亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金ETF(上場投信)残高、年始から1003トン増加

2020年10月12日 20時45分38秒 | 金市場
先週は後半にイベントが立て込み更新できなかった。まず先週の金関連のニュースから。10月8日に世界的な金の広報調査機関「ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC、本部ロンドン)」が9月末の世界全体の金ETF(上場投信)の残高のデータを発表した。四半期末ということと、9月後半に金価格がレンジを下抜ける形になったことで、注目されることになった。

金ETF全体の9月末の残高は3880トン、金額ベースでは2354憶ドル(約25兆円)となっていた。年始から9月末までで組み入れ重量ベースで1003トンの増加、金額では556憶7800万ドル(約5兆9000億円)の増加となった。今年は上半期の段階で、2009年に記録していた通年の増加記録646トンを軽く突破していたが、言うまでもなく残高記録を更新中ということに。

1900ドル割れなど市況が低迷したことで注目されたのが9月の動向。最大銘柄「SPDRゴールド・シェア」の残高が9月の価格急落時に1日で30トン超増えたことは、ここでも取り上げたが、全体の動向が不明だった。結局、68トンの増加となっていた。継続的な資金流入が確認されたことになる。月次では10カ月連続の増加に。しかし、継続は力なりというと昔の(今も?)予備校の標語みたいだが、3880トンとは! 気が付けば4000トンが迫っている。SPDR(スパイダー)が東証に(NYアーカと)相互上場になる前に一部業務を手伝ったことがあるので、よく育ったなぁ・・・と思ってしまう。

さて市場では、新型コロナを巡る追加経済対策の合意に向けた期待が株を中心に金市場も支える形になっている。前にも書いたが、基本的に選挙前までの合意は難しいと思っているので、株式について通信社などの解説(合意期待が価格を押し上げ)がその通りならば、梯子を外されることになるのではないか。その際は金市場にも影響は及ぶ可能性もあろう。

先週末にかけての合意期待の高まりは、(周知のように)もっぱらホワイトハウスの動きによるもの。親分が6日にいきなりツイッターで民主党との協議の打ち切りを表明したが、その後の株価の急落などを受け方針を急きょ転換。航空会社支援や中小企業の雇用支援、家計への1人当たり1200ドルの給付などの個別の法案を提示したが、総合対策を主張する民主党に拒否されていた。ならば、ということで従来の予算規模を1.6兆ドルから1.8兆ドル(約190兆円)に増額し野党・民主党に再提案ということに。話はまとまらずとも「継続協議」に市場は期待をつないでいるが、ペロシ下院議長とムニューシン財務長官の協議が30分程度で終わっているのは、電話であることに加え、主要州や地方都市への支援で折り合えないことによると思われる。それらはNYやカリフォルニア州などのように民主党がトップを務めている背景があり、共和党右派を中心に絶対反対の立場。この部分を外せ、外さないの押し問答に
なっているのではないか。

そもそも、成立には上院での可決が必要となるが、過半数を握る共和党の上院トップ、マコネル院内総務は予算規模の大きさを指摘し、大統領選前の合意は難しいとの認識を示している。財政緊縮を唱える共和党右派からの強い反対が背景にある。ちなみに以前触れたように共和党案は当初の1兆ドルから5000憶ドルに縮小しており、端から折り合う気がない。3月に3兆ドル超もの対応策を打ったではないか!!という感じだ。足元で上院共和党は、今後数年から10年、20年の期間にわたり影響を及ぼす最高裁の判事の指名に注力しており、追加経済対策は後回しという流れで、追加策の優先順位は低い。

しかし、経済にはそれが応える。合理性に欠けることが多いのも政策判断の特徴につき、やむなしということに。

本日は東証アローズからのStock Voiceに10時45分から約15分電話出演でした。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 政争に揺れる市場(ゴールド... | トップ | バイデン勝利を織り込み始め... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事