亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

日経平均1万8000円割れで日銀保有のETFは含み損発生

2019年03月14日 21時55分42秒 | トピック
昨日は午後に都内で講演会。金市場を語るにあたり、主要国中銀の政策方針について触れることになるが、日銀について取り上げるのに格好のニュースが前日12日に飛び出した。雨宮副総裁が、日銀保有の株式ETFについて、「日経平均株価が1万8000円程度を割り込むと、日銀の保有ETFの時価が簿価を下回る」と参院財政金融委員会で語ったというもの(日経クイックニュース)。共産党の大門実紀史議員への答弁とされる。ちょうど先週末に、日銀発表の毎旬報告から、2月末時点のバランスシートを調べており、ETFは簿価ベースで24兆5000億円となっていた。

雨宮副総裁のニュースを見て思ったのは、こうした情報を一般に公開する方針が内部で決まり、動き始めたのだろうということ。というのも、先行して先月末に黒田総裁が衆院財務金融委員会にて、同様の答弁を行い、ついに公開し始めたかと思っていたことによる。このときは、「TOPIX(東証株価指数)が1350ポイント程度を下回ると、時価が簿価(取得時の価格)を下回る計算になる」とした。立憲民主党の末松義規氏の質問に答えたもの。「TOPIXが100ポイント下がるごとに含み益は1.6兆円減る」と説明したと伝わる(朝日新聞)。

時価が簿価を下回ると「含み損」を抱えることになる。日銀は、先行して価格変動商品である国債の保有が急激に膨らんだこともあり、政府納付金の一部を引当金勘定に積み立てている。現在それは5.2兆円となっている。資本金と準備金あわせて3.2兆円でその他を合わせて自己資本は約8.7兆円とされる。しかし、株価の下げが大きくなると、赤字決算の陥る可能性がある。

黒田総裁は、「赤字の可能性が絶対ないとはいえない」と述べたと伝えられている。その通りだが、ここまで踏み込んだのは初めてではないかと思われる。赤字が膨らみ自己資本が減ると、どうするか。結局は政府が資本注入(税金注入)ということになるのだろう。

この先どうするんだと、誰もが危惧しているこの問題。予想はしているものの、詳細情報がなく推測の範囲内のものだった。ついに当事者が小出しに話し始めたが、急に損になりました!といわれて動揺を招くのもまずかろう、ということか。

さて本日の日経平均は2万1287円、TOPIXは1588ポイントで引けている。


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