亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

プラチナ2カ月ぶりの高値 

2020年11月17日 16時18分46秒 | 金市場
1週間前とほぼ同じ時間帯(現地東部時間午前7時前)に発表された米バイオ製薬モデルナの新型コロナワクチンの臨床試験(治験)の暫定結果。市場全般的には、そこは2番煎じ、ファイザーほどのインパクトはなかったものの、株式市場には大いに影響力はあった。米国で7月末に開始した最終段階の治験の初期データで94.5%の有効性が判明したとする。数週間以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(基準は50%の有効性)を申請する見通しとされる。ちょうど1週間前にも米製薬大手ファイザーの同じタイプのワクチンの発表があり、この際は90%以上の有効性だった。この際は、保管にマイナス70℃以下の環境を要するとのことだったが。モデルナのワクチンは2~8℃で30日間保管できるとしている。

足元の米国では1日の新規感染者数が18万人超(13日)と急拡大しているだけに、高い有効性を示す2つ目のワクチンの発表に、株式市場は飛び付いた。早ければ2021年央には広く配布され、景気回復につながるとの期待がある。窓開け(取引開始時から前日比で大きく上昇した)でスタートした株式市場は、さすがに新値圏ということもあり伸び悩んだが、主要3指数ともに終盤に向けて再び高値追いで取引を終了した。前日に続きS&P500種は終値ベースで連日の過去最高値更新。ダウ30種も今年2月以来となる終値ベースでの過去最高値を更新し2万9950ドルで終了となった(前日比470ドル高)。ワクチン開発成功を前提に、先行きの景気回復(=企業業績の回復)を先取りする動きといえる。ここまで慎重な見方を示していた国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長まで、来年4月までに経済が一段と正常化すると楽観姿勢に転じたとされる。

同様のニュースに全般リスクオンの中で1週間前は1日で5%もの大幅安に見舞われた金だったが、今回はややまとまった売りにストンと水準を切り下げたが1.3%、約25ドルの下げで1861.50ドルまで下押すことになった。値位置が低かったことと、前回の学習効果というべきか、一気に売り崩そうといった売りではなかった。NYの通常取引に入ってからは、徐々に値を戻す展開に。午前10時過ぎにはプラス圏に復帰し、再び1900ドル方向を試すもアジア時間の高値(1898.00ドル)を抜くことはできなかった。結局1.60ドル高と、わずかにプラス圏は維持して1887.80ドルで取引を終了した。

この日目立ったのは、プラチナの上昇で前日比31.50ドル高の927.50ドルと終値ベースで9月18日以来2カ月ぶりの高値で終了となった。値動きのパターンも金および銀と異なり終盤に向け上値追いとなったのは、(産業用需要の多いメタルとして)景気回復期待を映す一方で、バイデン米新政権下での再生エネルギー投資などの新需要への期待もあると見られる


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