亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ADP下振れでNY金年初来高値に迫る

2019年06月05日 23時53分26秒 | 金融市場の話題
今週は言わずと知れた米雇用統計の発表週。その前哨戦ともいうべき(必ずしも整合性があるとは限らない)ADP民間雇用データが発表された。5月の(非農業部門)民間雇用数は、前月からわずか2万7000人増となった。2010年4月以降連続して増加しているものの、2010年3月以来9年2カ月ぶりの最少のプラス幅となった。市場予想は18万人の増加となっていたので、大きく下振れすることになった。これはちとサプライズ。金曜日、労働省発表のデータはどうなるか。

この結果を受けてNY金は一時1348.90ドルまで買われることになった。さすがに利益確定の売りが出る中で、勢い(モメンタム)で買い進まれた印象。

再来週6月18-19日の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているが、来週はメンバーの発言の自粛期間に入るため、FRB高官の発言が今週に集中し利下げ観測が盛り上がっている折でもありマーケットの刺激要因となっている。5日はパウエルFRB議長の講演が注目された。議長は米国のみならず世界経済に対しリスクになっている通商問題が及ぼす影響を「緊密に注視」しているとした。そして「適切に」対応するとした。内容としては、前日のブラート発言のように近い将来の利下げを示唆したものではなく、悪化の兆候が見られれば行動する準備がある的な一般論だった。しかし、マーケットは“次の一手として利下げも選択肢に入っている”ことを前のめりに織り込むことになった。

一般論に始終したパウエル発言で大事なポイントは、将来の景気が下振れた際の対応についてだった。議長は景気が下向きに変化したら金利を再びゼロにして債券買い入れという「非伝統的」な手段を利用せざるを得ないとした。さらに「こうしたことは再び起こる」とした。そして、量的緩和策など危機時に採用された政策について「非伝統的」と呼ぶのをやめる時が来たとしている。。

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