亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

パニックでススキも幽霊に

2007年08月28日 17時46分48秒 | 金融市場の話題
サブプライム問題は一巡しつつある。もちろん完全に鎮静化ということではなく、総すくみ状態の市場(ショック状態)に動きが戻りボチボチとビジネスが復活ということ。その過程で散発的な地雷が炸裂する可能性もあるが、大半は織り込み済みということだろう。格付けが比較的高いものまで評価すらままならないという事態に多くが震え上がったが、それは市場参加者全員で作り上げた部分も大きいのではないかと思われる。その面で一時は「枯れ尾花」を幽霊とみる市場心理が急激な資金収縮に至ったと見られる。その広がりが欧州に限定されないことはECBはもちろん予見するわけで、突然の大量資金供給948億ユーロ(9・11時は693億ユーロ)は、危機拡大の予防的なものではあったが逆に市場参加者を「それほどシンコクなんだ・・・・」と震え上がらせたというわけ。

ちなみに「枯れ尾花」とは枯れたススキのことで「幽霊の、正体見たり、枯れ尾花」という有名な川柳がある。怖がって見ると枯れたススキも幽霊に見える、ということ。その心理状態がネットで瞬く間に地球上に広がる様をイメージするならば、「これはナルホド新しい危機だワイ」と実感できるよね。中央銀行も昔に比べ、その対応力を問われているわけで、低利の円がスペインの住宅ローンとなることを日銀が想定などしていなくても、有利ならば商品としてひとり歩きを始めるという世の中ということ。危機対応もいよいよ国際協調抜きには効果は上がらないというわけ。こうした事例を踏みながら、年金基金などの機関投資家は新たな運用戦略を採用していくことに。

金融動乱鎮静化の後に今度はいよいよ各論に入るが、米住宅市場の収縮の実体経済への影響ということに関心が本格的に向き始めるが、ちょうど昨夜米7月の中古住宅販売件数が発表されていた。前月比で0.2%減。5ヵ月連続の減少で2002年11月以来の低水準ということで、本日付けの日経の記事では全米不動産協会(NAR)のアナリストのコメントで「北東部などの一部の地域では販売件数が増えている」「他の地域も次第に回復していくとみている」と楽観ムードで締めくくっていたが、実態はもっと厳しい。

まず在庫が7月だけで5.1%も増加。現在の販売ペースからはじくと9.6ヵ月分となり、これは一般にバランスの取れた水準とされる6ヵ月分を優に上回る。しかも世界金融動乱の震源であるサブプライム提供の住宅金融会社の資金ショートがピークになったのは8月中旬なので、この数値が現れるのは1ヵ月後のこと。それ以降(つまり足元の状況)となるとさらに延びる。価格の下落も予想を下回っているが、いわゆる“質流れ”の住宅が売りに出されたり、値引き販売されるのはこれからと見られるので、足元の数字が軽微なマイナスであっても喜べないというのは、言うまでもないでしょうね。

トリシェECB総裁が、8月2日の強気発言を「今回の危機の前」ということで撤回したとのニュースが流れていた。9月6日のユーロ圏の利上げは見送りに。

金市場は下値にある実需の引き合いと金ETFの買い意向にワシントン協定内の中銀の売りがせめぎ合いという構図に見える。ファンドが戦線復帰までは、このような展開か。
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7 コメント

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ABCPを担保にとったくらいですから (いつも拝見しております)
2007-08-28 22:42:46
お疲れさまです。

