎やカウンシルオフィスなどに限られる。
そして、一般家庭や町の一画でユニオンジャックを見かける場合、
それは掲げた人がユニオニスト、あるいはレンジャーズFCのサポーターであることを示唆し、そこには相当な政治的、社会的な意思表示が込められていると言える。
上の画像上半分はレンジャーズサポーターで下部のグリーン及びアイルランドの旗が見える部分がセルティックサポーター
グラスゴーを本拠地とするレンジャーズFCとセルティックFCの試合は、特にユニオンジャックが象徴的に扱われる舞台となっている。レンジャーズは伝統的にプロテスタント、セルティックはカトリックと結び付けられており、この宗教対立は、イギリスとの関係やスコットランドの独立運動など、様々な歴史的背景と絡み合い、両クラブの支持層を分断してきた。
ユニオンジャックは、イギリスとの連合を象徴する旗であり、プロテスタントのアイデンティティと結びつけられることがある。そのため、レンジャーズのサポーターの中には、ユニオンジャックを掲げることで、プロテスタントとしてのアイデンティティを強調し、カトリックであるセルティックとの対立を際立たせようとする者もいる。
一方で、セルティックのサポーターの中には、ユニオンジャックをイギリスの支配の象徴と捉え、スコットランドの独立(あるいは北アイルランドのアイルランドへの復帰)を支持する者もいる。彼らにとって、ユニオンジャックは抑圧の象徴であり、掲げることには拒否的な態度を示すことになるのだ。
このように、スコットランドにおけるユニオンジャックの意味は、宗教対立、イギリスとの関係、スコットランドの独立運動など、様々な要素が複雑に絡み合っており、一概に肯定的、あるいは否定的なものとは言えない。レンジャーズとセルティックの試合は、こうした複雑な歴史と社会背景を反映した、象徴的な舞台となっている。
このため、両チームの対戦である「オールドファーム」は、世界で最も因縁の深いダービーマッチと言われている。試合当日には、しばしば大きなトラブルが発生するため、近年(コロナ禍以降)では、アイブロックススタジアムにはセルティックサポーター、セルティック・パークにはレンジャーズサポーターを入れないという、異様な状況が定着している。(コロナ禍以降及び今シーズン最初の2試合まで決定済み)
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