今年は年始に円安の影響から国内金価格がドル建て価格が派手な上昇を見せた2011年以上に急騰したことで、一般メディアの金市場への関心も高まった。さらに4月以降の急落も派手なものとなったことから、さらに関心は続くことになった。今や週刊誌ネタでもある。「ポールソンやジョージ・ソロスといった大物投資家が金市場から逃げ出しているらしいですね。とくにジョージ・ソロスは全て売り払ったとか・・・・」という話で始まる電話取材を今週受けた。例のSEC(米証券取引委員会)への13Filingによる持ち分の届け出のニュースを受けてのもの。
まずポールソン、ソロスの移動状況をETFであることを手始めに正確に話し、特にソロスについてはビッグネームであるだけにとかく話題にはなるが、持ち分は3月時点で1.7トンに過ぎず市場への影響はないとした。それよりもヘッジファンドに象徴される欧米マネーがどんどん金市場から抜け出し、株などに投資替えされたこと。
一方で、インド、中国の一般の現物買いが湧きあがるように登場し「西(欧米)の売り」対「東(アジア)の買い」ということで、まさに東西対決の様相を呈しているのが、このところの国際金市場の状況だと話した。ここにも書いた、「ペーパー・ゴールドの売り」対「フィジカル・ゴールドの買い」のたとえももちろん持ち出した。
売り方、買い方それぞれの思惑あるいは背景を問われたので、それも説明させてもらって終了。特に「ペーパー・ゴールド売り」の大きな理由がアメリカの緩和策終焉観測にあることからその辺りも詳しく話したつもり。。。。。
さて、前置きが長くなったが、その「欧米の売り」の話。ソロスはいいとして、ETFの持ち分を半分残したポールソンは、果たして方針転換をして金のポジションを大幅に減らしたのだろうか。金価格が大幅に下げた後もクライアント向けレターには、方針変更せずとしているとの内部関係者の話もあった。確かに金ETFの持ち分は減らしたが、アングロ・ゴールド・アシャンティを始めGold Fields、IAM Gold、NOVA Gold、RAND Goldなど金鉱株の保有は維持している。このところの金価格の下落以上にPaulson & Coの落ち込みは大きかったのは、こうした他の金関連資産の値下がりがあったものと思われる。今回のEFTの一部売却は「ヘッジの必要性から」というこれだけでは意味不明の話もあった。一部をキャッシュする必要があったのと、またそのキャッシュでNYコメックスにて先物のポジションを建てたということも考えられるのではないか。
さて、議事録の次は、ワイオミング州ジャクソンホールでのカンザス連銀主催の金融シンポジウム。早々と欠席を表明していたバーナンキ議長は不在。FRBからはイエレン副議長が出席する。他に2名のFRB理事も出席予定。メディアは副議長に群がりそうだ。