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イグ・ノーベル賞:粘菌の“知恵”優れたネットワーク(公立はこだて未来大学、広島大学)

2010-10-18 21:41:49 | Weblog
◇「同じ粘菌で2度目」 小林・広島大教授ら共同研究
 ユーモアのある科学研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の今年の「交通計画賞」に、中垣俊之・公立はこだて未来大教授(47)、小林亮・広島大教授(54)=応用数学=ら9人の「真性粘菌」を用いた共同研究が選ばれた。アメーバのような単細胞生物の粘菌が、実際の鉄道網よりも輸送効率やコストなどに優れたネットワークを作り上げることを示した。小林教授は「人間だけに知性があるというキリスト教圏の観念を覆す感じが受けたのでは」と話している。

 米科学誌サイエンスに今年1月、論文を発表した。研究は、関東地方を模した箱を使い、主要36都市に餌、東京駅に粘菌を置き、その動きを観察した。粘菌は時速1~2センチの速度で面状に広がり、1日ほどで、餌と餌を結ぶ鉄道網のようなネットワークを形成した。

 粘菌の動きをコンピューターでシミュレーションすると、▽輸送効率▽コスト▽耐故障性(1本の線が切れてもほかで代替できる)--を実際の鉄道網よりもバランス良く満たすパターンが見いだされたという。小林教授は「単細胞生物の粘菌は人間の100倍も長く生きており、ネットワーク作りにかけては大先輩」と語る。

 中垣、小林両教授は北海道大電子科学研究所の元同僚。小林教授はこれまで、結晶成長などさまざまな現象を数学的に表してきた。「粘菌に学ぼうと思ったら数学が必要」と、中垣教授らと粘菌の研究を進めた。議論のため2カ月に1度は広島を離れ、北海道や東京に足を運んだ。2年前には、粘菌が迷路の最短経路を導き出すことを発見した研究で、同賞の「認知科学賞」を共同受賞した。「同じ粘菌で2度目はないだろうと思っていた。本当にびっくり」と笑顔。今回の研究には、広島大から小林教授の他、伊藤賢太郎・助教(30)、卒業生の弓木健嗣さん(28)も参加した。

 小林教授は現在、アメーバのように動くロボットの研究を進めている。人間を模したロボットは実社会で役立っているが、「アメーバのように、人間の脳のような中心がなく『地方分権』的な制御で動くロボットも必ず役に立つ」と、あくまで“独創的”だ。【星大樹】(毎日新聞 2010年10月13日 地方版)

http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20101013ddlk34040568000c.html?inb=yt


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