亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

マーケットに方針変更を促されたトランプ政権とFRB

2019年01月07日 20時40分03秒 | 金市場
先週末の米12月の雇用統計は文句なしに強い結果となった。前月比での(非農業部門の)雇用者増加数は31万2000人となり、市場予想(17万5000人)を大きく上回るサプライズに。平均時給も前月比0.4%増、前年比3.2%増と予想を上回った。まだまだリーマン前には及ばないものの、安定的に3%台に乗っていることを思わせる。目を引いたのは、前月比で全体数字が+0.4%だが、これを業種別で見ると小売業が+1.1%となっていたこと。

個人消費の強さが足元の米国経済の要になっているが、その背景にあるのが雇用の強さで、ニワトリと卵のような関係。いずれにしても、年末商戦が好調であったことを思わせるもの。先週のISM製造業景況指数は記録的な落ち込みとなり株の売り材料となったが、本日のISM非製造業の方は、落ち込みの程度は緩やかということか。でなければ、株はまた売られることになりそうだ。

失業率は3.9%と上昇したものの、これは仕事探しや職場に復帰した人が増えており(労働参加率の上昇)、むしろ改善のパターンが見て取れるという評価に。雇用統計を見る分には、米国経済は引き続き好調に推移しているといえる。発表後にNY金は一時1280ドル割れまで売り込まれることになった。

しかし、この日注目されたのは、4日のここで書いたが、やはりパネル討論に参加したパウエルFRB議長の発言だった。金融政策を柔軟に見直すと発言。利上げの一時停止を示唆したものと受け止められた。さらに、一昨年10月から始めている市場からの資金回収(バランスシートの縮小)についても、環境次第では「修正をためらうことはない」とした。約3週間前のFOMC(連邦公開市場委員会)時の発言からは、大きく慎重路線に転じた内容で、市場に安心感が広がり株価は大幅高ということに。

金は結局、終盤に買い戻されたがプラス圏には浮上できずということに。日替わりメニューのようなリスクオン・セントメントの広がりの中で、益出し売り優勢に。

パウエル発言の肝は、「市場からの資金回収(バランスシートの縮小)」も柔軟に見直すとしたことにある。そもそも、2018年に資産インフレ(株価の上昇)を止めたのは、利上げではなく「量的引き締め(バランスシートの縮小)」に転じた金融環境にある。したがって、利上げ回数が減るだけでは、(下げ過ぎた反動でもある)目先の反発こそあれ、本格的な株価の出直りにはつながらないとの指摘があり、その通りと思う。

懸案の米中貿易戦争だが、今週から北京で次官級の交渉が始まるなど、双方が歩み寄りの姿勢を示している。米中ともに市場の乱調と経済指標の悪化に背中を押され交渉の場に就くことを促されている印象。米中歩み寄りへの期待は、4日の市場では銅など産業用メタル全般の上昇につながり、貴金属でもプラチナ、パラジウムの上昇が目立つことになった。

結局、マーケットの動乱が、政治とFRBに政策方針の変更を促すことになった。
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