亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

年始からのレンジ(1310~1360ドル)の上半分に居所を変えた金

2018年03月26日 20時44分44秒 | 金市場

本日は、かなり長文。

先週末3月23日のNY市場の金価格は大幅続伸。米政治リスクの高まりから派生した形の米国による保護貿易政策への急速な傾斜が、株式市場をはじめ金融市場の不安定化をもたらし金が買われた。NY金は、終値ベースでは、2月16日以来5週間ぶりの高値となる前日比22.50ドル高の1349.90ドルで終了。高値は通常取引時間外終了後の時間外の1350.40ドルまで見た。週明けのアジアの時間帯は1347.00でスタート、1351.20ドルの高値を見たものの、さすがに売りが控え、その後は1340ドル台後半で保ち合い。

NY金は、年始からおおむね1310~1360ドルのレンジでの取引を続けてきた。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ加速や米長期金利の上昇観測から、1300ドル割れからさらに1200ドル方向への下落を読む弱気見通しが支配的だった。もっとも、当ブログは昨年12月のFOMC前が安値ということで強気してきたが、トランプ政権の不安定さによる政治リスクや政策方針の不透明さが“ドル安” として表れ、金価格をサポートした。

この1ヵ月間は、上記のレンジの下限を試すかたちで1310~1330ドルを中心に推移。パウエルFRB議長が2月末の議会証言に際し、昨年12月時点で米国景気の見通しを個人的に上方修正したと発言したのを受け、翌3月1日に1303.60ドルまで売られ、これが直近の安値となっていた。先週の連邦公開市場委員会(FOMC)前には、利上げ見通しの加速(年内3回から4回に引上げ)を懸念する形で金市場は下値を試した。しかし1306.60ドル(3月20日)と、この水準を下回ることはなく、改めて底堅さを確認していた。

注目のFOMCでは、景気やインフレ見通しなどが上方修正されたものの、参加者の見通しからは年内利上げは3月の利上げを含め3回と据え置きとなったことから金は反発。しかし、先行きにFRBが強気を示唆したことから、反発とはいえ控えめな反応といえた。

そこに加わったのが、トランプ政権による保護貿易主義の強化を表す政策の施行だった。22日にトランプ大統領は、米通商法301条に基づき、中国による知的財産権侵害に対する制裁措置の発動を命じる文書に署名。先行して発表されていた鉄鋼とアルミに関する輸入関税の賦課は、23日に正式に発動された。

これら政策に中国は強く反発し、これまでの柔軟姿勢から一転し、報復措置を打ち出した。23日に中国商務省は、128品目の報復対象を発表し、第1弾として米国からの果物やワイン、鉄管などに15%、第2弾として豚肉などの25%の関税を上乗せすると発表。その一方で、知的財産権侵害に対する制裁についても「貿易戦争を決して恐れない。十分に準備ができている」と報復で応じることを示唆。表面上は殴り合いにならんばかりのケンカ腰。しかし、テーブルの下では握手とは、これまでの米中関係でしばしば見られたこと。しかし、中国が一定の力を持ち、習近平独裁の道を築いたこれからは、仮に今回の局面は沈静化したとしても解消はならず、折に触れ摩擦は高まるとみられる。とくに広い目で見て先行きの北朝鮮をめぐっては、両国の対立の構図は深まりそうだ。

目先は、足元の米中間の摩擦の高まりを世界貿易ひいては世界経済への阻害要因として懸念する市場では、まず米国株式市場が嫌気して下値を探る展開。ドルが弱含む中で、NY金はレンジの上半分1330~1360ドルでの推移に移行。

あっと言う間に1ヵ月が過ぎ、桜は満開、そして散り、ISMや米雇用統計の結果を気にする時間帯に。

先週の木曜日22日はラジオNIKKEIマーケット・トレンドに出演。
放送音声は以下のURLです。
その日の夜にトランプ政権は通商法301条にもとづき知的財産権侵害に対する制裁を中国に発表。

http://www.radionikkei.jp/podcasting/trend/2018/03/player-2018322.html



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