実体経済に影響を与え始めそうになったら、住宅関連ローンを多く含むCLOを連銀が買い上げればすむことではないかと思います。実際に調整しデフレになりそうな場合は得意のインフレターゲットを設定し物価が上がるまでCLOを含むCDOを買い上げ続けて金利を下げれば問題ありません。その場合、円高になりそうなら日銀は思い切ってマイナス金利を設定、銀行に預けると逆に金利をとられてしまうなんてことすれば為替も円安方向になり、購買力の上がったアメリカ市場にたくさん買ってもらって輸出産業は息を吹き返す。なんて実際起こったら面白いですね。
解決できないサブ問題 (小さな愛犬家)
2007-08-28 23:35:54
 お疲れ様です。
 サブプライム問題は中央銀行の介入で解決するが見えると、また別の場所に「穴」が開いて「水漏れ」が始まるようです。米国株が14000ドルの「天井」を越すのはほとんど絶望的で、万一、「バブル相場」が再燃して天井を突き抜けても身、今度はすぐに下げるでしょう。でも各国の中央銀行がいますから「恐慌」というような事態には決してなりません。
 為替相場も、日本の内需拡大のためには円高が望ましい。輸出企業の振り子は逆向きに変わってしまいました。輸出企業は115円を防波堤にしていますが甘いと思います。為替の心理的節目は116円ですが、トレンドが変わっているのでさらに円高に行く。といって110円割れなどと言うことも当面はないと思われます。
 日銀も来月か再来月には利上げに行くでしょう。
 さあ、いよいよこれからベアが支配しやすい「秋相場」です。
ヤバイ! (小さな愛犬家)
2007-08-29 12:25:53
 昨日、今日の東京株、昨晩の米国株の動きを見ていると、スタッグフレーションの懸念すら出てきた。株、債権、共倒れの世界だ。
 現物の「金」は商品の中で「最強」だと思うのだが、本当に大丈夫だろうか・・・?
直接金融の弊害 (いつも拝見しております)
2007-08-29 22:38:23
お疲れさまです。

以前であれば、間接金融で大口を巡回すれば金融問題がそれほど時間をおかず明らかになったが、直接金融と金融規制緩和によって魑魅魍魎のような投資家と迷路のような金融商品が増えて監督しにくくなった。キャリートレードがその一つだとの話がありました。世間を騒がずCDOもその一つでしょう。未だにあちこちで誘爆を繰り返し心休まりません。日本の年金関連も相当痛手をくっているとか?地方金融機関が低金利に嘆いてたくさん買い込んでいるなんて噂が囁かれています。
この問題もいずれ時間が解決すると思われます。またデフレになれば金利の糊代がないので本当にマイナス金利にならざるを得ないかもしれませんね。金融機関が預金を拒否して投資関連の商品のみを取り扱うようになったら再び同じような問題が起きてまた石を積み上げる。国内に投資先がないどん詰まりに気がつき、いつの間にやら周囲は賽の河原だったなんてことにならないためにもマイナス金利より大規模ドル買い介入かな?国民が使わないなら国で出すって粋ですね。
不胎化への第一歩 (いつも拝見しております)
2007-08-29 22:59:44
たびたびすみません。ブルームバーグによれば中国が特別国債を発行したようです。テマセックのような組織もすでにあり今後が注目されます。ブラックストーンやCDOで結構痛い目あってるはずなんだけど、動き出したら止まらないか・・・今度は巨額だからスペキュレーターまがいの行動に多少市場が潤えばいいんですけど・・・
まあ! (ささやか)
2007-08-30 12:36:13
地方金融機関が…ですか~?
世間を騒がせているサブプライムのウイルスが
日本のどこかでひっそりと…
考えられない事ではないかも。
影響早すぎです・・・ (いつも拝見しております)
2007-08-30 13:52:46
お疲れさまです。

ささやか様、低金利で苦しんでいるのは年金暮らしの老人だけではありません。日銀の議事録見てると地方金融機関の哀愁漂う雰囲気に充ち満ちていますよ。

と言う訳で、昨日の今日で後日談です。無茶な投資が祟ってるように感じますが、如何に?

[上海 30日 ロイター] 30日の中国の短期金融市場で、レポレートが予想外に急上昇している。
 市場関係者によると、資金の出し手である4大国有銀行が運用に慎重になっていることが背景。
 4大銀行は手元資金が減ったとして、目先、短期市場の需給がややタイトになるとの見方を示しているという。
 4大銀行は、中国人民銀行(中央銀行)から手元の人民元資金の一部で人民銀行の保有する外貨を購入するよう求められたという。市場操作の一環とみられる。
 7日物加重平均レポレート<CN7DRP=CFXS>は午前中盤に、今月最高の2.6578%に急上昇。前日終盤は2.4189%だった。上昇幅は今月最大。
 中国財政省は前日、外貨準備運用機関の設立に向けて、特別国債6000億元(790億ドル)を発行したが、市場関係者は、30日のレポレート上昇と特別国債発行は関係がないようだ、との見方を示している。

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