マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

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UN Loved★★★★

2005-03-20 | 映画分析
イントロは、雨が降っているかどうかを確かめる手のアップ。その後も重要なシークェンスの度に、人物は異なるがこのカットが多用されていた。これは“内省”がキーワードであることを暗示している。

 多くの人は、目先の外的な要素だけで判断・行動しがちだが、主人公の光子は極めて冷静である。彼女は常に自分の内面を見つめつつ、“分”をわきまえて生きている“大人”である。

 彼女の前では、どんな人でも子供に見えてしまう。ゴダールも新作「愛の世紀」で、「21世紀の課題は“愛”。つまり大人になることである。それは、日常の小さな真実を見分ける眼を持つこと、正しいこと、美しいことを求めて行動することである」といっている

 背伸びをせず分相応の生活をするということは、決してイージーに生きることではない。強い信念のもとに、断えず“内省”を試みることによって初めて、次々と襲いかかる誘惑をはねのけ、自分が自分らしくいられる場所を確保できるのだ。かなりしんどい生きかたといえよう。

 この作品には、ゴダールのいう“愛における4つの瞬間”=出会い、欲望、別れ、和解、がシンプルに描かれており、単なる男女の恋愛にとどまらない普遍性が感じられる。人生とは何か、どう生きたらよいのか、といった 重厚なテーマが浮かび上がってくる。だから観客の心を打つ。

 自分は、果して 光子のような生きかたをしているのだろうか。虚構に満ちた日々を過ごしているのではないだろうか、と否応なく自身への問いかけを迫られる。

 光子は言う。「思ったことを素直に言える。それができないと二人でいる意味がない」と。光子と下川のあっけない和解で映画は終わるが、思ったことを素直に言えば、けんかもするだろう。二人の将来は、決して平坦ではないことが予想される。

 しかし、大人である光子は、一人でも十分生きてゆける資質を備えているし、下川も光子に影響されて、大人になれる可能性がある。朝焼けの眩い光が二人の手を照らすエンディングには、明るい未来が託されている。(0208)

UN Loved

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「UNLOVED」★★★★ 2002年日本 監督:万田邦敏